第43話 北京原人の骨はどこに


香港バカンス中

盗むものが「北京原人の骨」であるためか、かなり地味な印象のあるお話。
そして非常に偶然が多いストーリーでもある。
個人的には、この回ルパンがほぼ単独行動をしており、相棒とのやりとりが少ないのが寂しく感じる原因なのだけど(笑)、その一方で不二子が誰にも頼らず己の利益を追っている辺りが好感度高し。
また何と言っても「五右ェ門が気絶した不二子を膝枕させている」という、極めて珍しい場面があるのが最大のポイントだろう(見方間違ってる?)


舞台は香港。そこで奇術師・陳東南が手品ショーを行っていた。
終了後、楽屋に現れたのは薔薇の花束を持った峰不二子。「陳先生の奇術のファンで」と言って近づき、陳がドーランを落とすため顔を洗っているその隙に、かけていた眼鏡をすりかえるのだった。
陳が顔を上げた時には、すでに不二子の姿はなく、花束だけが残されていた。
車で去る不二子の独り言によると、すりかえた眼鏡には盗聴器が仕込まれているとの事。そして、陳の話を盗み聞きしていれば、北京原人の骨の行方がわかるのだという。
今回の不二子の狙いは、北京原人の骨なのだ。

その頃ルパンは、暑い香港にバカンスへとやって来た。タイトルにちなんで、骨休め?(オヤジギャグ)
バカンスとはいっても、何となくあてもなく街中をぶらついているように見える。香港に来るのは初めてではないし(21話)、わざわざ暑い中観光しなくてもいいようなものだけれども、後に次元へ言うように、「一日中スコッチ飲んで」ダラダラしているのは性に合わないのだろう。
「暇な時は遊んでいればいい」という次元と違って(69話)、ルパンは暇を持て余してじっとしている事が、基本的に苦手なタイプなのかもしれない。
ちなみに暑さの余りルパンがバスに乗るシーンがあるが、これはかなり貴重。新ルではルパンがバスに乗ったのは、この回と127話で間違えて警察のバスに乗り込んでしまった時の2回だけである。全テレビシリーズでも、この2回だけなのではないだろうか?
(※追記
この2回以外にも、47話でルパンと不二子がバスに乗り込むシーンがありました。というわけでルパンがバスに乗った回数はトータル3回ですね。
池本さん、ご指摘ありがとうございましたv)


そんな風に街をぶらついていたルパンを、またしてもレーダー並みの正確さで(笑)発見したのは銭形警部である。警察特製の船でルパンの乗ったバスを追う。
せっかくバスの窓から吹く風で涼んでいたというのに、銭形が追いかけてくるのに気付き、バスから逃げ出すルパン。
そしてしつこく追いすがる銭形を撒く為に慌てて飛び込んだのは、例の陳東南が手品ショーをやっている店なのであった。

最初は呑気に酒など飲みつつ見事な手品を見物していたが、銭形の嗅覚はさすがであり、ルパンはさらに慌てて手品が行われている舞台へと逃げることになる。
ちょうど、箱の中に入って手品の手伝いをする客を探していた陳、立候補したルパンと、それを追う銭形もろとも箱の中に入れてしまう(箱に銭形が入ってくるのを嫌がるルパンが可愛い^^)。
この時、銭形が「ルパン!」と読んでいるのを、陳は耳聡く聞いていた。一瞬だけ表情が鋭くなる。
それでも何事もなかったかのように手品を続け、箱をさんざん大刀で刺した挙句、中の人間を白骨に変えるというワザを披露、銭形はしっかり手錠をかけていたが、その相手は白骨になってしまっており、ルパンの姿は消えていたのだった。

舞台が終わった後、助けてもらったルパンは陳の楽屋にお礼に行く。すると、そこで唐突に人探しの依頼を受けることになった。
古びた写真を取り出し、「この女性を探してもらいたい」という陳。写真の美人にニヤけるルパンだが、その写真は40年も昔のもの、今は60歳になっている香蘭という女性なのだという。
ルパンは「60ってのが気乗りしないけど」と言いつつ(ルパンらしい・笑)、恩人の頼みだからと引き受けることになる。
基本的にルパンはむやみに冷酷なタイプではない。恩を受けたらそれを返そうとする人間なのだ。もちろんこの場合、持ち前の好奇心を刺激されたせいだったり、香港滞在に退屈していたから、と言う理由もあるだろうけれど。

