第17話 オイルダラーを狙え


現金横取り

ルパンたちが、悪党が政府を脅迫して支払わせる現金を、横から強奪しようと試みるのは、6話以来二度目。
しかも、ルパンが自らを「ルパン三世っていうケチな泥棒」と自己紹介する点も共通している。(脚本家はそれぞれ別なので偶然か)

ルパンたちにしてみれば、舞台となる国(国名は最後まで不明)は、空前のオイルダラーで溢れており、世界で一番金持ちな国にとって1億ドルくらいはどうに でもなる金額だと思われたのだろうし、ましてやその国を油田爆破予告で脅迫して、大金をせしめようという卑怯な悪党から金を横取りしてやるのは痛快だ、と いうノリだったのかもしれない。
だが、この脅迫・爆破事件の黒幕である“ローレンス三世”は、なかなか手強く、またかなり卑劣な男でもあり、ルパンたちもちょっと苦戦している。
その分、後半での不二子の臨機応変な活躍がとても光る回である。


その某国のホテルの一室で、ルパンは現金横取り計画を仲間に話す。まずルパンが、政府が何者かに「1億ドル支払わなければ、すべての油田を爆破する」と脅迫されている事実を掴み、この国へみんなを呼び寄せたようだ。
ルパン曰く「とんびに油揚げとしゃれ込む算段」。
そんなルパンに対して、最初不二子は懐疑的な態度を取っていた。この国の国家警察は優秀だから、油田を爆破するなんて無理だろう、と。

しかし、不二子がそう言った次の瞬間、激しい爆発がホテルをも揺るがす。近くの油田が爆発したのだ。
大いに揺れるホテルで慌てる4人。と思いきや、ルパンは揺れたのをいい事に、不二子の胸に思いきり顔をうずめ「懐かしい〜ふるさとの味」なんてうっとりしている(味て!笑)
当然、「ルパンのエッチ!」とひっぱたかれるわけだが(お約束。二人とも可愛い^^)


脅迫は、現実のものとなった。
そこで国の首脳陣の間で会議が持たれる。
それまで、「砂漠とラクダのキャラバンと羊の丸焼き」しかなかった国が、世界一裕福になったのも、すべて油田が発見されたお陰なのだ。それをすべて爆破され、輸出がストップしてしまえば、国としてはきわめて困難な事態になるだろう。
警察長官は油田警備に落ち度はなかった、ゆえに爆発は事故によるものだと説明するが、それに反論したのは、情報部のモハメド・ハッサン。
油田関係の職員は全員、身体検査をしているから、爆弾を持ち込むなど不可能だと言い張る警察長官に対し、ハッサンは薬瓶を取り出して説明を始める。
今回の爆発で行方不明になっている職員が一名。彼が常用していた胃薬が入った瓶がそれだ。ひとつだけ色の違うカプセルを取り出し、庭に放り投げると、ハッサンは起爆装置を取り出す。
スイッチを押すと、派手に爆発が起きた。
要するに、自分の意思とは関係なく、一人の職員が気づかないままにカプセル爆弾を飲み、「人間爆弾」に仕立て上げられてしまったのだ。
本当に、卑劣な脅迫犯である。

ハッサンはその正体も見当がついているという。犯人は、ローレンス三世。
かの「アラビアのロレンス」こと、トーマス・エドワード・ロレンスの孫に当たる人物だという。
稀代の戦略家の孫だから、彼も相当な強敵だとし、ハッサンは要求された金を支払うように進言する。

……すでにご承知の通り、このモハメド・ハッサンこそ、脅迫者・ローレンス三世であり、実は“ローレンス三世”ですらなかったあくどい男。
ここで現金を支払うよう熱弁をふるっているのも、いずれ自分の懐に入れるつもりだったからなのだ。
どうでもいいけど、この時点でハッサンが起爆装置を持ってるのがすごーく怪しいんだけど(笑)。情報部の人間だから、カプセル爆弾の仕組み等に精通していると考えれば、あまり不思議でないと考えられたのかしらん。

しかし石油大臣と警察長官は、要求を呑むことに対して渋っている。国が易々と脅迫犯に屈したりしては、治安の収拾がつかなくなると考えるのは、警察関係者としては当然のことかもしれない。
そこへ、この国の国王とお付の男たちが入ってきた。
そこにいた一同、一斉にひれ伏す。独裁的ではなさそうだが、ここでは相当国王の力が強いようだ。
その国王自らが、この国は油田で成り立っているのでこれ以上の被害は防がねばならぬとして、金を支払うようにと命じる。当然、大臣たちは従うことになった。


その国王一行こそ、ルパンたちの変装。現金を支払わせることにしなければ、ルパンたちの計画も進まないわけだから、ちょいと後押ししたのだろう。
人目につかないところまでやって来て、変装を解いた4人が楽しげに笑うシーンは、何だか無邪気にすら見えて、まるで子供が悪戯を企んでいる時のようだ。
(余談だが、この時不二子も男装していたようだ。「国王」の去り際、車のサイドミラーにちらとり一瞬写る一行は4人になっている)

