風魔一族の陰謀


ニュールパン

つい先日、ようやく「風魔一族の陰謀」を見ることが出来た。
今まで、絶対にこれだけは見まい、と思っていたのだが。

ご存知の通り、「風魔」ではレギュラー全員の声優さんが替わっている。
これに抵抗感を持った人も結構いるのではないかと想像するが、私はその中のかなり頑固な者の一人だったと思う。
最初に「風魔」ではレギュラー陣の声が違うと知った時、私は心の中でこの作品に「ニセルパン」というレッテルを勝手に貼り、決して見ないと決めてしまっていたのだ。
ルパンの声が山田康雄さんじゃないなんて、その当時の私にとっては「ニセ」だったのだ。
その後、最近までルパン熱もかなり薄れてしまっていたので、ずっと今まで見る機会もないままだった。
が、ルパン熱も復活し、こうしてまがりなりにもルパンサイトを立ち上げた私は、これを機会に見てみようという気をようやく起こした。
95年に山田康雄さんがお亡くなりになってしまい、本当に残念なことだが「ルパン=山田さん」ではなくなってしまったことも影響しているかもしれない。

とはいうものの、見る直前まで「どうせニセ」というしつこい思い込みがあったのは事実だ。
何と言ってもルパンが「諸星あたる」なのだから(笑)
そして不二子が「アラレちゃん」。(シンシアとは思わない私^^;)
これには正直ひいていた。
その昔、水曜日の7時から続けて放送されていたので、「Dr.スランプ」と「うる星やつら」だけはいつも見ていた私。
私は声優さんにかなり無知なのだが、そのせいで古川登志夫さんと小山芙美さんのお名前と声だけはすごくよく知っていたのだ。
あたるとアラレちゃんが、ルパンと不二子かぁ……と不安は募った。

ドキドキしつつも、見てみると……
この作品、本当に面白かった。今まで声優さんが違うという理由だけで見なかったのがもったいないと思えるくらいに。
その内容についてはちょっと後に回し、とりあえず声優さんの声についての感想を。

ルパンは正直、やはり「諸星あたる」だった(古川ルパンファンの皆様、ごめんなさい!)
低い声の時はともかく、高い声で軽妙な雰囲気の台詞を言うときはどうしても山田さんと比べてしまう。山田さんだったらこういうはず、とつい考えてしまうのだ。
気のせいか、古川さんもあたるの時ほど生き生きしていなかったような印象もある。
古川さんの声自体は、私はとても好きなのだが(あたるファンだったので)やはりルパンの声、節回しのイメージはあまりにも私の中で強かったようだ。
そういう意味では次元もそうだ。銀河万丈さんの声で、即座に幻斎の顔が浮かぶほどではないが、次元の顔から小林清志さんの声がしないのは、異様な感じに思えてしまった。
銀河さんがどうのこうのという以前に、どんな人がやってもやはり私は次元が小林さんでなければ違和感を感じただろう。
加藤銭形もちょっと迫力不足のような気がした。とっつあんの声にしては少し気弱そう(?)というか……。
後半はちょっと慣れてきたけれども、やはり大声を出すシーンは納谷さんの声がいいなぁと思った。

意外に良かったのは、五右エ門の塩沢兼人さんと不二子の小山芙美さんだった。
塩沢五右エ門は、すごく若々しく清潔感があり、「風魔」の絵柄と合っていた気がする。
小山不二子は、「背中を掻いて」というような色っぽいシーンだと、やはり二階堂さんや増山さんの方がいいなと思ったのだが、「風魔」の不二子は活動的な雰囲気なので、小山さんの声も思った以上に似合っていた。

総じて、やはりルパンレギュラー陣の声のイメージはあまりにも根強いと再認識したわけだが、私のように声が違うという理由だけで「風魔」を見ないのは、勿体ない。そう思える作品だ。


アニメらしい面白さ

「風魔」はとにかく飽きずに最後まで楽しく見られた。
何よりもアニメならではの面白さが詰まっていた。
軽快で迫力あるカーチェイス。からくりの数々。アクション。
どれもいかにもアニメっぽい動き(物凄くいい意味で)が満載で、実写では味わえない楽しさがある。
特に有名なカーチェイスシーンは、さすがの一言。
旧ル最終回のような、銭形とルパンたちのカーアクションは懐かしいような気さえした。このアニメっぽい、「そんなバカな(笑)!」というような車の動きは本当にスゴイし楽しい。
普段映画を見ていてもカーチェイスシーンはあまり好きではない私なのだが、ルパンのカーチェイスだけは大好きだ。

「風魔」ではルパンが緑ジャケを着ている。
カルトブックなどによると宮崎作品へのオマージュ的意味合いが強いとある。
絵柄はいかにも旧ルだし、カーチェイスシーンは旧ル最終回やカリ城を髣髴とさせる。
銭形警部が出家していた理由の、ルパンの死(そしてその昇天シーンの絵)という設定からも、「風魔」は旧ルの延長線上に位置する作品なのだろう。

