第89話 ドロボウ交響曲を鳴らせ


英雄

この話は個人的な意見を言ってしまうと…
作品としての出来がいいとか悪いとか(とても出来がいいと私は思ってる)、粗があるとかないとか(実際、ちょっとした粗はあるけど)、そういう風に見る話ではないと思っている。
や、勿論普通に見ても楽しい作品なのは間違いないが…
それ以上に、ルパンスキーにとってはたまらない名場面がタンマリと見られて、その辺だけでも、ものすご〜く幸せになれる1作なのである(←冒頭から、ルパンスキーぶり全開で失礼!笑)。
特に「Super Hero」をBGMにバイクで疾走するルパン!
そして何より、旧ル4話を思い出させる、ヒゲルパンがたまらないv
この回は、全体的にルパンの顔、仕草、スタイル(あのしなやかなスレンダーっぷりvv)、動き、何もかもがツボでたまらなく愛しい作品である。

さて、今回ルパンが狙うのは、世界犯罪予防装置協会、略して「罪防協」の殺人金庫だ。
そこには世界中の防犯金庫の設計図が保管されているという。
ルパンは、それに関する調べものでもしていたのか、罪防協の建物の写真などを部屋中に散らかしながら、クラシック音楽を子守唄にうたた寝している。く〜ッ、可愛い!(今回壊れすぎ?^^;)
寝顔も最高に好きだし、さらには大きく開いた足の長さと細さもツボなポイント。

プードルのぷーちゃんを連れてやって来た不二子に、その写真を見つけられると、どことなく慌てた様子のルパン。それが罪防協の建物であることを、最初は隠そうとしている。
子供の頃見ていた時は「不二子にしゃしゃり出られることを嫌がっていたのかな」と思っていたのだが、今は少し違うように考えている。
実際その後「手伝ってくれるよな」とルパンの方から誘っているし(でも不二子に断られている)。
何となく、不二子にこの仕事について隠そうと?したのは、ルパンが乗り出そうとした理由に関係があるのではないか、と思うのだ。
不二子によると、この罪防協の殺人金庫のせいで、多くの泥棒仲間たちが命を落としているという。
ルパンが自分自身を泥棒界の「英雄」を自認していたかは定かではないものの、やはり同じ泥棒として…しかも超一流の泥棒としては、黙って引っ込んでいられない気分もあっただろう。(基本的には「挑戦し甲斐がある」ということだったとは思うけれど)
その辺の、ちょっとした義侠心みたいなモノを、不二子に勘付かれるのを、少し照れていた部分もあったのではないかという気がする。

不二子の「これ以上黙っていられないものね。英雄としては」という言葉に対して、否定も肯定もしないルパンが非常に好き!
そして「私は英雄になんかなりたくないもの」と、この仕事に加わることを断った、不二子の実益第一の考え方も彼女らしくてとても良い。
防犯金庫の設計図は、泥棒としては魅力的だろうけれども、ルパンにとってはそれほど必需品というわけでもなさそうだし、金銭的価値もそれほどあるとは思えない。
やはりルパンは、今回は殊更、挑戦のための挑戦をしているのだと思う。
もしかしたら…英雄として。


超どうでもいい話だけれども、この回のルパン、なぜかあまり犬が好きではなさそうだ。
ぷーちゃんが部屋にいるのを見つけた時も「どこのノライヌだ、あっち行け」と、何となくイヤそう。
そして罪防協の下調べに行った帰りには、獰猛そうな犬との真剣なバトルをしていた。(これは、好き嫌いとは無関係に、襲われたから戦っただけだが)
原作では結構な犬好きのようにも見えるルパンなのに…。
一方新ルの不二子はやはりかなりの犬好き。犬にベストを着せ、そして美容院に連れて行っている辺り、いかにも可愛がっている様子であった。


早速、お得意の(笑)銭形警部に変装して、警備システムなどを具体的に調べに、罪防協に乗り込むルパン。
罪防協では徹底的に犯罪者と戦う姿勢が貫かれ、その姿勢を元に警備体制をしいていた。
「犯罪者を人間だとは思っておりません」と所長みずから言い切っている。

侵入路はエレベーター一箇所だけ。地下数百メートルにその金庫は設置されている。
その金庫とは、ほんのわずかな物音にも反応する、原子炉を利用した殺人金庫なのであった。
……。原子炉って(苦笑)。すごすぎ。たかが泥棒殺すために原子炉まで使うとは。
しかも行き来に使うそのエレベーター、乗った人間の行きと帰りの体重がボタン1つ分違ってもきちんと察知する。察知したら……そのエレベーターは何と爆破されるのである。
いや、本気で何考えてるんでしょう、この防犯システムの設計者は(大笑)。
「死ぬのがイヤなら、盗みになんか来なければいい」という所長のお言葉は、まあ確かにそーなんだけど。
泥棒が死ぬのは自業自得だという論理で済ませるとしても、泥棒が入るたびに、イチイチ自分とこの建物を爆破するシステムってどうなんだ。しかも、原子炉のある階で。危なすぎだろ!と全力でツッコミたいところ。
…まあ、これらのシステムは、泥棒が地下金庫のある場所までは、到底入ってこられないということを大前提に考えられたものなのであろう。


