第52話 エマニエルは天使のささやき


ポアロの孫

49話のザクリーヌ夫人に続いて、小原さんが演じるエマニエル・ポアロがゲスト。
よくよく考えれば、小原さんはドロンジョ様の声も演じているので、美女系声も相応しいと言えば相応しいんですね。(どうものび太の印象が強くて^^;)

今回ルパンが惚れるエマニエル。
かの名探偵・エルキュール・ポアロの孫娘で、ベルギーの名門の出身。社交界きってのプレイガールという女性。
結構魅力的で、どちらかといえば好きなゲストキャラである。
一番面白いのは、この女性に限ってはいつもの「ルパン三世」ワールドの約束事に当てはまらないことだ。
約束事……というか法則と言おうか。
「ルパン」の世界では、名探偵の子孫は探偵、警部の子孫は刑事、泥棒の子孫は泥棒……と先祖の職業をそのまま受け継ぐという暗黙の法則がある。
が、エマニエルは違う。
祖父の理路整然とした灰色の脳細胞は受け継がず、ピンクの脳細胞(ってどんなんだ^^;)を持ち、フェロモンを発散しまくる美女。
しかも、「探偵」=「善」(超安易な分け方をすれば、だが)の側ですらなく、彼女は平然と殺しも行う、どちらかと言えばダークサイドの香りを漂わせる女性である。

そのエマニエルが不二子と対決するのだから見物!
冒頭シーンから早くも二人の美女の間で火花が散る。
アメリカ軍人スミス少佐が、カンボジアで手に入れたという不老不死の経典。それを少佐から譲ってもらおうと争いが始まる。
エマニエルが「私のように美しい女にこそ価値があるのよ」と言えば、不二子も「私にとってもよ」と一歩も譲らず(笑)。
2人をいいように争わせているスミスという男も食えない感じだ。
それにしても、エマニエルの露出度の高さといったら、新ル随一ではないだろうか。
着ても着なくても一緒!と言いたくなるようなスケスケの服や、海岸でのトップレス姿、かろうじて胸が隠れているパーティでの軍服風の衣装……。
不二子は「私にはルパンがついているのよ」と自信たっぷりだったが、今回ばかりはやや苦戦を強いられそうである。

なぜならエマニエルは先手をうって、不二子の名前を騙りルパンを日本から呼び出したからだ。ルパンはウキウキとパタヤビーチに向う。
(余談だが、私は「笑う犬」ファンでもあるので、パタヤビーチと聞くとついつい笑ってしまう^^)
花束を抱えて呼び出されたホテルへ赴く。
が、そこにいたのは不二子ではなくエマニエル。いきなりルパンに「私の味方になるか、それとも敵に回るか」選ぶよう迫る。
ルパンの頭上には、爪に毒を仕込んだエマニエルの猫……。
が、ルパンだって負けてはいない。差し出した花束の中からワルサーがエマニエルを狙っていた。
「なーるほど、簡単すぎる質問だ。男と女が死を賭けるにしちゃあな」
……クー!カッコイイー!

とにかくこの話は台詞回しがとてもカッコよく、この後の「気に入ったわ」「花がかい?それとも……」「両方よ」等など、シビレる大人の会話が随所に見られる。
金子裕さん尊敬してます!(^^)


ルパンvs不二子

ゆっくり知り合うということで取りあえずエマニエルと合意したルパン。
次元から彼女の経歴を説明され、五右エ門からは「危険な女だ」と忠告されるにもかかわらず、ルパンは相変わらず「安全な女なんて女じゃねーだろ!」とまるで相棒の言うことを聞こうとはしない。
次元に、不二子のために来たはずでは…と言われても、「昔そんな女がいたなぁ」と、すっかりエマニエルに夢中のご様子。
今回笑えるのは、このルパンの様子に対して、舌打ちしているのが次元ではなく五右エ門ということ(笑)。
いい加減「またか」という気にもなるかもしれない。天才の気まぐれに付き合う相棒とは辛いものである。

次元と五右エ門が心配している通り、エマニエルには魂胆がありそう。
銭形警部を呼びつけ、しかもいいと言うまでルパンに手出ししないよう約束させていた。

エマニエルと仮装パーティーに出席する頃になると、ルパンはすっかりエマニエルに夢中。
「何があっても君の味方さ」とついに約束している。
ちなみにこの台詞の前の2人のやり取りはもうたまらない!
「君の前では男は云々…」や、「せっかちねぇ」「お前がせっかちにさせンだ」という台詞は何度聞いてもシビレる。ルパンファン必見!

