第118話 南十字星がダイヤに見えた


キャプテン・クックの秘宝

正直、この話はそんなに好きなものではない。特に子供の頃はそうだった。
まずもって脚本が大原氏なので、毎度の事ながらルパンが無知なヤツにされてしまっている。ちなみにこの回では「ゼロ戦」を知らない。
一度くらいなら「ルパンの人の子、疎いものがあっても当然」と思えるのだけど、大原脚本回では笑いをとりたい部分で(?)ルパンを無知・滑稽な人間にしがちなので、積もり積もって個人的にモヤモヤしてしまう(例:74話でダイヤの加工法も知らない、また耳垢がたまってたせいで不二子にキスを断られる・83話で殺し屋に狙われているのに能天気に映画撮影に夢中・93話で「論語」を知らない等)。

まあ、ルパンの無知な部分に関しては、お子様の視聴者に説明するため敢えてルパンを質問役に選んでるんだ、というメタな解釈で何とか乗り切り(笑)、滑稽 な面はルパンのことだから「知らないフリ」「ドジなフリ」をしているのだと無理やり考えるとしても(ホント無理やりだな)……
この回は、未だに尾を引きずる第二次世界大戦、及び原子爆弾というヘビーな素材を扱っているのに、大原脚本的なB級コント風馬鹿馬鹿しさが相まって、何や ら中途半端感を感じてしまっていた。「ルパン」のターゲット層や娯楽的作品だという事を考えればシリアスにしすぎるよりは、いいんだろうと思うけれど。
また、この回の印象が悪かった理由のもう一つとして、不二子(特にサメに食いつかれそうになった時)の顔が、ものすごーーーく可愛くないので萎えるのであ る。もちろん不二子も時には表情豊かであっていいし、コミカル顔も好きだけど、この回の崩れ方はただブスなだけに見えてしまう(^^;

と、かなり印象が悪かった話なのだが、改めて観ると結構拾いどころもあったりして、ちょっとポイントUPしている1作である。


この回、ルパンたちはキャプテン・クックの秘宝を探しに、ラバウルへとやって来る。
ヘリで島の上空を旋回中に、五右ェ門が「太平洋戦争の激戦地」と、重々しい表情で呟いているのが、さすが歴史好き・日本男児らしい。
ルパンがロンドンで「キャプテン・クックの秘宝」という本を見つけた事が、今回宝探しにやって来る発端となったようだ。
ルパンがロンドンで本屋を覗いていた……この一事で、急にこの作品のポイントUP!本好きの私としては嬉しさのあまり、ルパンのように「ロンドン飛び上がっ」ちゃう(ゲンキン)

なんでもキャプテン・クックは、3万個の宝石で巨大な十字架を作り、ラバウル近海の島に隠したとの事。ついでにいうと時価数十万ポンドだという。
ちょっと珍しいのは、不二子が宝石に目の色変えず、「本当にあるのかしら」と懐疑的なところだろうか。ルパンが一番乗り気であるように見える。


ルパンたちのヘリを双眼鏡で見ている男がいた。鮫島である(名前が出るのはもう少し先だけど以下鮫島と記す)。
プールでサメを飼っており、しかも武器を手にした子分二人が控えてるという、見るからにカタギじゃない感じ。
彼もまたクックの秘宝を狙う男のようで、邪魔になるルパンを最初は部下に命じて殺そうとしたのだが、急に気が変わり、殺す前に利用しようと企むのであった。


多くの島の中から、どこにクックの秘宝があるのかわからず、気長に探そうとしているルパンたちのヘリを、突然襲ってくるものがあった。
ゼロ戦である。(すぐに判る五右ェ門すごい)
ここでルパンが「ゼロ戦ってなぁに〜?」と呑気な質問をすると、すかさず次元が「無知じゃない、お前!?」と突っ込みを入れる。
そう言われてプンとすねた顔をするルパンが可愛いので、ちょっと和みはするのだが、やっぱり毎度毎度大原脚本で「無知担当」になってるルパンを見ると、じわじわとHPを削られる気がする;
そのゼロ戦はいきなりルパンたちに攻撃を仕掛け、あっさりとルパンのヘリを撃墜してしまうのだった。

