峰不二子の恋愛観を探る


不二子は色仕掛けを得意技の1つとするキャラクター故、とにかく男性を魅了する。恋多き女性のようなイメージもある。
新ルにおいては、2度も結婚を経験(結婚生活は送ってないようだが)。
が、その実不二子がきちんと男性に惚れたことは、それほど多くないのではないか、と思っている。
恋愛、結婚も不二子の飽くなき目的達成のためのひとつの手段と化している事が非常に多い。クールな女性である。
レギュラー陣の中では一番惚れにくいタイプの人間かもしれない。
その不二子が本気で愛したのではないかと思われる男は、まずルパン、パイカル(旧2話)、かつての相棒プーン(旧9話)…

そんな不二子の好みのタイプなどを考えていきたい。




ルックス

不二子のキャラクター自体がシリーズによってかなり違うため、なかなか一概に言い切ることは難しい。

旧ルではあまり見られないが、新ル、パースリ、TVSPでは、仕事絡みもあり相当な数のボーイフレンド・恋人が登場する。
彼らに、一定の基準を見出すのは非常に難しい。というか、不可能だと思っている。
男性、という以外不二子のボーイフレンド・恋人には(外見では)まったく共通点が見られない。

不二子は、基本的には惚れにくく、恋愛よりはお金の方が大事という、至ってシビアな性格である。
故に目的のためならば、まったく好みでない外見の男にも、思わせぶりで優しい態度をとることくらい容易いことだろう。
不二子が結婚を決意したフォワード・ヒース(新14)など、かなりの年配な上、なんとバツ37!(笑)
しかも因業オヤジ風の外見である。
それでもジャンボルビーのためには「愛のない結婚くらい何ともないわ」(by不二子)という、お宝への執着には恐れ入る。

しかし、不二子が一目惚れ、もしくは「ハンサム」という表現を使っている男性には、少しだけ共通点があるような気がする。

まず、クロード(新81)。
彼の正体ベルテンベルクの王子だったわけだが、最初不二子に近づいた時は、王子という身分を名乗ったわけではない。不二子が彼を車に乗せてあげたのは、彼の地位に目がくらんだわけではないだろう。
クロードは好青年を装っていたので、そのカワイイ雰囲気もお気に召したのだろうが(笑)、やっぱり見た目が好みだったのは間違いないと思う。

そしてモーマニット・キョウランスキー(新79)。
「ハンサムとは彼のためにあるような言葉ね!」と随分彼の容貌を褒め称えている。
私はキョウランスキーってハンサム?と多少疑問だが(笑)、まあ確かに新ル男性ゲストキャラの中では、顔のいい部類に属するだろう。

それ以外にも、仕事絡みで付き合っているのか、本当に純粋に恋愛を楽しんでいるのかは不明だったが、ホンの一瞬出てきた不二子のニューヨークのボーイフレンド(新90)は、そこそこいい男だったし(ちょっと情けない気もするが)、銭形警部が目撃したという不二子のデートの相手も「ハンサム」だったようだ(新36)。

不二子のいう「ハンサム」とは、新ルにおいては多少法則がある。
面長で金髪、目元クッキリの典型的な二枚目系が好きらしい。
パースリでは、ああいう雰囲気の絵柄なため、男性の見た目の美醜が正直よくわからない(汗)。
かなり本気で熱を上げていたファロンは、新ルの時の所謂「ハンサム」なタイプとは違い、いかにも男性的な…男くさいようなタイプに感じられる。


財力

何はなくともまずお金。
お金さえあれば、不二子は多少の欠点くらい気にしない。勿論、目的のものを手に入れれば、そのままおさらばだろうが(笑)。

まずマモー。
なんといっても「神」を名乗るほどの超絶的存在。現世での財力も相当なものがありそうだ。島もまるごと所有しているし…。さらにはアメリカ・ソ連(当時)にも対抗しうる力を持っていたものと思われるのだから、スゴイ。

