第144話 不二子危機一髪救出作戦


ゾイゾイ

今見ると、ナンジャモンジャ兄弟というのは、決してイヤなキャラクターではないし、隠居した老人なのにルパンを手こずらせるほどの「ルパン・ロック」を作 り出したり、お金を欲しがっていた理由が粋なものだったりと、むしろ「憎めないキャラ」「良いライバル系」に属するのでは…と思っているのだが。
どうしても、子供の頃の第一印象が拭いきれず、いまだに私はこのナンジャモンジャが好きになれない(^^;
昔に比べたら、ずいぶん好印象になってはいるものの、それでもどうしても抵抗感がある。

というのも、冒頭でルパンが不二子の誕生日パーティーのために、一生懸命作った手作り料理を尽く食い散らかし、その挙句アジトをぶち壊していったからなのである。
子供の頃最初に見た時、本当に(今にしてみれば笑ってしまうほどに)怒り心頭だった私。
「せっかくルパンが作ったのに〜〜!!」と、彼らの無礼、狼藉が心底許せなかった。

不二子のための心づくしの料理や、アジトを破壊されたという事であれば、旧ル2話でパイカルも同様のことをしているのだが、パイカルに対してはなぜか「ルパンの作った料理を!」と怒ったりしなかったのに、不思議なものである(笑)
考えてみるに、ナンジャモンジャが「ゾイゾイ」という奇妙な口癖を言ったり、どことなくコミカルな印象を持ったキャラクターのわりに、やることは乱暴でえげつないと、そのギャップに幼い頃の私は不快感を抱いたのかもしれない。

と、こんな具合に、多少子供の頃の思い出が強すぎて、公平にナンジャモンジャ兄弟を見る事ができないのだが、その辺は個人的事情なので(笑)お許し願いたい。(うちのレビュー、そもそも個人的嗜好に偏りまくりなので、今更かしら?)


不二子の誕生日祝いのためにフルコースを用意していたルパンの料理する様子は、本当に可愛くって大好きなシーンだ。
正装からジャケットだけ脱いだ上に、エプロンをしたその可愛らしさ!しかもそのエプロンときたらハート模様がついてる!!(ツボすぎ)
料理もかなり本格的で、ワインを使ってステーキを焼いたり(料理しながら赤ワインをちょっと口にするルパンもイイvv)、鳥の丸焼きもじっくりとオーブン で焼いていた。その上、手作りのバースデーケーキまで。それ以外にも、テーブルには様々な料理、フルーツなどが乗せられ、ルパンが不二子の誕生日を祝うた めの気合の入れようが伝わってくるというもの。
不二子が喜ぶ姿を想像し、あとは不二子が来るばかりだったというのに……
ちなみに、ルパンが不二子になりきって彼女の喜ぶ姿を想像して悦に入るシーンは多くあるが、この時はルパンの髪型が不二子化しているのが特徴。

チャイムが鳴り、不二子が来たと思ったルパンはエプロンを投げ捨て、タキシードのジャケットを羽織る。そして赤い薔薇を一輪、胸元に差すのも忘れない。
キザだけど、ルパンがやると「素敵v」としか言えないのがルパンスキーの性(笑)。
手料理プラス、胸元に花、というパターンも、実は旧ル2話と共通している。スタッフが意識したのだろうか。

律儀にチャイムだけは鳴らしたくせに、ドアが開くとナンジャモンジャはバギーごとアジトへ突っ込んでいく。
そしてその衝撃でルパンが倒れている間に、ガツガツと料理を食い漁るのだ。んも〜なんなのこの老人たち!!(子供の頃の叫び)
ルパンが出て行けと言ってもまるで動じず、その狼藉はエスカレートするばかり。
投げられたバナナの皮ですべるという、古典的シチュエーションにルパンが陥っている間に、テーブルの上で踊るわ、ケーキ等等をルパンに投げつけるわ、皿から家具から、しまいにはアジトまでぶち壊し、荒らまくる。
このシーンだけは、ホンットいまだに不愉快だわ〜。
ただ、後に分かることだが、この乱暴狼藉にも訳があった。もちろんルパンを怒らせて是が非でもカルカチーナ共和国へおびき出そうとする意図もあったのだろ うが(それだけなら不二子誘拐だけで済みそうではある)、実はその時さまざまな角度からルパンの写真を撮って、「ルパン・ロック」を作り上げる資料にして いたのだった。
なかなかやるのだ、この老人たちは。

