第16話 二つの顔のルパン


ニセルパン

新ル全作品中、不二子が最も魅力的な回の一つ。「追いつめられたルパン」と並ぶ最高峰。
私の身近に数人(オフラインの友人)、「不二子は嫌い。ルパンを利用してばかりだから」という人がいるのだが、話を良く聞いてみると、子供の頃に「ルパン」を観たきりで、かつ、たまたま最近のテレスペを観てた人であることが多い(苦笑)
その強烈さゆえに、新ル不二子があまりにドライに・理不尽にルパンを利用する回だけを記憶してしまっていて、また近作でもそうだから、「不二子はヤな女」と思っているようだ。
が、そういう人にこそ、この話をお勧めしたい。
彼女は、決して欲の深いだけの女では無いのだということが、よくわかると思う。


さて、舞台はパリ。
資産家フゴー家(直球のネーミングがナイス^^ 次に出てくるゼニアールも然り)に、ルパンからの予告状が届いていた。
三日後の午前三時に、50カラットのダイヤ「ベルサイユの星」を奪いに行く、というものであった。
フゴーから通報を受けた銭形は、それに対処すべく一旦署に戻ろうとするのだが、「その間にルパンが来たら」と、フゴー氏は不安を訴える。
が、銭形はここで強い信頼感を、ルパンに対してみせる。
「悪党ながら約束を守る紳士」として、彼が予告状の日時を違えるような卑劣な真似をしないと請合うのだった。
…う〜ん、イイv(笑)この辺の銭形の好敵手ルパンへの信頼感は、実に観ていて気持ちがいい。

しかし、銭形が去るや、フゴー氏の元には「ルパン」を名乗る男が現れるのだった!
っていうか、その顔、何?!アンタ誰??!
顔からはみ出んばかりのぶっとい眉毛に、陰険そうな目。ルパンとは、まるで似つかぬいや〜な面。
声や服装こそルパンなのだが、あまりにかけ離れたその顔と、そして何より、その行動!
盗むのはあさってのはずとうろたえるフゴー氏に対し、予告状なんかを守っていちゃ、警戒が厳しくなるからなどと言う。
厳重な警戒をかいくぐるスリルを楽しむルパン、銭形をして「(悪党ながら)紳士」と言わしめたルパンとは、大違いの行動だ。
しかも、フゴー氏を脅して金庫の鍵を奪い、それで金庫を開けようとする始末。
さらには、「ルパン」を止めようとし銃を向けたフゴー氏を、きわめて冷淡に、残酷に(至近距離から何発も撃ち込んでる!)、撃ち殺している。
あまりにも、ルパンとはかけ離れた卑劣さ。
ご承知の通り、これはルパンではないのだが。それはひとまずさておき。
ニセルパンの時の山田さんの声が、なんともイイ感じに冷たくて、試しに目を瞑ってそのシーンの声だけ聞くとすごくドキドキする(笑)。山田さんの声で「あたし」というのも、ツボ。

さてさて。テレビでは、このルパンの暴虐について、大々的に報じている。
銭形も怒り心頭の様子だ。それもそのはず、一種敬意にも似た最大限の信頼を、踏みにじる行為だと思われただろうから。
現場では、ルパンの指紋まで検出されており、そのせいでこのルパンらしからぬ犯行は、すっかり本人の仕業だと考えられていた。
それは、一緒にテレビを観ていた次元と五右エ門も同様だった。彼らも、ルパンの仕業だと思い、不快感をあらわにする。

しかし、身に覚えの無いルパンは、当然のことながら完全否定。ニセモノの仕業だと断言する。
予告状を出したことを知った誰かが、ルパンの名を騙ったのだと。指紋も、現代科学をもってすれば、偽造することも可能だとして、あまり気にした様子すらない。
「ルパン」を騙って卑劣な真似をした輩に対し、この時ルパンは怒る様子もなく、ちょっとあっさりしすぎの対応に感じられる。
が、まあメタなことを言うなら、話の流れからいって、この時点でニセルパン追求にルパン本人が立ち上がっては具合が悪いわけで(笑)。
ここはひとつ、ルパンとしては、あまりに彼本人の手口とは違っているから、どうせすぐに疑いが晴れるとでも思っていたのだろうと、好意的に解釈しておくべきか。

