第8話 ベネチア超特急


変装

初期作品の中で、かなりお気に入りの1作。
4人揃っての仕事、変装、アクションと好みの要素盛りだくさん。
列車絡みのストーリーは新ルにいくつかあるが、その中で盗みの「トリック」という面ではややシンプルであるものの、とにかく飽きさせずに見せてくれるv 気持ちのいい活劇風といったところ。

さて。水の都ベネチアで、のんびりしているように見えるルパンと不二子。
カサノヴァなんかを引き合いに出しながら、不二子を口説こうとしているルパンが強引でしかも「らしい」!
途中場面が次元と五右エ門の方へと移るので、ルパンの口説き文句が全部聞き取れないのが残念だけど、照れ隠しのためか、はたまた本気でないせいか…ちらりと聞こえてくる台詞の端々から、笑ってしまうような言葉で口説いていたものと推測される(笑)
それはそうと、塔の上から双眼鏡で船を見張っているはずの次元が、広場でいちゃつくルパンと不二子を眺めては苛々している様子が、非常におかしい。
大事の前に女なんかとイチャイチャしていることが怪しからんということらしい。
女嫌い(というか、不二子嫌い?)の次元らしい態度であるが、あれやこれやと様々な解釈をされそうな、限りなく「オイシイ」シーンといえるかもしれない。私はしませんよ、ええホントに(微笑)

で。本来の目的を真面目に行っていたのは五右エ門の方(五右エ門は、ルパンのお戯れなどまるで興味なさそう。笑)
現れたドン・マルチーノの船をしっかりと発見している。
マルチーノが現れたら、合図する手筈になっていたのだろう。次元は鏡を光らせてイチャつく二人に合図を送る。ルパンはそれに気づいた不二子に、あっさりとすり抜けられる。
…それにしても、双眼鏡を持つ次元と五右エ門の小指、立ってます!これが新ルの基本です(笑)

登場したドン・マルチーノという男。表向きはシシリアの牧場主ということだが、その実犯罪組織のボスであり、イタリアでの主な窃盗事件の黒幕なのであった。
自分のものである名馬セントジュニアをフランスの大会に出すという名目で、特別列車を仕立ててパリへ向かうのだが、実際はこれまで手に入れたお宝を列車で海外に持ち出し、警察の目の届かぬところで現金化しようという裏の目的がある。
ルパンたちは、そのお宝を横から戴こうという寸法なのである。
ホテルの窓からマルチーノを見下ろし、「相手にとって不足はない」という五右エ門、そして不敵に笑うルパンたち。楽しそう〜v 見てるこちらもワクワクするような1シーンだ。
何となくだが、ルパンは、表向きは正業についているような二つの顔を持つ悪党を、より嫌う傾向にあるように感じられる。

だがここで珍客到来。五右エ門の「珍客だぜ」という言葉遣いが新鮮。新ル初期はこういうところが面白い^^
現れたのは銭形警部。ルパンはいかにもうんざりとした様子だ。
銭形が部屋に踏み込んだ時、四人の姿はすでになかったが、テーブルの上にはベネチアからパリを結ぶ鉄道に赤いラインがつけられた地図が残されていた。
ちなみにこれは、次元のポカ(笑)クールな顔して結構トチる次元って何だかイイ(あとで自分のドジに気づきルパンに謝る次元も可愛いv)
このため、ルパンたちの計画に、銭形が紛れ込んできてしまうことになる。

計画実行に当たり、ルパンらは二手に分かれる。
マルチーノの特別車両を含む特急に乗り込むルパン・不二子組。そしてトレーラーで列車と併走したり、別行動したりする次元・五右エ門組。
列車に乗り込む二人は、変装しての搭乗。この格好がツボv
ルパンの、胡散臭いカメラマンみたいなサングラスとヒゲの変装もいいが、この回の不二子がとっても好み。
前髪を下ろした金髪、カラーコンタクトでブルーの瞳がとてもキュートだ。


