第22話 ダイヤに炎は似合わない


1万カラットのダイヤ

合計1万カラット、時価300億ドルのダイヤモンドを巡ってのお話。
改めてこの話を観つつ、「パースリって面白いわ!!」と強く実感した。
というのも、とにかくちょっとした動きに遊び心があるのが楽しい。正直この回の前半パートのルパンの顔は、あまり好みではないカットが時々混じるのだけど(パースリルパンの顔で黒目が小さすぎると変ー;)、それでもユーモラスな動きに目が離せなくなる。
引きの画面でも、キャラクターがそれぞれ「らしい」表情をちゃんとしてたりするので、ぜひともパースリは、一瞬も目を逸らさず、できれば瞬きも控えめに(無理!笑)ご覧いただきたい。それくらい、楽しいです。
加えて、全体的に次元のテンションが相変わらずちょい高めなのが非常に愉快。


冒頭、ルパンたち4人は、それぞれルパン・次元組、五右ェ門・不二子組に分かれて、1万カラットのダイヤが保管されているセシル・ローズの会社へと潜入する。
何の説明もなしに、突然深夜の潜入シーンから始まるので、こういうのが好きな私としては異様にワクワクしてしまう^^
次元が赤外線レーザーの電源を一発で仕留めたり、五右ェ門が忍術的な隠れ蓑で監視カメラから不二子共々身を隠したり、この潜入シーンだけでも見所あり。

それはそうと、新ル時代に比べ、パースリ時の赤外線スコープは、形状がより複雑になっており(描写が細かい)、より機能が充実してる感がある。
また、この回の潜入シーンで着ていた不二子の黒いツナギは、時々出てくる赤いツナギ(代表例:7話)の色違いであり、個人的にはパースリでよく見かける「レオタード風不二子の仕事着」があまり好きでない私にとって、非常に好ましい仕事時のスタイルである。

閑話休題。
金庫室で合流した二組は、アイコンタクトですべてを済ませ(この意思の疎通っぷりが燃える!)、いよいよ金庫攻略に取り掛かる。
五右ェ門が再び、本物そっくりの金庫の絵が描かれた布を隠れ蓑として、一瞬のうちに手裏剣で貼り付ける早業を披露し、監視カメラの目を誤魔化す。
その間にルパンが金庫を開け、まさに山のように詰まれた膨大なダイヤとご対面と相成る。

金庫が開いた瞬間や、ルパンが背負っていた特大リュックに、ダイヤの山を崩しながらそれを入れて行く時の次元の嬉しそうな顔もイイ。(ダイヤを入れながら、帽子の影からチラッと目が見えるのが特にイイのだ^^)
当然、これだけのお宝を目の前にした不二子は、嬉しさの余りダイヤの山に頬ずりして、思わず笑い声を漏らす。

が。
突然ダイヤから炎が噴出したのだ。瞬く間にダイヤは炎に包まれる。
火災報知機が鳴り響き、どうにもならなくなったルパンは、撤退を決める。大好きなダイヤ(笑)が燃えてしまうなどというあまりの出来事に呆然とした不二子は、逃げることすら忘れていたが、ルパンに手を引かれて金庫室から出る(これもツボ)。
火災報知機が鳴っているというのに、一見、監視ルームからは異変が確認できなかった、というのだから、五右ェ門が貼り付けたニセ金庫の絵は薄暗い室内という事を差っぴいても相当良いデキだったのだろう。
そのニセ金庫の隠れ蓑を一閃すると、中からルパンたちが飛び出して来、しかも金庫は炎と煙に包まれている。ビル内は大騒ぎに。