海に落ちたルパンたちは何とか無事だったが、攻撃はさらに続く。
…ここで、上から銃撃された時、ルパンが次元をさり気なく庇い、海の中に潜って弾を避けるシーンがある。
ホントに一瞬なのだが、これはイイ!実にイイ!(HP、回復)
そしてゼロ戦が去って行った後、所持していたゴムボートを膨らませて、乗り込む4人。あのゼロ戦に乗っていたのは何者なのか?と考えている間もなく、今度はサメが接近してきて、ルパンたちをゴムボートごと、どこかへ連れ去るのだった。


洞窟を通り抜け、辿り着いた場所は、鮫島の邸宅のプールであった。(ボート上でしっかり抱き合ってるルパンと不二子がツボv)
ルパンらを連行したサメは、鮫島に餌付けされ訓練されたサメだったらしい。
そして、鮫島という男は、この地で観光事業をしている社長サンだとの事。どーみてもそっち系の人なんだけど、表の顔って事なんですかね。
強制連行しておきながら、一応ルパンにちゃんと自己紹介や自社のジェット機を見せたりして、この時点ではまだ丁重な態度を取っている。
これからとんでもない唐突な依頼をするのだから、それくらい当たり前ではあるのだけど(笑)

先ほどのゼロ戦に乗っていた男は、未だに戦争が続いていると思い込んでいる日本兵の生き残りであり、どんなに戦争は終わったと言っても信用せず、接近するとああして攻撃をしかけてくるのだとか。
鮫島の観光事業の邪魔になること甚だしいというわけで、彼を捕まえて日本へ帰して欲しいとルパンへ依頼する。
当然ルパンは、最新ジェット機を持ってる鮫島なら、戦時中のプロペラ機の日本兵など自力でどうにかできるだろうと、頼みを断る姿勢を見せていた(この時、次元と顔を見合わせて笑い合ってる様子がまたまたツボv)

が。鮫島はとんでもない事を言い出した。あの日本人は原爆を持っていると。
だから迂闊に近づくことができないため、原爆を盗むという仕事をルパンにお願いしたいのだという。
それでもルパンはそんな依頼を受ける気は到底なく、あっさり「バイバイ」と帰ろうとするのだが……
本性を出してきた鮫島に不二子を人質に取られてしまう。不二子はプールの上に宙吊りにされ、その下をサメがウロウロと泳ぎ、あわや食いつかれそうになり、顔面崩壊するくらい必死の形相で、ルパンに助けを求めるのだった。(この顔がホントすごいんですよ…^^;)
ルパンが調子よく予想したように、不二子が「私の事はいいから」なんてしおらしい台詞を言うはずもなく、結局は原爆を盗み出すハメになるルパンたちなのだった。

それはそうと、日本兵が原爆を手に入れたのは、25年前(当時)のビキニでの実験で……という事なのだが。
魚をすくうような網で、原爆をキャッチ&ゲットってどうなの!?
スルーすべきなのはわかっているのだけれども、ついついツッコミ入れたくなるシーンなのでありました。


ちなみに(作中でもルパンが名前を出しているが)、この日本兵・君広一飛曹は、実在の人物である小野田寛郎氏、横井庄一氏をモデルにしたキャラクターだろ う。二人の日本への帰還が1972年、1974年だったので、新ル放映時では、戦争が終わった事を知らずにいた兵士という存在は、まだまだ「生々しくリア ル」だったのである。


原爆回収作戦

さて、君広の基地は、旧日本軍によって火山の下に掘られたものだと教えられ、そこへ向かうルパンたち三人。
宝探しが原爆探しか、と次元がボヤけば、夢がないよなとボヤは返すルパン。
山登りに疲れ、一服しかかったルパンに、またもや銃弾が浴びせられる。攻撃してきたのは、もちろん君広である。
……またもやどうでもいいツッコミなのだが、鮫島に邪魔にされる程執拗に接近するものを攻撃し続ける程の、弾丸だの燃料だのはどうやって補給していたのだろう。なくなる前にゼロ戦で飛んで、どこからか盗んできていたのだろうとは思うのだけど(??)。

