第2話 リオの夕陽に咲く札束


アリバイ?

第1話はほとんどルパンたちの人物紹介的な話だったため、今回が新ルにおけるルパン一家の初仕事となる。
ターゲットは、ブラジルのサッカー売上金27億円。
盗む方法よりも、どちらかといえば脱獄テクニックがメインといえるかもしれない。
コルコバードの丘のキリスト像に、酔払い運転で激突し、わざと刑務所に入るルパンたち。
それも計画の一環で、サッカー売上金が盗まれた時間、監獄の中にいたというアリバイを作るためなのだ。

アリバイを作るのは、「罪をかぶらないようにしよう」というみみっちい考えからでは、多分ない。
不可能犯罪。
ルパンは時々不可能犯罪にこだわってこうした細工を施すことがある。
ただ売上金を強奪したのではつまらない。ルパン三世としてはあまりにも手ごたえがなさすぎるヤマだったのだろう。
だから今回はわざと刑務所入り、不可能犯罪を企んだのだ。
挑戦とやり甲斐を好むいかにもルパンらしい行動だと言えるのではないだろうか。

上で「アリバイ」のため刑務所に入ったと書いているが、厳密に言えば「アリバイ」という表現は正しくないかもしれない。
サッカー売上金が盗まれたその瞬間は、刑務所のカメラによってルパンたちの姿が確認されるだろうから(8ミリテープによるトリックなのだが)ルパンたちの仕業とされないかもしれない。
が、いずれ近いうちに必ず脱獄していたことがばれるのだ。
実際トリックで使った8ミリテープの時間もそう長くないらしいし、盗んだ後ルパンたちは壊れたキリスト像を運ぶふりをして逃げる手筈になっていたのだから、もう一度何食わぬ顔をして刑務所に戻っているつもりもなかっただろう。
そうすると、犯行があった時間すでに脱獄していて、やっぱり売上金盗難はルパンの仕業だったのだ、ということになるだろう。
最初からルパンたちに「アリバイ」という認識はあまりなかったのかもしれない。
むしろ、簡単な売上金強奪に、ちょっとした歯ごたえを求めての不敵な冒険だったのではないだろうか。


敏腕警部

この話において、まだとっつあんは多少「敏腕警部」の面影を残している。
後半、ルパン対銭形的な大掛かりな逮捕作戦を行うとき以外、それほどルパンのライバルにふさわしい活躍をしてくれなくなってしまうとっつあんなのだが……。
ルパンたちが飲酒運転・器物破損などというくだらないヤマで逮捕され、最初こそ大喜びしたものの、すぐに何か裏があると気づく。
のん気にシュラスコ料理を食べている刑務所所長とは大違いだ。
そもそもこの刑務所は監視が最も厳しいなどと自慢しているが、すべてをカメラによる監視であり、しかもカメラを見ている監視人もサッカーのほうが大事だといういい加減ぶり。(いかにもラテン系?)
その警備上の穴をまんまとルパンにつかれてしまうのだが、なによりルパンたち三人を一緒の牢獄に放り込んでおくなんて、逃げてくださいと言っているようなものだ。

一方銭形警部はサッカー売上金は盗まれてしまうが、ルパンたちが脱獄していることを即座に見抜き、さらにルパンたちの逃走手段を読み、結構いいところまでルパンたちを追いつめる。
壊れたキリスト像に金を隠し、運び去ろうとしている業者にルパンが変装していることに気づく早さはなかなかのものだと思う。
この動物的ともいえる物凄い勘のよさが銭形警部の真骨頂だ。
おかげで、ルパンのヘリコプターは危うくブラジル警察に包囲されて逃げられなくなってしまうところだったのだ。
キリスト像の巨大な手が偶然警察のヘリコプターを叩き落してくれたから良かったようなものの、どうするのルパンと訊く不二子に対し、途中ルパンも「どーしようもない!」と怒鳴り返しているくらいだ。

やはり銭形警部も、ある程度手ごたえのあるライバルでなくてはあまり面白くないような気がする。
そもそも、ただ執念深いだけではルパンを逮捕などできるはずもないし、ルパンだって(からかいながらも)ライバル視しないだろう。
新ルになって、レギュラー五人は必ず毎回出演するということになったようで、たまにこの回は銭形いらないのでは?という時もある。
無理やり話の筋に関係なく登場し、ズッコケで出番終わりという回もある。
それならば旧ルの時のように、必要ない回はお休みさせた方がずっと良かったのではないか、という気も少しする。
まあ、旧ルでフル出演したのはルパンだけだし、新ルもそうなればなったでちょっと寂しかったかもしれないが。


etc

話の筋以外のちょっとどうでもいいことを少し書きたい。

リオデジャネイロ刑務所の囚人服、やたらと可愛くてルパンにすごく似合う(^^)。ピンクのボーダーという絶妙なセンスがたまらない。
次元も意外にも(?)似合う。
投獄中ということで、トレードマークの帽子もかぶっておらず、普段はあまり見ることの出来ない帽子なしの次元の顔が見放題。
問題は五右エ門(笑)。
見慣れないせいだとは思うが、やっぱり五右エ門には和服だ!と再認識。丸襟というデザイン、ピンクという色も五右エ門には今ひとつ。(五右エ門の囚人服ファンの皆様、ごめんなさい)
それにしても、ピンクのボーダーなんていうカワイイ囚人服を着せている刑務所って本当にあるのだろうか。あっても実際着てみたいとは思わないが(笑)。

そして五右エ門。ヘリコプターに乗って逃げる際、珍しく機関銃を撃っている姿が見られる。
日本的武道だけでなく、一応武器全般が使いこなせるようだ。
ヘリコプターを操縦していた回もあった気がするし、モーターボートを運転していたり(新11)、トラック運転もこなす(新12)。さりげなくいろいろなことが出来る男である。

そして不二子の初の看護婦姿で登場である。
ルパンたちを脱獄させるために、シーツや着替えを交換する看護婦に成り代わって牢獄に潜入してくる。
新ルになってから、不二子の変装で最も多いのが看護婦かスチュワーデスではないだろうか。
看護婦姿は、すぐに思いつくのだけでも、この回以外に「花嫁になったルパン」(新42)や「インベーダー金庫は開いたか」(新111)などで披露している。
新ルの不二子には案外似合っていると看護婦姿。この回は髪を下ろしているが、アップの時の看護婦姿がわたしは特に好きである。

そして気になるのはあのキリスト像。
サッカーの売上金は像の中からこぼれ落ちてしまったし、今回入手できたものはコルコバードの丘のキリスト像だけだ(壊れてるけど)。
あれだけ有名な像だし、せっかくだからルパンのコレクションに加えたのだろうか。
だとしたらいくらルパンとはいえ、さぞ置き場所に困ったことだろう。

ちなみに「狂気のファントマ・マークV」で、一瞬のことだがこのキリスト像が写るシーンがある。
ということは、ルパンが後から返して修復されたものか。それともブラジルが作り直したものか。
あれこれ想像するとちょっと面白い箇所である。


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