第148話 ターゲットは555M


555M

風の吹き荒ぶ中、ルパンがトレンチコートを身にまとい登場。
「次元、お前の腕を見せてもらうぜ」
次元はライフルで、ルパンの額に印された一点に狙いを定め……限りなく正確にそこを撃ちぬく。ルパンがニヤリと笑った。

こんなシーンから始まられた日にゃ、興奮せずにはいられない(笑)
面白さを予感させる、最高のオープニングだ。
新ルベスト10で2位にしたくらい、本当に「ルパン三世」の醍醐味を堪能できる、大好きな話なのである。

特別な超硬質ガラスがルパンの前には立てられていた。次元のライフルでも、ほんのかすり傷程度しかつけられない。
「本物」はそのガラスの2,3倍の厚さ。しかも距離は555M離れている…とルパンは言う。
「出来るか、次元?」
「無理だ!……と、言ったらどうする?」
ルパンは笑って答える。「お前は言わないさ」
「…だったら聞くなよ」
キャ〜ッvv さ、最高のやり取り!(超興奮・笑)
お互いを知り尽くした、ルパンと次元ならではの会話。淡々とした口調の中に、相棒への信頼が詰まっていて…
とにかくカッコイイ!
次元が自転車に乗っているというシーンもなかなか貴重だし、このオープニングは本当に名場面だと思う。この回は、こういう名シーンだらけと言っても過言ではないのだが。

ルパンたちが今回狙うのは、マリンタワー展望台で行われるダイヤモンド・オークションの宝石だ。
その展望台は、ダイヤの搬入後天井にも床にも高圧電流が流される。展望台へ出入りするには、ただ一つのエレベーターに乗るしかない。
展望台も、エレベーターもすべてガラス張りで、周囲からは丸見えの状態。まさに「空中に浮かぶ金庫」といった状況。
保険会社のミス・オリビアに化けた不二子と、銭形に変装したルパン。二人はしっかりとその警備状況を確認した。
ルパンは、その途中で強化ガラスに、小さな印をつける……

「さすがのルパンでも今回ばかりは無理」と不二子は言うが、ルパンは「危険があるから保険ってものはあるンだぜ?」と、勝算ありげな様子だ。
不二子もこの宝石オークションの存在を知り、潜り込んでいたようだが、あまりの警備の凄さに諦めたのだろう。ラストで登場するが、最初から今回は何もせずに山分けに預かろうという魂胆だったのかもしれない。
銭形とオリビアとしてまんまと偵察を済ませてマリンタワーを抜け出したルパンと不二子。
2人が変装を解き、楽しそうに大笑いしながら車を走らせているシーンは、とても微笑ましく、そして爽快だ(^^)

いくらすごい警備でも、この程度は予測していたのかもしれない。ルパンにはすでに作戦が出来ていた。
今回の仕事は、次元の射撃の腕がなくては成り立たない。
フロアへ侵入するために、次元は風で動く高い足場から、555M離れたマリンタワーの強化ガラスのただ1点に向けてライフルを撃ち続ける。強化ガラスに穴が開くまで。
ルパンのつけた小さな印。それを確認した次元は「やめたくなってきた」と思わず呟くほどに、困難なヤマである。
ここで次元がカモメに向かって、「安心しな、獲物はお前らじゃねぇよ」と言うのが、なぜか無性にツボだったりする(笑)次元の独り言って、かなり好きなのだv

風力3。アゲンスト。条件は良くない(らしい)。
そんな中、次元はひたすらライフルを撃ち続ける。
…考えれば考えるほど、これって神業だと思う。555M離れた場所の、ほんの1点「だけ」に、寸分の狂いもなく当て続けなくてはならないのだから。
そんな神業のような芸当を、次元はやってのけるのである。


世界一のスナイパー

ルパンにとっ捕まっていたわりに、今回のとっつあんは余裕の構えである。この警備に自信を持っているのだろう。
新ルのとっつあんは、やはり一部の話を例外として、どうしても道化役というかギャグ担当と化しているので、ここでシビアな切れ者警部に描くのは難しいのだろうが…
この話で、もしもとっつあんが敏腕警部として活躍したら、本当に最高に面白かったのに、という気がしないでもない。
まあ、新ルのとっつあんにしては、頑張っている方なのだが。
自信を持つだけの警備であるのは確かだ。唯一つしかない展望台へのエレベーターは上に上げたまま、下の乗り場を警官でビッシリと固めている。真っ当に考えたら入り込む隙などないのだ。