正面からは接近できないため、ルパンらは裏に回って地下壕に潜入した(これまた入口発見できたのは、ルパンのドジのお陰なんですが^^;)。
早速ゼロ戦と原爆を見つける三人。
すぐにバラそうとするのだが、ルパンが「せっかくだからコレクションにとっておきたいシロモノだよな」と呟くのが、酔狂なルパンらしいというところか。
アニメのルパンは原爆なんて全然興味を持たない感じだが、原作では原爆を欲しがっていた回もあるため、個人的にそう強い違和感はない。

しかし簡単にはいかなかった。すぐに君島に発見され、ホールドアップさせられてしまう。
が、またまた意外な展開。君広は、五右ェ門の着物・袴を見て、彼らが日本人だと知り(五右ェ門の「どういうわけだかそうだ」という答えが笑える)、よく来てくれたと歓喜の涙を流すのだった。
ずっと孤独な戦いをしてきた君広としては、同胞の日本人に会えて感無量だった気持ちも分かる。
泣き崩れる君広に、五右ェ門がまた一言「初めてだぜ、日本人ってだけでこんなに感激されたのは」。(「だぜ」がいい感じ!)
ルパンはやんわりと説得にかかり、「日本はとっくに戦争に負けた」という事を伝えるのだが、君広は頑なに信じない。

山本五十六直々の命令を受けている彼は、それをあくまで死守する気構えなのであった。
ちなみにここでもルパンは山本五十六を知らず、君広に怒られているが、まあ、幼い頃から日本で育ってたわけでもなさそうなルパンが、旧日本海軍連邦艦隊司令長官を知らなくてもこれはOKかなという気がする(笑)

君広は、昭和18年に山本五十六から受けた命令は、クックの十字架のあるソロモン群島一帯を死守すべし、というものだった。
そもそも日本軍が南西太平洋に攻め込んだのは、この伝説のクックの十字架を入手するためだったというのだから……この設定にも驚きである。
以来、君広はたった一人になっても、命令通りソロモン群島周辺を死守しており、山本直々の命令解除がないと、止めるつもりはないと言い放つ。

ここで次元が無頓着に(それでもちゃんと十字を切ってる)、山本五十六はとっくに戦死してると言うと、またもや君広は怒り出してしまい、てんで話にならない。
が、ルパンは彼の回想でクックの財宝を見つけたというところに飛びつき、彼からその在り処を聞き出そうとするのだった。

鮫島のせいでとんでもないことに巻き込まれたように見えるが、クックの財宝を手に入れるためには、ソロモン群島を探し回らなければならず、結局はそこを 守ってるつもりの君広と接触せずにはいなかっただろうし、ましてや彼が財宝の在り処を知っているとなればなおさらである。まあ、なるべくしてなった展開と いえるだろうか。

宝の在り処を聞き出すために、君広の出した「兵士になって一緒に宝を守るならば」という条件を、あっさりとのんだルパン。
号令がかかるやいなや、素早く整列する三人。…結局、次元も五右ェ門もノリがイイのね(笑)
「番号!」という君広に対し、「1」「2」と日本語で(しかもかなりキビキビと!)答えた五右ェ門、次元と違い、ルパンだけが「トロワ!」
なぜなら「オレ、日仏混血ルパ〜ン三世」だから。

これまで旧ル13話で、ルパンの祖先に日本人がいたと言われていたが、それも魔毛を引っ掛けるための罠だった可能性も高く、実際のところはよくわからないという状況であったが、ここでルパン自ら日本人の血を引いていると言っている。
まあアニメトータルで通用させていい設定なのかは定かではないが、個人的には、日本で活躍していた時期も長いし、日本人二人を相棒にしているし、ルパンに 日本人の血が流れてたら親近感UPだなぁと思ったりする。国籍や血なんか全然関係なく、無国籍で自由な「地球人」(by原作)というルパンも勿論魅力的で すが^^