なぜか気楽なルパンは、次の獲物へと関心を向ける。彼が狙うのは、ゼニアール家に伝わる家宝、大粒ルビーの首飾り「アフリカの女王」だ。
しかし、すでに先回りして「アフリカの女王」を狙っている人物が居た。不二子である。
ムッシュ・ゼニアールとパーティーで知り合いになり、その魅力を駆使して、早速ゼニアール家に入り込んでいる。
まだ恋人になる気はありませんからね、と容易く落ちないところを見せつけ、さらに男の気持ちを煽る不二子(さすが〜v安っぽくベタベタ擦り寄る『だけ』の色仕掛けなんかより、こっちの方がダンゼンカッコイイ!!)
滅法魅力的な女から、さり気ない思わせぶりに加えてこんな風に言われちゃ、どうすれば恋人になってもらえるのかと、下心のある男だったら言ってしまうだろう。
そうなればシメタもの(笑)。心から愛しているという証拠にと、不二子は家宝の「アフリカの女王」を見せて欲しいと頼む。
ゼニアールが渋れば、あっさりと席を立とうとするのだから、不二子が何枚もうわてっぽい。
結局、家宝を金庫から出して、見せてくれることになった。
不二子は、扉の外から、金庫をダイヤルする音を聞き取り、金庫の開け方を探っていたのだ。
う〜ん、つくづくカッコイイv 後で一人で盗みに来るつもりだったのだろう。女ルパンはこうでなきゃ。

その時、金庫室の中に異変が。
窓の外から「私はルパン三世」と名乗る男が侵入。手榴弾でゼニアール氏を爆殺して、「アフリカの女王」を奪ってしまうのだった。
爆風で開いたドアから、不二子が中を覗くと、そこには凶悪な人相をした「ルパン」が立っており、「見たなこの顔!」と、不二子に向けてナイフを放って逃げていく。
時計はちょうど夜中の十二時を指していた。フゴー氏が殺されたのと同じ時刻である。


変身病

カフェに集まったルパンたちだが、当然話題は「ルパン」の残忍な犯行についてだ。
「ルパン」を目撃した不二子は、まだ衝撃が生々しかったせいかこの時はひどく怒っていて、あれはルパン本人だとすっかり信じてしまっていたようだ。
顔こそ別人だったけれども、ルパンは変装の名人だから、そんなことは問題にならない、という理屈。
だが、どんな人間にでも化けられる変装の名人が、よりによってあんな中途半端でしかも変な顔に化ける必要はないし、わざわざ顔を変えたのならルパンを名乗る必要などこれっぽっちもないのだから、冷静に考えればルパン本人がこんなことをするはずがないわけなのだが…

当然、身に覚えの無いことで責められるルパンも負けてはいない。
不二子が一人で出し抜いて「アフリカの星」を奪おうとしたことを、「重大な裏切り行為だ」と責め返す。
だが、いまだルパンの残酷な犯行と思い込んでいた不二子にとっては、逆切れのようにも感じられたのかもしれない、彼女は、「二度と組むのはごめんだわ」と言い捨てて去っていってしまった。
ルパンも子供のように「ガリガリ亡者のヘチャムクレ」と不二子に暴言を吐いて、不愉快そうに席を立った。(時々見せる二人の子供っぽい応酬もイイv)

その場に居た次元と五右エ門は、とにかくフクザツそうな面持ち。「不二子の裏切り行為」との糾弾にのみ一度むっつりと頷いたものの、あとは口を挟むことすらしなかった。
ルパン自身の否定を当然信じたいが、指紋の件や不二子の目撃証言から、どう考えればいいのか、迷っているところだったのだろう。

そこへ登場するのが、黒幕(笑)ノーミル博士。
高名な精神科医であり、ルパン二世の親友だったという…。
そのせいか、次元や五右エ門とも顔見知りのようで、気軽に二人を「君」付けで呼んでいる。
注目すべきは次元の博士への態度で、珍しいことに次元の「敬語」が聞けるのである。
ルパンくんは不機嫌そうだねと話しかけてきた博士に対し、「ええ、そうなんですよ」なんて答えてる。とっても新鮮なので、必見(笑)

ご承知の通り、この人物とニセルパンがグルになって、今回の事件を仕組んでいるわけだが、「ニセルパン事件」としてはややひねりの効いた計画であることが注目ポイントだ。
ルパンの名を騙り、警察・世間に対してのみ、その犯行をルパンのものだとするのではなく、今回はルパンの相棒、そして本人にまでも、「犯行の全てはルパンの仕業」であると、巧みに思い込ませようとしているところが最大の特徴なのである。
「変身病」などという、奇妙なモノをでっち上げ、ジキル博士とハイド氏まで引っ張り出してきて、その“病”をいかにも尤もらしく見せている。
ルパンの父の親友という信用されるポジションをフルに利用し、なおかつ、精神医としての知識も駆使しての計画。
なかなか侮れないし、それゆえ、いっそう卑劣な感じがして憎たらしい←ルパンスキー視点(笑)

