第46話 俺の翼はスクラップ


雛人形

話の内容自体は、取り立てて凝ったものではない(失礼)のだけれど、とにかくルパンたちの行動が楽しい1作。
限られた材料だけで、プロペラ機を再生していくルパンたちは何度見ても笑える(^^)!パースリ晩期の中では、比較的好きな作品の方である。

冒頭で忘れがたいのは銭形警部の腹痛シーンである。
「久しぶりの日本食だから食べ過ぎた」という、極めてわかりやすい説明的な台詞を呟きながら、トイレへ急ぐ銭形。
銭形の腹痛シーンといえば、新ル「神様のくれた札束」があまりにも強烈に印象的だが、この時も銭形の痛みは切羽詰っていた感がある。
「応答がない」というだけで、締まっているトイレのドアに向かって銃を突きつけるほどなのだから、相当ヤバかったと思しい。

が、銭形の腹の状況などとはお構いなしに事件は起こってしまうもの。銭形は、トイレの中に、縛り上げられたパイロット2名を発見してしまうのである。
この二人は、日本の副総理からアメリカ副大統領の孫娘の誕生日に贈られた「雛人形」を輸送するための、専用機のパイロットなのだった。
彼らを縛り上げ、入れ替わったのは勿論、ルパンたちである。
…今回、ルパンの狙いは、この雛人形であるらしい。

それはそうと、この後銭形は、とりあえず用を足すことは出来たのだろうか。それとも痛い腹を抱えて、まず人を呼びに走ったりしたのだろうか。
人生で一度でも腹を壊したことのある者ならば、誰でもわかるあの切なさ(笑)。
せめて銭さんには、トイレくらいはゆっくり行かせてあげたいと思う。
その後元気な顔でルパンの前に登場しているので、トイレに行ってスッキリしたのだと想像したり…(するな)

さて、パイロットに変装してまんまと乗っ取った?専用機では、ルパンたちが雛人形を巡って会話を交わしていた。
雛人形を欲しがったのは、やはりルパン当人ではなく、不二子。不二子のお願いで雛人形などを盗むハメになった次元は、例によって軽く文句を言ってみたりする。
「また騙されてんじゃないのか」という、相変わらずドンピシャな次元の指摘にも、ルパンはまるで動じない。
「不二子も所詮可愛いフツウの女の子だったってコトよ」とさらっと流し、ひな祭りの歌を歌ったりしてご機嫌そのもの。
この時の「アッハッハッハ」というルパンの笑い方、明るくて大好き!個人的に今無性にツボにハマっている。ぜひ聞いてみてください(笑)。

…それより何より、このシーンでのルパンったら(爆笑)!
五右エ門や不二子の真似すると、ルパンの目が切れ長になったりパッチリまつげ付のオメメになったりして、笑える。

だが、やはりルパンの言葉は信用ならない。
不二子が雛人形を欲しがるのは「フツウの女の子だから」というような台詞を言っておきながらも(しかも相棒・次元相手に)、実際の行動はその台詞と全然違う。
言葉と考えていることが一致してない(というかさせていない)ルパン、やっぱり素敵v←またコレ
どういうことかは、後に判明する。

ルパンが雛人形の顔を拝もうとトランクを開けると、そこから現れたのは銭形のとっつあん。
腹痛の気配も最早なく、元気にルパンに手錠を投げ掛けるが、あっさり投げ返されてルパンに返り討ちに遭う。
この時銭形は気絶してしまったのか、ルパンに「とっつあん後ヨロシク」と飛行機を託されるまで、まるで動きがないままであった。

ルパンが銭形を撃退?した時、不二子が現れる。
帽子の中に髪を隠し、ちょっとボーイッシュな雰囲気。これは飛行機に潜り込むための変装か何かだったのだろうか(とても可愛いけど^^)
ルパンのホッペにお礼のキス一つで、雛人形を受け取る不二子。よく見る光景なのだが、よくよく考えると何だかやたらと羨ましい気がする。
それに、ルパンに二人でひな祭りを「ベッドの中で」誘われている辺りがもっと羨ま…ゴホンッ!
新ルに比べ、ルパンの口説き文句が「大人」になっているのは、さすがパート3というところであろうか(と、尤もらしいまとめ方をしてみる)。


バラクーダ

何故か唐突に不二子は「着替えてくるわ」と言ってルパンの元を離れる。
「もしや」と思えば案の定。次元の指摘通り、不二子はどうやらルパンを裏切っている模様。
太ももに隠しておいたトランシーバーで誰かに連絡を取っている。
告げたのは、ルパンたちが雛人形と共に飛行機を脱出するポイント。旧日本軍のエアベースだったというダンプ島である。
そして、それを告げた相手は、バラクーダという国際的ブローカーであった。