その時、やってきたのは陳の部下らしき大男。彼は、陳を「洪秀全」と呼んだ。“陳”は慌てて部下を廊下へ出す。
どことなく怪しい様子に、ルパンは聞き耳を立てる。すると、陳というのは偽名であり、本名は洪秀全というらしい。
しかも、廊下で彼らは何やらひそひそと話し込んでいる。
どうやらこの大男が「お手上げ」と言っているのは、香蘭探しのことのようだ。
陳こと洪秀全は、偶然にもあのルパン三世と知り合いになれたのをいい事に、彼に香蘭を探させようというのである。自分たちでは見つけられなかったが、あのルパンなら、という事らしい。

再び熱い街中へ出て、香蘭を探すルパン。……考えてみれば、いくらルパンとはいえ大昔の写真一枚だけ渡されて、見ず知らずの女性を探し当てられるとは思えないのだが、そこがこの話の偶然連鎖マジック。
「洪秀全」という名に聞き覚えがあるとぶつぶつ呟きながら歩いているルパンに、突然ぶつかってきた一人の女。
「気をつけてよ!」と気の強そうな台詞に、ルパンは激しく文句を言いかけるが、相手が態度をやらわげ「俺好みの美人」だとわかると急にデレデレしはじめ、デートに誘ったりする。
だが生憎断られ、「再見」と去られてしまう。彼女を見送るときの、ルパンのバイバイの手の動きが妙に可愛い(笑)

単にナンパ失敗のシーンかと思いきや、なんとルパンが財布を掏られていたのである。
いくら「洪秀全」に気を取られていたとはいえ、天下の怪盗から財布をするとは……この女性スリ、かなりの腕だ。
さすがに取られてすぐに気付く辺りが、ルパンの一般人とは違うところか??(ちょっと苦しい?笑)

ルパンの財布を開けた女スリは、「チェッ、しけてンの」と言っていたので、大した金額は入ってなかったようだ。
それより、ルパンの財布がよーく見られるのも、ファンとしては嬉しい。財布を取り出す率は次元の方が高いので、ある意味レア?
ルパンの財布は、折りたたむ形の、赤茶色の財布であった。

それはさておき。女スリはしけた現金の他に、例の「香蘭」の写真を発見し、驚愕の表情を見せる。
たまたま掏った財布の中に、(後に判明することだが)自分の母の写真を見つけるという、とんでもない偶然が起きたのである。


女ブルース・リー

スリにあっても特に動じることもなく、当たり前だが被害届を出しもせず(笑)、ホテルへ帰ってビールを飲んでる呑気なルパン。やはり今回はバカンスモードなのだろう。
「あんなカワイコちゃんがスリなんて、世の中信じらンねえや」とぼやいているが、もっとカワイコちゃんなのにいつもとんでもない事をやってのけるさらに信じられない存在が、ホテルのプールサイドに居る事に気付く。そう、不二子である。
「不二子がまだ香港に残ってるなんて知らなかったぜ」という台詞から、わずかでも香港で一緒に過ごしたりしていたのだろうか?

不二子がヘッドフォンで何かを聞きながら、しきりにメモに書き込んでいる様子を見て、俄然知りたくなったルパン。
ボーイに嘘をつき、ロビーで客が待っていると不二子に告げさせ、彼女をその場から離れさせる。その隙に、メモと彼女の聞いていたものを調べるのだった。

メモには、洪秀全に関する情報が記されていた。
彼は北京原人の骨を保管していたラーメン博物館(!)の研究助手だったのだ。しかも現在は整形手術をして容貌を変え、奇術師・陳東南と称している……
ここでどことなく怪しかった陳先生の正体がわかった上、不二子の仕掛けた盗聴器からはまさに絶妙なタイミングで、彼らの目的に関する会話が流れてくる。ビバ偶然。

陳こと洪秀全は、研究助手の立場を利用して北京原人の骨を盗み出した張本人らしい。
その骨を、身元がしっかりしていた香蘭に「戦死した夫の遺骨だ」と称して渡し、その家の墓に収めてもらったのだという。
北京原人の骨という貴重なものなのば、時間がたっても高く売れると踏み、また身元のしっかりした人間の家の墓に隠してもらえれば、これ以上の安全はないとその当時は考えた。
が、戦争のために香蘭の家は没落し、彼女も、彼女の家の墓のの行方もわからなくなってしまった……
ゆえに今、懸命に洪秀全は香蘭の行方を追っているのだった。

