第8話 全員集合トランプ作戦


ミスター・ゴールド

8話に至ってようやく、旧ル初の、4人揃っての仕事である。
仕事(盗み)自体はルパンが単独で行っているので、正確には4人揃っての行動…ということになるだろうか。
新ルでは定番中の定番である4人揃っての仕事・行動は、実は旧ルにおいて非常に稀である。
4人全員が揃って泥棒し、しかも不二子が裏切らずに仲間のまま話が終るものは、この話を含めて3話しかない。
記念すべき4人の初仕事としても、なかなか見所の多い話である。

ルパンの今回のターゲットは、ミスターゴールド所有のナポレオンカード。
見た目は単なるトランプなのだが、幸運をもたらすトランプと言われている。
あの英雄ナポレオンが所有し幸運を掴み、そのトランプが去った時には彼の運も尽き、モスクワ遠征で敗れ去り、皇帝の座を追われることになったといういわく付のカードらしい。

現在の所有者であるミスター・ゴールドは、これだけ名前とキャラが一致しているのも珍しいといいたくなるほど、金に埋もれ金で己を飾っている黄金オヤジである。
たった一人で、大量の黄金のコインをジャラジャラ言わせて悦に入り、大量の札束で己を取り囲み、親指以外の全部に金の指輪をはめる。見るからに好きになりそうもない成金風だ(笑)。
彼は、表向きはカジノ・ゴールドという店のオーナーだが、裏の顔は暗黒街のボス、という人物であるらしい。(それにしてもカマイタチといい、ゴールドといい、暗黒街のボスがいっぱいいる(笑)。ゴールドはカマイタチの後釜なのだろうか?)

ここでちょっとだけ疑問。ミスター・ゴールドとは彼の黄金好きに由来する愛称なのだろうか。
警視庁の銭形警部がゴールドの館を警備していることを考えても、話の舞台は日本であることは間違いなさそうだ。ゴールドは日本に滞在する外国人なのか?
ゴールドの誕生パーティーはかなり欧風のゴージャスなものであったし…。
それとも、黄金マニアの日本人なのだろうか?
勿論、こういう具合に一見、ここがどこなのかがはっきりとわからない無国籍の雰囲気が、旧ルの魅力なのだが。

さて、ゴールドが小銭をじゃらつかせて楽しんでいるところへ、ルパンから予告電話が入る。
その予告をゴールドが信じないであろうことを見越していたかのように、ルパンは予めゴールドの札束にルパンのサインを入れておく。
いつでも、自分は好きなところへ現れることが出来るのだといわんばかりに。
この悪戯っぽく、粋なやり方! カッコイイvv(^^)

ルパンの予告は、ゴールドの誕生日パーティの日、12時ちょうどにナポレオンカードを奪う、というものであった。
ゴールドも見事に受けて立ち、カードをガラスケースに入れて会場に展示し、パーティーを執り行う。
警備に当たっている銭形としては、これだけ人の出入りするパーティーなどやられてしまっては、変装の名人であるルパンが自在に忍び込めてしまうと懸念し、パーティーの中止を要求するが聞き入れられない。
実際、ルパンはすでにパーティーに忍び込んでいた。眼鏡をかけた女に変装して。ちなみに私はルパンのこの変装姿、かなり好きである(笑)。

ルパンは、自分の出した予告状……12時きっかりにトランプを盗むと言う内容を利用し、時計台(?)の針を5分時計を進めておく。
実際は5分前なのだが、時計の針が12時を指した瞬間停電を起こし、ルパンが現れたように見せかけ、すでにトランプは偽者とすり替えた…と言う。(実際言ってるのはテープだが)
慌てたゴールドが、思わずガラスケースの鍵を開けた所、すかさず女装ルパンが掃除機でカードを吸い込む。
そうして盗んだ瞬間が、本当の12時だった……というわけだ。

それにしても、ルパンが狂わせた時計台の信用度は、相当絶大なものがあるのだろう。
ルパンが動かしたのは、時計台の針だけ。ということは、銭形だけでなく警察全員・パーティー会場にいる招待客・従業員など全員の時計が5分「遅れている」はずなのだ。さすがに全員の時計の針が同じく5分狂っていれば、時計台の方がおかしいのではないか、と気付きそうなものだが(^^;
何はともあれ、ルパンはナポレオンカードを手に入れることに成功した。


藤波吟子

アジトでは、ルパン・次元・五右エ門・不二子が平和に顔をそろえている。旧ルでは珍しい光景(^^)。
ナポレオンカードは、どうやら不二子に頼まれて盗みに行ったらしい。
だがいくら不二子の頼みだからといって、旧ルのルパンは気乗りしないものを盗むはずもない。
ルパンは以前からゴールドが気に食わなかったようだ。「金の亡者はジンマシンが出来るくらい嫌い」だとか。
実際にジンマシンが出来てしまうほど嫌いな蛸に続き、ジンマシンが出来るくらい嫌いな金の亡者。ルパンの「嫌い」のバロメーターは、ジンマシンらしい(笑)。
そのゴールドに一泡吹かせることができたのだから、ナポレオンカードに興味がないルパンも、満足しているのだ。