あまりにも唐突でワケがわからなかったからか、相手が老人ゆえ手加減したからなのか、やられるがままだったルパン。
後に残されたのは、無残に荒らされた部屋であった。
翌日(?)この有様を見た五右ェ門の「こいつはひどい!」という台詞に、いつも「そうでしょ、そうでしょ!」と思ってしまう(笑)
五右ェ門に問われ、ルパンはあの老人たちについて思い出してみるのだが、顔に見覚えがあるようなないような…という曖昧な状況。
そんな中、次元が慌てふためいて荒んだアジトに飛び込んでくる。
ルパンが注意を促すものの、時すでに遅し。ルパンと同じく次元もバナナの皮で滑って転んだ。どこまで付き合いがいいんだか(笑)

しかしそれどころではない。不二子が誘拐されたという知らせがもたらされたのだ。
浚ったのは、老人の二人組だという。――考えるまでもなく、あの「ゾイゾイ」の仕業だと、ルパンは確信する。


その頃の不二子は、水着姿で檻の中に入れられ、檻ごとヘリから吊り下げられてどこかへ連れ去られていった。
これ、どういう状況なのか?推測するなら……不二子は結局、昨日ルパンに誕生日を祝ってもらえず(ルパンが電話で断ったのかしら;;)、翌日自分の家で プールに入っているところを、ナンジャモンジャに浚われた、というところか??それともルパン宅襲撃以前に浚われていたのか。


向かった先は、カルカチーナ共和国。
そこではなぜか、ルパン祭り状態を呈しており、様々なルパングッズが売られ、人々はそれに群がっていた。
(ルパンせんべいやコーラもいいけど、スタンプとかホントに欲しいなぁ^^)
ここカルカチーナ共和国では、「今世紀最大」と銘打ったイベントが行われようとしていたのだ。それを見るために、世界中から50万人を超える人々が観光に訪れているのだ。
その中央、観衆の視線の先には、透明な貯金箱に入れられた水着姿の不二子がいた。
アナウンサーが「願いをこめてコインを投げ入れると幸せになる貯金箱」だと説明するや、人々は一斉にコインを投げ始める。
たちまち不二子が埋もれてしまうほどのコインが貯金箱の中に集まる。
普段の、やや欲張りバージョンの不二子なら、金に埋もれるなんて幸せに感じそうだけど(笑)、今回は状況も状況だし、特にこの回の不二子は非常に無力で普通の女の子風に描かれているので、投げ込まれるコインから、ひたすら身を守ろうと必死だった。

そう、ここでは、様々な防犯システムが搭載された貯金箱の中に捕らわれた恋人・峰不二子を、ルパン三世は救い出すことが出来るのか?という事を見世物にしているのだ。
ルパンを見るために世界中から50万人も……やっぱり人気者なのねvと喜んでいる場合ではない;
こんなヒドイ見世物やっていいの!?と思わずにいられないが、その疑問は、すぐに解決される。
なんと、このイベントの黒幕は、この国のモケール観光大臣。国が主催しているのだから、きっと問題ないのだろう。犯罪者だから何してもOKなのだろうか。それとも大臣指令による特例か。いずれにしてもこんな国、住みたくないな。

大臣の目的は、落ちぶれたカルカチーナ共和国を再び観光大国としてい蘇らせること、そして後にわかることだが、こうして集めた金を資金として、大統領まで上り詰めるという、大臣個人の野心があったのである。
そのブレーンを務めていたのが、ナンジャモンジャ兄弟。
この見世物や、防犯装置などを考え出したのは、すべてナンジャモンジャ兄弟だったようだ。

しかも、大臣室で話している最中、ルパンがもう現れていると鋭く見抜く。
ゾイゾイ言ってるから「鋭い」感じはしないのだけど(笑)、ルパンの変装を見抜くなんて、なかなかの慧眼。
ルパンは大臣の副官に化けていたのであった。
吹き矢でマスクを剥ぎ取られ、ルパンはすばやく逃げ出していった。本物は、パンツ一丁で机の下に縛り上げられている、といういつものパターン。

