第5話 十三代五ヱ門登場


初登場

後にルパンの第二の相棒となる五右ェ門初登場の回。
とにかくこの話は見所満載。
眼鏡ルパン、ウソっぽいカタコト日本語を喋る次元、和服不二子、そしてイロキチゴエ(笑)等など……。
ストーリーも勿論、レギュラーとなる最後の男・五右ェ門登場という大切な回なのだが、ちょっとしたシーンにファン心をくすぐる場面が多い。(邪道な見方^^;)
何より貴重なのは、殺し屋時代の五右ェ門の、殺気を感じさせるクールな姿であろう。
その五右エ門は、ルパンの命を狙う敵として登場する。

が、近づいたのはルパンの方から。
ルパンは、五右ェ門のことをどこで知ったのか、敵意を持ってわざわざ会いに来る。
ヒーロー・プロモーション・エグゼクティヴ・プロデューサーという、インチキくさい肩書きと、ちょっとクネクネした仕草で(笑)現われ、アメリカからやって来たという触れ込みの「早撃ちキッド」次元を、五右ェ門と手合わせさせるのだ。

鉄をも切り裂く刀の威力を目の当たりにするルパンたちだが、「ブラボー」と拍手喝采。それほど本気で感銘を受けたわけでもなさそうである。
実際、次元に五右ェ門の腕試しをさせる直前のルパンは、「殺しゃしねえ、見栄っ張り剣豪坊やにちょいとお灸を据えてやろうってわけさ」と余裕に溢れていた。

それにしても、いくらルパンが「野次馬根性旺盛にしてむやみにお節介を焼きたがる」(by百地のヒント)性質だとはいえ、わざわざインチキ名刺を作ってまで会いに来て、次元と手合わせさせ、(予定では)泣きを見せようとするのだから、よほど五右エ門に気に障るところがあったのだろう。
同じくらいの腕がたち、銃などルパンの好んで使う武器を否定してみせる男。なのに、ルパンとどこか似たところのある男……五右エ門。
若き日の自負心に溢れたルパンなら、癇に障るのも分かる気がする。

それはそうと、五右ェ門と立ち合った次元。
ルパンから多分、「殺すな」と言われていて、多少の手加減はしていたのだろうが、早撃ち0.3秒の腕をもってしても、五右エ門に傷1つ負わせることは出来なかった。
五右ェ門の刀は、飛んでくる弾丸をすべて切り裂いてしまうのだった。

ちなみに、五右ェ門の愛刀「斬鉄剣」の名称は、この回は出てこない。
虎徹、良兼、正宗という三本の名刀を一緒に溶かして打ち直したもの、という由来だけが語られる。
そして、五右ェ門がかの有名な大盗賊の末裔ということも、話の中で直接説明されることはない。
オープニングとタイトルで充分理解できるが、やはりシンプルでくどくどしい説明のない旧ルなのだった。


対決

その愛刀で五右エ門が命を狙っているのは、ルパン三世。
五右エ門は、ルパン本人を前にしてそう宣言する。驚愕するルパン。
ちょっとしたシーンだが、その五右エ門の言葉をふすま越しに聞いた次元が、思わず銃に手をやる隙のない姿が非常にカッコイイ(^^)
が、五右エ門はルパンの顔を知らないというのだが……。

そこへ登場するのが峰不二子。五右エ門好みに和服、まとめ髪。色っぽくて可愛い貴重な姿(^^)
なんと五右エ門は彼女を「峰不二子ちゃん」と呼び、「それがしのがーるふれんど」だと紹介するのである。
不二子の和服姿以上に貴重な五右エ門の言葉である。

彼の正体を知っている不二子と鉢合わせしたルパンは大いに慌てて騒ぎ立て、その隙に逃げようとするが、そうはいかない。
さすがに、殺す相手の顔すら知らないような五右エ門ではなかったのだ。
衝立に「死んでもらいます」は演出過剰って気がするが(笑)、最初から、彼がルパン本人だと知っていた。
殺すべき敵と知った上で、自分の技を見せたりしていたのだ。
相当な自信の表れだと思う。
殺すまでに3つ数えるという猶予すら与えている。あの、ルパン相手に。
そのシーンの、静かな緊張感と、それでいてどこか余裕もある次元とルパンのやりとりが最高。
ルパンと次元の息ピッタリの畳返しで五右エ門の剣を避け、逃げ出す二人。

そして、初めてルパンと五右エ門が対決する。
抜かりないルパンは、次元の弾丸が五右エ門に通用しないことも読んでいたのかもしれない。しっかり五右エ門を倒す手段を用意してきていた。
空気に触れると燃え出す液体燃料。
それと知らず、投げられた壜を切り裂いた五右エ門は火だるまに。
だが、あっさり一方的にやられる五右エ門ではなく、ちゃんとルパンに逆襲をしてルパンにも火傷を負わせている。
まさに、五分五分の戦いである。