カードを手にした不二子は当然のような顔をして「やっぱり私のところへ来たわね」などと呟く。
この不二子の態度に対して、次元だけは「礼くらい言ったらどうなんだい」と文句を言うのを忘れないのだが(笑)。

不二子はかつて、ナポレオンカードの守り神であるジョーカーと遭遇していたのだ。
雪の中突然現れたジョーカーは、不二子に向かっていずれ近いうちに、不二子の手にカードが渡ると予言して去る。不二子はあっけにとられて見送るばかり。
その時の言葉が、今確かに現実になっていた。不二子の元に、カードはやって来た。
不思議な体験、そしてそれが現実化したせいか、不二子は妙にこのカードを信じている。魔力があり、持ち主に幸運を呼ぶカードだと。

ルパンが「じゃあ、俺はカードに操られていたってワケ?」と聞くと、「実はそうなの」と、無邪気とさえ言えるほど確信的に頷く。
ルパンにしてみれば面白くないだろう。現実主義のルパンとしては。
自分が盗もうと決め、自分が計画を考え、自分の手で実行してきたからこそ、ナポレオンカードはここにあるのだから。決してカードの魔力などではない、と…。

一方、カードを盗まれたゴールドはそのままカードを諦めてしまうような男ではなかった。
ルパンたちのアジトへ、幼い子供に花束を届けさせる。
受け取った次元は「俺に?」と驚いた後、「ルパン、お前にじゃないのかい」と言う。どうでもいいことだが、何となくこの辺りは次元っぽいな、と思ったり(^^)。
その花束には爆薬が仕掛けられていた。ルパンの「危ない」という言葉は間に合わず、花束は次元の腕の中で爆発する。

次元の怪我は足が一番重傷だったようだ。
病院に運ばれた次元は、両足を吊っており、どうも骨折した模様。だが、その後病院を抜け出し逃走劇が始まると、何事もなかったかのように走って逃げている。
ルパンによく見られる奇跡的治癒能力は、次元も持っているらしい(笑)。
ところでこの病院は、完全にゴールドの息がかかったもので、看護婦や医者となって次の刺客が送り込まれる。
その刺客たちは、五右エ門が次々と斬り伏せる。カッコイイ〜! この頃の五右エ門は、やはり元殺し屋らしく「みねうち」にはしていない。まあ向こうも殺し屋なのだから当然かもしれない。

ルパンたちは、病院を抜け出して逃げるのだが…
病院を抜ける時、次元は棺おけに入れられる。その時ルパンは棺おけの中にいる人物を「花園スミレ」と称し、その婚約者のフリをして号泣(笑)、警備員に余計な質問をされずに通り過ぎた。
そ、それにしても棺おけの中にいるから警備員に顔は見えないとは言え、次元がスミレ。いろんな意味でツボである(^^)。
そういえば、新ル「オリオンの王冠は誰のもの」では、五右エ門が「スミレ」を名乗っていたような……。ルパン一家ではお気に入りの仮名なのだろうか?(笑)

最初は霊柩車で、そして次は食肉を運ぶ冷凍車で、ルパンたちは逃げ続ける。
だが、どこへ逃げてもゴールドの刺客と、警察が正確にルパンたちの後を追ってくる。銭形の元へは「善良な市民」(勿論ゴールド)から絶えずルパンたちの居場所の密告があるらしい。
ルパンは、ナポレオンカードを「とんだ疫病神だ」と言うのだが、不二子は全然気にする様子もなく、相変わらずカードの力を信じ「大丈夫よ、このカードが私の手元にある限り」と自信に満ちていた。

ちなみにこの逃走劇の間、次元は棺おけに押し込まれていたり、冷凍車では凍りついてしまったりと、この回はかなり踏んだりけったりである。
そして、逃げる際不二子がトラックを運転し、助手席にはなぜか五右エ門が座っている。
2人が会話している様子はなく、何となく気になる私であった(笑)。


闘争・逃走

パトカーを奪って逃げても、まだ逃げ切れないルパンたち。
4人は二手に分かれて逃げることに。集合場所は、妙霊山麓黒死館。……この字でいいのかな(^^;
運転席側に乗っていたルパンと五右エ門、助手席側に乗っていた次元と不二子、という組み合わせである。

この組み合わせはかなり面白い。見所満載(^^)。
次元はいつもルパンを酷い目に遭わせ、裏切り続ける不二子に対していい感情は持っていないし(少なくとも表面的には)、ルパンと五右エ門はまだ深く知り合っていないので、多少の誤解があったりする。