ルパンは壁に穴を開け、何とかエレベーターに乗り上へ上がろうとする。勿論、そのための作戦も考えてある。(さすが!笑)
そこで五右エ門の出番である。
とっつあんら警官たちの前に突然姿を現し、小刀を投げつけただけで、警備員の注意をそらすかのように逃げ出した。が、その時とっつあんはいつもよりも頭を使い(笑)、五右エ門の誘導に引っかからずに持ちこたえた。
しかし、五右エ門の真の目的は、その小刀。
小刀をエレベーターの「下」のボタンへ突き刺すために、警備を攪乱するかに見せ掛け、五右エ門はこんな派手な行動をしたのである。
五右エ門の小刀によって呼ばれたエレベーター。
それに乗って、ルパンはまんまと展望台への潜入を果たす。ガラス張りのエレベーターを曇らせて、潜入したことがすぐにばれないようにすることも忘れない。

次元は、まだライフルを撃ち続けていた。風が変わる悪条件にも拘らず正確に、ただ1点だけに命中させ続けて…。
超硬質ガラスに、ようやく弾がめり込ませることに成功した。
展望台についたルパンは「まだか」などと気軽に訊くが、次元の言う通り次元の仕事はデリケートなのだ。
その時披露される、次元の子供の頃の思い出話。
あまり子供の頃の話をしない次元にとって、かなり珍しい出来事である。
射的屋で遊んでいた時、あと1発というところで弾がなくなり悔しい思いをしたのだという。

その時次元が狙っていたりは、キャラメルなんかではない!ピンクのドレスを着たフランス人形だったのだ!(笑)
意外…というか、何だか似合うというか。
どうして次元は、フランス人形なんか狙ってたのだろう。妹にでもねだられたか、好きな女の子でもいたのか…
自分が欲しかった、という考えだけは採用したくない、個人的に。←当たり前(笑)?

無駄口を叩きながらも、次元はついにやってのけた。硬質ガラスに穴を開けたのだ。そしてさらに、その穴にたった一発の特殊な弾を通してみせた……。
その見事な技に、ルパンですら思わず言葉を失う。
「どうした、ルパン。射的屋のオヤジでさえ当たった時は何か言ってくれたもんだ」という次元に対して、ルパンは、ほんの一拍おいてから「当た〜り〜」と、ようやくおどけていつもの自分のペースを取り戻した。
ルパンの沈黙は、心底次元の腕に感激したからだろう。
「次元、お前は世界一のスナイパーよ」と、ルパンは大絶賛。……たぶん本心から次元を褒め称えている。
普段、めったに次元の腕前を褒めたりしないであろうルパンが、ここまではっきりと言葉にしたのだから、その感動の大きさが伺える。
そして、ルパンからその賛辞を受けた次元は、いたって満足げに笑うのだ。
やっぱり、いいですねぇ、この二人は!

さて、ここからがルパンの出番だ。
水鉄砲で水を撒くと、高圧電流のせいで水蒸気が生じガラスを曇らせる。
そして次元の通したワイヤーを手掛かりに、高圧電流の流れる床に触れず、次々とダイヤを奪い始めた。
奪っていく時のルパンの楽しそうな様子といったら!これが泥棒の醍醐味というものなのかもしれない。


大成功

その頃五右エ門は、エレベーターの途中の硬質ガラスと格闘していた。
ダイヤを奪ったルパンのための抜け穴である。
次元のライフルですら、数え切れないほどの弾数を要して、ようやく穴があけられたシロモノ。鉄をも斬り裂く斬鉄剣といえども、一度で穴を開けることは出来ないようだ。
斬りつけた五右エ門の、痛そうなコト!めったに見れない、五右エ門の崩れた顔は必見(笑)。
ものすごく苦労した挙句、ようやくガラスを丸く破った五右エ門は一言。「もっと手ごたえのある相手かと思ったが」。
さすが武士。この強がりがたまらない。「武士は食わねど高楊枝」の精神が五右エ門の中には生きている(ちょっと違う?笑)

ガラスが曇った様子に、とっつあんもボヤボヤしていたわけではない。対応はちょっと遅いが、エレベーターで展望台を偵察に行こうとする。
盗んでいる途中エレベーターが下に呼ばれて、ルパンならずともちょっとハラハラするのだが、ドアに挟まったダイヤ入りの袋も幸い破れることなく、ルパンは盗みを完了した。
とっつあんは、結局ドタバタした挙句にルパンの開けた穴から落ち、這い上がったところを警官に不審者扱いされボコボコになる。ああ、お疲れ様。

