第46話 ルパンお高く売ります


ウォンテッドクラブ

ルパンが人身売買に掛けられてしまうという、何ともショッキングな場面から始まるこの話。
所々、「見せ方」がカッコよかったり凝っていたりするので、なかなか侮れない作品でもある。
全編に渡り、とにかくルパンに満ちているこの作品(笑)、ルパンスキーにはたまらない。
尚、今回五右エ門は出番がなく、お休みである。次元も、実は本物が言う台詞は回想シーンしかなかったりする。


パンツ一枚の姿で縛り上げられ、スポットライトを浴びせかけられるルパン。
舞台の上のルパンを見つめる会場の人間は、皆怪しい人間ばかり。
そこは「ウォンテッドクラブ」という、秘密の人身売買組織の、競り(!)会場であった。
「ウォンテッドクラブ」は、指名手配犯を捕えてきては競りに掛けて売り飛ばす、という秘密倶楽部なのだ。
指名手配犯ならば、こんな風に売り飛ばされる羽目になったとしても、そう簡単に逃げ出したりしないということから、需要があるらしい。

ルパンもマダム・キラーによって捕えられ、競りに掛けられることになってしまう。
後の台詞の感じ(「次元女だと思って油断した」というような台詞)からして、ルパンもキラーが女だからと思って油断しているところを捕えられてしまったのか。
あるいは、次元がすでにキラーに捕まってしまったことを知っていたようなので、ルパンは次元の居場所を探るためにわざとキラーに近付いたのか。
近付いたところを、ちょっとした油断で捕まってしまったとみるのが、一番いいかもしれない。

それにしてもルパンが、競売に掛けられ値段をつけられていくなど、何たる屈辱。
「指名手配犯」だから逃げ出さないなどと甘いことを考えて買おうとしているヤツらが、何とルパンという人間を知らないことか。
買われたとしてもルパンが大人しくそこで役目を果たすとでも思っていたのだろうか。
確かに、ルパンの「能力」の用途は無限にありそうではあるが…。
などなど、冒頭のシーンに対しては真面目に思うこともたくさんあるのだけれど、何よりルパンの、妙に逞しい上半身に目が行ってしまう罪深い私をお許しあれ。
…着やせする人、モロに好みなモノで(笑)

そんなことはさておき。そこへウォンテッドクラブに登場するはマッド博士。
キラーといい、マッドといい、今回のネーミングはやけに直球。わかりやすくて良いが。
マッド博士は、このクラブのスポンサーで、以前からルパンを欲しがっていた人間のようだ。
後から競りに加わり、「暴力団の親分」と争うものの、マッド博士が3000万でルパンを勝ち取った。
彼を見たルパンが「マッド博士…」と真面目な顔つきになっていることからしても、妙なオーラを出している怪しい人物であることが察せられる。

この競りで、博士とルパンを争った暴力団の親分。
その正体は、実は銭形なのであった。(初見の時、結構意外だったような^^)
「予算がもっとあれば」と言っていることから、警察公認で競りに加わっていたのか?
それならこんな法律違反の組織なのだから、最初から正面きって乗り込んでくればいいようなもの。それとも証拠不十分だったのだろうか。
お堅い警察が、ルパン逮捕のためとはいえ人間を競り落とすための資金を出すとは思えないので、もしかしたら銭形個人の資金なのかと、ついつい勘ぐりたくなってしまうのだが…(ちょっと無理があるかな。笑)
3000万の「単位」がぜひとも知りたいところ。

その銭形の変装を、キラーは最初から見破っていたようだ。
銭形の変装を暴き、組織の女二人に、銭形を叩き出させている。
余談だが、変装を取られた銭形が、「女だと思って…」と言いながら振り向くところ、一瞬だけ「暴力団の親分」の変装の名残で、髪が栗色(?)になっている。
顔は銭形のまま、髪の毛の色だけが違っていると、なかなか新鮮である。

銭形が追い出されるところを眺めながら、ルパンがマッド博士の元に送られる前に、キラーにあれこれと質問する。
が、結局キラーに引っ叩かれただけに終わり、このクラブの存在理由は謎のままであった。
マッド博士が資金援助をしていた理由は後半で明らかになるものの…。
「今はやりのウーマンリブか?」とか「その歳で革命の資金でも」などルパンの台詞は挑発的。メンバーは女だけしかいなかったようだし、何かしら思想がかった組織だったのかもしれない。
…ウーマンリブという言葉が、いかにもこの時代だなぁと思う。