それはさておき。
(大原脚本の)ルパンはどうしてこう、バカな事をしでかすのだろうか。こんなにバリバリの戦中派で、未だに外国人を敵だと信じている君広に対し、わざわざ「トロワ!」という掛け声を返し、逆上させるなんて……と、かつての私は思っていた。

だが、迂闊でした。コント風のノリに目くらましを喰らい、うっかりしてしまった;
この後の展開を考え、また台詞をよく聞くと、ルパンは最初から“わざと”君広を怒らせたのだと気付いた。
敵だと思えば平気で発砲してくるという事をすでに見抜いていたルパンは、敢えて敵国語を使って君広を怒らせ、それから逃げねばならないように仕組んだのではないか。
そして、崖から落ちたと見せかけて一旦姿を隠し、変装する隙を伺っていた。
「山本五十六の命令を死守する」=「山本五十六が命令すれば、原爆も引き渡す」と考えたためだろう。
ついでに、これだけ崇拝している山本五十六に化ければ、クックの秘宝の在り処もすぐに白状するはずという目論みもあったはずだ。
一見バカみたいに見えるこの回のルパンだが、そう考えると瞬時に先々まで考えた上での「マヌケのフリ」なのね、と思うと嬉しくなる。

逃げた弾みで崖から落ちてしまったルパンを、死んだと思った相棒二人。(ホントは崖にへばりついて助かってる)
ここでの五右ェ門の台詞がいい!「確かにルパンは日本人ではなかった。だがいいやつだった……あなたを、斬る!」。
祖国日本のためにこうした状況下に置かれていた君広への敬意があるゆえに「あなた」という言葉を使いつつも、ルパンを死に追いやった事は許せない気持ちがよく出ていて、ちょっと好きなシーンである。

刀を抜いた五右ェ門の気迫に押され、逃げる君広。すぐさま原爆をたてに取り、刀を捨てねば撃つと脅すのだった。
しかし、そこへ現れたのは、山本五十六……に変装したルパンであった。
君広は上官を死んだとは思っていないのだから、まるで疑う様子もなく、彼の出現に感激し、これまでの命令解除を受け、また原爆解体を指示されると素直に従うのだった。

ルパンはマスクを取って相棒に合図。やはり、変装する時間が欲しかった」と言っている。うむ、台詞はよく隅々まで聞かねば(自戒)。
二人も、ルパンが生きていてホッとしたことだろう。


空中戦

さて、無事に原爆の解体をさせたルパンは、いよいよ本題に入る。クックの秘宝の在り処はどこだったか、と君広に尋ねるのだ。
しかし、ここで不審を抱かれてしまう。宝の在り処を山本本人が知らないなどと言い出したのだから、奇妙に思っても当然だろう。
が、ルパンは強引に話を進め、地図を見せながら探りを入れるが、ボロが出るばかり。
それまで飾っていた写真どおりの「山本閣下」にまるで違和感を感じていなかったのに、ようやくここにいたって「生きていれば95歳のはず」である事に気付き、ますます不信感を募らせる。
めげないルパンは、咄嗟に老人バージョンの山本五十六に化けるものの(瞬間マスク変え!)、そううまく行くはずもなく、君広に変装がバレてしまうことに。
当然、怒り狂った君広は、“不敬な”ルパンたちを切り殺そうと刀を振り回し始める。
……この辺がいかにも安っぽいコント風で、ちょっぴり萎えるんだよなぁ。正直、個人的にはあまり趣味じゃないという感じ。


その時、鮫島一味が現れた。原爆が片付けられるのを、待ち構えていたようだ。
ルパンに対して「礼だ」と言って催眠ガス弾を投げつけると、眠った君広だけを引きずって連れ去るのだった。勿論、クックの財宝の在り処を聞き出すためである。
催眠ガスを吸ってしまった五右ェ門と次元だったが(次元の帽子が取れてる寝顔がいい感じ^^)、ルパンだけは素早くゼロ戦に潜り込み、防毒マスクでガスを吸い込まずに助かるのだった。さすが!

