人間関係考察対・不二子編

まず最初にお断りしておきます。
「次元と不二子はラブラブ〜v」あるいは「この二人は絶対に男女の関係だ!」と思っていらっしゃる方、自分は所謂熱烈ジゲフジ派だと自覚されている方は、以下の文章をお読みにならない方が良いと思われます。

私はジゲフジ派ではありませんし、以下の文章(特に最後の部分)は、ルパフジ、ルジっ娘の立場から書いていきます。
趣味の合わない文章を読んでつまらない思いをさせてしまうことのないようにと、このような注意書きを冒頭に置かせてもらってます。
読んでしまってからの苦情などは一切受け付けませんので、ご注意の程を。

もちろん、「違った考え方もまた一興」とか「誰が何を言ったところでまったく気にしない」などと思ってくださる、心の広いジゲフジ派の方は大歓迎ですよ(^^)

「あの女を仲間にするなんざ、火事場を爆弾持ってウロウロするようなもんだ」

(旧ル10話「ニセ札作りを狙え!」より)



次元が、不二子を仲間に入れることの危険性をルパンに訴える台詞は、それこそ数え切れないほどあるけれど、その中で最も的確で気の効いた名台詞の1つだと思うのがコレ。
次元の不二子に対する危機感が良く現れ、かつルパンとは違った次元の「仕事」に対する考え方が垣間見られる気がするのである。

旧ル10話のレビューの中でも少し書いたが、ルパンの方は、こうした「爆弾持ってウロウロする」スリルというのが、嫌いな人間ではない。そんなスリルをもたらす人間が、不二子のように魅力的な女であるのならば、率先して爆弾を抱え込む。
だが次元の方は、少し違う。
元々「ルパンに相応しい大仕事」というものを共にやりたがっているだけあって、スリルそのものを嫌ったりは当然しないのだけれども、不二子のようにどこで爆発するかわからない、しかも無駄な(と次元には思われるだろう)爆弾を懐に抱えたまま火事場を歩く趣味はないのである。
スリルだったら仕事の上で起こる、ギリギリの状況や予測のつかないアクシデント、敵の存在などで、充分に足りているのだ。
彼自身が、クールなようでいて実はかなり義理堅い性格であるのを考えれば、「裏切り」という爆弾を好きになれないのは当然のことだと思われる。

そもそも、旧ル1話の段階から、次元は不二子に懐疑的であった。
ルパンが「俺の恋人」という言い方にも疑問のようだった。1話より以前にも、不二子に怪しい行動などが見られたのかもしれない。
たまに鈍いところもあるけれど、案外カンが鋭い次元なので、何やら胡散臭いものを感じ取っていたのだろう。
また不二子の3年以上前の過去が一切謎だから、警戒していたということもあるのだろうか。
まあ、ルパンたちはお互いの過去を聞きほじったりはしないだろうから、不二子の過去がまるっきり謎であることだけが次元の引っかかりの元だとは思えないが…。

何より1話で、不二子から最も大きな被害を受けているのは、次元その人なのだ(笑)。
トンカチで頭をぶん殴られて、縛り上げられた(しかもそのせいで、ルパンの「ミラクル」はネタバレしてしまった)。
結構な屈辱である。
「女なんて」と、女性蔑視的発言をしがちな次元(ルパン界の男は概ねこんな感じだけど)にとっては、たまらないだろうとも思う。
この経験が、次元を常に不二子に対して警戒させ、彼女が仲間になることを嫌わせたとしても不思議ではない。

その後も、次元の不二子に対する不信は続く。
4話では一応「仲間」として振舞っているが、不二子の真実の涙を見ていない次元にとっては、不二子はルパンの持っていた鍵だけを狙うクールで欲深な女のままだっただろう。
(「不二子のヤツ、どっかへ行っちまったぜ。多分、待ちきれなかったんだろうな」という台詞に、どこか皮肉というか悪意が感じられるのは気のせいだろうか?笑)
また、8話では「だから女なんかと逃げるのはイヤだと言ったんだ」とボヤき続けているし、16話では「アイツの情報と天気予報ぐらい当てにならねぇもんはねえんだから、まったく」と、不二子情報への不信感を顕にしている。

ただ、こうした次元の不二子への不信やかすかな敵意は、次元自身のためだけではない。
不二子に対する次元の(不信感を表した)台詞が、不二子本人へ向けられたものよりも、ルパンに向けて発せられた台詞が多いことからも、それは察することが出来る。
相棒であるルパンのためを思っての「忠告」なのだ。
他の事では誰よりも抜け目のないルパンが、不二子に関する事となると、これほどまでにだらしなく、またちっとも懲りることなく、同じように騙されたり出し抜かれたり利用されたりすることを、次元は腹立たしく思っているに違いない。


