第112話 五右ェ門危機一髪


風呂

詳しい解説などまったく不要とも言える、五右エ門メインの超有名なお話。
激しい拷問によって傷つけられる五右エ門の姿は、思わず目を逸らしたくなるほど過酷そのもの。ちょっと劇画調の絵が、さらにその迫力を増している。
が、その痛々しく辛い場面を見ても余りあるほどに、五右エ門の魅力に満ちた1作なのである。
また、「温泉好きで西洋の風呂嫌い」と「西洋風の泡風呂大好き」、「女に弱い」「女に関しては凄腕」と、ルパンと五右ェ門の個性の違いが描かれつつ、だか らこそクライマックスシーンで、「命を懸けてでも自分のケリは自分でつける」という共通した誇り高さが際立つようになっており、その辺も見事だなーと感じ る一作である。


発端は、ウルフとローズという殺し屋が、自分たちの名を上げるためにルパンの命を狙っていたことによる。
今までどんな殺し屋がルパンに挑んでも、誰一人ルパンを殺せるものはいなかった。ルパンを殺せば、殺し屋ナンバーワンの座につけるというわけだ。
ウルフとローズは、まず五右エ門に目をつけ、彼を拉致するのだった。

五右エ門が温泉に向かったことを、どこから知ったものか…それとも、随分以前からルパン一味を付回していて、五右エ門が一人になった隙を見逃さなかったのだろうか。
ともかく、ウルフは五右エ門の向かった寂れた温泉近くで待ち伏せる。武器でもある、あのギターを弾きながら。(武器なのに、音も出るんですね^^;)
五右エ門は、ウルフの企みをまだ知る由もなく、道端で彼に道を尋ねる。
ウルフはわざと殺気を発したのだろうか。それを感じた五右エ門は、思わず斬鉄剣を抜きかける。
こちらまでつい、手に汗握ってしまう緊迫の一瞬。
だが、ウルフは黙って温泉の方向を指し示し、とりあえず何事もなく、五右エ門は去っていく。
ここで、ウルフは五右エ門の器量を推し量ったのだろう。普段の五右エ門に、微塵も隙がないことを悟ったようだ。
「恐ろしい男だ」と、素直に五右エ門の凄さを認めている。
が、後ろから現れたローズは、誰も自分たちには叶わない、と意気盛んな発言。
個人的な意見を言ってしまうと、このローズ、憎ったらしくて仕方ない。
天下のルパンを狙うなんてことをせずに、大人しくウルフと所帯でも持ってもう少し地味に暮らしてりゃいいのに、などとつい思ってしまう(笑)。

さて、第一の見所といえば、温泉での五右エ門の「YMCA」ではないだろうか(^^)。
「あ、それ。ワーイエムシエー♪」
あ、それ…って(爆笑)!
呑気に歌う五右エ門が、可愛い。しかもちょっと音痴で英語の発音がたどたどしいところが、なお良い(笑)
この地のルパンのアジトは、いかにも洋風の城だったので、当然風呂も洋風の「バス」。五右エ門はそれが気に入らなかったのだ。(確かに日本人にとって、バスタブ泡だらけにして身体を洗うのって、なんか馴染めないので、五右ェ門の気持ちはよくわかる!)
温泉でのんびりとしている五右エ門は、本当に嬉しそうである。

が、温泉を楽しめたのもわずかのこと。温泉に、女の人影が見え、慌てる五右エ門。
この女はローズであった。彼の弱点が女であると知り、こういう手段に出たのである。
女の登場に慌てた五右エ門。その隙に付け込み、ウルフが背後から首を絞める。
それを辛うじて逃れるものの、再び迫る女の影に、思わず(律儀にも!)目を逸らしてしまう五右エ門は、ついに捕らえられてしまう。首筋につきたてられたローズの薔薇が痛々しい。