すべての事情がわかったルパンは、不二子が戻ってきたのを期に、立ち去ろうとする。
その前にちょっとした悪戯をして、周波数を変え(?)、警察の無線が聞こえるようにしていく。このお茶目さがイイ^^
呼び出しが悪戯だったと怒りながら戻ってきた不二子、ヘッドフォンをつけてみると銭形の怒鳴り声が響き、大いに驚く。この様子もなんだか可愛い。
そして、ルパンからの忠告が、一枚の紙となって不二子の元に飛んでくるのだ。
「女一人で洪秀全を相手にするのは危険だぜ。愛するルパンより」と。(←愛するルパンより、の言い方がすごく好きーv)
この問題にルパンも絡んできている事を知った不二子は、慌てたようにルパンの姿を捜し求める。

それをホテルの部屋から見ていたルパン、カーテンを閉めると「お勉強の時間ですよ」と相棒二人に、北京原人についての講釈を始めるのだった。
部屋の中では、次元はずっとスコッチを飲み続け、五右ェ門は無言で斬鉄剣の手入れをしている。
ルパンの講義にもまるで関心を示さない。
次元ときたら、「お骨なんかどうするんだ」と「お骨」呼ばわり(←なんか妙に笑える)。
ルパンは、見つけたら世紀の大発見となる北京原人の骨を「ルパンコレクション」に加えるのだと張り切っている。
……どれだけ珍しかろうとも骨なんか盗んだってつまらないという次元の意見に、個人的には賛成なのだが(笑)、ルパンがこの世に二つとないものや、非常に珍しいもの、他の人間が手に入れられないものを欲しがる気持ちも、納得できる。
だが、今回は相棒がまったく乗り気じゃないので、ルパンは怒り、再び一人で出て行ってしまうのだった。

余談だが、ここでのルパンの講義では、まだ北京原人のことをシナントロプス・ペキネンシスと言っているが、現在ではホモ・エレクトス・ペキネンシスというらしい。
さらに余談だが、次元の「香港で優雅なバカンスを楽しもうって言ったのはどこのどいつだったかな」との言葉から、バカンスに誘ったのはどうもルパンのようだ。
また、ルパンの話にまるっっきり反応しない五右ェ門に腹を立てたルパンが、「せいぜい優雅な休日をお楽しみくだされ!」と五右ェ門チックな捨て台詞を残していくのもすごくツボ。
話し全体はなんだか緩いのだけど、どーでもよい細かいポイントで妙に楽しんでしまう(笑)


さてさて。ホテルのロビーに出てきたルパンに、今度は不二子から仕掛けてくる。
銃を向け、特殊液体金属の発信機をルパンの背中に取り付けるのだ。
拳銃を向けられてもまったくルパンが反応しなかったのは、発信機を仕掛けるだけだったため不二子に一切の殺気がなかったからだろう。また、液体なので気付かずにやり過ごしてしまったと思われる。
不二子がここで「ルパンを敵に回したくはないけれど」と呟いているのが、非常にツボ。ルパンを甘く見ておらず、彼の怖さ・手強さを認識した、怜悧なルパンのライバル・不二子といった感じが好ましい。
割り込んできたのはルパンなのだから、行動は監視させてもらう、という訳だ。
確かに、北京原人の骨に最初に目をつけていたのは不二子だったのだから、彼女の立場からすれば尤もな言い分である。

ルパンのほうは、唯一の手がかりである香蘭の写真を探していた。あれだけが唯一の手がかり。そのためには、あの女スリにもう一度会う必要がある。
だがそう簡単にはいかず、夜になってもルパンは香港の町を歩き回っていた。
すると、またしても偶然に(笑)、屋台で麺類を食べていた銭形と遭遇。再び銭形に追いかけられるハメになる。
こうなるとルパンしか目に入らない銭形はナント食い逃げし、警官隊を呼び寄せ、ルパンを袋小路に追いつめる。ルパンは行き止まりの道で立ち往生の大ピンチ。

と、その時壁を乗り越えて、一人の女性が現れた。例の女スリである。
ルパンがビックリするほど鮮やかに、次々とカンフーで警官ら、そして銭形を撃退していく。(ここのアクションシーンがもうちょっと迫力あったら良かったのに〜と贅沢言ってみたり)
その様子を見たルパンは「女ブルース・リー」と呟くほどの鮮やかさ。彼女はそしてルパンを助け、その場から一緒に逃げるのだった。

