第44話 消えた特別装甲車


特別装甲車

未年にちなんで(謎)当サイトテキスト新年一発目はこの回に。
今回、不二子と五右エ門はお休みである。レギュラー勢揃い率が、旧ルに比べて非常に高い新ルなので、こういう回は珍しい方。
だが、その分ルパン・次元・銭形が濃い。特に、やっぱりルパンと次元の相棒ぶりが堪えられない(^^)
五右エ門と不二子も、不在なのに強烈な印象を残すことを忘れない回でもある。

オーストラリア建国50周年記念式典を、ダーウィンで行うため、大陸の象徴である時価数十億の黄金像「眠れる獅子」を運ばなくてはならなくなった。
そのためシドニー警察は、特別装甲車を開発(なんだか凄ッ)。その装甲車で眠れる獅子を運ぶことにした。
ルパンが今回狙うのは、この獅子像。
この装甲車、マシンガンで撃ちまくってもまるで平気。ダイナマイトにもビクともせず、火炎放射器もなんのその。
しかも強力な麻酔ガスも搭載しており、ハトすらもうかつに近づけないという重装備である。

銭形に変装し、シドニー警察のペンギン警部から、特別装甲車についての説明を受けるルパン。
ルパンといえど盗むのは無理、というペンギン警部に対して、ルパンは「ルパンとは、不可能を可能にする男、盗みの天才、男の中の男、容姿端麗、頭脳明晰、健康優良」等等、銭形に変装しているのをいいことに、散々自分を褒め称えてみせる(笑)
ちょうどその時、「頭脳明晰、容姿端麗は言いすぎだぜ」と本物の銭形が登場。(でもその台詞は、旧ルオープニングで銭形本人が言っていたような。撤回したのか。笑)
変装がバレた時、自ら銭形の扮装をパッと取り去るルパンが、ものすっごくカッコイイ!
すでに、特別装甲車の下見という目的を達したルパンは、銭形の手錠や、シドニー警察の火炎放射器の攻撃を振り切って、車で待機していた次元と共に去っていく。

だが、ルパンの表情は冴えない。
さすがのルパンも、あの特別装甲車をどうするかでかなり悩んでいたのだろう。
お構いナシに次元は、「口もきけないほどビビッちまったのか」などと憎まれ口を叩く。すぐにルパンに「お前は黙って運転してりゃいいんだよ」といなされるが。
ズケズケと言いたいことを言う次元も良いが、ちょっと威張ってる(笑)ルパンの態度が激ツボ。
個人的に、この次元の憎まれ口は次元なりのルパンへのエールだと思ったりしている(ルジッ娘視点?^^)

それにしても今回、オーストラリアが舞台だけあって、これでもかとばかりにオーストラリア的な動物が登場しまくる。
ルパンたちが車を走らせているシーンでも、特別装甲車で逃げるシーンでも、羊、コアラ、エミューが登場。
そしてしまいには、カンガルーの袋に入って(!)ルパンと次元が逃走するというシーンまであるのだから恐れ入る。
その国の典型的イメージをサービス精神たっぷりに盛り込むのは、いかにも新ルらしいノリである。

車を走らせていると、途中ルパンたちの車が大量の羊に囲まれて身動きできなくなってしまう。
だが何が幸いするか分からないもので、その事がルパンにヒントを思いつかせるのだった。
特別装甲車を盗むヒントを。


さて今回のゲストキャラ、シドニー警察のペンギン警部は、かなりいい味を出していて、個人的に好きなサブキャラだったりする。
燕尾服を着て、姿かたちもややペンギンを意識したような感じで印象的だし、葉巻を尻に敷いてしまったり、そのズボンをつくろっていたのか針を手に刺したりと、ギャグもかましてくれる憎めない雰囲気。
そんなペンギン警部は、当然のことかもしれないがこの特別装甲車に自信ありで、一方ルパンの実力を知り尽くし特別装甲車を妄信できない銭形とは、警備上の問題で衝突する。
銭形は、ルパンは来ると言ったら来ると信じ、自分のやり方で黄金の獅子像を守ろうと考える。

組織に馴染んでいかずに、わりと強引にわが道を行くことの多い銭形。
それ故に地元警察とこうして争って結局単独行動をすることになるパターンが多いような気がする。
本来人よりも有能ゆえに己の実力を頼みすぎる性格であるせいと、あまりにも長年常識外れのルパンと付き合ってきたため、常識的な考え方に基づく警備では「当てにならない」ことを身をもって知っているせいなのであろう。
だが、あまりにも無謀で命知らずな銭形の行動には、時々ハラハラさせられる。

その時も、黄金の獅子像を運び入れるため、扉が開いていた装甲車を見た銭形は……。
あーあ、ひらめいちゃったよ、このお人は。


マイアミバカンス

何も知らないペンギン警部は、黄金像を運び入れると、早速装甲車をダーウィンへ向けて走らせるのだった。
その途中、装甲車は大量の羊の群れに遭遇、周囲を囲まれて身動き取れなくなってしまった。
その羊飼いは、勿論ルパン。
先ほどの自分の体験を元にこうして装甲車を足止めしたのだ。
羊飼いに化けたルパンの、ちょっと朴訥な田舎モノ風も物言いが絶妙。