それにしても、五右エ門。いくらなんでも女に弱すぎだろうと思ってしまう…。勿論、見知らぬ女と一緒に風呂などに入れないと慌てるところは、彼らしいわけだが。
でもローズはタオルを巻いていたんだから、それほど慌てなくてもいいのに!
しかも向こうが勝手に入ってきたのだから、五右エ門が目を逸らしてあげることもないのに。つくづく彼は根が純で優しいのだろう。


ウルフとローズに狙われている当事者であるルパンは、五右エ門が拉致されたことも知らずに、こちらも呑気に風呂に入っていた。
し、しかも不二子ちゃんと?!
昔見たときはかなりドキドキし、見てはいけないもののように感じていたのだが(笑)…今となっては大のお気に入りの1シーンだったりする。
泡にまみれてよく見えないものの、ルパンが不二子ちゃんと風呂に入り、「シャボンコシャボンコ」しながら洗ってあげている模様。
勿論ホンモノの不二子ではなく、風船で出来た不二子人形。まあ、不二子がルパンとそう簡単に風呂に入ったりするわけもないのだけれど、ルパフジスキーとしては一瞬ドキッとしてしまう^^。
この時のルパンの台詞や言い回しが、いかにも「お戯れ」という感じで、最高(^^)。

そんなところへ次元は、顔色も変えずに入ってくる。「お楽しみのところ、邪魔するぜ」と。
この次元の冷静さから察すると、普段からルパンはこんなことして遊んでいるのだろうかと考えてしまう(そんなルパンも好き!笑)

声を掛けてもまだ遊び続けてるルパンの気をこちらに向けるため、次元はくわえていた煙草を不二子人形に押し付ける。と、「不二子ちゃんペッチャンコ」に。
この時、風呂の泡が飛び散って、次元まで泡まみれになり、迷惑そうな顔をしているのがツボ(笑)

ようやく我に返ったルパンに、五右エ門が行方不明になったことを、次元は伝える。
最初、「次元は心配性ですねぇ」とあまり気にした様子もなかったルパンだが、温泉に斬鉄剣と、五右エ門愛用のふんどしが置き去りにされていたことを知る と、ほんの少しだけ真面目になる。温泉からふらりとどこかへ行くことくらいならば、心配する必要はないだろうが、命よりも大事にしている斬鉄剣を置いて いってるのは、確かにただ事ではない。
それでも「アイツ、今頃フルチンか」などと言いつつ笑って、面白がったりもしており、まだあまり緊迫感がない。当のルパンもフルチンで言ってるからなおのこと(笑)
次元は、「お前こそお茶の間の皆さんに失礼だと思わんのか」と、メタな台詞でルパンに突っ込む。ごもっとも、と股間を押さえて風呂に沈むルパン。その二人の掛け合いに笑いを誘われる^^

ここでのルパンが呑気そうなのは、五右ェ門くらいの腕の持ち主なら、簡単にやられやしないだろうという信頼感の表れだと、個人的には解釈している。
まだ「拉致された」ともはっきりしていなかったわけだし(その可能性が高かったものの)。


拷問

この時、ウルフとローズは、ルパンのアジトにたどり着いていた。
血気盛んなローズは、五右エ門を欠いたルパンたちとなら、2対2で負けないなどと息巻いて、今にも乗り込みたがっているが、慎重派のウルフは動かない。
そこへやって来るのが銭形警部。アジトは完全に包囲されていた。
「そろそろ来る頃だな」というウルフの台詞からすると、銭形にルパンのアジトを密告したのは彼のようだ
銭形が現れれば、当然ルパンはアジトから逃げるため、出てこざるを得ない。そこを、(実際やったように)狙撃しようという魂胆だったのだろう。
だったら何も、この時点で五右ェ門を誘拐する必要なんかないのでは?とも思うが、かな〜り慎重派で用心深く、先の先まで心配するタイプらしいウルフのこと、この作戦程度でルパンを簡単に殺れるとは考えていなかったのかもしれない。
まずはルパンのお手並み拝見、といったところか。
いつも持っていた意味深なギター、この時ついに武器にライフルに変身する。長距離スコープもついており、それでルパンの様子を窺う。

