次元大介の嗜好を探る

次元は、作品の随所で「好き」や「嫌い」をハッキリと口にすることが多い。
だが、よくよく照らし合わせてみると、結構首尾一貫していないことも多く、そんなところから次元の性格が垣間見られるような気がしてまた興味深い。

嫌い

次元は嫌いなものが結構多い。
思いつくところから列挙してみると…
放射能とニンニク(新ル145)、ひき肉(新ル73)、海老(新ル74)、芸術家(新ル150)、歯医者(炎の記憶)、縫い物(新ル20。嫌いというよりも苦手なのだが)。
そして神様などの出てくる眉唾物の話やロマンチックな話も苦手らしい。
好き嫌いをハッキリ言うのは、次元らしいという気がする。

が、この「嫌い」は案外適当である(笑)。
次元は新ル74話「恐怖のカメレオン人間」では海老が嫌いだと言っていたが、新ル5話「金塊の運び方教えます」では、海辺のレストランで新鮮な海老を喜んで食べていた。
エビフライが嫌いで、生、もしくはボイルして塩とレモンを絞っただけのシンプルな調理法なら好きなのか……?もちろんそうとも考えられるが、次のように想像してみたくなる。

74話で話題にしていた時は、ルパンのエビフライを取った取らないという諍い(?)が発端で「海老が嫌い」発言をしている。
単にルパンのエビフライを取っていない、ということを証明するのが面倒だったので、その場の勢いで「俺は海老が嫌いだ」と言っただけなのではないか。
フライにしてあれば嫌いで、シンプルな調理法なら大好き、という人も中にはいるのかもしれないが、そう考えるよりも、この場合海老が嫌いとしておけば面倒じゃないと、単なるその理由だけで嫌いと言ったに過ぎないのではないだろうか。

同じように、ひき肉発言もそのノリである。
「花も嵐も泥棒レース」のレース中に次元はひき肉嫌い発言をしているのだが、これにもそれほど重要な意味はないように思える。
この発言をした時、ルパンと次元はアメリカとソ連の車に挟まれ、絶体絶命の状態だった。
「このままじゃサンドイッチだ」という次元に対してルパンが、「ハンバーガーだ」と言い直している。(この時代ハンバーガーが流行り始めていたようで、それに引っ掛けた発言らしいのだが)
ルパンのハンバーガー発言に答えた次元の台詞が「ひき肉は嫌い」であった。
単に挟まれるだけのサンドイッチよりも、ひき肉(!)を挟むハンバーガーの方が、この時の危機的状況には、より想像したくなかったハズである。(ヘンなこと書いてスミマセン^^;)
実際、次元はハンバーガーを大いに食べていたことがある(新ル94「ルパン対スーパーマン」、パートIII・10「秘宝は陰謀の匂い」等)。
なので、この時のひき肉嫌い発言は、アメリカ・ソ連の車にペシャンコにされかかった危機的状況が言わせた、ちょっとした軽口だったように思える。

次元は自分がきっちりこだわっている事以外には、それほど深く拘泥するタイプとも思えないし、元々が理屈っぽい人間でもなく、どちらかと言えばわりといい加減なタイプ(笑)なので、自分の発言が常に首尾一貫していなくても殆ど気にしないであろう。
わりとノリで喋るところもありそうだし…(そのヘンで私は次元の血液型をO型まじりのB型だと推測)。
ちなみに、私は次元のこういうところがすごく好きである(^^)。

さて、となると実際嫌いな食べ物はニンニクくらいか。
次元はどうも激しい偏食があるようには思えないし(肉もエビも嫌いじゃ海外では過ごしにくすぎるような…)。
ニンニクだけなら何となく納得できる。
ちなみに、新ル33話では吸血鬼対策として、平然とニンニクを部屋中に飾っていた。その時はあまり嫌いという雰囲気ではなかったので、食べずにニオイだけならOKなのか、はたまた「ニンニクと放射能が嫌い」発言も、はた迷惑なものがイヤだという、次元らしい軽いノリで言われたものだったのかもしれない。