誘拐された君広は、逆さ吊りにされ、鮫島から宝の在り処を白状するように求められる。
すんなり喋るような人間でない事は最初からわかっていたようで、鮫島は用意しておいた自白剤を打ち、宝のある島を聞き出すのだった。


次元と五右ェ門を起こし、鮫島の後を追ってきたルパン。「どーいう目にあわせてやろうか」とご立腹である。
そこで吊るされている君広の姿を発見し助け出すが、全然意識が戻らない。そこでルパンが取ったのは、ショック療法。何をするのかと思いきや……
「ウ〜〜ウ〜〜」と警報の真似! すかさず次元もノッて(顔は大真面目)「バンバン」と銃撃戦らしき音を演出する。
とどめは五右ェ門、これまた真顔で「空襲だ!」と叫ぶのである。わはは。
すると、目を覚ます君広一飛曹。戦時中を生きている(と信じている)緊張感の賜物か。
…軽く余談だが、足をくじいたと痛がる君広に対し、「だいじょうぶ?」というルパンの言い方がものすごく可愛い^^

君広は、鮫島に宝のある島の場所について喋らされてしまった事を思い出し、慌てる。
するとその時、鮫島の邸宅だと思われていたものが、実は最新鋭の空母であり(!!)、突如「軍艦マーチ」をBGMに動き出すのである。
このままでは、クックの宝は鮫島に奪われてしまう。
次元が「あのゼロ戦なら追いつけるかもしれないぜ」と言うのだが、君広は足に怪我を負っていて操縦が覚束ない。
と、ルパンが「オレが操縦するよ!」と申し出るのだった。

ゼロ戦という名前は知らなかったけど(拘る・笑)、あらゆる乗り物を巧みに操縦できるルパンの事、ゼロ戦操縦くらい朝飯前なのだろう。
実際、君広からは「なかなか操縦がうまいじゃないか、青年」と褒められている(^^)←「青年」呼ばわりされてるところが、なんかツボ。
が、すぐに踏み込みが足りずに叱られ、前言撤回されているけど、ご愛嬌ってことで(笑)。
しかもこのゼロ戦、強く踏み込むと穴があいてしまうようなオンボロ具合である。
……この時、壊れた部品が、潜水艦でルパンを探していたらしい銭形の頭にぶつかり、気絶させる。この回、銭形の出番はここと、ラストシーンのほんのわずかなところだけである。


そんなオンボロゼロ戦を飛ばし、君広と共に鮫島の空母を追いかける。
敵はすでに先発隊のジェット機が財宝の島を発見していた。が、ゼロ戦で追ってきたのを発見すると、鮫島は撃墜を命じる。
最新鋭のジェット戦闘機と、旧式のゼロ戦での空中戦が繰り広げられる。
「アルバトロス」レベルを望んでいるわけではないけれど、もうちょっとだけこのシーンが迫力あったら、楽しかっただろうなぁと思ったり(欲張り?)。
圧倒的に不利な武力を、知恵で補うとか、あとスパイス一振りみたいなのが欲しかったというか。
それがルパンの椰子の実爆弾なのかもしれないけど(笑)
ルパンの操縦テクニックと、椰子の実作戦(?)がまんまと成功して、敵を返り討ちにしてしまう。そこで交わされる、ルパンと君広の笑顔がいい。

が、敵はもう一機残っており、ルパンにはもう武器がない。あわや撃ち落されるかという時、敵戦闘機が爆発した。
なんと、気球で追いかけてきた次元のマグナムによる援護なのだった。さすが次元、いいところを持ってくなぁ(笑)
気球はどこで手に入れたの?とか、そんな野暮なツッコミは、相棒二人が駆けつけてくれて嬉しそうなルパンの顔が見られたからナシ、ナシv

敵機がいなくなったその隙に、ゼロ戦は空母に降りようとする。
当然、空母からの反撃はあったが、次元と五右ェ門のナイス援護により、無事着陸するのだった。(それにしても、司令塔ごと斬ってしまう斬鉄剣、相変わらずすごすぎ)
不二子を人質に取りつつ、鮫島が現れる。君広は、自分の名前を知っている事に驚くが、鮫島とは回想シーンに出てきた、山本司令官の副官・眼帯をしていた男なのだった。
ここのサングラスの使い方はうまいなぁと思う。
南の島だし、プールサイドにいたし、悪役だし(笑)、大きなサングラスをしていても全然違和感がなかった鮫島、片目が不自由であることを(視聴者から)隠していたんですね。