相も変わらず銭形警部は、警察のボート隊を率いて、真正面からルパンアジトへ向かい、一応「お前たちは包囲されている」と警告を発する。いかにも銭形警部らしいやり方。
ルパンには「ワンパターン」呼ばわりされていて、ちょっと同意してしまうけれども。
実際、銭形はあくまで「警察官」なのだから、正攻法を取る必要もあるのだろう(だからこそ時々、超変化球的作戦を取った時、ルパンが逮捕されてしまうのだ。例:85話)
また、「生かして捕らえる」をモットーにしている銭形らしく、銃弾で攻撃せず、まずは燻り出し作戦を取っていることが、銭形らしくて好きだ。

逃げる算段をしようと、ルパンが「次元、アレ用意してくれや」と言い、次元はそれに対して聞き返すこともなく了解している。
こういうさり気ない相棒らしい描写が、たまらない!「アレ」で通じる二人に乾杯(笑)

燻り出した以上絶対に出てくると銭形は部下たちに警戒を呼びかける。
彼の読みは、空からの脱出だったのだろう。
普通に考えれば、周囲が湖(?)の不便にアジトを、水上警備隊に取り囲まれているのだから、ルパンのパターンからして空へ逃げる可能性は高い。
なぜか今回、自分の行動をナレーター風に解説しつつ行動する銭形。あれやこれやと実況しながら(笑)、それでも見事に彼の読みは当たり空へ舞ったルパンの気球目掛けて杭のついたロープを打ち込み、乗り込むのだった。
が、そこにいたのはただのルパン・次元人形(顔はへのへのもへじ風で超適当!)
やられたと気づいた銭形に、さらに追い討ちをかけるように、カセットテープからはルパンのおちょくった声が流れる始末。さぞ悔しかったことだろう。
ルパンスキーとしては、この遊び心溢れる「蛍の光」のハミングや、「またのお越しをお待ちしておりま〜す」などの、軽快な喋り方が大好き。
ボロ人形に見えていたけれども、実はそれにも仕掛けがしてあり、ルパン人形の頭部がとれて、刃物が飛び出し、気球に穴を開けてしまう。哀れ銭形は、くるくる回りながら落ちていく気球に翻弄されるのであった。

ちなみに今回のルパンの脱出方法は、かなり凝っている。
気球がダミーだと知ると、ウルフはその後に出てきたモーターボートこそ本物のルパンと次元だと思い込み、ギターライフルでルパンの頭部を狙う。
一発で命中させた事を考えると、ウルフの射撃の腕前はなかなかのものらしい。
だが、彼が心配していた通り、ルパンは一筋縄ではいかない男v(←嬉しげに)
モーターボートに乗っていた二人もまた、人形だったのである。頭部を撃たれたルパン人形は、「ゲーコゲーコ」とふざけたリアクションを返す。

出し抜かれたウルフは、「やられた日本製のオモチャだ」と、呟く。しかし、諦めたわけではない。勝負はこれからだ、と今回は引き下がった。
(なぜ日本製と分かるのだろう、ウルフ。実は人形マニアか?笑)
それにしても、この回はよく人形の使われる回だ。このアジトには、ルパンが好んで集めそうな、珍妙なオモチャが集めてあったのだろうか。

本物のルパンと次元は、水中に身を潜めていた。
「ルパン人形」の頭部が狙撃されたのを見ると、ルパンは自分が狙われていることを知る。
それにしても、ここのシーン、逃げながらの、ルパンと次元の会話が最高に良い!!
「お前の顔は他人の恨みを買いやすいからな」という次元の軽口から始まる、
ル:「ジョーダンじゃねえや、ただの有名税ってヤツよ」
次:「あまり名を売りすぎると長生きできねぇぜ」
ル:「誰にも狙われなくなったら落ち目ってもんだよ」
次:「大した自信だぜ」
というルパンの自信ある台詞、淡々と受ける次元には、何度聞いても痺れまくる!!(何度リピートして聞いたことか・笑)。
やっぱり金子裕さんの脚本は素敵です。最高!

