第67話 ルパンの大西遊記


モンキー・マジック

ぶっちゃけ、「ルパン三世」作品としては、どうってことないものの一つかと(失礼!個人的感想です^^;)。

だが、個人的には思い入れがたっぷりある1品。
というのも、日テレのドラマ「西遊記」に、一時期大いにハマっていた時期があるからなのだ。
私よりも上か、同世代の方では、知らない方はいらっしゃらないと思うのだが、お若い方のために少々説明など。

ルパンの題材として取り上げられているので、勿論新ル本放送と同時期のドラマである。
中国の古典・四大小説の1つ「西遊記」を、ドラマ化したもので、これが大変人気があった(らしい。視聴率のことは知らない)
キャストは、
孫悟空=堺正章
玄奘三蔵=夏目雅子
猪八戒=西田敏行
沙悟浄=岸辺シロー

特に夏目雅子演じる三蔵法師が、非常に美しく絶品。これ以後三蔵役はだいたい女性が演じることになっているほど、後のドラマへの影響力が大きかったと思われる。
個人的には、堺正章の悟空がとにかく、良かった(^^)。
破天荒な暴れ猿役が、妙に似合って、如意棒さばきがとにかく見事。妖怪を次々になぎ倒すシーンは痛快そのものであった。
CGはさすがに、今見ると多分チャチで笑ってしまうのだろうが、アクションシーンが面白く、子供の頃の私は、リアルタイムでも見ていたが、その後の再放送で非常にハマっていたのである。

ちなみに、「西遊記」パート2もあり、この時は猪八戒役が西田敏行から、左トン平に変わってしまっていた。
私はあの情けなくも愛嬌たっぷりの西田八戒が好きだったので、パート2は今ひとつだった記憶がある。
三蔵の乗っている白馬が、人間に変身できるという設定も増え、この役は確かオヒョイさんこと藤村俊二。

ゴダイゴのテーマ曲も、とても良かった。
いまだに「モンキー・マジック」を聞くと、西遊記のオープニングがしっかりと目に浮かんでくる。
地上波で、もう一回くらい再放送しないものであろうか。

と、書いていくと、何の解説をしているのだかわからないほど熱が入ってしまうので(笑)、ドラマ「西遊記」についてはこの辺で。
新ルは、作品にかなり流行を取り入れているので、時々こういうタイアップものなど、お遊び要素の強い作品があるようだ。
同じ局で放送していた関係か、この回でルパンたちが着ている孫悟空の衣装は、このドラマ「西遊記」のものとほぼ同じである。懐かしいなぁ(しみじみ)。


次元vs五右ェ門

さて、ルパンたちの今回のターゲットは、ヒマラヤ奥地の謎の国・棋魔山国のお宝である。
千年の昔から鎖国を続け、地図にも載っていない国。
そこには、莫大なお宝があるということらしいのだが…。

鎖国しているお国柄、侵入は非常に困難であり、ルパンが一人で調査した際も、近づくことすら出来なかった。
そこで、棋魔山国が例外的に入国を認めた世界アカデミーの学者たちに成り代わり、ルパンたちは侵入を試みる。
この学者たちは、玄奘三蔵の辿った旅路を忠実になぞっているとかで、衣装まで当時のもの(らしい^^)。ご丁寧に全員マスクまでつけて孫悟空たちに変装している。
ルパンたちが摩り替わるには、うってつけの一行だったといえる。

ところで、ルパンの孫悟空、不二子の三蔵はまあ、似合うのだが…
次元の猪八戒!(笑)何だか、やけにウケてしまう。なぜか。五右エ門の悟浄はなかなか良い。

当初、学者たちをルパンたちだと思い、逮捕しかかった銭形警部。目の付けどころは非常に良かったといえるが、行動が少し早すぎた。
彼が逮捕しかかった時、一行はまだ本物の学者たちだったのだ。
銭形がすっかり疑いを解き、ご丁寧に国境付近まで護衛している最中にルパンたちは、学者と入れ替わる。
銭形を振り切り、棋魔山国へと入っていくルパンたち。
今回の銭形は、ルパンを逮捕することよりも、ルパンたちの命を「心配」しているように見える。
「その国から生きて帰ってきたヤツはいないぞ。死ぬ気か」などと言っている。
勿論、そんな忠告を聞くルパンではない……。

入国してみると、そこは道端に金がゴロゴロ転がっているような、とんでもない国なのであった。
こんなに豊かな国なのだから、さぞかし「お宝」はスゴイものだろうと期待は膨らむ。
不二子だけは、目先の黄金に気をとられ、一人金拾いに奔走。
五右エ門の「オナゴは浅ましい」という一言が効いている。五右エ門さん、女性全部がああだと思わないでください(笑)。そんな不二子ちゃんも可愛いのだけれど。

美女の歓迎を受けるものの、ルパンたちは奇妙なガスを吸わされ、すぐさま囚われの身になってしまう。
目を覚ますと、そこは牢の中。
ルパンたちと同様に棋魔山国のお宝を狙って潜入し、そのまま捕らえられているギャングや殺し屋たちで溢れていた。

そこに現れるのが、この国の支配者、金角・銀角兄弟。
彼らは、ルパンを指先で摘めるほどの巨人。彼らに言わせると、ルパンたち囚人が、ここに囚われた時に嗅いだガスのせいで、小人と化してしまったのだという。
あまりの大きさの違いに、さすがのルパンも手が出ない。
棋魔山国のマハラージャの地位をかけて、金角・銀角兄弟は、囚人たちを使って人間将棋なるものを始める。