来るときと違って、尽く警備装置に引っかかり、仕掛けられた自動マシンガンからさんざん弾を浴びせられる4人。
五右ェ門がそのうちの一台はいつもの如く斬り伏せ、一瞬満足げな顔をするものの、続く壁際がマシンガンだらけなのを見て「イッ!!」と目をひん剥く様子がおかしい^^
別ルートへ逃げようと、階段へと方向転換する際のルパンの動き(勢いづいて曲がる時ちょっと行き過ぎる)とか、帽子を押さえて片目だけ大きく見開いてる次元の表情だとか、階段を降りてる時のルパンの掛け声だとか、この辺も観てるだけで非常に楽しい。
ついに階段踊り場に追いつめられた時の「あーらダメだわ」というルパンのトーンの低い声だとか、その後ガラスを破って逃げ出すシーンで、またもや次元が真 ん丸く目を見開いてる顔(しかも押さえたはずなのに結局帽子だけ落ちるのが遅れる!^^)だとか、ツボな箇所を拾っていくと、本当にキリがないので、「と にかくパースリは細かいのでよく観て楽しんでください!」とアピールし(笑)、話を進めよう。

海の中へ飛び込み、何とか逃れたルパンたち。
ここでさすが抜け目ナシだと感心するのは、あの予想外の事態の中で、ルパンが口の中に一個だけダイヤを隠して持ち帰ってきていたことだ。
かなり大きなダイヤが口の中に入ることにも、ある意味感心(笑)。

アジトへ戻ると、そのダイヤを調べるルパン。
失敗した後とあって、次元は機嫌が悪そうだ。新聞でもダイヤを焼き払ったのはルパン一味の仕業とされてしまっており、また仕事を持ちかけてきた不二子が消えてしまってるとなれば、不機嫌になるのも当たり前かもしれない。
しかし、ルパンはいたって冷静だ。
あれだけの量のダイヤが焼けたんだから、ダイヤの価格は上がっているだろうと、指摘。すでに敵の目的を薄々察しているようだ(ああ、頭の良いルパンって最高v)

五右ェ門に「ダイヤは斬れるか」と尋ねると、五右ェ門は無理だと答える。が、ルパンは「でも斬れるかもしれないぜ」と、意味ありげにダイヤを放り投げる。
斬鉄剣が閃くと、その“ダイヤ”は真っ二つになっていた。そう、最初からあの金庫の中にあったのは偽物だったのである。
ルパンたちは、ダイヤの価格を急上昇させるために利用されたのだった。

余談になるが、新ル74話では、五右ェ門はダイヤを斬っている。
だが、そちらのレビューでも書いたが、ごく個人的な感想としては、斬鉄剣はダイヤまで斬れなくてもいいんじゃないのかなぁと思っている。あまりにも万能ナイフ化しすぎても興ざめだからだ。
これまた個人的趣味の問題だが、上記新ル74話が怪作ばかり連発した大原氏脚本だということを考えても、あまり「斬鉄剣はダイヤも斬れるはず!」とは思いたくない(苦笑)ので、この回の「ダイヤは斬れない」設定には満足している。

さて。その黒幕、セシル・ローズの会社に、ルパンは銭形として乗り込む。
セシル・ローズは自分は被害者だという顔を取り繕っているが、ルパンである銭形は、チクリと「ヤツラは偽物を焼いて本物を持ち去ったのでは?」などと半ば図星をさしてローズを冷や冷やさせる。
その隙に、ルパンはローズの社長室に盗聴器を仕掛けた。そして、続いて現場を見ようとドアを開けると……
お馴染み、本物の銭形と鉢合わせ(笑)
とりあえず盗聴器という目的を果たしたからか、銭形にマスクをひん剥かれつつも何とか逃れ、またしてもガラスを破ってビルの外へと飛び出していった。
(逃げる時の、「アバヨッ」の言い方と、パンと手を鳴らす音がこれまたイイんだわ〜v)

ルパンもてっきりこの窓の下は海だと思っていたようだが、社長室と先日の階段踊り場とでは向きが違っていたためだろう、下は完全なビル街で海なんかどこにもない。
真っ逆さまに落ちるルパンは慌てるが、そこは相棒のナイスサポートが^^
弾むクッション荷台付きのトラックで、絶妙なタイミングでお出迎え。さすが。
ポンポン弾んだルパンが、クッションの上で「9.85」と体操選手の真似をするのもちょっと可愛い。