彼とこっそりと連絡を取り、部屋を出た不二子は、ドアのまん前にルパンがいたのでややギョッとしている。そんな様子がちょっと可愛い(笑)。
話を聞かれたと思って、一瞬ヒヤっとしたことだろう。が、ルパンは何も気付いていない様子である上に、ネックレスまでプレゼントしてくれる。
不二子ちゃん、ルパン相手にここでホッとしちゃいけないんだけど…。
ルパンのプレゼントしたネックレスには当然仕掛けがあり、盗聴器や発信機などがしっかりと仕込まれていたのであった。
こんなモノを準備しているところを見ると、やはりルパンは最初から不二子の今回のおねだりには裏があることを見抜いていた…少なくとも、「怪しい」とは思っていたのである。
後に不二子が潜水艦で去った後の海で、ルパンが「あれがただの雛人形じゃない気がしていた」などと言った際、それに対して次元は「負け惜しみ」と言っているけれども、今回はそうでもないのにな、と思う。

さて、ダンプ島沖では、クルーザーの上で五右エ門が待機していた。
そこへ、ルパンたちは人形共々パラシュートで降りてくる。機内に、銭形だけを残して…(^^;。
今回、その飛行機は海に墜落、そして爆発してしまうという派手さ。
さすがに、ルパンたちも一瞬銭形も死んだのではと思うほどの爆発ぶりであった。
不二子が「ちょっと可哀想な気もするけど」と言うのだが…「ちょっと」「気もする」って(笑)。

フツーは当然死んでいるところだが、さすがに銭形は不死身の男。
海からスルスルと浮き上がってくる。まるで幽霊のように。
この時、どこまで本気であったかはわからないが、ルパンたちは一様に驚き「成仏なされい」だの「迷ったな」だの、銭形を完全に幽霊扱いしていた。
確かに、もしも銭形が先に死んだとしたら、絶対に間違いなくルパンの元に現れるだろうなという気はする(笑)。

銭形が浮かび上がってきたのは、勿論幽霊と化したからではない。
浮上してきた潜水艦の一部に引っかかり、そのまま一緒に浮いてきただけの話である。
その潜水艦は、不二子と手を組んでいたバラクーダのもの。不二子と雛人形を回収すると、あっさりと立ち去ってしまう。

海の中に残されたルパンたちは、不二子に裏切られるのはいつものこととはいえ、やはりちょっと気の毒。
五右エ門の「要はまたあのくだらない女に騙されたということだ」というような台詞が、この状況を端的に表していた。
海の中にいても埒が明かないわけで、ルパンたちはとりあえずダンプ島に上陸することにする。
…その時の、揃ってバタ足している三人の可愛らしさは、またまたツボv

不二子の胸元を飾っているネックレスから、情報を得、ようやく状況が呑み込むルパンたち。
あの雛人形には、やはり秘密があったのだ。
人形の中には、日本の副総理から、アメリカ副大統領への「領収書」が入っていたのだった。
裏ではアメリカのABCコンツェルンの独占的兵器の売り込みを目的としていた日米の経済会議。その結果多額のリベートが副総理、そして大臣たちに流れ込ん だのだという。その裏金の領収書を堂々と渡すわけにはいかないということで、雛人形に隠して…という苦肉の策が取られたというのだが。
こういう裏金にも、ご丁寧に宛名をきっちり書いたバカ正直な領収書って存在するんですかね?
裏金に関係したことがないのでわからないのだが、やや疑問。

まあそれはいいとして、バラクーダと不二子は、この公になってはマズイ「領収書」でナント日米を恐喝する。
そしてまんまと金塊を手に入れる二人。スゴイ。
日本ならまだしも(^^;アメリカを恐喝して、よくもまあ領収書ごと「消され」なかったと思う。
さらにバラクーダの欲はとどまるところを知らず、最終的には日米両国を手に入れようとしているらしい。

しかも、バラクーダは不二子を「第48夫人」として向かえ、結婚しようと企んでいた。
48人と正式に結婚できるなんて、どこの国の、どんな宗教なんだよ、このオッサン!
一見普通の欲深オヤジ風に見えたが、さすが意味不明の踊りを踊って「レレレのレ」と口ずさんでいただけあって只者ではない。


ゼロファイター

無人島に取り残される形となったルパンたち三人は、何とか島を脱出せねばならない。
そこで、島に残っていたゼロ戦を復活させようということになる。…こうなるところが、ルパンの凄さv
島にある木や葉っぱなど、自然物を最大限に利用し、機体としていく。
ありえなさ500%(笑)でもなぜか私は、ヘラヘラと笑ってみていられてしまう。

とにかく、この時の三人の動きが面白い。
ルパンと次元の妙に息のあった「ワッセワッセワッセ」の辺りは、つい繰り返してみてしまう。
丸太を転がして運んだり、葉っぱを運んだり、大木を繰り抜いたり…三人が軽快に小走りで動いているのも、個人的にお気に入りである。
(顔や絵柄そのものがもう少し好みだったらもっと良かったんだけど←贅沢)