「夢はあんなブスと見るもんじゃねぇ」

(新ル104話「もっとも危険な黄金ベッド」より)

「胸だけ大きい欲張り女!」

(PARTIII・19話「裏切りの荒野を走れ」より)



旧ルの頃は、仲間として振舞っている時でも、不二子と次元の直接の会話というものは、実はそれほど多くない。
また不二子に対しての文句・悪口(笑)などは、本人にではなく、ルパンに言っていることがかなり多い。
勿論根本的にルパンのためにしている忠告発言なのだから、ルパンに向けられた台詞が多くても当然なのだが、旧ルの頃(特に初期)はまだ不二子に直接嫌味や皮肉を言う回数が、少なめなのである(旧ル16「宝石横取り作戦」の「黙れ、裏切り者め。日干しになりやがれ」くらい?)。

「複製人間」などでもその傾向がまだ残っている。
不二子がボロボロになってアジトへ助けを求めにやって来たシーンで、不二子に直接「ルパンから離れろ」というのではなく、ルパンに対して「その女から離れろ」と言っている。不二子には、一言も声を掛けていないのだ。
この辺りが、不二子への次元の距離感の現れのような気がしなくもない。
まあ、ルパンに離れる気がなくては結果は同じだから(結局絶対の決定権を持っているのはルパンだから)、手っ取り早くルパンに文句を言ったということもあろうし、また「これは俺達の問題だ」と思っていたので不二子を無視していたのかもしれないが。
いずれにしても不二子への態度はかなり硬い。

上でも述べたように、やはり次元はルパンを慮って、信用ならない不二子と引き離そうとしているわけなので、どうにかしてルパン本人の目を覚まさせたいと思っているのだろう。
「あんな女のどこがいいんだ」「目を覚ませ」など、次元の忠告の台詞を列挙したらキリがないくらいだ。
いい加減ルパンが騙されても「またか」と慣れては来ているはずなのに、忠告を繰り返す次元は、相棒の鑑である(笑)。

だが、新ル以降になると、徐々に次元の不二子に対する距離感が変わってきたようにも見える。
少しずつ、次元も不二子に慣れてきて、直接皮肉を言ったりするようになり、パート3に至っては、派手な口喧嘩まで披露するのである。

新ル1話では、それぞれが5年ぶりの再会をすることになる。
その時の次元の不二子に向けた台詞は、決して好意のこもったものではなかったが(「どこの金持ちジジイから巻き上げたんだい?」…よくよく考えれば、5年ぶりに会ったというのに第一声がコノ台詞とは、失礼極まりないな。笑)、
内心の不信感を隠して?「赤頭巾ちゃん」などと余裕を見せている旧ル1話の頃よりは、本心そのままのストレートな台詞を発しているところに、次元の(やや屈折した)親しみのような感情を感じるのである。

上に挙げた「夢はあんなブスと見るもんじゃない」という台詞は、不二子本人に直接言った台詞ではないが、このあまりの暴言には(笑)、どこか「身内の悪口」のようなくだけたニュアンスがあるような気もするし、
新ル35「ゴリラギャングを追っかけろ」では、不二子の腕を掴んで「コイツは詐欺師だ!」と、直接糾弾してもいる。
また、パースリ次元の名台詞(笑)「胸だけ大きい欲張り女」に至っては、まるで悪友同士の喧嘩のようである(本人同士は本気で腹を立てていたのかもしれないが^^)。
それまで次元に、皮肉られたり怒鳴られたりしても、悪びれなかったり、ルパンに助けを求めて直接次元には言い返さなかったり、あるいは相手にすらしていないような素振りを見せることが多かった不二子が、このパートIII・19話では「ムッツリスケベ!」と言い返している辺り、長年の腐れ縁の賜物だろう。

また、旧ルの頃はやられっぱなしのことが多かったが、直接次元(と五右エ門)が不二子にオシオキをすることも増えてきた。
新ル45「殺しはワインの匂い」では、裏切って宝石を持ち逃げした不二子を、プールで拷問したり(や、ちょっと違うか。笑)、新ル139「ルパンのすべてを盗め」では五右エ門と共に不二子に銃と刀を突きつけ、宝の地図を奪い取っている。