また偶然の再会!?と突っ込みたくなるところだが、この女スリもルパンを捜していたと言っているので、偶然だけとも言い切れない。銭形は笛を吹いて警官隊を呼び寄せていたし、そうした騒ぎのある方へ行ってみたらルパンを発見した、というところか。
彼女の名は春蘭。
あの写真の女性・香蘭の娘なのだという。彼女は香蘭の二度目の夫の娘であり、まだ「レディ」なんだとか(前夫の娘じゃ40過ぎになっちゃうものね!笑)。

彼女から話を聞いてみると……
すでに母・香蘭は15年前に亡くなっており、お墓もない状態。だが、そのお骨は前夫・春蘭の父のものも全部、興福寺に納めてあるとの事。
彼女から、興福寺との納骨契約書を見せてもらい、骨のありかがわかったルパン。これで手に入れたも同然だと笑顔を見せる。

その時、ルパンを追ってきた銭形が二人のいるホテルに突入してきた。
銭形が腕を吊っているところを見ると、春蘭との格闘で骨が折れたのかもしれない。案外女性相手に怪我する確率の高い銭形(46話とか)。
女だからと油断しているのが原因か。

それはともかく。当然ルパンは銭形から逃げ出す。が、この時の逃げ出し方がまた余裕で粋なんだわー(^^)
俺の手品見せてやるよ、と言ってテーブルクロスを目くらましにし、その隙に窓から脱出。警官らには、ルパンが消えたように見えたらしい。さすがv
ルパンは二階建てバスの屋根に着地し、そのまま去っていく。
だが春蘭は警官らをまたもやカンフーで撃退した後、「まだ話が……」とルパンに声を掛けるがもう届かない。どうもまだ話は終わっていなかったようだ。
そんな事には気付かず、ルパンは「前夫のもの」として納められている骨を取りに、興福寺へと向かうのだった。


くたびれもうけ

一方、不二子は指をくわえてルパンの動きを眺めているだけではない。ましてや、盗んできた後ルパンにおねだりしようなどとは考えてもいないようだ。
やはり不二子も女盗賊としての誇りがあるのだろう。こういうライバル的不二子も魅力的!
それに何より、不二子自らが語るように、ルパンと不二子では「北京原人の骨」に対する考え方が違っていたのが、今回共同戦線をとらなかった大きな理由の一つだろう。
ルパンは骨をコレクションしたいのに対し、不二子は骨そのものには何ら興味はなく、それを売ってお金を手に入れることが目的だったからだ。

不二子は「骨を売って金を儲ける」という目的が共通している洪秀全の元に乗り込み、銃を突きつけつつも、手を組もうと持ちかけるのだ。骨を売った代金の三分の一でいい、という条件で。(不二子にしてはかなり公平な条件?笑)
洪秀全とその部下からしてみたら、不二子が突然「割り込んできた」ことになる。当然信用しないだろう。
だがルパンに長年探していた骨を横取りされてはたままらない。今ルパンの居所を知っているのは、不二子だけなのだ。
不二子が、早くしないと骨はルパンの手に渡ってしまうと決断を迫ると、とりあえず三人は行動を共にすることになる。
このシーンで、「イエス?ノー?」と迫る不二子がとにかくカッコイイ!しかもこのシーンの顔がメッチャ美人v


ルパンは納骨証明書を元に納骨堂を探し、お骨の収められている場所を発見。骨壷を持ち出すことに成功した。

ちょうどその頃、不二子らも寺に到着するが、車を降りると大男の部下が不二子に襲い掛かる。
ルパンの居所さえわかれれば、不二子になど用はない。最初から利用するつもりだったのだ。
何度か男の攻撃を避ける不二子はさすがだが、ついにみぞおちにパンチを決められ、気絶させられてしまう(不二子になんてことするんだーー!)

そこへ骨壷を抱いたルパンが納骨堂から出てくる。
不意打ちで大男に足を引っ掛けられ、壷を放してしまうルパン。それは洪秀全がキャッチし、「ご苦労だったな」と声を掛ける。
ルパンに何も言う隙を与えずに、大男の攻撃は続く。さすが香港、男はヌンチャクの使い手だったのだ(笑←なぜか笑ってしまう)
ルパンは不二子が気絶している事に気付き、彼女を守るポジションから動けないせいか、はたまたヌンチャク系の武器を相手にするのは苦手なのか、それとも隙を伺っていたのか、じっと相手を見据えているばかりだった。
ヌンチャクの一撃がルパンを見舞おうとしたその時、ヌクチャクがポロポロと輪切りになってしまう。

