銭形警部の嗜好を探る



とにかくひたすらルパンを追い続ける銭形警部。
彼のプライベートな姿や、生活などはあまり描かれる機会がない。
かなり情報が少ないのだが、銭形警部の好き嫌いを考えてみたい。

カップラーメン?

銭形といえば、まず思い浮かぶのが「カップラーメン」。
とにかくカップラーメン、またはラーメンをすすっているシーンが多い。
「脱獄のチャンスは一度」(旧ル4)、「ルパン三世颯爽登場」(新ル1)、「吸血鬼になったルパン」(新ル34)、「怪奇鬼首島に女が消えた」(新ル105)、「珍発見ナポレオンの財宝」(新ル122)、「カリオストロの城」などなど。

常日頃ルパン逮捕に追われ、仕事中はゆっくりと食事を楽しむ暇もないのだろう。何しろ神出鬼没のルパンを相手にしなくてはならないのだから。
そういう忙しい人には、3分という短時間で出来てそこそこ美味しい日本のカップラーメンは重宝するに違いない。

だが、銭形警部は本当にラーメンが好きなのだろうか?
時間がないから、とか、自分でちゃんとした料理が作れないからとか、便利だからという理由で食べているだけなのではないだろうか、と考えてみた。
実際新ル1話では、豪華なディナーを食べているルパンたちを恨めしそうに(笑)見張りながら、ラーメンをすすっている。
カリ城でも、見張りをしながらラーメンの立ち食いをしている。そしてルパンが侵入してくる可能性のある場所を思いつくと、即座にラーメンを捨てて急行していた。
これらのシーンでは「好きだから」食べているという様子は見えない。

しかし、新ル122では、休暇中であるにも関わらず、ビーチでカップラーメンを立ち食いしているのである!(笑)
一ヶ月も休暇を貰ったのだから、当然時間はあるだろう。にもかかわらずインスタントラーメン。
このシーンを見ると、銭形警部はいつも「時間がない」からという理由だけでラーメンを愛用しているわけでもなさそうだ。
やはり味が好きなのか。それとも、休暇はもらったが金銭的余裕がないのか(まさか?)。もしくはそのビーチ近辺には、銭形警部の口に合うレストランがなかったか…。

銭形警部は、それほど食べ物に固執したりするタイプには見えないし、普通に食べられればその食事に対して文句をつけるような贅沢さもなさそうなので、口に合わなかったからというわけではない気もするのだが。
が、気の張る(ように感じられる)リゾート地のレストランで、一人で食事するのは「面倒」とはいかにも考えそうである。
面倒だから、食べなれているラーメンでいいや、という、食事に対する無頓着さはあるかもしれないと思うのだがいかがだろうか。(笑)
勿論、素直にラーメン自体が好きという可能性も高い。
「最後の差し入れはカップラーメン」で、ルパンにカップラーメンを差し入れる時、好意から胡椒をたっぷりかけている。
その様子から察すると、銭形好みの味は、コショウたっぷりのラーメンのようだ(^^)。

酒はかなり好きそうである。
ビールも飲めば、ワイン、洋酒も飲む。「炎の記憶」でまりやと飲んでいるときは日本酒だった(かな?←曖昧^^;)。
「白夜に消えた人魚」(新ル147)ではアクアビータを勧められ、任務中だというのにガンガン飲みまくっている。
そういえば、「ターゲットは555M」(新ル148)でも、いくら停電タイムになってしまったとはいえ、仕事中(しかもルパンを目前にして!)にビールを飲んで寝てしまっていた。
「サンフランシスコ大追跡」(新ル13)では、ノイローゼ気味だったせいもあるのだろうが、寝酒をくらって着替えもせず寝ている。
寝酒が習慣か?

さらには、「とっつあんの惚れた女」(新ル68)では、朝っぱらから風呂上りに缶ビールをあおっている。
相当な酒好きらしい。次元といい勝負か(笑)。
銭形警部の場合、手近にあって気軽に飲めるものなら、取り敢えず文句はなさそうな様子である。
が、確かパート3で「酒の肴にはおから」を好んでいると判明する場面があったような覚えがある。
そうだとすると、おからに合う日本酒が一番お気に入りの酒なのかもしれない。

やはり銭形は昭和一桁(笑)の日本人。普段贅沢を言うでもなく、好き嫌いをする様子もなく、かなりの粗食にさえ耐えているが(新ル12)、和食は好きらしい。
ICPOへ出向となり、世界中を駆け回ることになった銭形警部は、やはりここぞという時は和食が恋しくなるのだろう。
「VS複製人間」でも、「ワルサーP38」でも銭形警部は和食の店に入っている。
命からがらマモーのアジトから抜け出してきた後、そして退院した後。
普通に考えると、どちらも結構弱っている(もしくは疲れている)時である。(一見元気そうだったが)
普段は食事に頓着しなさそうな警部だが、そんな時は好物の和食を食べて気力も充実させるのかもしれない。
また、「炎の記憶」ではまりやが味噌汁を作ってくれたことで、気持ちが動いている辺りも見逃せない。