そして!身動き取れなくなった装甲車を、ルパンが誘導した先は…ルパンの地下基地?に通じるポイントであった。
装甲車の乗った箇所は、一見普通の草原なのだが、実は地下へと続く巨大な仕掛けが隠されていたのだ。
護衛の警官達に、羊を追わせている間に、ルパンはその仕掛けで静々と装甲車を奪い、地下へと消えて行ったのである。
まさに「消えた特別装甲車」。

なんとゆーか、ホントにスゴイ…。これは、元々ルパンがオーストラリアにもっていた地下基地なのか、それともこれだけのために、こんな大掛かりな仕掛けを作ったものか。
個人的には前者かな、という気がする。
装甲車をルパンが見に行った日から、何日たっているのかはハッキリえがかれていないが、それほど日にちが経過しているとも考えられないので、後から作ったと考えるのは日数的に難しいだろう。
また眠れる獅子像を積んだ特別装甲車の通る予定になっている道に、銭形に変装して下見に行くなど大々的に「ルパンが狙っている」と知らしめてから、これ程大掛かりな仕組みを作るというのは、これまた難しいのではないか。
偶然、ルパンの基地の近くを、装甲車が通ることになっていたので、それを利用したと考える方が無理がないかと思われる。
(そうでもないかな^^;。ルパンの基地が都合よく事前にそこにあったというのも、苦しいといえばかなり苦しい)

何はともあれ、こうして特別装甲車を盗んだルパンは、邪魔な装甲車の操縦士らも眠らせ、ゆっくりと開けに掛かるのだった。

今回、結果から言えばルパンは、「黄金の獅子像を盗むこと」には成功しているが、「特別装甲車攻略」という意味では、成功はしていない。
銭形が乗り込んでいたという、突発事件があったからだといえば、確かにそのせいもあるのかもしれないけれど…
それにしてもルパンは、難攻不落の装甲車を「開ける」手段を、思いついていなかったようだ。
ドリルやツルハシなんか効くはずもないんだけど(笑)、とりあえずやってみたりして。
かなりの悪戦苦闘ぶりである。

こういう時に、すぐ根をあげがちなのは、やはり次元の方(笑)
「暑いなぁ」と言って座り込んで休んでいる。ムキになって挑戦し続けるルパンより、かなりスタミナがない(というか、飽きっぽいのだろうか?笑)
そして、この時の次元のボヤキから、今回姿を見せない五右エ門と不二子の行方が発覚するのである。

二人一緒に、マイアミでバカンス!!
そして次元の空想の中では、二人はサーフィンなんぞを楽しんでいるのである。
…気になる。非常に気になる(笑)。一体どういう経緯でこの二人が一緒にマイアミに行くことになったのか。
多分不二子の方から誘って、五右エ門が珍しく乗ったのだとは思うが……。
それにしてもこの二人、時々妙に仲がいいときがある。さすが元カレ元カノ(笑)の間柄か。個人的にはそういう感情抜きの、サッパリした、ある意味姉弟的仲の良さ希望だけれども。
旧ルでは、裏切られて以降不二子に対して微妙にピリピリしていたようにも見えた五右エ門だが、随分落ち着き人間が出来てきたようだ。
どうでもいい事だが、サーフィンでコケる二人は、次元の「ざまぁみろ」という台詞があることから、次元の想像だと思われるが、その中で不二子は黒いビキニ(しかも結構きわどい?)を着ている。
次元さんの趣味かしらなどとと考えるのは、邪道極まりないことなので、決して真似しないように(笑)


力づくで開けられないことに納得したルパンは、扉のダイヤル式のロックを開けるという正攻法に出た。
ペンギン警部しか、その閉め方・開け方はわからないようになっているらしい。
一見、ペンギン警部はすごく簡単そうに閉め、そして開けていたが、どんな金庫も軽く開けてしまうルパンがかなり手こずっているところを見ると、案外複雑な仕組みになっていたのだろう。
待ち切れない次元は、先にお宝拝見とばかりに、装甲車を覗き込む(やっぱり今回の次元は落ち着きがないですね。笑)
と、そこに見えたのは…銭形警部の姿。

銭形は、ルパンは必ずこの装甲車を襲うと確信しており、その中でルパンを待ち受けていたのである。
(超余談:うちの小説「タイムリミット」の元ネタその2がこの「消えた特別装甲車」だったり^^)
銭形を発見した時、次元が妙にうろたえていて面白い。ルパンに、「見て、見て」と言ってるその言い方が、すごく可愛かったりする。
さすがにルパンも、銭形が忍び込んでいることに驚く。
「開けられるもんなら開けてみろ」と銭形は得意気であったが、その様子が急変。
装甲車の中は完全に密閉されているため、酸素がなくなってきていたのだ。