むむ、この計画といい、ルパンの変装を見抜くといい、やっぱりこのゾイゾイたち、なかなかやるのだ。悔しいけど(笑)
彼らに言わせると、ルパンが赤ん坊の頃からの付き合いなんだとか。
……ルパンの赤ん坊だった姿を見てるなんて羨ましいな(ボソ)。


ルパン・ロック

逃げ出したルパンは、川べりで相棒たちと合流。
その時ようやく、ゾイゾイたちの正体を思い出していた。
ナンジャモンジャ兄弟――かつて彼らは、ルパン一世のライバルだった大泥棒だったのだ。
だったら手強いのではと心配する五右ェ門を、このときのルパンはまだ「今は隠居の身よ」と余裕の構えであった。
ルパンが敵の本拠地に潜入している間、貯金箱の調査を次元が担当していたらしい。が、その結果は思わしくなく、殆どわからずじまい。
しかも、貯金箱の横に備え付けられている銀色の箱もまた謎のままなのだった。

しばらく様子を見るかと言う次元に対して、ルパンは今夜乗り込むことを宣言。
不二子を見世物にしたままにしておけない、というのだ。カッコイイ〜!!
そして珍しく、「次元、五右ェ門、協力してくれ」と口に出して言うのだった。確かに、今回は爺さまのライバルに不二子を誘拐された、というルパンの因縁であって、特に泥棒としての仕事でもなければ、乗り出しても彼らの得になることもない。
だから……というわけでもないだろうが、ルパンがわざわざ相棒にこんな台詞を言うのが新鮮な気がした。
当然、相棒二人は素直に同意する。ルパンのため、という理由も大きいが、タチの悪い裏切りさえしなければ(笑)やっぱり不二子も、救うべき彼らの仲間なのだ。
ちょっと余談だがそのシーン、話しながら次元やルパンが川面へ石を投げ込むのが、なぜかとても好きだったりする。


夜、静まり返ったスタジアム。相変わらず不二子は水着姿のまま、貯金箱の中に入れられている。なんだか妙にしおらしくて、可哀想な姿だ。
そこへ現れるルパン。素早く貯金箱に近づこうとするや、ライトが一斉に照らされ、また席には大勢の観客が大歓声を上げた。
酔狂な客たちは、真夜中までスタジアム客席で、静かに息をひそめながらルパン登場を待っていたようだ。(まあ私もルパン本人が姿を現すとわかっているなら、これくらいやるかもしれないなぁ←野次馬観光客の同類?^^;)
とことん見世物にするやり方に怒りをあらわにするルパン。
そこへ、ナンジャモンジャ兄弟が現れた。
だが敵を目の前にすると、余裕の態度を取り戻し「ご隠居さんよ、不二子取り戻しに来たぜ」と不敵に笑う。カッコイイ!!
そんなルパンの様子を見ても、ナンジャモンジャも余裕綽々だった。絶対に、貯金箱は開かないと。
ルパン一味とナンジャモンジャ兄弟がにらみ合い、一触即発のその瞬間、白いテープが投げ込まれ、勝負に待ったがかかる。

登場してきたのは銭形警部。
ルパン逮捕に銭形がやってくるのは当然の成り行きなのだが、この場合ルパンにとっても、観客たちにとっても、この勝負を止めようとする人間は誰であろうと邪魔者でしかない。
銭形へは、観客たちから空き缶が激しく投げつけられる。ルパンの「聞いた?世論を」という台詞がちょっとオカシイ^^

単にこのためだけに出てきた今回の銭形。これがカルカチーナ共和国あげてのイベントだったため、警備員につまみ出され、なんと牢屋に入れられてしまう(このパターン、多いなぁ;)。
その後、銭形の姿は牢屋の中で少しだけ見られるが、「ICPOの銭形」と名乗ってもまるで効果なく、牢番に「静かにしろ」と殴られるだけで出番は終わる。


さて、邪魔は入ったが(苦笑)、ルパンたちの勝負は続く。
銭形を連行するために現れた警備員たちが貯金箱の前に陣取り、マシンガンを発射してくる。
が、それを巧みに避け、あるいは真正面から撃ちあい、叩き切り、ルパンたちは貯金箱へ近づいてくる。戦う三人、カッコイイv(またまたこればっか)