だが、正体不明のヤツからの狙撃事件があったせいで、五右ェ門が危ないと二人とも感じる。
当然、この件に行方のわからない五右ェ門が関わっていないとは考えにくいからである。


案の定、五右ェ門は大変なことになっていた;;
ルパンが一筋縄ではいかない、とても倒せそうもないと痛感したらしきウルフとローズは、五右エ門に激しい拷問を加えることになる。
「ルパンの弱点を教えろ」と。
詳しい描写は避けるけれども、とにかく痛そう!
いつも物静かで、あまり表情を変えない五右エ門が、苦悶の表情を浮かべ、辛そうな声を上げている。見ているのがキツイ場面でもある。
鞭だの錘だのドリルだの、使う道具がビジュアル的にいかにも痛そうなのばかり。ローズは拷問のプロのようだ。

が、それに屈するような五右エ門ではない。
絶対にルパンを裏切ったりはしない。たとえ自分が助からなくても、仲間を売るようなマネだけはしない。
そんな五右エ門の芯の強さ、律儀さ、男らしさに惚れ惚れしつつも、可哀想で見ていられない。でも五右エ門が素敵なのでついまた見てしまう。とんでもない魅力のあるお話なのである。


その頃ルパンは別のアジトへ場所を移し、五右エ門の手掛かりを追っていたが、手掛かりなしの状況であった。
この期に及んでもまだ五右ェ門がフルチンであることに拘ってるルパンは(笑)、置いていかれたフンドシを見ながら、「アイツ風邪ひかなきゃいいけど」と呟いている。
一見ふざけたような態度ではあるが、ルパンの韜晦癖を考えると、相棒のことをストレートに「心配だ〜大丈夫かな〜」と言えないのはわかる気がする。
内心では、かなり気にしていたはずだ。
すでにこの時、敵の真の狙いはルパンだと気づいてもいるので、いっそう五右ェ門の身を案じていたに違いない。

だからこそ、全世界の暗黒組織に、ルパンがこのアジトにいると知らしめる手配を、次元にさせているのだ。
自分がたくさんの人間から狙われていることを承知で、言ってみれば自分の身を危険にさらして、五右ェ門の行方を探ろうとしていたわけだ。
軽口を叩いていたり、ついでにネオンまでぶったてちゃおうぜ!と、明るくノリノリな様子にすら見えるほどに、ある意味ふざけた態度を見せているけれども、「五右ェ門が心配だ」という気持ちがあまりストレートに表現されていない分、いっそうグッときてしまう。
ここでしんみりと頭を抱えて、五右ェ門五右ェ門と言っていたら、相当興ざめするだろうし(ルパンらしくないから)、また、あまりにも無関心な様子であっても違和感がありまくる。
そういう意味で、この辺の「ルパンの余裕、韜晦癖」と「五右ェ門を案じる心」の表し方のバランスが非常に良く、またしても金子脚本を絶賛したくなる次第。
「敵は必ず来る。狙いは俺だからな」と言って、五右ェ門の代わりのように、斬鉄剣を振り回して気合を入れるシーンで、間違えて自分のズボンを切ってしまい、パンツ丸出しになってしまうのはご愛嬌(笑)

その頃、五右ェ門への過酷な拷問はまだ続いていた;;(辛いよ〜)
ギターに拘るウルフによって、とんでもない音量・かつ聞き苦しい周波数の音をヘッドフォンで聞かされ続ける五右ェ門の悲鳴が本当に痛々しい。
しかし五右ェ門は「ルパンに弱点はない」と言い張る。
そう言っても、ウルフは信用しようとしない(この男、ホントにネガティヴシンキングというか、疑り深く、用心深く、無駄に慎重で、スゴイんだか、臆病なんだかよくわからなくなる;)
「天下の五右ェ門が女の前に出ると赤子同然になるようにな!」などと失礼極まることを言われても、五右ェ門は笑みすら浮かべて言い返す。
「例え知っていたとしても、お前に教えると思うか?」と。