ピンチ

発車スレスレで列車に乗り込んできたルパンが自分のコンパートメントと間違えてドアを開くと、そこには銭形の姿が!
「同じ部屋の方ですか?」と銭形は思いのほか愛想が良い。あたふたしたルパンは、またまた間違えて不二子が着替え中のドアを開けてしまう。ハイヒールでの撃退が、痛そう(笑)
…好奇心旺盛なのか、警察官の本能か、銭形は「女の悲鳴がしたような」と言いつつ、ルパンと同じ行動をしてみせる。結果、同じように靴で撃退される。
この回の銭形は、とにかく片っ端からドアを開けては、その都度混乱を巻き起こしているので、「ノックしないの?」と昔は非常に気になったのだが、考えてみ ればあのルパンを相手にしているわけで、悠長にノックし返事を待っていたら、逃げられてしまうことは確実。というわけで、唐突に他人の部屋を開け放つの も、銭形の職務上、やむを得ないのかもしれない(笑)

その後、ルパンと不二子は食堂車で落ち合う。不二子は優雅に肉料理らしきものを食している。
余談だが「PUNCH THE MONKEY2」に収録されている「さっきは痛かったぜ」という二人の会話部分は、このシーンからの抜粋。
そんな二人の元へ、一番来て欲しくない人物、銭形が現れ、図々しくもルパンを押しのけ同じテーブルについてしまう。
「先ほどは失礼しました。お詫びに何か奢らせてください」などと、わりとスマートな口実を設けているところが、なかなかやるなという感じ。それを受けて平然と微笑む不二子もさすが。
そんな様子を「キツネとタヌキの化かし合い」と評するルパン。
以前は、銭形が珍しく美人女性に愛想を振りまいているのだと思っていたのだが、銭形は二人を怪しいと踏んで近づいたのだと考えていいだろう。そうでなければ「化かし合い」にはならないのだし。
このシーンで、テーブル下での不二子のキックが一度目はルパンに、二度目は間違えて銭形に入ってしまう。この時代っぽいお約束ギャグが個人的にはgood。

結局、確証が得られなかったからか、その後銭形はルパンを求めて手当たり次第にコンパートメントを開けまくるという展開になってしまうのだが(笑)
お楽しみ中の男女のシーツをめくったり(!)、キスの嵐で歓迎を受けたり?、はたまたケーキをぶつけられたりと、銭形の体当たり捜査のシーンは見ていて楽しい^^

さてさて。次元と五右エ門のトレーラー組は、しばらく列車に併走していたが、13分も続くシンプロントンネルを襲撃ポイントと定めてあり、その場所へ先回りすることに。
一方ルパンは、マルチーノへの探りを不二子に任せるのだった。

「ローマのパーティで会った」との口実で、マルチーノの特別車両へ入り込む不二子。
美人であることを最大限に活かした、かなり強引な手口である(笑)
何気なさを装い、セント・ジュニアを見せてもらおうとするものの(本当は宝が積んである場所の最終確認であるが)、あっさりと不二子の化けの皮ははがされてしまう。
マルチーノはシシリアから出たことがないそうで、さっきの不二子の嘘は最初からバレていたのだった。
ジョッキーの格好をしたマルチーノの部下に、頬を張られる不二子が痛々しい。…まったく、女の顔を叩くだなんて最低な男。
とはいえ、粗暴そうなマルチーノの部下たちといかにも非情で色仕掛けにもひっかからなそうなマルチーノに囲まれ、不二子はどうやって逃げるのかと、このシーンは昔から結構ハラハラしたものである。緊迫感のあるいいシーンだと思う。

その時登場するのが、銭形警部。
ルパン三世を探しているのですが…と、あまりの直球な登場の仕方だが、それまでさんざんコンパートメントを開けまくってるというシーンがあったため、いよいよマルチーノのところにも来たのかと、視聴者的にはこの銭形の登場、非常に納得がいくのである。
初めて観た時私は、すっかり銭形本人だと信じていたくらいだ(笑)
この登場が不二子を救う。警部と顔見知りであるとマルチーノに見せつけ、銭形と一緒に去っていく。さすがのマルチーノも手出しは出来なくなるのだった。

「危なかったな、峰不二子」と声を掛けられ、ギクッとする不二子。初見時は私も同時に「バレてたのね!」とビクッとしたりして(笑)
だがその銭形の正体は、ルパンv 心配になって不二子の様子を見に来たのだ。さすが〜v
不二子の「だから好き」という言葉も、穏やかなテンションで、いい味出している。うふふ(ルパフジ好き)