不二子の扱いに、次元(と五右エ門)が少しずつ慣れてきたためでもあるだろうし、また、ルパンにくっついてオイシイところだけ持っていく裏切り者としてではなく、暗黒街に生きる一人のプロとして、ある意味不二子を認めているからこそ、こうした多少手荒な手段にも出るのではないだろうか。
基本的には女そのものを甘く見て、あまり本気にならない次元が(例:新ル46「ルパンお高く売ります」等)、こんな態度を取るのも不二子に対してだけではないかという気がする。

「悪い気持ちはしねえが」

(新ル51話「私の愛したルパン(後)」より)

「ルパンのことは頼んだぜ」

(新ル7話「ツタンカーメン三千年の呪い」より)

基本的に次元は、不二子という女を信用していないけれども、彼女のすべてを否定しているわけでも、何もかもを嫌っているわけでは、当然ない。
不二子をきちんと仲間扱いしたり、助けたり、信用する時も多々あるのである。不二子がそれに値する行動をとることもまた多いからである。
だからこそ、一層不二子は扱いにくく、複雑な感情を持たざるを得ないのだろうが(笑)。

上に挙げた「私の愛したルパン」(後編)での台詞は、不二子がゾンビに怯えて次元にしがみついて来た時、次元が発した言葉である。
ごく一般的な感性をした男性であれば、不二子ほどの美人にしがみつかれたら、それは当然悪い気分はしないしないはずである。
そんな当たり前の、そして率直な次元の感想が聞けるこのシーンは、貴重であるかもしれない。
時には不二子を女として見ていることもあるらしい。
…というか、裏切ったりせずに大人しくしているなら(それが出来るなら不二子じゃなくなっちゃうんだけど。笑)、しがみつかれればそれなりに嬉しいと感じる程度には、不二子に抱く感情は悪い方向性のものばかりではないのである。

普段は悪口ばかり言っている次元が、不二子を助けるシーンも、決して少ないわけではない。
旧ル4話では、雨の中バイクで転んだ不二子に手を差し伸べる次元が印象深い(その後手荒く不二子の邪魔しているから、この優しさも帳消し?^^)。
新ル91「時を駆ける少女」の1シーンでは、砂嵐の中で何気なく不二子を庇っているし、「複製人間」の中でも、銃を向けたマモーから、不二子を突き飛ばして庇い、マモー(クローン)を倒したりしている。
「裏切り者なんかほっとけ!」と時々ルパンには言うけれども、結局彼自身だとて不二子を見捨てることは出来ないらしい。

というのも、きっとごくたまに見せる、不二子の信頼できる様子から、いつの頃からか次元も、不二子を「仲間」として心のどこかでは認めているのだろう。
その顕著な例が、新ル「ツタンカーメン三千年の呪い」の1シーンである。
最初のうちはツタンカーメンのマスクを返したがらなかった不二子だが、ルパンの苦しんでいる姿を見ているうちに、マスクを博物館に戻してきて欲しいと言うようになる。
その時の不二子は、心底ルパンを案じ、いつものルパンに戻って欲しいと願っていた。
その気持ちが本物であることを見抜いた次元は、不二子に対して「ルパンのことは頼んだぜ」と笑顔で、大切な相棒のことを任せるのである。

「ルパンはたしかにあんたにホレてるが……信用しちゃいねェのさ」

(原作新「特盗」より)



そう、次元は不二子に悪感情だけを抱いているわけではない。
一人のプロとしては当然その力を認めている部分もあるだろうし、不二子が抱くルパンに対する真摯な気持ちを信じる時もある。味方として振る舞い助けることもある。

だが、というか、だからこそ。
私は次元と不二子の間には、色っぽい関係も感情もないと思うのだ。
…新ルのシリーズ設定に次元は「不二子に片思い中」という一文があったとかいう話も聞く(私も以前、ルパンBGMのカセットテープに入っていたリーフレットか何かで、そんな文章を読んだ記憶があるような気もする?)。
オフィシャルの設定だと言われてしまえば「ああそうですか、スンマセン」としかいいようがないのだけれど(笑)
でも、取りあえず抵抗してみたい。(だってやはりそうは思えないんだもん。←頑固者)

二人の間には、ルパンという絶対的に大きな存在が、常にあり続けるからなのである。

確かに次元には、どことなく「片思い」が似合う気配がある(笑)
派手なルパンの陰となり動く次元というキャラに、何となく相応しいというのは分かる。また、ハードボイルドな男の常として、やせ我慢の美学がまたよく似合ってしまうのだ。
しかし、次元は長年不二子に惚れていることを、隠し続けるようなタイプだろうか?