借り

そのままにしていては、銭形は窒息死してしまう。ルパンは何としてでも装甲車を開けなくなはならなくなった。
「とっつあん、待ってろよ、今開けてやっからな」という言い方は、先ほどまでの様子よりも遥かに真剣そうに聞こえる。
だが、そんな猶予はなくなってしまった。
消えた装甲車を、徹底的に探していたシドニー警察に、ついに地下にあることを発見されて、すでに周囲を囲まれてしまっていたのである。
ルパンと次元は装甲車に乗り込み、とりあえずその場を逃げ出す。
無敵の装甲車は、こんな時役に立つ。攻略するのは至難の業だが、自分の手に入ってしまえば、どんな攻撃をされても恐れるに足らず。
追いすがる警察の車をかき分けて(笑)、ルパンは逃げ続ける。

だが、銭形はますます苦しそうになっていく。限界も近い。
ルパンだって開けてやりたいのはやまやまだったのだろうが、ずっと警察に追われたままでは、ゆっくり開けることすら叶わない。
次元は「装甲車を返してしまえばいい」と訴える。
最初、返すことに対してわずかに抵抗を見せるルパンだったが、次元の「ヤツは憎めねぇヤツだ」「ヤツの命には代えられねぇんだよ」という熱心な言葉に、ついにルパンも同意するのだ。
「わかったぜ、相棒よ」
くーーーッ!!(壊)

この時の、次元がルパンに上記の言葉を言うその調子が、優しく諭すような感じなのがものすごくいい。
さらにはルパンのこの台詞。そして二人で見交わすその笑顔。…とにかく最高なのであります(笑)。
このシーンを見るためだけに、いつもこの回を鑑賞する私。

それはさておき、随分熱心に銭形を心配しているように見える次元。実際心配していたというのもあるだろうが、それ以上に、なかなか自分からは後に引けないルパンの気質をイヤと言うほど知っていたからこその、この提言だったのだという気がする。
せっかく盗んだものを、しかもまだ挑戦の途中であるその獲物を、自分から「返そう」などと軽く言えるルパンではない。
だが、こんな状況では装甲車を開けることは出来ない。逃げ切った後でゆっくりと開けていては、銭形は死んでしまう。
警官は殺さないことを己に課しているルパンであるし、それ以上に銭形とルパンは警官と泥棒という枠を超えた、様々な情が通っている間柄。
銭形が死んでしまっては、ルパンは絶対に後悔するにきまっているし、自分自身を許せなくなってしまうに違いないのだ。
次元はそれを見越して、次元が装甲車を返そうと言い出し、ルパンは相棒の顔を立てて諦めた、という格好にした。…というのは、考えすぎ?

こうしてルパンと次元は装甲車を置いて、カンガルーの袋に入って逃げていった(これもスゴイ^^;)
いずれ必ず眠れる獅子をいただくと予告して。
ルパンの言葉から、装甲車の中に銭形がいることを知らされたペンギン警部は、扉を開き彼を助け出す。
死に掛けていたのに気づいた途端「ルパンは」というのだから、銭形の執念恐るべし、といったところ。
「ルパンが逃げていった」というペンギンの言葉から、すべてを察する銭形が、また渋くていい感じ。

眠れる獅子は、無事にダーウィンへと着いたが、しかしその後美術館からいともあっさりとルパンに盗み出される。
ハンググライダーを使ったお馴染みの盗み方。
ペンギン警部も結構頑張る方で、銭形ばりにルパンの足に捕まって空まで追いすがるが、ルパンにズボンを脱がれて地上の噴水までまっ逆さま。
それでもルパンのハンググライダーを撃ち抜かせたり、車で追いすがったりと、わりとねばる。

そんな時、ルパンと次元を追う警察の車に、横から追突してきた一台の車。…銭形である。
ペンギン警部の追跡を手荒な手段で断念させ、ルパンが逃げていくのを見送った。
「借りは返したぜ」と。ルパンが言うように義理堅い…あまりに義理堅い男。
この時の銭形の心情は、かなり複雑だったのではないかと思う。

命を助けられた感謝もあれば、よりによって「宿敵」のルパンに助けられ情けを受けてしまった不甲斐なさを感じもするだろう。
その手で捕まえることを生き甲斐としているルパンの後姿を、ただ見送らなくてはならなかったのは、もどかしい気分もあったのではないか。
でも、こうして貸し借りなしにして、一切の恩情や手加減抜きで、再び真剣にルパンを追いたい、というのは銭形らしくて見ている側としては気持ちがいい。

こんな義理堅く真っ直ぐな銭形だからこそ、ルパンも純粋な「敵」とは違った感情を持つのだろう。
最後、パンツ一丁でクシャミをしていたルパンに、「上等なズボンを買うこったな」と勧める次元と、そしてそれに同意して笑うルパンがとてもホノボノしていて、ここもかなり好きなシーン。
ルパンの「グフフ」でも「ンホホ」でもなく、「アハハハ」という珍しく?爽やかな笑い声も、かなり耳に嬉しいのであった(^^)


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