ようやく警備員らを排除し、貯金箱の前にたどり着き、いよいよ五右ェ門に斬って貰うばかりとなったその時。
ナンジャモンジャからストップがかかる。
貯金箱に少しでも傷をつけたり、壊したりすると、下に埋められている2000本のダイナマイトが爆発する仕組みになっているのだという。
それを聞いて震え上がる不二子。ホント、この回はつくづく普通の女の子のような反応だ。…って、誰でも怖いか(笑)

開ける方法はただ一つ。
謎だった貯金箱の隣の箱――ルパン・ロックしかない。
ナンジャモンジャがルパン宅に乱入した際に撮った写真を元に、完成したルパン・ロック。ルパンだけが入れる人型の鍵穴であり、彼が入れば貯金箱は開くように出来ている。
「だったらワケねぇじゃねえのよ」とルパンは早速入ろうとするが、そこでナンジャモンジャがとんでもないことを言い出す。
一旦入ったら、ルパン・ロックには100万ボルトの電流が流れるようになっている、と。
さすがに驚くルパン。
「顔を洗って出直せ」と、ナンジャモンジャに花火を投げつけられ、吹き飛ばされて時計台の文字盤にひっかかる三人。く、悔しい!

ところで、この作中一番のツボなシーンがある。
それは、ナンジャモンジャがルパン・ロックの説明をしている時、撮った写真をルパンたちへ放り投げ、見せるシーン。
ひっくり返ったり、料理を頭からかぶったり、散々な目に遭っているルパンの姿ばかりが集まった、ある意味傑作写真集。
ルパンはそれどころじゃないので見向きもしてないが、こんな際だというのに、写真を見た次元が歯をむき出して笑っているのだ。よっぽどおかしかったのだろう。も〜ここツボすぎ!(笑)
横から覗いてる五右ェ門もうっすら笑っているように見える。
相棒たちったら…。確かに滅多に見られないコテンパンにやられたルパンの姿だけど(笑)。


さてさて、アジトでは隠居老人のはずの二人にあしらわれて、ルパンが荒れている。
次元に「落ち着け」と宥められ、ともかくルパンは何か方法があるはずだと信じ、さらに貯金箱やルパン・ロックについての調査続行を命じるのだった。


色男の定め

黒幕である大臣は、計画通り観光客で国が溢れ、彼らの落とした多額の金に大満足のご様子。
そんな中、ナンジャモンジャ兄弟は、契約通りの分け前を要求する。
契約金は10億ドルだったのだとか。高!そんな多額の契約金を約束したと知って、副官ですら驚いている。
ナンジャモンジャの抜け目ない調べでは、大臣の元には、50億ドルが転がり込んでいるというから、五分の一の分け前。まあ、妥当な線といえなくもないのか??

が、大臣はもう一仕事を持ちかける。再度現れるはずのルパンを撃退してくれたら、倍の20億ドルを出そうと。
倍と聞いて、ナンジャモンジャはその申し出に乗る。いや、乗ったように見せかけた(したたかな爺さんたちだよなぁ)
そして、立ち去ったと見せかけて、大臣室の前で彼の本音を立ち聞きするのだった。
この手の悪役に相応しく、大臣はナンジャモンジャに金を支払う気など、最初からなかったのだ。次にルパンを追い払った時、ナンジャモンジャを始末するよう命じている。
ルパン・ロックが完璧なら、もうナンジャモンジャなど必要ない、自分たちだけでいつまでもルパンを巡るイベントを継続し、金を稼げると考えていたのだ。
その金で大統領まで上り詰める……。もうご勝手にと言いたいところだが、ホントこんな国住みたくないわ。
話を聞いたナンジャモンジャは、夜中になってから大臣室に忍び込み、金庫の中の金をすべて盗み出してしまうのだった。