その後、銭形は徹底的にローズの部屋を調べさせる。ルパンが銭形に変装してわざわざ乗り込んできたのだから、何も仕掛けていかないはずがない、と言うのだ。
そして盗聴器を発見すると、「あんたルパンに恨まれてるんじゃないですか」と鋭いところを見せる。ルパンは、何の恨みのない人間のダイヤを焼いたり、盗聴器をしかけたりするはずはないから…と。また、ルパンの恨みを買うと、とんでもない事になる、とも警告している。
この回では、それほど派手な見せ場のない銭形ではあるが、出番は少なくとも、こうして「ルパンのことをよく知っている」「悪役の口車に乗せられず、真相を見抜こうとしている」様子がえがかれているだけでも、今回の銭形のポイントは個人的に高い。
この銭形の台詞は、ローズへの警告であるのと同時に、半ばルパンに聞かせるための銭形の台詞だったのかな、とも思う。
「何かしようとしたってお見通しだぞ」くらいの意味合いだろうか。


殺し屋一味

その会話の後、盗聴器を踏み潰され、話を聞くことが不可能になったルパン。踏み潰された時の音のスゴさにひっくり返るほどだったが、「恨みを買った覚えはない」だとか「真っ当な商いをしている」などと銭形に対してすっとぼけていたセシル・ローズへの怒りは増すばかり。
次元も銭形に言われその気になったか(?笑)、自分たちの恨みを買ったらどういうことになるのか見せてやろうじゃないかと意気込み始めた。
五右ェ門だけはちょっと距離を置いた冷静さを保っており(こういう大人なゴエも好きだわ^^)、本当にハメたのがセシル・ローズなのかと念押ししている。

ルパンは、この仕事を持ってきた上、ビルの監視体制の詳細を手に入れた不二子が、「会社の一番偉いやつ」から情報を入手したと言っていたことを引き合いに出し、セシル・ローズの仕業だと断言する。
それに同意したのは、再び姿を現した不二子だった。

一旦行方をくらましていた不二子のことを、ルパンは最初からローズとグルだったのでは…と、疑っていたようだ。
確かに日頃の行いや(笑)、情報がすべて不二子からもたらされていたこと、逃げる最中で姿を消したこと等を考え合わせると、疑いたくなるのも尤もといったところか。
だが、騙されたのは不二子も一緒なのだった。不二子を通じて、ルパン一味を操り、本物のダイヤが焼失したという事件をでっち上げ、ダイヤ価格の高騰を自ら作り出し大いに儲けようというのがローズの当初からの計画だったのだ。

不二子は自分も騙されていた事に腹を立て、その後も情報収集に当たっていたのだとか。そのため、一旦姿を消したように見えていたのだ。
この回では不二子は最初から最後までルパンの仲間であるのと同時に、かなり行動力に飛んだ女として動いているので、とても好きなタイプの不二子である。
おねだりばかりして自分では指一本動かすのも面倒がっていそうな不二子や、変に色気ばかりを売り物にして頭の中身も尻も軽そうな不二子なんかじゃない回も、パースリには結構あるので、そこも要チェック(^^)

不二子情報によると、ローズは摩り替えておいた本物のダイヤを、黒く塗って「石炭」として海外へ輸出するのだという。ルパンが言う通り、「国外で高く売るつもり」なのだ。
事情がわかったところで、ルパン一味の反撃が始まる。


一方、ローズの方も油断しているわけではない。銭形に「ルパンの復讐」の恐ろしさを説かれたためか、殺し屋一味を雇っている。
報酬はダイヤ売り上げの1割――30億ドルだ。
この殺し屋は一匹狼ではなく、部下を引きつれた「殺し屋集団」のようなので、この報酬を一人で受け取るわけではないにしろ、一生遊んで暮らせるだけの金が転がり込むとあって、彼は乗り気である。相手がルパン三世だということも、あまり気にしていないようだ。
計算がやたらと遅く、ちょっとおバカさんな雰囲気もあり(笑)、憎めない感じの殺し屋さんなのだが、本編で彼の名前が呼ばれたシーンがなかったような気がする。名前なしのゲストなのだろうか。
強烈な印象を残すキャラという程ではないが、何となく嫌いじゃないゲストだったので、名前なしなのだとしたら、ちょっと残念だ。