それはいいとして、鮫島は副官だというのに、司令官から秘宝の在り処を教えてもらっていなかったらしい。
軍部の秘密とはそういうものなのか。はたまた、副官ではあるけれど、あまり信用されていなかったのか。
鮫島も、長い事クックの秘宝を捜し求めていた男なのであった。
……戦後、ずーーっと探していたのに見つからないくらい、ソロモン群島って島の数多いんですかね?それとも鮫島の日頃の行いが悪くて見つからなかったのか。

後一歩でその宝が手に入るとあって、鮫島は邪魔者をすべて片付けるつもりだ。不二子に銃を突きつけ、全員サメのいるプールの中へ飛び込めと、命令する。
だがその時、銭形の乗っていた潜水艦が空母にぶつかり、その衝撃でプールに落ちたのは鮫島の方であった。
ルパンが壊した部品が頭にぶつかったり、こんな危機的な場面で空母にぶつかってきたり、とかくこの回の銭形は妙にタイミング良くぶつかるものである(笑)

プールに向かって「お前なんかこうだ」と言いつつ、銃を撃つルパンと次元。
しかし、狙っていたのは、サメの方。怯えさせただけで彼を許してやり、五右ェ門が「もう悪事を働くでないぞ」とプールから出してやろうと手まで差し出すのだった。
結構酷いことされているのに、鮫島への処置はわりと優しい今回のルパン一味。確かにここで鮫島が食い殺されたり、ルパンたちに撃ち殺されると後味が悪すぎるので、こういう態度でいいんだろうな、と思う。


そしていよいよ、クックの秘宝がある島へと赴くルパンたち。クックの十字架を目の前にし、「クックー」と大喜びで丘を駆け下りていくルパン。
だが、そこにあったのは、戦闘機の墓場である。激しい空中戦が、この島の上空で何百回と行われたのだとか。
「魂の花・ブーゲンビリア」が、その戦闘機周辺に咲き乱れ、それが赤い十字架に見えていたのである。

そこへ銭形が銃を構えて現れるが、ルパンに周囲の景色を見ろと促され、「逮捕の前にちょっとだけ黙祷させてくれない?」と言われると、途端に銭形の人の良さが顔を出す。
「弱いんだよな、戦中派のオレとしては、こういうの」と言い、黙祷を許す。みんな神妙に目を閉じる……
案の定、黙祷終わり!と言って目を開けると、ルパンたちだけ逃げていたが(笑)、このシーンはなんだか結構好きである。


そして君広とルパンたちの別れ。ここのシーンもイイ。
君広は結局日本に帰らず、ラバウルに眠る戦友たちが寂しがるからと、ここに骨を埋める覚悟であることをルパンに告げる。
ルパンが「達者でな」と言うと(この言い方もさり気ないのにグッとくる!)、君広は敬礼で答えてゼロ戦と共に去っていくのだった。

結局、クックの十字架は見つからず終い。だが、ルパンはちっともガッカリしていないし、不二子も同様なのが、非常に後味が良い。
ルパンは十字架なら見つけたと言い、南十字星を指し示す。今回は不二子もそれに怒ったりするような野暮な女ではなく、一緒にそれを見上げて満足している。
「十字架なら、君の瞳にだって……」というルパンの二枚目台詞は、とにかく素敵すぎて何度もリピートして聞いてしまうほど(笑)
仲良く寄り添う二人に背を向けて、次元と五右ェ門が「やれやれ」といった風なのも、いつもの調子でなんか楽しい。

今回改めて観てみると、所々良い感じのシーンが混じっているのに、全体としてはちょっとアンバランス感があり、絵柄もあまり好みのものじゃなかったのが残念だなぁという気持ちの残る作品となった(キャラクターの細かい演技は好きなんだけど!)


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