だがここで、本物の銭形と、まだ銭形に変装中のルパンが鉢合わせ(笑)定番中の定番の1シーンである。
「俺、ということはルパン!」という、いかにも変装されなれてる銭形の台詞が笑える。
「二人の銭形」は列車の中で追いかけっこ。
行き止まりまで追いつけられた格好になったルパンだが、ここでも減らず口は忘れない。変装を解く際、「二枚目が三枚目になるんだから、一枚余計にかぶったりして」と、減らず口まで気が利いている。
飛び掛ってきた銭形をタイミング良く避け、さらには背にしたドアを同時に開けることで、まんまと撃退に成功。「こちらでございます」という余裕の台詞がカッコイイvv
こうして銭形は、走行中の列車から無理やり降車させられてしまうのであった。


危機一髪

作戦実行までにようやく邪魔者・銭形を片付けたルパン。襲撃場所のトンネルに差し掛かり、いよいよ本番である。
二人は列車の上に乗り、颯爽と行動開始。列車とマルチーノの特別車両との連結を外しにかかる。
余談だが、このトンネル内のルパン、珍しくジャケットの前ボタンを留めている。フォーマルスーツの時は前を留めていることはよくあるが、いつもの格好の時にそうするのは、レアかもしれない。

目的のトンネルで待ち受けていた次元と五右エ門。列車が来るとトレーラーのタイヤ部分をボタン一つでチェンジさせる。
タイヤを引っ込め、レールを走るための車輪が降りてくる。この「まさか」感がルパンチック。かつては子供心に、このシーンは「すごいなー」と思った覚えがある(笑)
マルチーノの車両だけを外してしまい、この改造トレーラーで引っ張ってルパンたちの望む場所まで運んで行こうという算段のようである。

異変に気づいたマルチーノに、列車の上から挨拶するルパンの様子…「お見知りおき願いますよ」な〜んて一見紳士的な挨拶が素敵!
だがマルチーノたちがまるで観念せず(当たり前かも。笑)ルパンに銃をぶっ放しはじめるので、ルパンも問答無用で特別車両を引っ張っていくことに。
不二子はトレーラーの運転席に乗り込み出発するが、ルパンはまだ車両の屋根で待機中。

このままではルパンたちの思うようにされてしまうと悟ったマルチーノは、奥の手を出す。
宝を積んだ車両は、牽引車なしにその一両だけで走れるという機能を持っていたのだ。
改造トラックに引かれている車両から切り離し、宝の積まれた車両だけで走り去ろうとするマルチーノら。ルパンは慌てて、そちらへ乗り移り、次元を呼び止める。
「次元、離れ離れ!」という言い回しが、妙に可愛い(笑)

ようやく止まった次元たちだが、その時すでにマルチーノと宝、そしてルパンを乗せた車両はかなり離れてしまっていた。
不二子はこのまま追いかけるよりも、道路を走って先回りした方がいいと提案。すぐさま、再びタイヤチェンジが行われ、トレーラーに戻ってルパンを追いかけることに。
車両の中では、まだルパン対マルチーノ一味の銃撃戦が続いていた。
そんな中、流れ弾のせいで、ブレーキが壊れてしまった。
さらに悪いことには、反対方向から一台の列車が向かって来ており、このままでは正面衝突は避けられないという大ピンチに。

トレーラーで追いつき、ルパンに対向車の危険を伝える次元。
それに対しルパンの出した指示は、衝突予想ポイントである橋を爆破することであった。
橋を爆破してしまったら、ブレーキが壊れている車両に乗っているルパンはどうなるのか。…不二子が心配するものもっともなのだが、ルパンに茶化されると、心配しているのはお宝だと、素直にならない不二子。まあ、お宝が心配なのも本心の一部ではあると思うけど…(笑)
不二子とのやり取りで見せるルパンの反応に、「呑気なヤツだよ、こんなに切羽詰ってるって時に」と次元はあきれたように呟く。そしてちょっとばかしその落ち着きっぷりに感心しているようにも…(←妄想?)
結局、ルパン自身はどうにかするからと言い切り、断固橋を爆破することを指示。次元もそれに従うのであった。
相棒が心配でなかったはずはないものの、ルパンなら大丈夫と信頼していたのであろう。彼がどうやって逃れるのかまでは、わからなくとも。