ローズが輸出する荷物を見張る不二子たちだが、どれに「石炭」が入っているのか判らない。
だがそこはまたしてもさすがにルパン、手回しよく調べて来、トラックの一台だけ目的地が違うという情報をもたらす。
その一台を追って、ルパンたちは車を走らせ、頃合を見計らい、一気に前に回りこむと、強引に道を塞ぎ、トラックを止める。
ここで4人が、それぞれニーッと笑ったり、(五右ェ門だけ)刀をちらりと見せたりし、にこやかな威嚇をするのがすごく楽しい^^
それを見た運転手は大慌てで逃げ出してしまった。
ルパンが「次元〜、またお前怖い顔で睨んだんだろ」と言えば、次元が「冗談言うなよ、俺ぁ何もしてねえよ」などという会話もツボ!!

何はともあれ、ダイヤが手に入ったと思った4人は、不二子を筆頭に早速ダイヤとご対面しようとする。中から輝くダイヤが現れるものと、せっせとダイヤを磨く不二子は、ちょっと可愛い。
しかし、いくら磨いてもそれは真っ黒い石炭のまま。念のため五右ェ門に斬らせると、やはり中身まで石炭そのものなのだった。
またしてもローズにいっぱい食わされたというわけだ。く、悔しい←ルパンの代わりに悔しがってみる(笑)

運転手が慌てて逃げたのは、次元が怖い顔で睨んだからではなく、自分の車が囮であることをわかっていた運転手が、ルパンらが現れたら、すぐに殺し屋たちの攻撃が始まると知っていたからなのだろう。
案の定、崖の上には殺し屋一味が取り囲んでいる。
例の名無し(?)の殺し屋が、朗々とルパンに対して「恨みはないが云々」とカッコつけて喋っていたが、その隙に当のルパンたち4人は、話も聞かずさっさと車で逃げ出していた。道化的ゲストの宿命のような扱いされてるわ〜(^^;

殺し屋一味は30億ドルの得物を逃すまいと、車で追跡を開始する。
が、またしても道化ポジションの殺し屋たちは、自分たちが撃ったルパンの車のサイドミラーやトランクの蓋が、跳ね返ってきて自滅を繰り返す。
殺し屋は自滅してる自覚がなく、うちの若いのがやられた!とルパンへ怒りを向けるのだが……この時のルパンと次元の会話が最高に良いので引用!

ルパン「あーゆーのォって俺たちのせいなの?」
次元「あーゆーのを責任転嫁っていうんだ。Are you Know?」
ルパン「Yes,I know」

ニンマリ笑いながらダジャレってる次元、実はさりげなく「あーゆーのォって」とネタフリしてるルパン、どっちも最高!!このシーン、好きすぎるv
あまりに相手が自滅を繰り返すものだから、すっかり余裕をかましてしまい、追跡を振り切る前から笑い出す始末だったが(この辺の二人のノリも好き)、やっぱり油断大敵。
敵が撃ちまくったマシンガンにより、崖上の岩が転がり落ちてきて、ルパンの車をペチャンコにしてしまうのだった。

車ごとぐちゃりと潰れていれば、やや頭が悪そうな殺し屋さんが「殺った」と信じるのも無理ないかもしれない。
こちらもすっかり油断して、部下に向けて「アラブへ行くぞ」と大声で号令してしまう。これは、セシル・ローズがアラブでダイヤの取り引きをするとバラしたも同然だった。

もちろん、ルパンたちは死んでなどいない。素早く車から脱出し、崖から逆さまに宙ぶらりんになりつつも、しっかりその話まで聞いていたのである。
ここで注目なのは、不二子の力持ち具合(笑)。
ルパンは両手で不二子を抱きかかえながら、崖から突き出た木に足を絡ませ、いわば4人の命綱状態になっているのだが、それはまあルパンだから納得。
その先をよく見てみると、抱きかかえられてる不二子が片腕を伸ばし、次元の右足首を掴んでいる。さらに次元が五右ェ門の左腕を掴んでいるという状態になっているのだ。
要は、ルパンのサポートもあるによせ、不二子は片手で男二人分の体重を支えていることになる。さすが。本気出したらやっぱり不二子はすごいぞ(笑)