そのせいか、五右エ門とルパン&次元の距離がやや遠く、その緊張感がなかなかいい。あまり馴れ合ってないルパンと五右エ門はクールでかっこいい。
ルパンは五右エ門を思っていないわけではない(実際五右エ門の為に壷を盗み出している)のだが、お互いの立場と利益が一致しない時はそれぞれの立場で動く。
それが、本来のルパン達らしいような気がする。
何よりも五右エ門が凛々しくて素敵なのだ!
崩れる洞窟内で繰り広げられる戦いは、五右エ門の本来の魅力たっぷりといった感じ。斬鉄剣を使う人間工作機ではなく、剣で「戦う」五右エ門の姿は、やはり素敵だ(^^)。

不二子も一人バイクを乗り回し、敵に捕まっても自力で抜け出してくるところがいい。ルパンも、一度助けに行こうとするものの、不二子は自分でどうにかして来るだろうと思っていた節があり、そういう意味での二人の信頼関係が感じられていい。
時として、単なるトラブルメーカー兼ルパンへの人質として描かれがちな、非力な不二子像にあまり魅力を感じない私は、こういう場面があるだけで、その作品もかなり好きになってしまう(笑)
黄金に対する執着心も、だからこそ可愛い。

そう考えていくと、この話はテレスペよりも短いのに、よくレギュラー陣を活躍させていると思う。
まあ次元色はかなり薄いのだが、カーチェイスの時運転していたのは次元。活躍していないわけではないということにしておこう(笑)。
そして、銭形警部がどうでもいい役になっていないのが、個人的にポイントが高い。
無意味にルパンを追うだけでほとんど話に絡まない時も多い銭形警部だが、今回は、警察に風魔のスパイがいたことと、墨縄家総帥である老人と銭形警部を出会わせたおかげで、きちんと存在の必然性があった。
何よりも、ルパンが死んだと思い込み、ルパンの成仏を祈っている警部。その姿に、ちょっとグッときてしまった。


風魔と紫

風魔一族といえば、新ルでも一度出てきている。
いかにも忍者っぽい、しかもやや無法者っぽい雰囲気の名前なので(笑)、悪役名として使いやすいのだろうか。
それにしても、400年も墨縄家の財宝を狙いつづけるとは、すごい執念だ。そこまでしつこく狙うからには、風魔と墨縄の間には何かしらの因縁があるのだろうが、それにしてもご苦労なことだと思う。
一族をあげてもっと有意義に400年をすごせば、黄金の城くらい自力で作れたかもしれないのに。
一方、400年間狙われながらも財宝を守りつづけた墨縄家もすごい。
結局、財宝(黄金の城)は地中に埋まってしまう。つくづくあの老人が短気を起こして安全装置を壊してしまわなければ、という気もするが、まあヘタに財宝を持ちつづけて狙われたら紫もかわいそうだし、これでいいのかもしれない。

ところで、五右エ門が結婚という設定にビックリしたのは私だけだろうか??
OVAで出た時、ビデオパッケージの裏を見て声優陣総入れ替えと同様、かなり驚いた。
ルパンたちに「結婚」は、そもそも全然似合わないのだ。
ルパンはよく不二子に「結婚、結婚」と迫るが、それも不二子を自分のものにしたいという表現方法の一つのような気もする。子孫を残さなくてはいけないルパンに結婚は必要なのだろうが、ルパンの性格が結婚向きとは思えない。
次元も「独身貴族」で売っているわけだし、安定した生活になじめなさそうだ。
不二子こそ実は最も結婚に向いていないと思う。財産を手に入れる手段としての結婚なら別だろうが。
ルパンたちの中ならば、銭形警部の次に結婚が似合うかもしれない五右エ門だが、それにしても五右エ門が結婚!

だいたい石川家はいいの?とか、仕事は引退?修行は、悟りはどうする?等等次から次へと疑問が浮かんでくる。
婿入りするつもりの五右エ門。どうやら、石川家は五右エ門で断絶ということらしい。(もしかしたら血族の中に、石川家を継げる人でもいて、家督を譲る気だったのかもしれないが)
あれだけご先祖様を誇りにしていた五右エ門が!
勿論、泥棒の仕事だって引退だろう。墨縄の老人は「泥棒嫌い」らしいし。
今まで五右エ門を形作ってきたものほとんどすべてを捨てる、ということだ。
剣の修行だけは続ける気だったのかもしれないが、今までのようにふらりとどこかへ修行に、というわけにもいくまい。

そう考えていくと、五右エ門は相当紫を思っていたのだ。
自分のほぼすべてを捨てても、紫と結婚したかったのだろうから。
そして、作品の随所に五右エ門が紫を大切に思っているシーンがある。懸命に守ろうとする五右エ門の熱意が伝わってくる。
その紫も、からくりで名高い墨縄の娘だけあって、洞窟に着いて来てからはなかなか役立つし、勇気もある。
やや暗めで(笑)おくてな五右エ門に対し、明るくて、ちょっと強引に五右エ門に迫れるようなタイプの女の子。なかなかいい組み合わせかもしれない。
五右エ門が好きになっても仕方ないかな、という気はする。

それにしても結婚しようとしているのに「紫どの」という呼び方。そしてキスをせがまれたくらいであのうろたえぶり!
やはり、五右エ門だなぁ(笑)
いずれは紫の元に戻るつもりなのだろうか。
紫とならお似合いかも、と思いつつも、個人的には独身の五右エ門のほうが魅力的だなという気はする。


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送