そう、五右ェ門登場!
ルパンと男の間に立ちふさがり、「どこからでもかかって来い!」と一喝。とても敵わないと見て取ったか、大男は洪秀全と共に車で逃げていく。
ルパンは慌てて「骨返せ」と追おうとするが、五右ェ門が冷静に一言。「空を見な」←この言い方、なんか新鮮!
空にはヘリコプター。もちろん次元が迎えに来てくれたのだ。さすが相棒v
どうやってルパンの居場所を知ったのだろう?という疑問はあるが、この際どうでもいいことにしよう(もしかして、ずっとルパンの後を追ってたとか?笑)

さて、この話最大の見所がやってまいりました(完璧主観・大笑)
ヘリコプターに乗り込み、洪秀全の車を追うルパンたち。
不二子はまだ気絶したままなのだが、なんと後部座席で五右ェ門が膝枕してあげているのだ。貴重な、あまりに貴重な1シーン。五右ェ門のさりげない優しさが光る。
その一方で、ルパンは「不二子が邪魔しなかったらこんなに苦労しなくて済んだのに」とややご立腹の様子。気絶した不二子を大して心配してる様子もなく、怒った顔で気絶した不二子を見た後、次元に対してはやや猫なで声で「感謝するぜ、次元〜」と肩を叩いて笑顔を向ける。
全然相手にしてくれてなかったはずの相棒が、予想外のところで助けに来てくれたのがよっぽど嬉しかったようだ^^
次元の答えもまた粋で良い。「なあに、夕涼みの散歩さ。これくらいの余興があった方が楽しいぜ」。
ああ、相棒最高!
わざわざヘリまで乗って助けに来たのに、「夕涼みの散歩さ」なんて軽く言っちゃうところが、もうとにかくカッコイイ。
ほんの短いシーンだが、このヘリコプター内のシーンは美味しさに溢れている(笑)


ルパンのヘリから逃げる洪秀全の車は、銭形が敷いていた一斉検問に引っかかり、止まらざるを得なくなった。
その隙にルパンはヘリから宙吊りになり、骨壷を抱いていた部下ごと空へとかっさらう。
さらにはルパン現ると見て、銭形も大男の足にぶら下がるものだからたまらない。
男は足は千切れそうだけど、骨壷を放したらルパンから落とされてしまうと脅されているので、ひたすら耐えるしかない。これが力自慢の大男で良かったというところか(笑)

だが銭形はお構いナシにルパンを捕えようとするし、ルパンは銭形を振り払いたくて、ヘリから宙吊りだというのに大暴れ。
いよいよ次元の操縦にも支障が出てきて、ついには吊り下がってる三人はビルの中へと突っ込んでしまうのだった。
そこが香港警察だったというのもスゴイ偶然(笑)

真っ先に我に返ったルパンは、素早く警官の服を着込み、騒ぎを聞きつけてやって来た本物の警察官らの目を欺き、さっさと一人で逃げ出すのだった。
勿論、骨壷はしっかりと抱いて。

ようやく北京原人の骨が手に入り、上機嫌のルパンは、帰ってきたホテルのポーターに財布ごとチップとしてあげる気前の良さ。
(またまた余談だが、この時渡した財布は、春蘭が掏ったものと色は同じだが、折りたたむタイプの形ではないので、別物らしい。掏られた後すぐに財布を買ったのかしらん?笑)

しかし部屋に戻ってみると、どうもみんなの雰囲気が暗い。春蘭もやって来ていたが、どうも様子が変だ。
せっかく目的を果たしたというのに……不審に思ったルパンが問いただしてみると。
10年前に興福寺が火事で全焼し、納めてあったお骨はすべて灰になってしまったのだとか。
ルパンが手にしている骨壷の中には、ここ10年の間に納められた新しいお骨が入っているだけなのだ。
要するに、10年前の火事で、北京原人の骨はすっかり灰になって、この世から消えてしまっていたのだった。

存在しないものに振り回されたこの数日を思い返し、ルパンは「これが世に言う『骨折り損のくたびれもうけ』。ガクッ」と脱力してしまった。
……ホントに、この騒ぎは一体なんだったんだろうか(笑)。というか、「骨折り損のくたびれもうけ」のダジャレを言わせたいがために、盗むものをわざわざ北京原人の骨なんかにしたのでは?と思うほどの、骨折り損の物語である。

とはいえ、チョロチョロと小ネタで楽しめるし、所々でムラはあるものの総じてルパンや不二子の顔が好みなので、地味で小粒ながらも個人的には嫌いな話ではなかったりする。


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