フォワード・ヒースは世界一のお金持ちで、資産50億ドル(当時の水準ではこんなもの?)。
不二子が結婚したもう1人の人物ウィリアム・ハフナー(新75)は、有名な宝石コレクションを所有。

名前は確か出てこなかったが、PARTIIIでは「パパに頼めば…」と言うところから父親が相当金持ちであるらしい男と付き合ってもいた。(III−32)。彼の異様に冴えない見た目が印象的。
何らかの手段でお金を引き出そうとしていたのか…、不二子がこんなにも退屈そうな男と付き合っていたのが、さらに印象的(笑)。
この時言っていた「高くつく女よ、わたしは」は、最高に不二子に似合う名台詞である。


どの人物ともお金目当て(マモーの場合はさらに不老不死も?)で付き合っているのは間違いない。
本気で好きになっていたのなら、こんなにアッサリおさらばしたりはできないはずだ。
まさに「高くつく女」不二子。お金を持っていなければ、彼女と付き合うことは相当難しいだろう。
逆に考えれば、かなりのお金をもっていれば付き合えるってことにもなるが…
勿論、本気になってくれるかどうかは請合えない(笑)。


本命

時として、クロード王子と本気で恋愛したような雰囲気の時もあったが、あれはやはりちょっとした気の迷いに属するような気がする。
というのも、ミストレルの鐘がルパンによって盗まれてしまった時、すっかり王子と結婚する気をなくしてしまったようだからだ。
実際、次の回以降では相変わらず以前の「峰不二子」のまま、ルパンたちと行動を共にしたり、裏切ったりと裏の世界で活躍している。
ほんの一時、普通の女の子のように、シンデレラストーリーに憧れ、「王妃」という地位と名誉にポーッとなってしまったのだろうが、不二子は所詮、そんなもののために縛られるようなタイプではない。

不二子が本気で男を好きになるとすれば、その条件は単に見た目などではない。財産、地位や名誉ですらない。
そもそも不二子にかたぎの男は似合わない。
不二子自身もそれは自覚していることだろう。
彼女の本質は、女盗賊である。欲しいものは自分の手で奪う世界の人間である。
そんな彼女が本気で好きになるとすれば、やはり自分と同じ世界の人間、同じ匂いのするミステリアスな男なのではないだろうか。
不二子が本気になったように見える男は、ルパンをはじめ、パイカル、プーンもそうだ。またゴーデスト・ファロンも(III−36)、元々の身分は「王子」だったとはいえ、「怪盗ファロン」を名乗り泥棒をしつつ、国を奪い返そうとしている危険そうな男だった。

己の腕と才覚に自信を持ち、不二子と同等以上に渡り合え、そして本質的に孤独な男。
不二子の好みのタイプを挙げるとすればこうなるのではないだろうか。

殺し屋時代の相棒・プーン。彼との具体的な活動内容は詳らかではないものの、相当名高い殺し屋コンビだったようだ。
不二子はその当時かなり若かったと思われるし、年上のプーンが仕事やプライベート上でも主導権を握っていたと考えても不自然ではない。
付き合っていた頃は、不二子よりも腕が立つ頼りになるパートナーだったのではないだろうか。

また、最初は彼の秘密を得るために近づいたパイカル。
彼も「世界で一番強い男は一人だけだ」という自負心に燃える孤独な男である。
奇妙な火炎放射器と、超硬質液体を武器とする、奇才の持ち主でもある。
不二子の色仕掛けにも屈せず、逆に不二子を(あの旧ル不二子を!)拷問にすらかける手ごわい男。
そんなパイカルだからこそ、不二子はルパンと同じくらいに彼を愛したのだろう。自分でも制御できないほどに。