一方その頃、ルパンは金庫の開け方に頭をひねり続けていた。
何度も何度も試行錯誤したのだろう。ゴミ箱も紙くずでいっぱいだ(ゴミ箱の柄がネコなのが可愛いv 誰の趣味?笑)
ついに「どこにもスキがねぇ!」と弱音を漏らす始末。ルパンがここまで苦戦しているのを見て、「さすが一世を風靡した大泥棒」とナンジャモンジャを褒める五右ェ門だが、ルパンは当然面白くない。
余談だが、ルパンがエンピツを耳や鼻の下に挟んだりする仕草が可愛い。要チェック(笑)
その間、次元はベッドでただゴロゴロしているだけなのかと思いきや、この回は彼も一緒に考えていたらしく、「最新ガードシステム」という本を読んでいた。新聞はよく読んでる次元だが、本を読んでる姿は案外レアかも。
無理やり開ければ不二子が爆死、かといって不二子を生かして出そうとすれば、ルパンが高圧電流で死ぬ。次元が言う通り、八方塞の状態だ。

煮詰まったルパンは、窓の外を眺める。やがて雨が降り始め、雷が鳴り響く。
スタジアムの方は相変わらず、貯金箱の中に不二子が入れられたままになっていて、激しい雷に震えていた。(う〜ん、ホントに普通の女の子だわ←くどい)

その雷を見ているうちに、ついにルパンがひらめいた。
「わかったーーー!不二子、わかっちゃったぞぉ!助けてやるぞー!」と叫んだ後、ゲラゲラと笑い転げてベッドに倒れこむルパン。
確かに、普通の人間がこんな態度に出たら心配するところだけど(笑)、なんせ天才ルパンなのだ。ルパンは煮詰まった後に名案を思いついた場合は、とにかくハイテンションになり、笑い転げたり大騒ぎしたりすることがよくある。
次元と五右ェ門ならそれを知っているのでは…とも思うが、さすがに今回ばかりは彼らも「八方塞」であることを実感しており、ルパンが悩みすぎて一時的におかしくなったと思ったらしい。
次元は五右ェ門と目を見交わして、指を頭のところでクルクル回す雄弁なジェスチャーをしている。

だがその時の次元の態度は優しくて、肩に手を置き「あとは俺たちにまかせて少し休め」とルパンを気遣う。いいわ〜v(笑)
それに対し、ルパンは「明日助けに行くぞ」と宣言。
まるでルパンのひらめきを信じてない二人にとっては、うわ言のようにも思えたのだろう。ついに次元のジェスチャーは手をパーにするまでに至り(苦笑)、五右ェ門も「たぶん」と頷いている。
二人の不信は、それだけナンジャモンジャのルパン・ロックが完璧だった、完璧に見えた、という証拠なのだろう。悔しいけど。←また言ってる


翌日、満員のスタジアムに堂々と乗り込むルパン。忌々しい大臣も、観客席で眺めている。
後の態度から、ルパンは二人にひらめいた内容をまったく打ち明けていなかったと思われるが、それでもちゃんと付いてくる相棒らの律儀さ、義理堅さ、ルパンへの情が本当に好きだ。
ナンジャモンジャと対峙し、どうやって開ける気だと尋ねられたルパンは、あっさりとルパン・ロックに入るのだ、と答える。
「そうすりゃ開くんだろ」と、ケロリとして言ってのける。さすがのナンジャモンジャも驚いた様子。
当然、次元と五右ェ門は必死に止めるが、ルパンはウィンク付きの笑顔でこう答える。
「いいじゃねえか、恋のため、命を捨てる。昔から色男の定めよ」と。そして不二子に向けて「ジュ・テーム」と言い、熱い投げキッスを。

ただでさえこの回の不二子は普通っぽい女の子だし、それでなくてもこんな風に命をかけて自分を救う姿を見せられたら、心が動こうというもの。不二子は目を涙でいっぱいにしてルパンを見つめるばかり。

相棒たちは力尽くで止めようと試みるが、ルパンの意思は固い。
この時、次元がさりげなく言ってる台詞「他にも女はいるんだ」が、らしくて好き(笑)。次元こそ、(自覚はしてないかもしれないが)いざ本気で惚れたら女 のために命がけの戦いでもやってのけそうなロマンチストの気をもっているので、この場合不二子は諦めろということで、要は次元にとって不二子よりルパン だ、ということが如実に表れた台詞だろう(笑)。
それにしても、ルパンは確かにイチかバチかに賭けていて(実験してないはずだから)、実際死ぬかもしれない状況に飛び込んでいこうとしていたわけだが、自分だけは切り札を用意してあることを知っているわけで。
「死なせてくれぇ」という芝居をして相棒や不二子を散々心配させたりして、人が悪いと言おうか、芝居っ気たっぷりのルパンらしいと言おうか。