山篭り

これらの防犯システムと金庫の開け方をまんまと銭形に扮して見終わったルパンだが、監視カメラでずっとそれを見ていた保安部長に、その正体を見抜かれる。
その時の悪びれない、不敵な態度、変装を取り去る時の動き、そしてその後のバイクでの逃走シーンは、ひたすら見惚れるばかりvvカッコイイ〜!(感涙)←笑
この辺の説明は不要、ひたすら見るべし!

ルパンのバイクテクニックで、車で追ってきていた警備員たちは振り払ったものの、保安部長のペット?の、いかにも獰猛そうな犬だけは、シッカリとルパンについて来ていた。
うなる犬と対峙する時の、ルパンの真剣そうな顔に、そしてそこに一筋流れる汗にドキドキv(←ルパンスキー病)
結果ルパンは、ドラム缶の中に犬を入れそれを思いきりぶっ叩き、犬を気絶させる。
「犬が気絶したところ、初めて見たでショ」と、得意気に笑っているルパンの子供っぽさが何とも言えない。

後に再度ルパンが罪防協に侵入した時、その犬に代わって虎の「タイガー」が飼われていた。
ということは、この犬、再起不能になったのか。それとも、単に役に立たなかったからお役ご免になったのだろうか。
…どーでもいいが、プードルのぷーちゃんだの、虎だからタイガーだの、この回のペットの名前の単純さが笑いを誘う。
せめて「ミサイルジャック作戦」のシシマルくらい凝って欲しいところ。
うちの実家もプードルの血が入ってる雑種を飼ってた時は「プッちゃん」だったし、今飼ってるパピヨンも「パピちゃん」と呼んでるので、実は人のこと言えないというのはナイショの話(笑)。


その殺人金庫を調べてから4ヶ月。ルパンは次元と五右エ門にすら何も言わずに行方をくらましていたようだ。
グランドキャニオンのようにも見える、とんでもない僻地にありそうな山小屋に、ルパンはこもっていた。二人はヘリで、ルパンのこもっている山小屋へ向かう。
ずっと連絡一つ寄こさないことに対して不満そうな次元と、どちらかというと「ルパンの好きなようにやらせておけ」という様子に見える五右エ門の態度の差が、非常に興味深い。
4ヶ月の間、相棒たちに連絡することもなく、そしてろくに風呂に入ることもひげを剃ることもせず、ひたすら罪防協の殺人金庫を破る方法だけを考え続けていたルパン。
この辺の、熱中し始めると他の事などどうでも良くなってしまうような態度がいかにも天才・ルパンらしく感じられ、個人的にすごく好きなシーン。
旧ル4話っぽい、ボサボサの髪とヒゲの伸び具合がまたGood。
それにしても、次元にまでハナをつままれるほど臭く、五右エ門にはノミがいると嫌がられるルパンの部屋。想像するだに恐ろしい(笑)
でも私は、ルパンに限り、どんなに臭かろうが許せますが(大笑)。

ルパンはこの間、ずっと音を消す装置を開発していたらしい。ちょうど相棒二人が訪れた時、その装置が完成したところであった。
さっそく試してみると…本当に音が消えてしまう。す、すごすぎるよ、ルパン!
その消音装置の完成に、「ヤッタぜ、次元」と抱きつくルパンはホント嬉しそう。
だが、その装置を作動させる時に発するモーターの音がネックとなり、結局大発明の消音装置は使えないのであった。
「消音装置」を発動させるには「音」がしてしまう。音がしてしまえば、あの殺人金庫の原子炉が反応する…。
ルパンはまたしても煮詰まってしまい、一緒に街に繰り出して気晴らししようと誘う次元にも極めてそっけない態度。
そこで五右エ門は、寂しい山小屋暮らしの気晴らしにと、ラジオを置いていく。気が済むまで頑張れ、ということだろう。
ラジオを置いてあっさりと山小屋を出て行った五右エ門と対照的に、次元は何か言おうとしているようにも見えるが、結局何も言わずそのまま立ち去る。
この「間」。次元が何を言いたかったのかが知りたいところ。

五右エ門の置いていったラジオからは、「英雄」が流れ出す。それを聞くともなしに聞いていたルパンだが…
その曲が流れている時、確かに音がしているはずなのに、例の殺人金庫のガードシステムのミニチュアはまるで作動しない。
机の上を強く叩いても、ガードシステムは反応しない。音を感知していないのだ(机を叩いてる時のルパンの表情がメチャクチャ好きvv)
「英雄」を流している間だけ、金庫の防犯システムは完全にオネンネしてしまうようであった。
そのことを発見したルパンは、歓喜の涙を流しながら、次元と五右エ門のヘリに乗せてもらおうと駆け寄っていくのだった。