以前は、この辺の殺し屋とのバトルがちょっと物足りないようにも感じていたのだが、今は、作品のトーン自体が軽めであることと、ローズに出し抜かれ続ける ルパンがどうやって逆転するのかというところがポイントの作品だと私には思われるため、この「殺し屋の自滅」と「ほぼまぐれで(?)ルパンの車を仕留め る」というノリは、かなり好きである。


300億ドルの灰

殺し屋たちは、ローズよりも早くアラブ某所の取り引き現場へと着いていた。
一刻も早く報酬が欲しい、部下にもボーナスを支払いたいという事らしい。私がこのちょっとドジな殺し屋を憎めないのは、この人が部下思いだからのようだ(自己分析)。

ローズ、そして殺し屋一味が、ダイヤを買ってくれるアラブの大富豪・モハメドを待ち受ける。
自家用飛行機らしきモノで登場したモハメド、ローズは大富豪にすっかり猫なで声だが、その正体はルパン。
ドジョウヒゲ&次元ヒゲ(笑)をつけただけの素顔に、アラブ風の衣装をまとっただけに見えるが、ローズも殺し屋もルパンだとは気づかない。
よっぽど300億ドルに夢中だったのか。はたまたルパンの「訛り」ある喋り方にすっかり騙されたのか(この訛り方もいいv)

「モハメド様」に化けたルパンは、早速箱いっぱいに詰まったダイヤに走り寄り、突然水筒から何かを振り掛ける。
ローズは戸惑い、モハメド・ルパンに尋ねると、「酒じゃよ。美しいものは清めてから手に入れよということわざがこの国にはあっての」と、もっともらしい(?)言い訳をする。
だが、ローズにしてみれば、お金さえ支払ってもらえれば、ダイヤをどう扱おうとモハメドの勝手だと思ったのだろう、大して深追いすることなく、すぐに「御代の方は…」と持ち出している。ナイス商人根性。

モハメド・ルパンの合図で、三つのトランクに詰まった大量の札束が持ってこられる。もちろん、それぞれのトランクを抱えていたのは、次元、五右ェ門、不二子である。
開くと、確かにそこには現金が。一つに付き100億ドルが入っていたのだろう。殺し屋たちが「こんな大金見たことない」とざわめくのもすごくわかる。(もし私も目の当たりにしたら「わー!」とか叫んでしまいそうな大金だし・笑)

と、ちょうどその時、飛行機の中から、縛り上げられた4人のアラブ人が転がり出てくる。
本物のモハメド氏と、その部下たちだ。
「これは一体」と、ローズが今まで本物だと思い込んでいたモハメドの方を振り返ると、「ありゃ〜バレたかい」と、ルパンはパッとアラブ風衣装を脱ぎ捨て、正体を現す。
ヒラヒラしたアラブ衣装が落ちると、そこにはそれぞれ変装を解いた4人の姿が。カッコイイ!

ルパンはさんざん自分を利用しコケにしたローズに、「礼をしに来た」のだという。
ただダイヤを奪うだけではなく、取り引きのために用意された現金300億ドル、ダイヤそのものと合わせて合計600億ドルを頂こうという寸法なのだ。
別の手段を使って、さっさとダイヤだけでも(あるいはモハメドと入れ替わる時に現金だけでも)持ち逃げしなかったのは、ルパンのプライドがそうさせるのだろう。
パースリでは、ちっとも気負った感がないのであまりビシビシと誇り高いルパン!という感じはしないが(しかも今回のオチはあんな感じだし)、やはりルパンから恨まれるととんでもない事になる……そういう男なのである。