ノーミルの計画第一段階として、まず相棒の次元・五右エ門に、ルパンが「変身病」にかかっていると信じさせることだった。
ノーミル博士邸に予め二人を呼んでおき、マジックミラー越しに客間が見える場所で待機させる。
続いてルパン本人を呼び出し、酒を出して飲ませ、様子を伺うのだが……
次元、五右エ門の前に展開されたのは、夜中の十二時になると途端にルパンが苦しみ出し、人相が変わってしまうという、驚愕の光景であった。
博士はこれを「変身病」であると説明し、人相・人格すべて別人になってしまい、その間の記憶もなく、一切自覚症状のない奇病なのだという。
さすがの二人も、ルパンが変身してしまう姿を目の当たりにして、すっかり信じこんでしまった。
(余談だが。ルパンの変身シーンを見たときの、二人のビックリした丸い目がすごく可愛い。笑)

よっぽど、このノーミルは、ルパンたちから信頼があつかったのだろう。博士の言葉に従って、次元は素直に「ルパンのことは頼みました」(また敬語!)と大人しく帰っていくのだから。
これほど信じられているというのに、こんな卑劣な形で裏切るとは……ルパン二世との間に、実は密かな確執があったのでは、とか、妙な逆恨みをしつこく抱いていたのでは、なんていろいろと妄想してしまう。

二人が帰ると、そこにあのニセルパンが登場する。「うまく行きましたな」なんて、いかにも顔に似合った卑怯な感じ。
次元たちが見た変身シーンは、単なるトリックフィルムで、実際ルパン当人は、酒に麻酔薬を入れられてその時、ぐっすりと寝入っていたのである。
いよいよ、悪党二人組の計画は第二段階へ。ルパン本人に、変身病にかかったと思わせる番である。

翌朝ルパンは、ホテルのモーニングコールで目を覚ます。と、部屋のクローゼットから突き出した女の足が見える(!)
そこには、殺害された女の死体があったのだった。
当然ルパンには記憶にないこと。だが、念のためにセットしておいたモニタテレビを、確認してみることにする。
「俺も自分に自信がなかったからね」なんて独りごちるルパン。…そ、そんなに気分的にぐらついていたなんて(涙)
そこに写っていたのは、どこでナンパしてきたのか、フランシーヌという女性とホテルの部屋へ帰ってきて、彼女に迫るルパン。そして、突然苦しみ出した後、凶悪な顔に変身し、そして女に襲い掛かり、無残にも殺してしまう姿だった……

「俺が人を殺した!」と、ルパンの衝撃はかなりのものらしい。
それはそうだろう、これまで人を殺めたことがないわけではないが、それは己と同じ世界に生きる者同士でのこと。何の罪も遺恨もない、無抵抗な一般人女性を殺してしまっただなんて、行動に美意識をもつルパンにとっては、忌まわしく恥ずべきことであっただろう。
そのビデオも博士が仕組んだトリックフィルムなのだ(ろう)が、自分自身でセットしたはずのフィルムに、歴然と映っているリアルな証拠を前にすると、ルパンはただ愕然としてしまうばかり。
駄目押しのように、博士は「君の病状がこれほどまでに進んでいるとは」と説明し、ルパンに「変身病という病気にかかっている」と信じ込ませるのであった。
そうなってしまえば、後は博士とニセルパンの思うまま。
どれだけ暴虐の限りを尽くそうとも、すべてはルパンの仕業となるのだから。

ニセルパンは調子に乗って、盗むは殺すは好き放題やらかしている。
その被害は、死者12人、現金3億5000万フラン、宝石類2億フラン。ついでにアイスクリーム1個(よっぽど食べたかったらしい)
ニセルパンが暴れれば暴れるほど、ルパンは自分のやり方とは似ても似つかない卑劣な罪をかぶっていき、どんどん追いつめられてしまうのだった。