眠る殺人金庫

ルパンたち3人にかかれば、罪防協に忍び込むことくらいは容易いこと。
建物を停電させ、素早く防犯カメラに細工を施す。そしてあっという間に地下金庫室へ向かうエレベーターへと乗り込んだ。
最高の芸術である「英雄」を子守唄にしている、この金庫も芸術品なのかも…というルパンの台詞が彼らしければ、名曲も芸術も俺にはわからねぇという次元の台詞もまたしかり。
そういえば、新ルでは次元は基本的にクラシックファンということになっているが、時として演歌ファンとルパンに言われることもある(この回後半でもそうだし、「ルパン葬送曲」でも同様)
どちらが真相なのかよくわからないものの、演歌よりはクラシックの方が次元に似合うような気がする。
ただ、「芸術だから」とクラシックを聞いているわけでは決してなさそう。
高尚なコトなんざ知ったこっちゃないがただ好きなんだ、というスタンスで、次元は聞いているのではないだろうか(相変わらず妄想しすぎですみません)。

閑話休題。
その子守唄である「英雄」で、金庫のシステムを眠らせたルパンは、早速調べた手順通りに金庫を床から出現させる。
が、その金庫の中から現れたのは、銭形警部。絶対にルパンはやって来ると考えて金庫の中で待ち構えていたのである。

そっと銃を取り出そうとした次元に対し、一喝する辺りは、さすがの貫禄。
銭形の持っている目薬もどきのスイッチを押せば、マシンガンをもった警備員たちが大挙して詰め掛けるという。
ルパンをすっかり追いつめたつもりになった銭形だったが、やっぱりルパンの方が上手である。
音に反応して作動する原子炉を眠らせている、ルパンのカセットテープから流れる「英雄」。これをルパンは止めてしまうと脅す。止めたら当然、原子炉が作動し、ここにいる4人ともすべて死んでしまう。
銭形は、ものすごい葛藤と苦悩を味わったようだが、ついに屈してルパンにその警備員を呼ぶスイッチを渡し、そして気絶してしまった。
どうせ捕まるくらいなら…と、命懸けのハッタリをかましきったルパンの勝ち。カッコイイ〜vv
そして金庫の中身(防犯金庫の設計図)をしっかりとカメラに写すと、目的は達成できた。

それにしても、気絶した銭形を相棒たちに担がせ、自分は銭形の帽子をヒョイと頭に乗せて歩くルパンの可愛らしさ(惚)。
また、思いきり頬っぺた張り倒して銭形を気絶から覚まさせる手荒さが何ともいい感じ(笑)。
ルパンは、意識を取り戻した銭形に、風船を差し出す。(この時「何じゃこりゃ」という銭形の問いに、「風船じゃい」と答えるルパンの言い方、思いきりツボだったりする^^)
当然、銭形を担いでいては、エレベーターの重量チェックに引っかかり爆発してしまう。
そのため、風船を膨らませて銭形を浮かせ、エレベーターのチェックに気付かれないように脱出しようというわけなのだった。
自分を浮かせるくらい大きな風船を膨らましたとっつあんの肺活量はやはりスゴイ。
二酸化炭素の詰まった風船で浮くのか?とヤボなつっこみは厳禁なのだろう(笑)。
もっと膨らまさないと、コートが床についちゃうよ〜とか、わざとコチョコチョとくすぐったりして銭形を笑わせようとする、そのルパンのいたぶり具合が…なんとゆーか、屈折した愛情のような、いつも手こずらされてることへの意趣返しのような。

ルパンたちは、エレベーター内の横壁をくり抜き、そこからまんまと脱出。
ついでに銭形のくわえていた風船を、五右エ門は突っついてから逃げる(笑)。…当然、重量が変わったエレベーターは大爆発。
銭形は何とか間一髪でその爆発から逃れるが、罪防協の建物は、地下の原子炉と相まって?全壊してしまった。
所長と向かい合い、「あの男だけは敵に回してはいけなかったのです」と、珍しくも銭形は弱音を吐く。
どれだけ完璧に見える警備システムも、難攻不落の金庫も、ルパンの前には用を成さず、自分も今回屈服させられた挙句にくすぐられたりしていたぶられたとあっては(笑)、泣きたくもなるだろう。合掌。

最後は繰り返しのパターン通り、犬からグレードアップした警備虎・タイガーがルパンたちに襲い掛かるのだが、ルパンの愛車と共に岩に激突、爆発してしまう。
この時のルパン、虎に食われることイヤさに「見た目より若くない」と言ってるが、ルパンは一体何歳なのか、昔はえらく気になったものである(笑)


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