そんでもって、さらにドS女・ローズの拷問が続く。「お医者さんごっこはお好き?」の後の拷問シーンは、痛いの大嫌いな私にとって、トラウマ級の恐ろしさだ;;
なので詳しい描写はさけるけれども、とにかく痛そう!!もうカンベンしてください(号泣)
だが、カンベンしてくれと泣き言いってるのは私だけで、実際にそれを受けている五右ェ門は決して屈したりはしない。
「奥に虫歯が一本あったはずだ」と、まだ憎まれ口をきいたりする。
どれだけ酷い目に遭おうとも、仲間を売ってまで生き延びるつもりはない。五右ェ門の義理堅く、泣きたくなる程潔い男気に、胸が一杯になってしまうシーンである。


弱点

ルパンが全国的にバラ巻いた情報を、なぜか伝書鳩(?)で知ったウルフとローズは、ルパンの元に乗り込むことにする。
とにかく常に鼻息の荒いドSローズは、自分の拷問に耐え切れず気絶してしまった五右ェ門に業を煮やし、彼をさっさと消して、ルパンの誘いに乗って殺ってやろうと息巻いている。
さらには自分にかかればルパンだって、とローズは相変わらず自信満々だが、ウルフはまたしても慎重にローズをたしなめる。
「ルパンは女に関しちゃ、凄腕だとも聞く」
そうそう!そうなんですよ!(笑)
新ル以降、いや旧ル後半以降ですでに、かなり忘れられているが、ルパンは「容姿端麗」であり、女に関しては凄腕なのである(特に原作)。
たま〜になら、不二子以外の女に利用されてしまうのもご愛嬌けれども、テレビスペシャルでよくあるパターンのように、フラレ役専門のフーテンの寅さんのような男では決してない。
女と見れば、誰にでもデレデレと鼻の下を伸ばして、お手軽に利用されてしまうようなお人よしの男でもない。
この辺はルパンスキーとしてシッカリ強調したいと思う。

閑話休題。
ローズは不二子に化けて、「Lupin the 3rd」のネオン光るアジト元へ乗り込む。
それを双眼鏡で見ていた次元は、不二子(ローズなのだが)を「およびでないヤツ」呼ばわりしているが、ルパンは不二子だと知ると、次元の頭の上に乗って(!)双眼鏡を奪い取り、「隠すなよ、このドロボウが!」などとハジャギまくって次元を小突いて部屋を飛び出していく。
次元は「仲間と女、どっちが大事なんだ!」と呆れている。(帽子はペッチャンコ、ちょいと突くと戻るところがグー^^)

ルパンはまんまと鼻の下を伸ばしているようにも見えるが、どうも最初から正体気付いていたと思われる。
いくら不二子だからといって、このタイミングで現れるなんてさすがにできすぎだと誰でも考えるだろう。
抱き上げたときにも、かな〜り重そうだったし(不二子に比べ、ローズは筋肉質で骨太なんですね、きっと)、ルパンが間近で見て、抱いたら本物でないと見破るくらい、わけないのである。

それでも、敵がシッポを出すまで、調子を合わせているのがルパンらしいところ。
二人きりになり、乾杯した後、「愛を語るには殺風景な部屋ね」という不二子=ローズに、「あいあい」とダジャレで答え、隠し壁の中から、豪華なインテリアの数々を出現させる。もちろん、ダブルベッドも忘れない。
早速そのベッドへと倒れこむ二人。この時の「せっかちね」「お前がせっかちにさせンだ」というやり取り(特に山田さんの言い回しが!!)激しくツボ。ここもリピートで聞いてしまう箇所である(笑)