銭形警部の嗜好は、基本的にはわりと五右エ門に近いものがあると個人的には思ったりしている。
どちらも、古風な日本の男。刑事と泥棒という立場を取っ払えば、実は一番話が合いそう、という気がする。
ただ、銭形警部の場合、五右エ門ほどいろいろなものに「拘り」がない。
服も、食事も、部屋も、趣味も(そういえば、趣味ってあるのか?)……警部の場合は「用が足りていればいい」と思っているフシが感じられる。
彼の関心のほとんどは、宿敵・ルパンにだけ向けられているのだから。

恐怖症

銭形警部には、実は「恐怖症」が多い。
なんと「スピード恐怖症」(新ル57)、「高所恐怖症」(新ル34)だという!それ以外では雷も嫌いだという(新ル34)。
正直、「どこが?」という気分である(笑)。

初登場時から(旧ル1)ルパンと対等なドライビングテクニックを披露し、猛スピードで車を走らせていたし、以後ルパンを車で追う銭形の姿は数え切れない。
スピードを出す車の窓から顔を覗かせて怒鳴ったり、ルパンを捕らえるために車の上に張り付いたりと、とてもスピードを怖がっているとは思えない。
高いところもそうである。
ルパンを追って空からダイブすることも数え切れない。しかもパラシュートをつけずに飛び出したことも結構あった。
ルパンの乗った飛行機にしがみついたり、ヘリから下がる縄梯子につかまったルパンの足を捕らえて、空へ舞い上がっていたこともある。
「死の翼アルバトロス」(新ル145)でもルパンにくっついて空中を飛び回り、挙句最後はロンバッハと落ちて行った(笑)。
スピード、そして高い場所が怖くては、とても出来ない芸当ばかりである。
また、銭形と雷というと、「マモー編」の冒頭のシーンが思い出されるが、特に怖がっている様子もなく、ひたすらルパンの死が真実なのかどうか確かめようと車を走らせていた……

「スピード恐怖症」に関しては、猛スピードで車を飛ばしてやってくる銭形を発見し、次元がそう呟いている。
ルパンの認めた唯一とも言えるライバル・銭形警部。
銭形が、ルパンのあらゆるデータを知っているのと同様、ルパンたちだとて、銭形のデータは調査済みのはず。当然次元も知っているだろう。
その次元が「スピード恐怖症」と言うのだから、本来ある程度信憑性のある情報であると思われる。

考えられることは二つ。
銭形が、敢えて嘘の情報を流し、油断させようとしているか。もしくは、恐怖症はすべて本当なのだが、ルパン逮捕に燃えている時はそれらを完全に忘れ去ってしまえるか。
個人的には、後者だと思う。
銭形は自分の偽情報を流すタイプではないだろうし、実際そんな恐怖症を感じさせない行動ばかりルパンたちの目の前でしているのだから、まったく無意味である。
そもそも「高所恐怖症」と「雷嫌い」は、誰もいない断崖絶壁で銭形警部がひそかに呟いているのだ。当然、そんな時に嘘をつくとは思えない。

やはり、ルパンへの執念が、すべてを超えるのだ!
多少高いところやスピードが怖くたって、目の前に宿敵ルパンが見えていれば、あるいは頭の中がルパンのことだけでいっぱいの時は、そんなものどうということもなくなる。感じなくなる。
反対に、その姿がまるで見えなくなっている時は、本来の高所恐怖症が頭をもたげ、怖さのあまり「オシリがムズムズ」したりするのである(^^)。
銭形警部のルパン逮捕への執念は、かくも強い。

それ以外に銭形警部が「嫌い」「怖い」と言っているものはあまり思い浮かばない。
「炎の記憶」での「携帯電話嫌い」くらいか。
昔気質の銭形からすれば、いかにもイマドキ風の携帯電話が好きになれないのも頷ける。しかも自身忙しい人間であってみれば、携帯など持ったら静かに休むことすらできなくなってしまうのではないだろうか。

もともと銭形警部は偏食や何かへの強いこだわり・執着、贅沢な趣味などがなく、いたって質素な人柄であり、暮らしぶりのようである。
故に「嫌い」というほどのものも、それほど多くないようだ。


最後に。
原作において、銭形はルパンのことをこの手で八つ裂きにしてやりたいほど憎んでいる、と言っている。
だが、ルパンへの想いはそんな単純な「憎しみ」という言葉ひとつでは表せないほど複雑なものであると思われる。
実際「お前のことが好きだった」と叫んだり、「心の友だった」と告白したりもしている。また、ルパンが死んだら出家までしているのだ(風魔一族の陰謀)。
「白夜に消えた人魚」(新ル147)において、市長に「ルパンを愛しておいでですな」と言われ「ナヌ?」とビックリしているが、この言葉は当たらずも遠からずだろう。
愛憎相半ば。(愛のほうがかなり強い気もするけれど^^)
この辺のことは、人間関係考察であれこれと考えてみたいと思っている。

(2002.1.21)


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