無人島

目隠しされたルパンは、車でマッド博士の牢?に運ばれる。
そこで、蛾がカマキリに運ばれてくるという、ちょっと意味ありげなシーンがあったりして、なかなか凝った趣向がされている。
ちなみにこのカマキリのシーンは、「マッド博士に捕まったルパンの立場」をなぞらえる表現なのだそうだ(新ルDVDボックス解説書より)
キラーから、捕まっていた次元もマッド博士の元へ送られていると聞いたルパンは、対面した博士に相棒の居場所を聞きだそうとするのだが、その前に麻酔銃を撃ち込まれ、意識を失ってしまう。
意識を失う時のルパンの様子をえがいた場面も、ちょっと凝った見せ方である。
「マダムXの不思議な世界」ほどではないにしても、ややシュール。
赤い画面の感じや効果音などが、またしてもこの時代っぽい雰囲気に満ちている。

そしてルパンが意識を取り戻してみると、そこは海岸。…どうやら島に連れてこられたようだ(と、見せかけられている)。
人気のない静かな島であったが、突然悲鳴が聞こてくる。不二子の声だ。
不二子も、ルパンと同様ウォンテッドクラブに捕まった後、マッド博士の元へ送られてきたのだった。
なぜか、屈強な男二人に襲われている不二子。
新ルの不二子らしく(笑)「助けて〜」な感じなのだが、男どもが妙に怖い様子だし、それも当然か?
そこへルパンが現れ、二人を殴り飛ばす(ここのルパン登場シーン、カッコイイ^^)。
時々原作でも、殴り合いするとやられてしまうこともあるので、ルパンは実際「殴り合いに」強いんだかそれほどでもないのか、なかなか把握できないのだが(笑)、この戦いぶりをみているとやはり強いんだろうなという気がする。

だがこの二人の男、岩に頭をぶつけられても、ダメージをあまり受けておらず、逆に岩が砕けてしまう有様。
ルパンが不審に思っていると、突然男達は苦しみ出す。やはり岩にぶつけられてどこかが狂ったのか。
…二人はサイボーグだったのだ。
それに気付いたルパンは、不二子と共に逃げ出す。あやうく彼らの自爆(というか博士による強制的自爆)に巻き込まれるところであった。

助かったルパンと不二子は、二人で島の中を歩き回るが、なかなか脱出路は見つからない。
途中でサイボーグどもに襲われたり、前途多難な道のりである。
が、サイボーグの弱点が、胸の部分だと気付いたルパンは、その後楽に戦うことが出来るようになった。
…胸が弱点とは!わかりやすすぎ。マッド博士よ、せめてもう少しマシな部分に弱点を持ってこられなかったのか(笑)

やや余談だが、サイボーグを倒してきたルパンを、「怪我は?」と気遣う不二子が可愛らしくて好き(^^)。
その後濃霧が立ち込めてきたので、洞窟で休むことにした二人だが、この時ルパンが不二子を労わっているのも、「私は大丈夫よ」と気丈な感じに振舞う不二子も、かなりのツボ。

が、ルパンが背中を向けて煙草を吸っている間に、不二子はサイボーグに浚われてしまうのだった。
「さぁもう大丈夫だ」と、霧が晴れたので出発しようとしたルパンが不二子の方を振り返るが、そこで初めて不二子がさらわれてきたことに気付く。
ルパンが振り向くまでの時間、どれくらいあったものだろう?
霧も、どうせマッド博士の策略で、ルパンたちをサイボーグが待ち受けているこの洞窟に誘導し、不二子をさらうためにしたことのはずだから、さらった途端に霧が晴れても不都合はないはずで…この間煙草一本吸うくらいの時間、だろうか。
それにしても煙草を吸う間、ルパンったら不二子に一度も話かけなかったのか。
会話のない二人、何だか大人〜v(←完璧に趣旨間違ってます)

一人きりになってしまったルパン。
サイボーグを倒しながら、当てもなく進んでいるように見えているが、この時ルパンは、周囲のありとあらゆるものを観察し状況を把握していたことが、後に明らかになるのである。


マッド博士

まるでルパンに歯が立たないザコサイボーグに業を煮やしたマッド博士は、切り札?DXを呼ぶ。
そのサイボーグは、なんと次元の姿をしていたのだ。しかもワイヤー(?それともピアノ線?タダの糸??)で拳銃をもスッパリと切り裂く力の持ち主らしい。

木の枝に縛られぶら下げられた状態で、「次元」は登場し、ルパンに助けを求める。
どうもルパンは、ニセ次元にまるで気付いていなかったようで、次元を助けた後、無防備にも背中をさらしてしまうのだった。
確かに次元の台詞回しは上手いので(笑)、偽物はかなり次元の研究をしたものと見える。