不二子の覚悟

さて、ちょっと客観的に考えてみると、ここまですんなりとルパン本人が信じてしまうというのは、かなり不思議な気がする。
これだけ続く犯行の時刻に、いつもルパンは記憶がない状態に置かれていたのだろうか。
まあ、この時点ではまだ疑われていない博士が黒幕なのだから、一服盛られてニセルパンが活動する時は常に眠らされていたということは考えられるかもしれない。
が、相棒二人が身近にいることだし、昼夜を徹して交互に見張っているとか、ルパンの身の潔白を証明する方法はいくらでもあったのでは、と思ってしまうわけなのだけれど……
さらには、この病気のポイントとして「夜中の十二時に変身する」点が説明されていたのだが、実際最初の二件は「十二時前」に犯行のすべてを終わらせているし、子供のアイスクリームを奪ったのは、どう見ても夜中ではなさそうなので、すでに結構ボロが出ているわけで。

でも、実はそんなこと、この際どうでもいいのだ(笑)。
弱りきって、ついに死を選んでしまうほどに追いこまれたルパンの姿と、相棒の反応、そして何より不二子の究極の愛情表現が見られるのだから!!
この話、私にとっては後半のこの辺のためだけにある(←極端。笑)

自分の仕出かした(と思い込んでいる)あまりのことに、憔悴しきったルパンは、ベッドの中で力なく身を起こしているばかり(緩められた襟元が素敵v ってこんなシーンに不謹慎;)
次元は「しっかりしてくれよ〜」と、切実な声を上げてしまうほど。
五右エ門に、病気で自覚のないルパンを責めては気の毒とたしなめられるが(一歩身を引き大人っぽい反応を示すゴエがツボv)、
次元にしてみれば、一般人や警官を殺さないというルールの元、奇想天外な作戦と優れたテクニックで、大きな盗みを、痛快に成し遂げるルパンとつるむのが、 きっと楽しくてならなかったはずなのだ。誰よりも、ルパンの才能に惚れ、行動の美学を理解していた相棒としては、大切な何かがどんどん崩れていような、や りきれない気持ちになっていたのだろう。

だが誰より耐えられないのは、ルパン本人。ついに彼は、「俺を殺してくれ。お前たちに友情があるのなら」と言うのだった。ルパンが、あのルパンが、自ら死を選ぶなんて!!
死を覚悟して一か八かに賭けるのと、絶望のあまり命を絶とうとするのでは、天と地ほども差があることだ。前者はルパンに相応しく、実際に良くやることではあるが、後者となるとそうそう例は思い出せない。
この回のルパンの気弱さは、彼の根本でありすべてであると言ってもいい「自分自身」に信頼がおけなくなってしまったことに起因するのだろう。

そんなルパンを見かねて、相棒は自分たちの手で殺してやることにするのだった。いかにも彼ららしい愛情表現。
…だが(笑)
そう簡単にルパンは死なない。五右エ門の一刀をあっさり避けて、「こわ〜い」と言ってみたり、狙いを定めてきた次元の銃を、手刀で叩き落してみたりする。ついいつものクセで、身体が動いてしまうらしい。さすがルパン。
相棒たちのせっかくの決心も、こんな調子では鈍ろうというもの。元々、次元も五右エ門も、本当はルパンを殺したいはずがないわけだし…
結局、五右エ門は「馬鹿馬鹿しい。イチ抜けた」とそっぽを向くし(←すごい可愛い)、次元もあきれて「死にたきゃ勝手に死にな」と言い捨てて、二人とも出て行ってしまうのだった。

二人から見捨てられたルパンは、首吊り自殺を決行しようとする。「かくなる上はワッカでキュッ」なんて、死のうとする直前までどこまで本気なのやらさっぱりわからない(笑)
しかし、それも失敗に終わる。ルパンの元にやって来た不二子が、銃でロープを断ち切り、阻止したからである。
「ごめんね、ルパン。わたしはあなたを死なせたくないのよ」と。(くくっ素敵vv)

この間は怒って去っていった不二子だったが、やはりルパンが人殺しだなんて、どうしても信じられなかったのだ。
次元と五右エ門から、ルパンが死のうとしていると聞き、駆けつけてきたようだ。
愛ね〜〜vv(ルパフジスキー全開)
…個人的趣味として気になるのは、ルパンが死のうとしていることを、次元たちがわざわざ不二子に話に行ったのか、それとも不二子からルパンの様子を伺いに行ったのか、というところである。
何となくだが、前者を取りたい気持ちだ。というもの、あのままルパンを放置していってしまうのは、いくらドライな男性同士だからといって、ちょっと冷たいんじゃないかと思われるからで。
新ル7話で、ルパンの命がかかっている時には、思わぬ親身さを発揮する不二子を見ていた二人は、最後の手段として、彼女とルパンを会わせたのではないか。
もちろん、不二子の方も、報道される事件のすべてがルパンの仕業なんて信じられず、ずっと気に病んでいたところだったのでは。
…な〜んて具合に、とにかくこの話のここら辺は、妄想しだすと止まらなくなる(ごめんなさい;)