歯医者の次元は新ル1話の時からずっと虫歯を患っている。
定期的に検査をしたり、虫歯に気づいたらすぐに歯医者さんにかかってしまえば、あれほど悪化せずに治せるはずなのに。
よっぽど嫌いなのだろう。嫌いだからなかなか歯医者へ行かないのだ。
そんな風に敬遠しているうちに、どんどん悪化し痛くなるから、イヤイヤ医者に行く頃にはとんでもなく痛くなっていて、結果「歯医者」のイメージそのものが悪くなり、また虫歯になっても行きたくなくなる…という悪循環。
元々次元が面倒くさがりやだから、医者にかかるのも億劫がってるという図も想像できる。
でもまあ、ヘタな歯医者さんに当たると死ぬほど痛いし…行きたくないのもよくわかる。


神様系眉唾の話やロマンチック話が苦手なのも次元らしい。
シビアで、時に理不尽な現実を生きてきた次元にとって、神様の話は救いにならない。神の名を騙って悪どいことをしている人間を見た事もあったのかもしれない。
が、そう易々と眉唾物の話を信じることのない次元だが、ルパンの徹底した合理主義・現実主義に比べると、若干曖昧な部分があって、口で言ってるほどには完全にそうしたものを否定しきってるわけではないという気もする。その辺が、マモー編の壊れたバーのシーンに如実に現れている。

ロマンチックな話が苦手、というのは、新ル76「シェークスピアを知ってるかい」で言っている台詞。
その一方でルパン等からロマンチストと呼ばれる次元。
ロマンチックな経験自体が嫌いなのではなく(実際アンジェリカとはすごーくロマンチックな経験をしているわけだし^^)、それを自分の口から話す、その行為自体が苦手なのだろう。
気恥ずかしさもあるだろうし、自分の恋愛話を(しかも自分から逃げ出してしまった恋愛話を)ペラペラと軽く喋るような薄っぺらい男でもあるまい。
ただ、劇的出会いをし、身分違いも乗り越えてハッピーエンド……というあまりにもロマンチックな、作られた物語のような結末にはならなかった。そうなる前に逃げ出した辺り、“現実”というもの、そして一箇所に平穏無事に落ち着いていられない自分をよく理解している行動といえるかもしれない。


そうそう。忘れてはいけないのは、なんと次元は女性恐怖症のケがあるのだ(新ル110)。
あの心理テスト、本当に当たっているのだろうか?(笑)
もしも女性恐怖症なのだとしたら、女性そのものを怖れるというよりも、女性の裏切りを怖れていると思われる。


そしてもうひとつ。原作では、五右エ門と共に麻雀を「くだらないもの必要ない」という発言をしている(原作「両面まち!」)。あまり好きではなさそうな上、どうもやり方を知らなかったようだ。
しかし新ル93「万里の長城インベーダー作戦」では、盗んできた翡翠の麻雀牌で四人仲良く遊んでいた。
この場合、アニメには原作の設定が採用されなかった…という現実的な解釈も出来るが(笑)、もしかしたらルパンに教えられて遊び方を覚え、嫌いではなくなっていった、なんて勝手な妄想をすると、ちょっと微笑ましい。

好き

次元が好きなものといったら、やはり酒。そして煙草だ。
煙草は、設定によるとペルメル・スーパーロングを好んでいるようだ(ただし、ペルメルが作中の画面できちんと確認できるのは「マモー編」、それとパッケージの色が青のペルメルは新ル88)。
時にマルボロを吸っている時もあるようだし(新ル56)、シケモクを吸っている姿も印象的だ。
ペルメルが手元にない時には、それほどうるさく銘柄にはこだわらないのだろう。
こだわりのために煙草を欠かすよりは、手に入る煙草をとりあえず吸いそうなタイプに見える。
そういえば、新ル1話で五右エ門と再会した時に、「禁煙の約束が守れていない」と言われていたが…。どうも最低一度は禁煙を決意したことがあったようだ。
だが、全然禁煙は守られていなかった(^^)。
その辺の適当さも次元らしくて個人的に非常に好きな部分だったりする(笑)。