マルチーノ一味の方はといえば。ボスのマルチーノは、案外打たれ弱いことをあっさり暴露(^^;
恐怖のあまりか、暴走列車と化した車両から逃げようともせず、「お宝は俺のもの」と宝への執着だけをあらわにし、狂気の中へと落ちていく。
部下はあっさりと彼を見限り、列車からさっさと飛び降りて逃げていく。当然の行動だろうという気はするが、まるっきりマルチーノを心配している様子もないことから、日頃から彼を慕って付き従っていたわけでなく、損得勘定での関係だったのだろう…と想像させる。
狂ったマルチーノを、微妙な顔つきで見つめるルパン。
そうしている間にも、列車の衝突の瞬間が迫る。

次元たちは例の橋へと到着。だが爆弾をゆっくり仕掛けている時間もない。反対方向からやって来る列車がもう見えるところまで迫っていたのだ。
五右エ門が爆弾を遠投、それを狙い定めて次元が撃ち抜き爆破させる。この二人のナイスコンビネーションも見所の一つ。
橋が爆破されると、対向車は急停車。ルパンとマルチーノを乗せた車両は、崩れた橋に差し掛かり…
心配そうな三人の表情と、次元の「ルパーン」という叫びがハラハラ感UP。
だがその瞬間、一頭の馬が車両から飛び出した。セントジュニア号である。
ルパンは名馬に乗って、見事崖へと飛び移って脱出に成功するのだった。白馬に乗ったルパンの姿は、とっても凛々しいv このシーンはとても印象的。

結局、ルパンが持ち出したのは、この名馬とごくわずかな宝石のみ。
馬の背に乗せてもっと運ぶことは出来たのだろうが、宝に執着して狂ったマルチーノを見ていたらそうする気分にはならなかったようだ。確かにそうした盗みはあまりルパンの趣味ではなかろう。不二子はガッカリしたようだけど(笑)
次元は、今回のトレーラーの改造にはお金を掛けたのに元が取れない、というような台詞を言う。こうした台詞を聞くと、ルパン一味の会計係はやはり次元なのでは、という妄想が頭をよぎる。
結構次元はテキトーなので向いてなさそうという気もするが、凝るとなるときっちりやりそうだし、実際会計的なことをしそうな人材は次元しかいないだろうという気もする(不二子は信用ならないし。五右エ門は面倒なことにはノータッチっぽいし。笑)

また、このシーンの五右エ門台詞「情けは人のためならず」の使い方が間違っている、との指摘がある。
確かにそうなのだけど、だが私としては五右エ門がことわざを間違えて使う、というのがどうも納得いかないので、無理やり解釈してみると…
五右エ門自身は、正しい意味(情けをかけていればやがて自分に報いが返ってくる)で使い、ルパンを慰めたのだ。
遠まわしに、マルチーノに情けをかけた今回の行動は間違ってないと思うよ、とでも言いたかったのだろう。
が、間違って受け取ったのは、ルパンの方なのだ。ルパンは「情けは人のためにならない」という風に受け取ってしまい、「そういうなって」と反応したのである。
要は、間違ったのは五右エ門でなく、ルパンであるという説を提案したい。
まーどっちもどっちなんだけど(笑)ルパンはたまに知ってて当然のことを知らないこともあるし(それが天才肌っぽくて個人的には好き^^)、日本をこよなく愛する五右エ門が基本のことわざを誤用するよりは、まだ納得がいくような気がするのである。

そして。ルパンは、セントジュニアに乗ってレースに参加し、買った賞金でお宝を入手できなかった穴埋めをすると言う。
不二子たちはルパンに賭けて、レースを観戦。
ジョッキーも出来るなんて、ルパンは(そして銭形も!)奥が深いv…素人が出られるの?というツッコミはヤボというものだろう(笑)
結局、レース場にまでジョッキーとして登場してきた銭形から逃れるため、ルパンはコースアウトして去っていく。
セントジュニア号に賭けた不二子たちの儲けはゼロ、当然賞金もない(笑)。不二子たちの「やっぱり」といった感じの反応がいい^^
ルパンと銭形、共にジョッキー姿まで見られ、この話にはツボな場面が多くて嬉しい。
未見の方にはぜひお勧めしたい一作である。


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