ルパンの自殺を止めた不二子は、「彼が本当に変身病に掛かっているのか否か」をハッキリさせるため、変身の時刻(といわれている)夜中の十二時に、彼と二人きりになって確かめてみようと言うのだった。
念のため椅子に縛りつけたルパンと、向かい合わせで様子を伺う不二子。
完全に自信を失っているルパンは、「頼むから出て行ってくれ、もしかしたら俺はお前を殺そうとするかもしれない」と弱気なところを見せる。
だが、不二子は動じない。「あなたが殺人鬼だったら、私がこの手で殺してあげる。そして私も死ぬわ。これが、私たちに相応しい決着のつけ方じゃない?」
ああ、なんていい女!!これぞ、峰不二子!!!(←盛り上がり中。笑)
ここで変にセンチメンタルに流されすぎず(重要)、「長い付き合いですものね」と淡々と、まるで当然の如く言う不二子が、とにかくカッコイイ。

いざとなったら、不二子はルパンと一緒に死ぬ覚悟のある女なのだ。それは20話でも同様。
日頃の裏切りも、ちょっとした罠も(ちょっとした?)、これほどの思いをルパンに抱いている不二子だからこそ、許されるのだ。彼女は断じて、損得勘定のみ で動くわけではないし、ルパンを利用するためだけに近くにいるわけでもないのである。(そんな風に見える回もあるにはあるが;)。ましてや、安っぽい色気 を振りまくだけの欲張り女などではない。
これは、新ル不二子の名誉の為に、ぜひとも強調しておきたい。

そんな不二子の真意に感動したルパンは、無事に12時を迎えることが出来た。
ロープを解き、不二子に感謝のキスをするルパンは、ホントに嬉しそう^^
これで、変身病が嘘であるとわかった。ということは、俄然怪しくなってくるのは、ノーミル博士である。


その間もノーミルは、着々と計画を進め続けていて、ついにはICPOにまでルパンの変身病のフィルムを見せ、信用させ、悪行の全てをルパンの仕業と認定させていたのだった。
そして、ノーミルとニセルパンは、白昼堂々とカフェで待ち合わせをし、しかも計画をおおっぴらに語り合ったりしている。
背後に、ルパンが座っていて、すべてを聞いているとも知らずに(それにしても、この時のルパンのずさんな変装、はみ出したモミアゲが最高。笑)
彼らの計画では、こんなひどい事件を起こしたルパンは、全ての罪をかぶって間違いなくギロチンに処される。
その間に、ニセルパンは整形手術で顔を変えてしまい、これまでの犯行で貯めた金銭を二人で山分けし、安泰に暮らすということだったらしい。
なんか、ホント憎らしいなぁ、この二人(苦笑)。「どうすっか見てろ!」と呟くルパンに、テレビの前で「やっちゃって!やっちゃって!」と声援を送りたくなる。


いよいよ大詰め。ノーミル邸に、銭形がやって来る。ルパンと次元の逮捕のため、博士が協力を申し出ているのだ。
博士の家の中には、呼び出しておいたというルパンと次元がいるのだが…
銭形が双眼鏡で様子を伺っていると、二人とも苦しみ出し、真昼間だというのに変身してしまう。ルパンのみならず、変身病はついに次元にも感染したのだという。次元が変身した顔は、ノーミル博士そのものであった。
銭形は警官隊を引き連れ屋敷の中に踏み込み、変身中の「ルパンと次元」を逮捕する。
「ルパンじゃない」「次元じゃない」と否定する言葉は当然聞き入れられず、銭形によって連れ去られていった。

そう、銭形を呼んだ博士に変装していたのがルパンその人。銭形の双眼鏡にトリックフィルムを仕掛けておき、本物の博士と本物のニセルパン(ややこしいなぁ。笑)を、それぞれ変身病の次元とルパンと信じ込ませ、逮捕させたのだ。
博士の仕掛けた方法をそのまま利用し、やられた通りに意趣返ししたわけである。

銭形はルパン逮捕こそならなかったものの、極悪な真犯人を捕まえたのだから、不二子の言うようにお手柄には違いない。不二子と共に「大成功」と喜び合うルパン。
調子に乗って、変身病のフリをして、またまた不二子に迫ろうとするルパンだが、当然拒否されて、ジ・エンド。
不二子の愛情は、真に命がけの時でないと、そう簡単に垣間見せてくれないものなのだ^^

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