そうした島での一連の行動の中で、肝心要の「プロペラ」にする部分に、斬鉄剣を使わせてくれと頼むシーン!!
ここは全部がツボすぎる。
ルパンと次元が、二人揃って五右エ門に土下座してみせるのである。か、可愛い(壊)
最初は断固として拒否し(当然の反応かも)、プイと背を向けて不貞寝してしまう五右エ門も、何だか五右エ門らしくて良い。
ルパンはやや逆切れ気味?に、次元と「仲良くシャレコウベになろうや」と言ったりしている。
ふと五右エ門が振り返ると、いつの間にやったんだか(笑)、二人がシャレコーベになったかのごとく変装して横たわっていた。
そこで「ふう」と言ってから、少し笑って「わかったよ」と言う五右エ門。この笑顔に乾杯(笑)。

そしていよいよルパン一家お手製のゼロ・ファイターが飛び立つ。
乗り込む前、五右エ門が念仏を唱え、次元が「死んだフリ」と言っているのが興味深い。念仏は分かるけれども死んだフリって?(^^)
死んだフリをしていれば、熊のように、死神も見逃してくれたりするのだろうか(笑)。

一瞬墜落するかと思った飛行機も、無事飛行を始める。
あとは不二子のネックレスの発信機が示す場所へと向かうだけである。
が、その時不二子はバラクーダと強制的に結婚式を挙げさせられそうになり、式場から逃げ回っていた。
その時にネックレスが撃たれて壊れてしまう。ルパンはあと5キロというところで不二子の場所を見失う。
…それにしてもバラクーダの妻たち。みんなヘンに明るく、ヘンに物騒である。何だか洗脳でもされてんのかと思ってしまうほど。それとも元々バラクーダがこんなタイプ好みだから、妻たちはみんなこんなノリなんだろうか。

発信機は壊されてしまったが、ルパンたちはようやく不二子のいるところを発見。ルパンだけ飛行機を降り、何と水の上を走って渡り(!)乗り込むのだった。
そこでようやく不二子と再会。
「助けて、ルパン」という不二子に対して、ルパンは「そう来なくっちゃ」と言うのである。
不二子ちゃんは大好きだけど、勝手だなと思うこともしばしば(笑)。今回もそんな気がしなくもなかったのだが、このルパンの台詞で、何となく「これでいいんだなー」と思ったものである。
ルパンは元々女性に頼られるのが嫌いではない。むしろ、好きな方かもしれない。
しかも相手があの不二子。自分を出し抜き、ハメることも臆さない女。
そんな不二子から「助けて」と頼られると、内心ニヤリとするものもあるのだろうかと察する。助かった途端に、不二子がまたスルリと自分をかわすことが分かっていても。

次元と五右エ門は、襲ってくる武装ヘリを、斬鉄剣の無敵のプロペラで撃退し、ルパンたちの元へと駆けつける。
何から何まで斬りきざめて、障害物も一切関係ない斬鉄剣プロペラ、恐るべし。
ちょうど、バラクーダやその妻たちに追いつめられていたルパンと不二子は、やって来たゼロ・ファイターに救われる。
不二子だけちょっとお先に乗ってしまうところが、「VS複製人間」のラストを思い出したりもする。が、今回は勿論次元はそのまま飛び去ったりはしない。
ルパンをちゃんと拾い、バラクーダが発射したバズーカも(←無茶するな〜^^;)「まかせなさい!」と言ってしっかりと避ける。
バラクーダ艇は沈み、そして4人は見事脱出するのであった。

結局、二国を脅迫していた領収書は、ルパンと不二子が「渡す渡さない」で揉めている時に、手製ゼロ戦が火を噴き、その火が燃え移ったために失ってしまう。
不二子が手に入れた金塊は、バラクーダ艇に残していたとしたら回収は難しそうだが、どこかに保管していたのだとしたら、仲良く(笑)4人で分けさせられたのであろう。
ゼロ戦が最後に爆発してしまい、プロペラに使われていた斬鉄剣の行方が非常に気になるところだが、4人が飛び降りているシーンを見ると、どうも五右エ門の脱出が一番最後っぽいように見える。ということは、ギリギリその時斬鉄剣を回収したのだと思いたい。
海に落ちてからじゃ、探すのが大変そうだし…ね。

それにしてもどうしてこうパート3の次元の台詞回しは素敵なんだろう。
冒頭の「あいよ」から、「まかせなさい!」、そしてラストの「おい、ヤメロー」まで、次元の台詞を聞いているだけでも幸せな気分を味わえる。特に明るい台詞を言っている時は、パート3は殊更絶品のように思える。
ルパンスキーをここまで虜にする次元の声の魅力…ブラボー。


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