酒は、とにかく洋酒好き。
スコッチ、バーボン、ワイン。次元が飲んでいる酒はたいてい洋酒である。
ネス湖に行った時は本場のスコッチを飲みまくっているし(新ル4)、最上級のスコッチにつられて仕事を引き受けたりもしている(新ル9)。慰安旅行で温泉に行った時(新ル108)もウィスキーらしきものを一人で飲み続けている。
「これさえあれば、いつも夏」だとか。心底酒好きの人が言いそうな台詞!(笑)
「女や宝石より、類稀なるワインだ」との台詞もあり(新ル45)、ワインも好む。
アジトにいる時も、バーでも、とにかく洋酒を飲んでいるシーンしか浮かばない。
旧ル23話でビヤガーデンで打ち上げ(笑)している時だけはビールだったが、日本酒を飲んでいるところは見たことがない。
日本人だから日本酒好きの五右エ門とは対照的に、次元は完全な洋酒党である。
そういえば日本酒が一番と言う五右エ門に対して、いいから飲んでみろとワイン・洋酒を勧めるシーンが何度かある(12話、61話等)。
五右エ門もごくたまに洋酒を飲んでいるし…もしかして五右エ門に洋酒のおいしさを教えたのは次元なのだろうか?(^^)

そして次元の好きなものといえば、ギャンブルは欠かせない。
「モナコGPに賭けろ」(新ル11)、「かぐや姫の宝を探せ」(新ル41)では賭け事のせいで酷い目に遭っている。
好きだけれど、あまり上手くはないのかも。ちなみにカード系の賭け事が次元好みのようだ。
ウェザー公というギャンブル友達までいたほどだ。
また、時々アジトでトランプをしている場面がしばしば見受けられる(新ル74、86、130、151など多数)。
毎回お金を賭けているのかは定かではないが、151話ではしっかり金を掛けるシーンがあるため、だいたいはそうしているのだろう。そういえば、ルパンは次元に借金をしているようなので(新ル126)、もしかしたらその借金とは賭け事でルパンが負けて作ったものかもしれない。と妄想したくなる(笑)。

次元の好きなテレビは、マカロニウェスタン。ルパンと真剣勝負で(笑)チャンネルを争っていた(新ル53)。
好きな俳優はハンフリー・ボガードとマリリン・モンロー(「ルパンVS複製人間」)。少し昔の洋画ファンなのかもしれない。
「クラシック」と評される次元らしい好みだ。
(それにしても、マモー編の時の次元の名台詞は忘れられない^^)。

好きな音楽はクラシック。昔からクラシック一筋だったようだ。
三人でラジオ番組をめぐって争った時も(新ル48)、「ルパン葬送曲」(新ル79)でもそう言っている。一人で聞いている音楽もクラシック(新ル108)。
基本的にはクラシックファンなのは間違いないだろう。
だが、79話で、そそくさとクラシックコンサートに行こうと用意を始める次元に対して、ルパンは「だってお前は演歌……」と言いかけている。
また、89話「ドロボウ交響曲を鳴らせ」でも、ルパンの次元に対する「お前も演歌ばかり聞いてないで…」との台詞が見られる。
次元は演歌も好きなのだろうか?
それともルパンの中で、次元と五右エ門の好みとゴッチャになっていたのか?
個人的には、この説を推したいところ。どーでもいいことに対するルパンの記憶力は、当てにならないような気がするので。
ライフスタイル全般で欧米的なものを好む次元が、音楽だけ演歌も好き…と考えるよりは、演歌好きというのはルパンの勘違いだというほうが一貫しているように思われる。(本人の口から出た言葉としては、「クラシック好き」だけであることからもそう考えたい)
ただ、クラシックなら何でも好きというわけでもないらしく、79話ではキョーランスキーの演奏を居眠りして聞いていなかった。指揮者によって、同じ楽曲でも違いがあるから、次元の好みには合わなかったのかもしれない。

最後に…これは次元が自分で言った訳ではないのだが。
料理。少しだけ好きそうじゃないですか?さりげなく(笑)。必要にかられてやっている部分も多いし、それほどマメにやるとは思えないけれど。
旧ル2話では「朝食を作るのは女の仕事」といいつつも、やけにきちんとした朝ごはんを作っている。
86話ではやけに自然に台所に立っているし、96話では自分で好物のベーコン豆を調理しているし(しかもちょっと楽しそう?^^)、新ル125話でもエプロン着用で登場する。どうやら料理の最中だった模様。
基本的にルパンが普段からご飯を作る感じもしないし(気が乗ったら豪勢なものを作りそう)、五右エ門は和食ならともかく、次元の好みに合うものを作ってくれそうもない。
そうすると、必然的に次元がアジトでのご飯当番になってしまうのだろう。
次元さん、お疲れ様です!(笑)


(2001.12.21)


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