泣き崩れる不二子を後にして、また止める相棒たちを振り切って、ルパンはついにルパン・ロックの中へ姿を消す。
流れる100万ボルトの電流。
すると、貯金箱は開いた。大量のコインと共に、不二子も流れるように出てくる。
無責任な観客は、大喜びで大歓声をあげている。

ルパン・ロックのドアも開き、中からまるで幽霊のようなポーズのルパンが出てきて、倒れこんだ。
彼が死んだと思った不二子は涙ながらに彼を抱き上げる。(この抱き上げるシーン、本当にルパンがぐったりしてて体重が感じられるような動きなので、地味なお気に入りポイント)
そして、生きているうちは決して聞けないはずの不二子の本音を告げるのだ。
「ルパン、愛しい人。私のために命まで。愛してるわ、ルパン。いつまでも……ルパン」
目の前で自分の前で「死なれ」、気が昂ぶっていたとはいえ、実はこれが不二子の本音であろう、あって欲しいと願ってしまうルパフジスキーの私^^

が、不二子の胸元に何かが突き刺さる。ラジオ状の物体だ。
途端、目を開けたルパンが「危ない!」と注意するが、不二子はスイッチに触れてしまい、高圧電流が放電される。スタジアムの一部が壊れるほどの凄まじいパワーの電流だ。
生きていたと知って、次元が声を掛けると、「ちょいとばかりきつかったぜ、100万ボルトは」と軽々と、でもちょっと素直に言ってのけるルパン。嗚呼、素敵v
彼は、超高性能集電装置を懐に用意してあり、流された100万ボルトの電流を、そこにすべて集めて身を守ったのだった。
種明かしを聞いたナンジャモンジャ兄弟は、「ゾイゾイ」と笑顔を見せる。
彼らにしてみれば、ルパンを利用させてもらいはしたが、殺すつもりはハナからなかっただろうから、彼が生きていたことが嬉しく、そして完璧だったはずの自分たちの装置を見事攻略したルパンを褒め称える意味での「ゾイゾイ」なのではないだろうか。

ここで大臣が本性をむき出しにする。金儲けのイベントも終わってしまったし、邪魔者には消えてもらおうということだ。
が、ルパンの集電装置から放たれる高圧電流に、警備員はあっさり撃退。大臣も危うく焼かれるところだった。

そこへ、一台のヘリがやって来る。いつ仕掛けたものか、客の投げた大量のコインをすべてすくい上げ、高度を上げていく。もちろん、ナンジャモンジャ兄弟の仕業。
ナンジャモンジャは、大臣の金庫の金を奪っただけでなく、貯金箱の中の金貨もすべて頂いて行ったのだった。大臣には、一枚だけコインを投げ落としてやって、大統領へ上り詰める野心をそれでまかなえと言い残していく。
ルパンですら「わーお見事」と言う程の鮮やかさ(^^)。

ルパンたちには、「生きていたらまた会おうぞ」と言い残し、数枚の紙切れを落として、ナンジャモンジャ兄弟は去っていった。
それは、「世界泥棒養老院ナンジャモンジャセンター入会資格券」。
彼らは、世界中の泥棒のための養老院を作りたくて、このような計画をし、金を集めたのだった。
五右ェ門がぽつりと言ったように、泥棒たちに「老後の保障」など何もないわけで。
ならず者たちだから、当然老後があるかどうかもわからないのだが、老練なナンジャモンジャのように長生きする泥棒たちもまた多くいるのだろう。
ルパンたちも抜群に腕が立つだけに、老後がないとは言えない。
そんな時、こんなセンターがあったら、きっと楽しい老後が過ごせるだろう(その時までルパンたちは一緒なのね・笑)

「粋な真似、やってくれんじゃねえの」とルパンが言う通り、ナンだかホントに粋な老泥棒。
子供の頃はキライで仕方なかったが、今見るといい味出してるなぁと、認めざるを得ない←なんで渋々?(笑)

ちなみに私はいつまでたっても、どっちがナンジャでどっちがモンジャなのか覚えられないままだったが、太って背が低い方がナンジャ、痩せて背が高いほうがモンジャ。今度こそ覚えておきたい。


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