五右エ門は、「伊賀の死神」の異名をとる、今世紀(20世紀のことだが)最大の殺し屋・百地三太夫の愛弟子だった。
五右エ門にルパンを殺せ、と命じたのは百地である。
そして、ご承知の通り、百地は不二子を雇い入れ、五右エ門にはルパンへの敵意を煽らせ、一方ルパンにも色仕掛けと共に五右エ門を殺すように仕向けさせるのだ。
ルパンと、そして愛弟子五右エ門まで一緒に殺そうとする、なんともえげつない老人である。
百地は自分が老いぼれ、殺し屋チャンピオンの座を五右エ門やルパンに奪われるのが許せなかったようだ。
五右エ門はともかく、ルパンはいくら腕が立つとはいえ本業が泥棒なのだから、気にするなと言ってやりたいところだが(笑)

それにしても、ダイヤ1つで、そのような後味の悪い仕事を引き受ける辺り、さすが不二子、魔性の女である。
いつものように、ルパンは死んだりしないと思っていたのか……
この時点で五右エ門は、不二子にとってあまり意味のある存在ではなかったはずだから、どういう末路を辿ろうと関心はなかったのだろうけれど。


ルパンと五右ェ門の差

不二子におびき出させたルパンと五右ェ門。
独り言を言いつつ飲んでいるルパンの元へ、ふいに不二子が現れる。
(この時、次元に寂しがりやめ」と言われてるが、この辺の台詞は激ツボ^^)
最初はスネていたルパンに対し、五右エ門がいかに「エッチ」なヤツかをかき口説き、好き好んで付き合っていたわけではないのだと、ルパンを丸め込みに掛かる不二子。
この可愛らしさは、壮絶。ロコツでこれ見よがしなお色気など触れ撒いていないのだが、滲み出る陰性の美しさと色気は、さすが旧ル不二子といったところ。
これなら、どんな男でも騙されるでしょう!!
五右ェ門にも、多分同様の手を使って(ただし、五右エ門には「清楚な攻撃」だったはずだが。笑)ルパンへの敵対心を煽ったのだろう。

こうしてそれぞれを「触り魔」(ルパン)、「イロキチ」(五右ェ門)と思い込んでいる2人は、不二子に言われるままにある場所へ集まり、お互い罵り合う。
が、そこへ百地がミサイル?を撃ちまくり、2人まとめて殺しにかかる。
勿論、そんなことで死んでしまう二人ではなかったが……。

そこに至って百地の本心を知った五右エ門は、床下に忍び、不二子と百地の会話を盗み聞きする。
清楚だと信じ込んでいた不二子の正体まで知ってしまい、ショックを受ける五右エ門。
余談だが、9話では不二子が仕事に参加するなら降りる!とキレてしまうし、後の五右ェ門はストイックで女嫌いになる。
不二子の裏切りは、案外五右ェ門の人生に影響しているのかもしれない……。

床下から五右ェ門に狙われていることに気づいた百地は、ある組織のために殺すべき人間として、ルパンと五右ェ門の名を「コンピューター」がはじき出した、などと嘘をつく。
現代文明に疎そうな五右ェ門なので、当時一般的にはどういう機能があるのかよく知られていなかった「コンピューター」という言葉を出せば誤魔化せるとでも思ったのか。
それとも、一瞬の隙ができるのを狙っただけなのか。

百地は、不二子を人質に、五右エ門を足止めし、用意してあった気球で逃げ出す。
その時の百地の台詞は印象的である。
五右ェ門に教えなかった、ただひとつのこととは「生き方」。
確かに、五右ェ門には狡さというものが欠けており、生き残るためには手段を選ばぬタイプではない。後の名台詞「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉に、彼のポリシーが集約されている。
そこが、ルパンとの差である、とも百地は言う。
不二子を人質にとられていても、ルパンなら迷わず百地を殺しただろう、と。
そして百地は自分の言葉を、身を持って体験することになる。
ルパンは、表情ひとつ変えずに百地の乗った気球をワルサーで撃ち抜き、殺してしまうのだ。

それを見ていた五右ェ門は、最後の決着をつけに来た、とルパンに勝負を挑む。
今死んだばかりの師匠の言葉が、彼の脳裏にはあっただろう。
ルパンが確かにうわてであることを目の当たりにし、そう認めつつも否定したいという葛藤があった気がする。
そして、ルパンの「俺は何となくお前さんが気に入っちまった……」という言葉を、「言うな」と遮っている。五右ェ門にも、ルパンと通じる部分を心のどこかで感じ取っていたのかもしれない。
が、殺しの世界に真の王者は2人はいらぬ、とあくまでも戦いを望む。
誇り高く孤独な男は、容易く馴れ合わないものなのだ。この辺りのムードは、さすがに旧ル、といったところ。

走る車の上での決戦。このシーンのテンポと見せ方は、とにかく燃える!
ルパンは対五右エ門用武器の液体燃料を、イルカ水鉄砲に仕込んでいる。
その小道具から察するに、どこかまだルパンには余裕がある。
一方五右エ門は前回の立会いよりは着実に進歩しており、液体燃料が武器のルパンとの戦い方を考えたか、秘剣竜巻返しで対抗する。
結局、液体燃料が燃え広がり、死者こそ出なかったものの、車の大事故が起こり、決着はつかないままとなった。
この事故のビデオを撮って称えられた、不二子(しかもダイヤも手に入れているし)だけが今回ひとりいい思いをして終る。

五右ェ門は、いつかきっとルパンを倒すと、この時は誓っている。
彼が仲間になるのは、第7話「狼は狼を呼ぶ」を待たねばならない。


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