将棋の駒を背負わせて、囚人たちを戦わせる。一応、将棋のルール通りゲームは進んでいるようなのだが、ある駒が別な駒を取る段階になると、その駒同士は、実際に殺しあわねばならない。
もう殆ど将棋とは言えないのだが(笑)、実際殺しあわねばならない人間たちにとっては笑い事ではない。

ついに、五右エ門と次元が戦わねばならない状況になってしまう。
キャラ寄りの見方をすれば、ここはこの話の貴重な(笑)見所の一つであろう。新ル初の次元VS五右エ門のシーンではないだろうか。必見?(笑)
ルパンは思わず「お前らまさか…」なんてビックリしているが、本当に彼らが戦うはずもない。
本来の武器を使わず、猪八戒と沙悟浄の武器で「八百長」試合をしていた。(ちなみに、この武器もドラマに忠実)
が、その八百長は金角・銀角に見破られてしまうのだった。


ここの金角・銀角は、西遊記の彼らと同じく、名前を呼ばれ返事をした人間を吸い込むという、あのひょうたんを所有していた。
こっちのひょうたんの場合、真空を利用して吸い込み、塩酸によって溶かす、という一応科学的(?笑)な仕組みが説明されている。
次元と五右エ門は、西遊記のこのエピソードを知らなかったのか、まんまと返事をしてしまい、ひょうたんの中へ吸い込まれてしまうのだった。
彼らが死んでしまったと信じるルパン…。

いよいよ王将のルパンも戦わねばならなくなるのだが、そう簡単にやられるルパンではない。
そうこうしているうちに、金角が「待った」をかけ、ゲームが一時中断する。
残忍で、えげつないわりに、呑気で無用心な二人は、ルパンたちから完全に目を離してしまう。
その隙に、ルパンはどうにか将棋の盤上から逃れる。

道端の黄金を拾っていたためにルパンたちとはぐれ、事情が分からないまま城に入り込んでいた不二子。
ここでルパンは不二子と再会し(再会のキスシーンが可愛いv)、自分が小さくされたわけではないことに気付く。
金角・銀角は、自分とそっくりの巨大ロボットに乗っていたのだ!
何だか、すごい科学力の無駄遣いここに極まれリ、といった感じ。う〜ん、新ルチックだ(爆)

さて。不二子は、すでにお宝の入っている箱を抜け目なく馬車に積み込んでいた。逃げようと言う不二子に対して、ルパンは首を振る。
ひょうたんの中で溶かされた次元と五右エ門の、骨だけでも拾って行く、と言うのだ。
やっぱり、相棒思いのルパン。この辺も見所かも!

勿論、次元と五右エ門は溶けたりしていなかった。ひょうたんの途中で無事、引っかかっていたのだ。
不二子にロープを支えさせるという、結構デンジャラスな方法でひょうたんに入り込んでいたルパン(^^)。相棒二人を発見し、一緒に逃げ出そうとするがその時。
間の悪いことに不二子が、金角たちに見つかり、ロープが切れてしまう。

ルパンたちが、今度こそ溶けてしまったと思い、顔を覆う不二子ちゃんが可愛い。
だが言うまでもなく、ルパンたちはそう易々と死んだりするはずもない。
その助かった方法というのが、結構スゴイ。
塩酸へ落ちる最中、背中に背負っている駒を五右エ門がくりぬき、ルパンたちは駒の内側に入り込む形で、塩酸にさせされることを免れたのだった。
駒は、塩酸でも溶けない素材で出来ていたのだろう。
それにしても、五右エ門は自分の駒も自分で斬ったのだろうか。そうだろうなぁ。それしか方法がないわけだし。
さすが、の一言である。イヤ、本気で(笑)。

無事にひょうたんから戻ってきたルパンたちは、そのひょうたんを手に逆襲に転じる。
ルパンが銀角を呼ぶと、何とマヌケなことに、銀角は返事をするのだ。ある意味、律儀な人である。
弟を溶かされた金角は、怒り心頭。巨大なロボットの体を生かしてルパンたちに追いすがる。余談だが、このシーンで御者を勤める次元が、凛々くて好きだったり。
追いつかれそうになった馬車から、ルパンは不二子が拾ってきた黄金を捨ててしまう。抗議する不二子に対し、「お宝があればいいでしょ!欲張りなんだから!」と叱るが…今回ばかりは、不二子が正しかったことがすぐに判明する。

五右エ門の斬鉄剣と、ルパンのワルサーで金角ロボ(笑)も破壊し、無事棋魔山国を脱出したルパンたち。
国境の門は崩れてしまい、もう誰もこの国を訪れることは出来なくなってしまった。
(もっともそれ以前に、銭形から逃げるため五右エ門が唯一の外部への道であるつり橋を斬ってしまっていたので、いずれにしても誰も近寄れないのだが…)

そこで待ち受けていた銭形。だが、「今回はお年玉ってことで見逃してやる」とのお言葉!
いい加減というか…よっぽどルパンたちが棋魔山国から無事帰還したことが嬉しかったのか…。
個人的には後者だと思いたいところである。

銭形も見守る中、いよいよお宝の箱が開けられる。
が、ご承知の通り、そこに入っていたのはただの塩。
山奥に位置するこの国では、塩が何よりの宝なのだとか。
銭さんまであきれ、怒るほどの「骨折り損のくたびれもうけオチ」の典型であった。
最後は、ルパンたちの馬車が金斗雲に乗って去っていくという、何ともハチャメチャで、徹底的に「西遊記」にこだわったお話である。


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