ダイヤに降りかけていたのは、酒ではなくガソリン。
ルパンは煙草をくわえつつ、ライターを取り出して、武器を捨てないとダイヤを焼くぞと脅すのだった。
これは冒頭で、贋物ダイヤを焼き、ルパンのせいにした挙句、それによって大儲けしようとしたローズへの復讐として、ルパンが相応しいと考えたやり口なのだろう。
わざと敵の用いた手段を使い、皮肉な復讐方法を好むルパンらしいやり方のように、私には思える。

(縛られているとはいえ)取引相手のモハメドがちゃんとそこにいるのだから、ダイヤが焼かれたらたまらない。殺し屋たちも報酬が手に入らなくなるのは不本意である。
というわけで、ルパンはライターをちらつかせただけで武装解除に成功。
ルパンがダイヤの上でライターをかざしているため、彼らが身動きできない間に、次元たち三人が三つのトランクを持ってきた。
これで、ダイヤと現金がルパンの手に入った。あとは逃げるだけ……となったその時。

銭形率いる警官隊が、ラクダに乗って(!)乱入してきたのである。どこでかぎつけたのか、ルパンに関しては本当にハナが効くったらありゃしない。
銭形が来たとあっては、ますます早く立ち去らなければならない。ルパンは、警官隊突入のドサクサで、ヘリコプターに乗り込んだ。
一方、殺し屋一味は「デカだ、応戦しろ」と、警官隊に発砲しはじめる。なんかスゴイ殺し屋一味だな。

飛ぼうとするものの、1万カラットのダイヤを引っ張り上げつつ、300億ドルの現金入りトランクまで乗せたので、すっかり重量オーバーになってしまったヘリコプター。
操縦桿を握る次元は「トランクなんか捨てちまえ」と言い放つ。
ルパンは抵抗を試みるものの、「つかまってもいいのかーッ」と大口あいて怒鳴り飛ばす次元の迫力に押され、「ああ〜」としょんぼりした顔を見せる(この次 元の怒鳴り顔&怒鳴り声と、その後のトランク抱えてしゅんとしたルパンの顔、殊に口元が、とにかく可愛いことこの上ない!!)。
このままヘリが飛ばなければどうにもならない事はルパンなら百も承知。仕方ないと、トランクを地上へ放り投げるのだった(よく不二子が素直に捨てたなぁ・笑)。

これまた余談だが、新ルでは比較的次元の方が「利益」を重視していたかのように見えたが、この回では無事逃げ切るためにこれほど多額の現金を捨てろと、躊躇なく言っている。
口調からしてややヤケっぽい感じもするけれど(笑)、次元がルパン的思考に馴染んできたのかなぁと妄想するとそれも美味しい。
当の感化させたルパンの方が、現金を惜しんでいる風だが、それはきっと「現金そのもの」が惜しかったわけではなく(無論多少は惜しかろうけど)、「ダイヤ もお金も両方奪ってやってこそ、ローズのハナをあかせる」というのがルパンの目的だったから、こんな風に渋ったのだと思われる。
いざとなったら現金など、何の躊躇いもなく焼いたりできるのがルパン…ということがよく判る一作が、次の23話である。
余談終了!(笑)


ルパンが悔しがりつつも捨てた現金が空に舞い散ると、殺し屋たちは大喜びでそれを懐に入れようと必死になる。
お金などにまるで目もくれず(さすが!)、それを機に油断した殺し屋たちを一網打尽にする銭形。

一方ルパンたちのヘリは、あまりに重たいダイヤを引き上げるのに、まだ苦戦していた。
その上、ダイヤだけは渡すまじと、ローズが箱の上に乗ってきたからたまらない。ますます重量オーバーで上がらなくなる。
それを見たルパンは、降りるようにローズに向かって叫ぶ。――先ほどの、煙草をくわえながら(!!)