過去バーバラに惚れていた時を考えてみても、次元は結局きちんとカタをつけるタイプなのではないだろうか。
相棒と同じ女を好きになってしまったら、身を引くなり決闘するなり、決着をつけたがる人間であるような気がしてならない。
相手がいくら他ならぬルパンだからと言って、不二子に片思いしつつ、恋々とその心を隠し、表面ではルパンに「あんな女」と悪口三昧…?!
次元がそんなことするだろうか?
…こんな男、私は個人的にカッコイイとは到底思えない。
次元が、こんなプライドのない男だとは決して思えない。
それに、外見やちょっとした気質は次元の好みと一致する不二子ではあるが、根本的にドライすぎる不二子は、恋愛にロマンチックなものを求めがちな次元が、惚れるタイプだともあまり思えない。しかもルパンを裏切る様を目の前で何度となく見ているとあっては。


ルパンにとって不二子がどれだけ特別かということも、また不二子にとってルパンが特別であることも、充分すぎるほど知っている次元なのである。
このことも、次元が不二子に「恋愛感情」を抱いてない、そして恋愛感情ヌキでの「男女の関係」にもなったことがないと、私が強硬に主張している所以である(頑固でごめんなさいねぇ^^;)

別に次元の身持ちが固そうだとか、潔癖な性質だとかいっているわけではない。
不二子との間には、あまりにも次元にとって絶対的なルパンという存在がいる。そのルパンにとって特別な女、不二子。
その辺の事情を無視することは、次元にはきっと出来ないに違いないと思うだけだ。
例えどんな事情があったにせよ。

不二子側の気持ちはなかなか読めないところが多い(彼女についてはこちらで考察
が、次元はたとえちょっかいを出されたところでそれに乗ることはないだろう。
次元にはルーズで適当な面も多々あるけれども、義理堅く昔気質な彼が不二子に対してそれほど「考えなし」にならないだろうし、その場の勢いでどーのこーのするほど女に不自由していたり、経験不足な男であるとは正直思えないのだ。
不二子の危険については、誰よりもわかっているはずなのだから。
彼女の女としての魅力も含めて危険であるということを、だ。

次元のルパンへの義理堅さもさることながら、そんなこと以上に次元自身のプライドの問題として、不二子とそのテの関係はないのだと、私は(勝手に)思っている。
繰り返しになってしまうが、「すべての事情を頭ではわかっているけど、どーしても惹かれてしまう」というほどには、不二子は次元の趣味ではないし、
仮にそうだったとしても、次元はそういう屈折した感情を鬱々と抱え込みつつ、表面ではルパンに不二子の悪口を言い倒すなどという、ミジメな行動はしないだろう。(逆に考えれば、悪口をあれだけ言っているということは、不二子に惚れてはいないし、抱いてもいないのだ)
それに長い間、複雑な気持ちや関係を抱え込んでいられるほど、次元は気長でも内向的でもない。
第一「そういうゴチャゴチャしたことは面倒だ」と思うに違いない。
だから、相棒(クーガー)と惚れた女がかち合った(笑)時は、とっとと決着をつけてしまうのである。


ルパンの、不二子に対する気持ちを誰よりもわかっているのは、他ならぬ次元である(その感情を自分のモノとして「理解」することは出来なくても)。
そんな様子が非常によく現れているのが、上記の原作での台詞なのである。


次元から不二子への気持ちは、不信と、(ルパンへの)心配をベースにした(笑)、何だかんだいってもいざとなると見捨てることの出来ない仲間であり、一人の「プロ」としてはそれなりにその腕前を認めているという…少しだけ複雑なものではある。
だがごくごく簡単に、しかも低俗な言い方をしてしまうならば、不二子は魅力はあるけど危険すぎる「相棒のオンナ」であり、一緒に仕事しつつ口喧嘩も出来る…いわば腐れ縁の悪友的なものなのではないだろうか。
というか、そういうサバけた二人の関係が個人的には好みなのである。

不二子のために何かを盗もうとするルパンに文句を言ったり時に反対したりはするが、不二子の誕生日に「ハッピーバースデー」を歌ってあげる程度には、仲が良いのである。(新ル18「ブラックパンサー」より)
このくらいの距離感が、私にとっては心地いい。

そして、二人の間のことはルパンの存在なしには決して語れないということを、この際ちょっとだけ強調しておきたい(^^)。

(2003.7.2)


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