いよいよ、ローズはその本性をさらけ出した。
まずは髪につけた毒針付き薔薇でルパンの首筋を狙う。が、あっさりとかわされる。
お次は、膝に隠していた飛び出しナイフで、自分に覆いかぶさるルパンを、背中から刺す魂胆だ。
が、当然ルパンはお見通し。「よ〜く弾むクッションだこと」「わーはしたない。不二子らしくもない」などとふざけ、ローズ如きとは格の違いを見せつける。
逃げ出すローズに、忘れモンだよと、薔薇の髪飾りを放り投げ、髪に差し込むその技ひとつとっても、さすがルパンv

次元は、車で走り去るローズに、ライフルで狙いを定めていたが、ルパンがそれを止めた。
「どうしてだ、アイツはお前の命を狙ったんだぜ」と異議を唱える次元がとっても好き^^
しかしルパンは、彼女に五右ェ門の居所まで案内役を務めさせるつもりだったのだ。わざわざ返してやった赤い薔薇に、発信機を忍び込ませていたのだから。(早業!カッコイイ!!)


それにしても、ローズの髪飾りには盗聴マイクもついていたようで、ウルフはルパンとローズがイチャついているシーンを、わざわざ五右ェ門に聞かせている。
ルパンにあくまで義理立てしている五右ェ門に、ルパンは五右ェ門のことなど気にしちゃいない、というところを見せ付けて動揺を誘おうというのだ。
やり方が陰険なウルフ。好戦的で猪突猛進型のローズとは、確かにいいコンビかもしれない;
五右ェ門はただ、「不二子を使うとは卑怯な」とだけ言っている。不二子がルパンにとって特別なことは、すでによく理解しているのだろう。
……が、その後、ルパンが最初からローズだとお見通しであり、軽く彼女をあしらったことまで聞こえていたはずで、その時はきっとこっそりほくそ笑んだのではないだろうか(妄想^^)


ローズが不首尾で帰されたことで、ルパンの到来を予期し(実際、ルパンと次元は彼らのアジトの城に接近していた)、ウルフは焦りを募らせる。
ルパンの弱点を白状させるところか、ウルフの弱点がローズであることを五右ェ門に見抜かれ、しかもルパンたちが迫っている。形勢は逆転しつつある。
だが、今ならばまだ間に合う、ウルフはそう考えたのだろう。
五右エ門に早くルパンの弱点を教えるように迫る。が、勿論五右エ門は白状するはずがない。
逆に「アンタにとっても最後のチャンスだ。今なら、殺れる」と、強気の姿勢を崩さない。常にどこかで死を覚悟した生き様の、五右エ門らしい反応である。
そしてさらに言う。「だかもしもこの鎖が外された時、お前の命はない」と。
そう、五右ェ門は諦めているわけではないのだ。この屈辱を返さずして、どうして死ねようか。
死を覚悟していても、最後の一瞬まで屈することのない誇り高い男。嗚呼、五右ェ門もカッコイイ!!

ついにウルフは五右エ門の命を奪おうと決意した。ここまで痛めつけられているのに、五右ェ門の眼光は力を失っておらず、この男は決して白状しないとようやく気づいたのだ。そして、このままでは確かにマズイと思ったのだろう。
剣を取り上げ、彼に突きつける。
が、それを受け止めたのは、五右エ門だった。彼をを縛ってあったはずの鎖で。
いつのまにかルパンが忍び込み、五右エ門の鎖を外していたのだった。ルパンの登場に、動揺しているようなウルフ。
それくらい、ウルフに向けるルパンの視線は厳しいものだった。