先に黒死館へ辿り着いた次元・不二子だが、案の定またしても警察に居場所を突き止められ、完全に包囲されてしまっていた。
「だから女と逃げるのは嫌だったんだ!」と次元はぼやく。
それに対して不二子は「いつまで同じこと言ってるの、男らしくない!」と一蹴。次元vs不二子の原点として必見か(笑)。
この期に及んでも不二子はまだカードの魔力を信頼しており、「カードがあるから大丈夫」と余裕の態度だ。
そんな不二子に、次元は「バカタレ!」と怒鳴りつける。確かに…怒鳴りたくなる気持ちもわかる、わかる。
すべてはそのカードのせいで追いつめられていたのだから。
ようやく、この時に至って不二子はカードがおかしいことに気付く。カードの一枚に、発信機が付けられていたのだ。

一方、ルパンと五右エ門は黒死館の傍まで来ていた。ルパンは双眼鏡で様子を覗いたり、風力を計ってみたりと、五右エ門にはよく理解できない行動をするばかり。
「助けに行かないのか」と訊く五右エ門に対し、ルパンは「何で助けに行かなくちゃいけないのさ」と言い返す。
五右エ門は、まだルパンのことがわかっておらず、真面目な彼らしく言葉を額面どおりに受け取ってしまう。「そんな男だとは思わなかった」とルパンに失望し、去っていく。
勿論、彼は次元と不二子を助けに行くのだ。
「武士道とは、死ぬことと見つけたり」という、五右エ門の名台詞中の名台詞を言い残して。これがこの台詞の初登場である。
「かっこつけやがって、相変わらず古い男だ」と、去っていく五右エ門の背中に呟くルパンだが、どこか嬉しそうにも見える。
新しく仲間に入った五右エ門は、やはり律儀で義理堅く、しかも頼りになる男だと再認識しているかのように。

黒死館を取り囲んでいる銭形だが、彼もまた苦労していた。
ゴールドが、警視総監の20年来の親友という立場を笠に着て、黒死館への攻撃の指揮権を任せろと言う。
警視総監の命令にもそれが書いてあるのだが、そうなると公務員の辛いところで上役の命令には逆らえない。
いくら親友だからって、何で現場の指揮権まで…とかなりアヤシイ。暗黒街と警察上層部の癒着か?という気もするが、今回はそういう話ではないので、銭形はしぶしぶゴールドに任せるしかない。

ゴールドは、自分の私設警察(何だそりゃ〜!^^;)を警官に見せかけて送り込んでくる。
次元は銃の腕だけではなく、格闘してもかなり強いことがこの話ではわかる。次元ファンにはたまらない乱闘シーンである。
足の怪我もすっかり癒えたのか、集団でかかってくるナンチャッテ警官に対して大立ち回りを演ずる。
あまりにも多数と無勢、やがて不二子のいる部屋まで撤退しなくてはならなくなる。
そこで、ついにゴールドの「私設警察」は本性を現し、マシンガンを突きつけてくる。
そんな絶体絶命の瞬間。五右エ門が助けにやって来た。囲みを破って、館まで乗り込んできたのだ。この回の五右エ門は、まさに斬って斬って斬りまくってる(笑)。

「信じたくはねぇだろうが、ルパンはお前たちを見捨てたぜ」と言う五右エ門。だが、次元と不二子はまったく信じる様子がない。
実際、五右エ門の背中にはルパンからの脱出手順がしっかりと書かれた紙が貼り付けられていた…。さすが〜vv(笑)
この時の次元の喜び方がまたいい! 本当に嬉しそう(^^)。さっきまであれほどクールに単身戦っていたというのに。

ルパンが木の枝を撓らせていたり、風力を計っていたのは、勿論遊んでいたからではない。
木の枝を使って巨大なパチンコを作り、警察の指揮をとっているゴールドの後頭部に、見事巨大な石をぶつけるためだったのだ。至って静かに、それは行われた。
そして、ゴールドと入れ替わる。
そんな事に気付いていない銭形は、ゴールドが館にロープを投げ込んでも、ただ次はどうするんですか?と見ているばかり。
ルパン・ゴールドは、ロープを投げ込み、その端を車の後ろに結びつけ、車を走らせる。すると……
ルパンの指示通りに脱出用巨大タコを作っていた次元たち。それに乗って、3人は脱出に成功する。

「やはりカードのお陰ね」と、不二子はあくまでもカードの力を信じ続けるのだったが……
ジョーカーが現れ「嫌なやつから救い出してくれてありがとう」、そう言い残してカードは不二子の手の中から去っていった。
不二子は、ナポレオンカードがゴールドという嫌なやつから逃げ出すために、まんまと利用されしまったというわけらしい。
不二子は「待って」と残念そうだが、バックミラーからそれを見つめるルパンは、とても愉快そう。(ちなみに五右エ門は、心底どうでもよさげな顔つきである^^)
「あばよ、疫病神!」
ルパンはカードに向かって叫ぶ。
ルパンには、幸運を運んでもらう必要などない。欲しいものは自分で手に入れるルパンなのだから。


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