なんとも迂闊なことに、その煙草は、怒鳴ったルパンの口からポロリと、ガソリンまみれになったダイヤの山へと落ちていったのだった。
さすがのルパンもこれには固まってる。
一気に炎を噴き上げたダイヤの上には乗っていられず、尻に火がついた状態でローズはようやく箱から降りる。
が、やって来た銭形に、「俺も騙しやがって」と逮捕されてしまう。この回、銭形は殺し屋一味と、詐欺行為を働いた(ことになるのかな?)ローズを一斉に逮捕できて、かなりのお手柄。ルパン専任でなければどんどん出世しても不思議じゃないのに…と思うのはこんな時である。

それはさておき。せっかくヘリが飛んだのはいいけれど、ルパンたちの奪ったダイヤは、着々と燃え続けている。
ホントにダイヤが炭素で出来てる事がこれほど恨めしかった事態はないだろう。
「次元、急げよ!」とかなり逆ギレ的にせっつくルパンを、次元は「無理いうなよ、砂漠のどこに水があるってんだ」といなす。
が、ついに湖(大きなオアシス?)発見!!ルパンは「あったー」と喜びの声をあげ、次元は思わずピースまでしてる(なんて可愛いヤツらなんだろう!笑)
これに関しては、完全に次元の方向感覚に頼っていた様子なので、次元が思わず会心のピースサインをするのもわかる。

だが不二子は、どんどん燃えていくダイヤが気になって、喜んでいるどころではなかったようで、とにかく「早く!ダイヤが燃え尽きちゃう」と悲壮な声を出して焦っている。
ようやく、燃えるダイヤを水の中につけて消火するものの……

残ったのは、ダイヤの燃えカス、灰ばかりだった。
その中から、ルパンと不二子は必死になって燃え残ったダイヤを探し続ける。次元が止めに入るほど長々と(「ルパン、もうやめなって!」という言葉もなんか好きだなぁ^^)。
二人の諦めの悪さが幸いしてか、辛うじて1個だけ、ダイヤが見つかる。ルパンの掌に収まるくらいの、大きなダイヤだ。
グレードにもよるだろうが、この一個だって立派な「お宝」になりえそうに見える大きさのダイヤなのだが。
しかし、ローズが陰謀など企んでいなかったら300億ドルのダイヤ全部が手に入るはずだったのに。さらにはヘリの重量オーバーという予想外の出来事さえなければ、現金と合わせて600億ドルが手に入ったのに……
そう思うと、やけにちっぽけでみすぼらしく見えたのかもしれない。
「俺にとっちゃ、600億ドルの価値だなぁ」と呟くルパンはどこか虚しそう。最終的には、自分の大ポカで何もかも灰にしてしまった事を、悔いているのではないだろうか。

その隙に、ダイヤをちゃっかり横取りし、胸元にしまいこんでしまう不二子。「元はと言えば私がもってきた仕事だから」と。
そこで、ルパンと不二子のじゃれ合いのような、子供同士のような「返せ」「嫌よ」の追いかけっこが始まり、次元と五右ェ門は穏やかにそれを見守る。
次元が「300億ドルの灰か」と言えば、五右ェ門が「持って返って火鉢にでも入れるか」とうっすら笑う。次元も笑って「そいつぁいいや」と答えるのだった。
この二人の穏やかなやり取りがとても粋で良い!!
ついでに、誰一人ルパンがドジった事を責めないのも、無性に好きなポイントだったりする。

個人的には、旧ル16「宝石横取り作戦」のラストのような、小さなダイヤだけ盗んだとあっては「ルパンの名折れだ」とポイッしちゃう、いかにも誇り高い怪 盗のルパンも大・大好きで、こちらの方が理想的だと思っているのだけれど、同時に、パースリ時期のごく自然体でリラックスしたような雰囲気、ダイヤ一つの ために子供のような追いかけっこを不二子とできる素直なルパンも、非常に魅力的だと思う。
今回は特に、ルパンは自分のドジでダイヤを台無しにしてしまっているので、変に突っ張らず、見つかったダイヤを欲しがる姿が、妙に親しみやすく可愛らしく感じるのだった。


<追記>
この回に登場する殺し屋を、私は名無しなのだろうかと書いていたが、(本編で名を呼ばれるシーンはないものの)実は設定段階で名前がついていたという事を教えていただきました。
その名は「ギャグニー」だそうです。何だかイメージに合う名前^^
池本剛さん、貴重な情報ありがとうございました!


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