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敵陣突破




「囲まれたな」
 五ェ門は短く言った。
 遁走の苦し紛れに逃げ込んだ廃屋の、明かりを落とした室内から、ガラスの曇った窓ににじり寄って、外の闇の様子を窺っていた。振り返った。
 眉をしかめた。
「じっとしておれ」
「…かすり傷さ」
「馬鹿を」
 銃創を止血したばかりの右肩と脚を引きずるように、ルパンは起き上がり、反対の肩で大きく息をついている。あごをしゃくった。
「何人いる」
「視界に入っただけで十五人」
「ってことは、最低でも四倍と見積もって、俺が…」
「おれが六十」
 五ェ門は申し渡した。ルパンはだらしなく肩をすくめた。
「次元は?」
「向かっているぞ」
 だが、当初打ち合わせた地点から、一直線に車を飛ばしたとて四半時(しはんとき)かかる。次元の到着が早いか。
 ルパンはふと笑った。
「忘れたのか? 五ェ門」
「何を」
「格好のチャンス。俺様を斬って、お前はコロシの世界チャンピオン」
 五ェ門は鼻を鳴らした。
「手負いのルパンなど斬ってもつまらぬ」
「その甘さが命取りに」
「笑止」
 と、気の早い銃弾が立て続けに撃ち込まれた。五ェ門は急いで壁際までにじり下がった。
 ルパンの傷の様子を確かめた。
 ルパンも激痛と困憊(こんぱい)に顔をしかめながら、左手でワルサーを握った。
 五ェ門は剣を手に、スク、と立ち上がった。
「…気をつけろよォ五ェ門」
 五ェ門は振り返った。大きく歯を見せた。
「忘れたのか? ルパン」
 ルパンが笑った。五ェ門は戸口で間合いを計ると、一気に、外の闇の中へと飛び出していった。






+ + + + + + オフ会開催の地にちなみ、「渋谷金王丸」敵陣突破の伝説に取材しました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E9%87%91%E7%8E%8B%E4%B8%B8

2008年5月17日に行われた、関東オフ会の記念にいただきましたv。
メチャクチャカッコイイーー!!
第一声がこれでした。いやホントに。
短い作品の中に、ギュッと「ルパン」エッセンスが詰まってて、痺れます。
ピンチの最中であるからこそ、いっそう彼ららしいやり取りに嬉しくなってしまいますv
さりげなく感じ取れる二人の誇り高さ、単なる馴れ合いでない関係性にもドキドキしてます。ああ、素敵v
オフ会に参加させていただけた嬉しさがさらに倍増しました^^

mamsさん、ありがとうございました!
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