ルパンが背中を向けた途端、ニセ次元のワイヤーが襲い掛かる。
この時のルパンの苦しげな様子が…フフフ(壊)、じゃなかった、大ピンチなのである。
次元だと思いすっかり油断していたためか、しっかりと首を絞められてしまい、かなり苦しそうなルパン。
持っていたライターで、ニセ次元の顔を焼き、何とか逃れる。
その後、すぐに弱点を突かれて倒された「DX」こと偽次元。もったいぶって切り札的に出てきた割には、大したことはなかった。
まあ、ルパンの目を誤魔化し、短い時間だが次元だと思わせたことは、天晴れと誉めておくべきか。

この「島」を充分に見てまわったからか、はたまたもうマッド博士の茶番に付き合うのもウンザリしてきたためか…
ようやく、ルパンを監視しているマッド博士に直接話しかける。
監視カメラで見られていることも、どこかにマイクが隠されていることも承知だったのだろう。

そしてルパンは、この「島」が本当の島でないことを見抜く。
潮の満ち干のない海、蟹に仕掛けられた霧の発生装置、カモメに仕掛けられたカメラ。
この島は、すべて人工のものだったのである。
その上ルパンは、マッド博士の居場所とこの「島」が、100メートルも離れていないことをも、すでに知っていた。

マッド博士は、それらすべてを見抜いたルパンを、ますます高く評価したようだ。
彼は、「ただ自分が作りたいものを作る」という、いわば「サイボーグバカ」とでも言いたくなるような、ひたすら良いサイボーグを作る事にとりつかれた人間であったようだ。
自分の作りたい最高のサイボーグとして、ルパンは魅力的な素材、何としてもサイボーグ化したい存在。
勝手に素材にされそうになっているルパン本人の気持ちはいうまでもなく、作ってどうするのか、何に利用するのか、そうしたこともマッド博士にはあまり興味なさそうで、まさに「サイボーグ作り」に憑かれた、狂的純粋さの持ち主。いや、純粋な狂気というべきか。
もしも本当にいたら、こういうタイプの人が、一番怖い気がする。

ルパンは、次元と不二子がマッド博士のいる場所の地下に囚われていることを聞き出すと、「サイボーグになんかなりたくない」と言って、崖から飛び降り自殺をしてしまう。
マッド博士は、ルパンという「素材」を失ったことを「純粋に」惜しんでいるようで、この辺の感覚のマヒ具合が、やはり怖い。
勿論、ルパンは死んでなどいない。
カメラのありかをすべて把握していたルパンが、丸太に自分の服を着せて、飛び降りたように演出して見せただけである。
その隙に、ルパンは地下の次元と不二子を助け出すのだった。

そして、三人はマッド博士の背後に忍び寄る。
ルパンは、かつてこの「島」に連れて来られた時と同じように、マッド博士の杖に仕込まれた麻酔銃で彼の額を撃ち抜き、「島」へと運ぶ。
まさにルパン自身がやられたのと同じように。
ルパンの復讐は、いつも「やられた方法でやり返す」のが常である。今回も直接博士に手を下すことなく、ルパン自身がされた通りにやり返してみせた。
もしも、マッド博士がルパンのように自分の力でそこを脱出出来れば良し、サイボーグたちに襲われて死ぬならそれも良し、ということであろう。
結局、自分が作った凶暴なサイボーグに囲まれ、マッド博士は体中を撃たれて最期を遂げた。

ちなみに、新ルDVDボックスの解説書には、ルパンに額を撃たれても死ななかったので、彼自身もサイボーグだったのだろう、というような事が書いてあるが、私個人はそうは思っていない。
上に書いたとおり、杖に仕込まれていたのは麻酔銃だったと思うし、ルパンは敢えて自分がされたのと同じように、マッド博士にやり返したのだと思うからである。

ウォンテッドクラブの方は、さんざん痛めつけられた銭形によって(笑)、一斉に摘発されたようだ。
銭形をボコボコにした二人組に対し、たっぷりと取り調べてやるからなと、嬉しそうに言う銭形。
だが、二人組が声を上げただけで、びっくりしてひっくり返っているところを見ると、なかなか強烈にやられてしまったのだろう。
腰にコルセットをしているし…銭形さん、くれぐれもお大事に。
そういえば、「ルパン暗殺指令」でも銭さんは「腰が…」と言っていたが、まさかこの時に痛めたのが癖になっているのだろうか?(笑)
いや、本当に一度腰を痛めるとなかなか治りづらいので、大事にしてもらいたいものである。


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