この時侵入していることが発覚したものの、後はルパンとしては五右エ門の抜け穴から出るだけだ。
とっつあんとしては、バタバタしなくとも出入り口は一箇所しかないと思っている。五右エ門の作った抜け穴のことは、気づいていない。
とっつあんたちはエレベーター前で待ち構えた。
ルパンは改めて降りてくる。「街の灯りがダイヤに見えるぜ」などと呟きながら。カッコイイ〜vv(笑)

だが、何が起きるか、予想もつかない。
ルパンが降りつつあるちょうどその時、街全体の灯りが消えた。「省エネタイム」とかで、その街の夜中は電気の供給がなくなるらしい。
このままでは、ルパンは朝までエレベーターの中に閉じ込められることになってしまう。
そうと知ったとっつあんは、急に余裕をかまして部下に仮眠を取らせ、自分は酒まで飲んで(!)寝入っている。うーむ、さすが新ルのとっつあん(^^;
ここで、とっつあんだけは一人警戒している…という具合だと、非常に面白くなったような気がするのだが。

一方、閉じ込められたルパンは途方にくれた。
五右エ門は、朝になってこの抜け穴が見つかっても「命に代えてここを守る」というようなことを言っている。
これぞ、五右エ門!!ルパンの相棒の鏡!(^^)
彼は義理堅く、ルパンを大事に思っている相棒なのである。本来お金や女に狂ってしまうハズもないのだが(^^;←無関係なボヤキ
ルパンも「あんがと」と感謝はしているものの、朝になる前に逃げ出したいところには違いない。

そして、ルパンはエレベーターの重しを斬れ、と五右エ門に言う。
「そんなことをしたらお主は…!」と五右エ門は、エレベーターごと落ちてしまうことを心配するが、ルパンは「そうなる前にお主のところへ飛び移るけどな」と答える。
五右エ門もそれしか手段がないとわかると、もう余計な口は挟まなかった。この態度はルパンへの男同士の信頼が表れているような気がする。
余談だが、ルパンや次元が五右エ門の口真似をして「お主」などと言ったりするシーンは、どれも無性に好きだったりする(^^)

準備が整ったところで、五右エ門がワイヤーを斬りつける。少しずつ、ワイヤーが斬れていき、全部が断ち切られると…
猛スピードでエレベーターは落下した。
ルパンは、一瞬タイミングを誤ったら即、死につながるようなジャンプを、正確に飛んだ。やっぱりルパンの身のこなしは最高vv
ルパンを受け止める、五右エ門の姿も良い。爆風が吹き上がって相当熱いだろうに、懸命にルパンの腕をつかむ。
ルパンはこうして脱出した。

ルパンたち3人の総力を結集した仕事は、大成功!
次元の銃の腕、五右エ門の剣さばき、ルパンの身のこなし、どれが欠けても作戦は失敗しただろう。
ルパンと次元、ルパンと五右エ門のそれぞれの相棒度も高く、本当に最高の話の1つであるv

最高なのはラストも。
船上で楽しそうにダイヤを山分けする3人。そこへ、不二子がヘリで押しかけ、分け前に預かろうとする。さすが不二子、ダイヤのこととなるとあつかましい(笑)
威嚇射撃までするのだから、怖い、怖い(笑)
「ヘリごと叩き斬ってやりたいところだが…」という五右エ門は、腕の酷使がたたって右腕が使えない状態に。同じく次元も自慢の指が曲がったまま元に戻るまで銃は撃てないようだ。
「後はまかせた」とルパンを置いて早々に去っていく。
「働かざる者、いただくべからず、だとよ」と言い、ルパンは大きく息を吐いた。そう、エレベーターのガラスを曇らせたときの「オマケ」と同じようにして。
すると、不二子の乗ったヘリのガラスが曇ってしまう!このナンセンスぶりがまた最高(^^)
ルパンたちを見失った不二子は無人となった船の上をウロウロ旋回するばかり。
その隙にルパンたちはダイヤを持って、車で去っていくのだった。
指が曲がったままの次元が運転してたり、リュックいっぱいのダイヤを楽しそうに背負ってるルパンの表情など、最後の最後まで楽しませてくれる回である。

つくづくルパンたちはプロフェッショナルだと再認識する。
特に次元の射撃の腕に関しては、見惚れる以外ない。
が、この作戦を考えたのは、IQ300の我らがルパンであることをお忘れなく(笑)。ルパンスキーとして一言添えておく次第でした(^^)。


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