ファロンに惹かれていた時は、いつもの「損得勘定」をも忘れて、共に国を奪い返す手伝いをしていた。
時には、財宝だとかそんなものを忘れて、一人の男の夢に賭けたくなる……不二子にはそういう気分になることもあるのだろう。「その時」はきわめて真剣に。
だが、不二子をそうした気分になったのは、やはりファロンがそれ相応の魅力ある男だったからだろう。
最初は不二子を「利用」するために近付いてきた。大胆で勇気ある男。
そんなファロンの、命懸けの冒険に、不二子は惹かれた。
ただ、ファロンが目的を果たし終え、国を治める立場に戻れそうになった時、不二子は彼の元を去った。
いみじくもファロンが指摘したとおり、不二子は常に新しい冒険を求め続けていなくては生きていけない女。
一箇所に、安穏と暮らすことの出来ない女でもある。


容易く自分の色仕掛けに乗ってしまう、手ごたえのない男になど、不二子は本気にならないであろう。自分を利用したり裏切りかねないくらいの男でないと、不二子は魅力を感じない。
また裏の世界の人間として、自分と張り合えないような男は、恋愛対象になろうはずもない。
手ごたえのない容易い男など、不二子にとって、「利用価値があるかないか」というクールな視線しか与えられないに違いない。

ルパンこそ、不二子にとっては特別な存在である。

自分の逮捕礼状と引き換えにあっさり警察に売ったり(旧1)、ダイヤのために五右エ門と殺し合いをさせようと企んだり(旧5)、ルパンの乗ったセスナを撃ち落したり(旧10)……
ルパンへの裏切りをここに書き記そうとしても、到底書ききれるものではない。それくらい何度も裏切っている。
そうかと思えば、昔の恋人プーンをその手にかけてもルパンを守ったり(旧9)、いざという時は一緒に死のうとしたりする(新16、20)。
いまさら改めて書く必要もないかもしれないが、ルパンと不二子はまさに敵か味方かわからない関係なのである。

時々不二子はルパンを見くびったような発言をすることもあるが、本当は誰よりもルパンの力を承知しているのではないだろうか。
「不二子ちゃ〜ん」とメロメロになったような態度をとっている時でも、ルパンは心のどこかで常に冷静であり続けていること。
また、ルパンが本気になったら、たぶん勝ち目がないこと、彼を本気で怒らせたら誰よりも恐ろしい存在であることを…。
そしてルパンは命懸けのゲームを楽しむような男である。
そういう彼の性格も承知の上、裏切りの「ゲーム」を仕掛けている。そんな気もする。
それを受けてたつ男など、この世にルパン以外にいるものではない。

その「ゲーム」において、ルパンが本当に死んでしまったらどうするのだろうか?
不二子は「ルパンは絶対この程度のことで死んだりしない」と、不思議なくらい信用しているようにも見える。本気で「ルパンは不死身だ」と信じているのかもしれない。
でなければ、ルパンの命を賭け事の対象にしたりするだろうか。(メチャクチャ酷い信用の仕方だが^^;)
死んだと知った時(勘違いなのだが)、あれほどその死を悼む男(旧4)を、本気で殺そうとするだろうか。
不二子も相当クールな性格だから、自分の仕事の上でルパンがものすごく邪魔な存在である場合は、遠慮なく排除しようとするだろうが、どれほどヒドイやり方をしても「ルパンは死なない」と信じているような気がする。

彼女の心の中で、ルパンの重要度(笑)がかなり低下しているように見える時期は勿論あるのだけれど…(パートIIIの後期など^^;)



だが、不二子はどんなに相手を愛したとしても、決して自分を、「峰不二子」としての己を失わないであろう。
すべてを投げ捨てても誰かのものになる女ではない。
愛した男にとって、そんな不二子がどれだけ魅力的な存在足りうるか、承知しているかのように。
不二子がルパンだけのものになってしまった瞬間に、ルパンは不二子だけのものでなくなってしまうのを知っているかのように。

不二子が愛した男と同じように、不二子自身も孤独で、誇り高い女なのである。


(2001.9.10)

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