パーティでエマニエルは「女を殺して」とルパンに頼む。
ルパン、確か女(と警官)は殺さないはずだったのでは?!少なくとも自分から仕掛けて殺すなんて……。
そんなこと構わないほど、エマニエルに惚れてしまっていたのだろうか。
そして、ルパンは気づいていなかったが、その「女」というのは不二子なのである。

東南アジア風の衣装に身を包み踊る不二子の姿はキュート。しかしやる事はスゴイ。
不二子は、スミスが経典のありかを記した古文書のコピーしかよこさず、本物はエマニエルに売ることを知り、相当焦っていたのだろう。
衣装の一部のような長い爪を、踊りながら凶器として飛ばす。愛猫がいなかったら、エマニエルは死んでいたかもしれない。
そこでルパンは、女……不二子を追う。「女」を殺すために。

短い時間だが、お互いの正体を知らずに戦うルパンと不二子が見られる。
やはりルパンが一枚上手だったが、不二子もなかなかのもの。さすが女ルパン!
あわや…というところで不二子の部下らしき男が車で助けに来、不二子は難を脱し、ルパンも不二子を殺さなくて済んだ。
エマニエル、相当性格が悪い(^^;)。ルパンを頼りにしている不二子を出し抜き彼を味方につけた上、ルパンの手で不二子を殺させようとする。ルパンには相手が不二子だとは内緒のまま!

しかも彼女は銭形と裏で組んでいるのだから、相当な腹黒である。
だが、私はなぜかエマニエル、嫌いではない。
金至上主義のスミスが、不二子にも古文書のコピーを渡していたと知ると、情け容赦なく彼を殺す。
悪かったと擦り寄るスミスを足蹴にしたりして、なかなかカッコイイ。
美人で色っぽく、行動力があって油断ならない女……悔しいが(?^^)ルパン好みだと認めざるを得ない。


女の戦い

さらにルパンに対して見事なほどの飴と鞭の使い分け!
「女」を殺すことに失敗して戻ってきたルパンの、あの天下のルパン三世の!その横っ面を彼女は張り倒すのである!
ルパンが思わずワルサーを抜いてしまうほどだから、相当強烈なビンタだったのだろう。
が、エマニエルはふいに笑って、ルパンに手を差し出す。ルパンは無言でその手に口づけするのである。
あのルパンが〜ッ!誇り高いルパンが〜!
「逃がしたものは仕方ないわ……この次は必ず殺して」
鷹揚に許しを与えるエマニエル。まさに女王様!(笑)いやはや、恐れ入りました。

そのルパンとエマニエルは、カンボジア国境付近のジャングルまで赴く。勿論、不老不死の経典を手に入れるためである。
エマニエルに盗んで欲しいものがある……と言われると、すぐにOKするルパン。
彼女へのイカレ具合がわかろうというものだ。あーあ。

その頃古文書のコピーを読んだ次元と五右エ門。ルパンに危機が迫っていると気づき、彼らもジャングルへ向う。
が、ここの見所は、五右エ門にもサンスクリット語(?)が読めるということだろう!
つくづくマルチな五右エ門。彼を「せいぜい江戸時代」などと思ってはなりませぬ(笑)。
それはそうと、このシーンで二人が囲碁をしているのがレア。多分、ここだけのお楽しみポイントである。

不老不死の経典が隠されている寺院で、不二子と再会するルパン。
落とし穴に落ちそうだったルパンを助けたお礼に、経典をくれとねだる不二子はさすがいつもの調子。
ルパンはエマニエルとの約束を忘れたのか、それとも経典を取ってから誰に渡すか考えようとしたのか、その場では不二子が去るにまかせて、自身は経典を取りに行く。
寺自体が屋台崩しになっている複雑な構造。うかつに経典を抜き取ろうとすると、寺が崩れだす。これがシヴァの呪いだったのだ。

いいところまで行くルパンだが、猫のせいで手元が狂い、寺院はあっという間に崩れ始める。
それを外で見ていたエマニエルと、彼女に呼び出されルパンを待ち受ける銭形、そして不二子。
遅ればせながら駆けつけた次元と五右エ門。
不二子が、経典なんかよりもルパンを心配し、寺院が崩れてしまうと涙まで流しているのが非常に印象的である。
その点、エマニエルはルパンのことなど心配しておらず、寺院が崩れるとさっさと立ち去ろうとする。
やっぱりルパンには不二子なのだ(^^)

まあ、そう簡単にルパンも死んだりしない。
ルパンが、落とし穴に落ちそうになった時見つけておいた地下水路から無事脱出してくると、不二子は大喜びで駆け寄る。
ルパンは盗ってきた経典をあっさり不二子に渡す。
自分の無事を喜んでくれた不二子にホロッときたのかと思えば、そうではないようだ。
あまりにも古い経典だったため、入れ物の中は灰になってしまっていた。それを知ってて渡すなんて。人が悪いルパン(笑)。

そんなことにまだ気づいていない女2人は、壮絶な取っ組み合いをして「不老不死」の経典を奪い合う。
実に恐ろしきは女の執念。高みの見物するには面白いだろうけど、あれだけ争って入手してみれば灰なのだから、ちょっと可哀想な気もする。
特に今回それほど悪いこともしていない不二子は。

とっつあんがこの場にいた時点でエマニエルの正体というか、思惑に気づいたのか、女を争わせたルパンの態度はサバサバしたものだった。
エマニエルの呪縛が解け、次回からはいつものルパンに戻るはずである。


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