そして……ルパンは彼のためにボロボロになってしまった五右エ門を、抱きしめる。
こんな姿になっても「仲間を売るような真似はせん」と言い切る五右ェ門を、どんな気持ちで見つめたのか。
このシーンはもう、うまく言葉に出来ないほど良い!
「まったくお前ってヤツァ……バカだ!」というルパンの言葉と、五右エ門の頭をなでる手に、抱き寄せる仕草に、相棒への労わりと愛情がこもっている。
そんな二人の様子に、ウルフは「友情か…」などとしんみりしたような台詞を言ったりする。「そんなモノのために命をかけようとするバカもいる」とバカ扱いをしているけれども。
(個人的には)お前がこんないい場面で口出すなー!とも思うのだが(笑)、ウルフですらわずかに心動かされれるものが二人の間にあったのかもしれない。
当然、ルパンはウルフを許すつもりはなく、この場で決着をつけようとする。(「それとも後日にするかね?」と言い出すウルフに、やっぱり弱気な一面、時間を稼いで有利な状況を作り出したいという気持ちが透けて見える気がする。本人は早く決着をつけたかったと強がってるが)

しかし、それを五右エ門が遮った。「ここは拙者にやらせてくれ…」。五右エ門は、自分自身の手でウルフと決着をつけることを望んだ。
すでに五右エ門は拷問のために傷だらけであり、斬鉄剣も満足に握れない状態である。
一度はルパンも止めるものの、あくまで引かない五右ェ門の心意気を感じ取った。
だが五右エ門の誇りを、誰よりも分かっていたのはルパンだろう。彼の決意がどれほど強いかも。
無理は承知。死も覚悟。それでも五右エ門は自分で戦う以外の道は知らない男なのだ。
それはきっと、ルパンもそういう男だからに違いない。他の部分ではことごとく個性が違うが、そこだけは誰よりも相通じる二人。
結局、ルパンは五右エ門の自由にさせる。

どうしてみ死にたいらしいな、と余裕の台詞を口にするウルフだったが、近距離なのにこの時は一発も五右ェ門に当てられない。さすがにルパンが脇に控えているので、焦っていたのか。
実際、ルパンのたった一発で、お得意のギターライフルは破壊される。
体が自由にならない五右エ門と対等にするため、ルパンは剣で勝負させようとしたのだ。
それだけがルパンがしてやれる精一杯の援護だった。

剣で戦わなくてはならなくなったウルフ、両手が使えない五右ェ門。
どちらにもハンデがあるものの、やはり五右エ門のほうが圧倒的に不利であったのは間違いない。ウルフの言う通り、手では剣を抜くことすらできないのだから。
そう考えたウルフは大胆にふりかぶって接近を図る。
しかし、手が使えない五右エ門は、口にくわえて斬鉄剣を抜き、すれ違いざま、ウルフの背中を刺し貫いた。
五右エ門が勝ったのである。(く〜〜カッコイイ!)

次元に見つけ出され、連れて来られたローズは、すでに死んでいるウルフを見つけると、途端に哀しげな女っぽい顔つきになり、ルパンたちに一矢報いようともせず、薔薇で自分の胸をついて(やっぱり毒針だったのだろう)あっさりと自分の命を絶ってしまう。
ローズ憎しで見ていた私は、何だか肩透かしを食らったような気分で、内心「悲劇のヒロインぶって、自分だけ楽に死んだりして…」と、意地の悪い感想を持っていたのだが。
ルパンたちが、弱腰になった女を殺すのも後味が悪いので、この結末で良かったのだと今は思う。
ウルフにとってローズが弱点だったように、ローズにとってもウルフが弱点だったのだろう。


そしてルパンは五右エ門を背負い、次元は斬鉄剣を持って、3人並んで歩きながら帰途に着く。
この時の会話がほのぼのしていて、すごく微笑ましいラストシーンになっている。
次元がルパンに弱点を訊き、それに対して横から五右エ門が「ルパンの弱点は、毛が三本少ないことだ」と答えるオチに、この痛ましげな話のラストで笑わせてもらいホッとできる。
でも…「毛が三本少ない」=「猿」というわけ。五右エ門も、言うね^^

そういえば、次元は拷問に掛けられたら、五右エ門ほど頑張る自信がない、と言っているが、これはどの辺まで本音なのか結構気になるところ。
次元も随分強気な姿勢を崩さないタイプだと思うのだが。
拷問に掛けられて、一番弱いのは果たして誰なのか、想像するとなかなか止まりません(笑)


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