笑い合うルパンたちに、笑顔を引っ込めさせたのは、突如登場した銭形だった。
このシーンの「もしやその声は」と振り向くルパンに、「銭形じゃい」と答える銭形が妙にツボ^^
それにしても銭形は本当につくづくハナが効く(笑)。どうやって動向を探り、待ち構えていたのか。曰く「銭形の目は節穴ではないぞ」とのことだが。
しかし、単純といおうか、素直なのが銭形のウィークポイント(^^;
せっかく銃と手錠を取り出して、4人を一網打尽に逮捕しようとしている時に、ルパンに「足元に気をつけなさいよ」と言われると、素直に足元を見てしまうのだ。(可愛いんだけど・笑)
その一瞬の隙に、次元が銭形の銃を撃ち落し、乗っていた鉄の台を五右ェ門に斬られてしまう。

銭形が落下している間に、4人は素早く逃げ出した。考えてみれば車でここまで来ていたはずなのに、なぜか走って逃げる4人。
混みあった街中へ紛れ込む方が得策と判断したからだろうか。

4人を追って、銭形はバザールの中を駆け回る。その間に、一度店頭の果物(柑橘系?)を一個取って、食べながら探索を続けている。
乾燥した砂漠地帯のこと、走りまくってたら喉が渇くのはわかるけど、お金を支払ったのかがちょっと心配(笑)

やがて銭形は、縛られている洋服屋の店主を発見、4人組が女性用の衣類を盗んだと知る。彼のロープを解いてあげない辺り、この時の銭形の「ルパンしか眼中にない」度の高さがうかがえる。
そんな時、ちょうど洗濯している4人の女性を発見する。
イスラム圏の女性らしく、顔をベールで覆っている。脇の駕籠には「ルパンの上着、不二子のブラウス、五右ェ門の袴」が入っており、いかにも怪しい4人。
銭形は彼女らに銃を突きつけベールを取るよう迫る。と、彼女たちは本当にただの一般人。本来、公の場で素顔を見せてはならない厳しいイスラム圏の掟に背かせたため、銭形は女性たちから袋叩きに合う羽目に。

壁の向こうではルパンたち4人が、愉快そうに笑っていた。
銭形は、まんまとルパンの思惑通りに、罠にかかってくれたわけだ。「おかわいそう、見てらんない」と言ってさっさと立ち去るルパンの言い回しがナイスで笑いを誘う。


ローレンス三世

一度ホテルに戻ってきたルパンたち。(衣類はどうにかして取り返した模様。不二子まで同じ服を着ている)
そこで不二子は、「世界の英雄」という本で、アラビアのロレンスについて調べる。
作中でも、一般のイメージでも、(たぶん映画『アラビアのロレンス』の影響で)イギリス軍人でありながら、アラブの独立のために戦った英雄とされているが、実際のところアラブ諸国での評価はそれほど高くないそうだ。
ロレンスが対オスマントルコ帝国工作を行ったのも、イギリスとしてはまずオスマントルコをどうにかしないと、アラブを己の支配地にできなかったからで…。
ロレンス本人の志がどうだったのか、私は良く知らないけれども、イギリスの利益のために動いていた言われても仕方ない一面があるようで、だからこそアラブ諸国ではそれほど評価されていないのだろう。
と、閑話休題。
史実がどうあれ、この回では、ローレンスはアラブの英雄であり、その孫にも命をかけて尽くす部下がたくさんいる、という設定になっている。
「今度は手強いな」と呟く次元に、「手強きゃ手強いほどファイトが沸くってモンよ!」と、いかにもルパンらしい答えをしている。こういう挑戦好きのルパンって本当にカッコイイ!


やがて現金引渡しの時がやって来た。
1億ドルのトランクを積み、待ち合わせ場所にやって来る石油大臣とハッサン。
そこには、ローレンス三世の忠実な部下・シェイク・アリが大勢引き連れてやって来た。
銃で脅され、トランクから引き離される大臣とハッサン。「もう爆破はしないという保障は?」と聞く大臣に、アリは「ローレンス様はイギリス紳士の血を引くお方。決して嘘はつかん」と答えているが…
うーむ。過去(帝国主義時代)のイギリスの二枚舌外交などを思い合わせると、これだけじゃ「信用していい」基準にはならないような気もするんだけど (笑)、個人レベルの話をするなら、英国紳士たるもの卑劣な真似はしない、という事なのだろう。少なくとも、アリたち部下はそう信じていた。
(だからこそ、後半パートで、今後も爆破計画をしていくつもりだったり、ローレンスの孫になりすましていたりと、嘘つきまくりの彼の卑劣さが際立ち、部下たちの報復に納得がいく)

現金の受け渡しが終わり、ローレンスの部下たちが引き上げようとする時、今度はルパン一味が登場する。
遺跡の壁から三人が「1億ドルを頂戴しに来た」と現れる。なんだか燃えるー!(笑)
当然素直に1億ドルを譲ってもらえるはずがなく、アリは容赦なく「撃ち殺せ」と命令、ローレンスの部下たちはルパンたちに発砲しまくる。
この時、ルパンはあまり奇策に頼らず、身軽さと、三人の腕だけを頼りに正面突破しており、「盗みの場面」として見るとやや物足りなさはあるかもしれない。
が、たった三人で大勢を向こうに回し、次元がリーダー格のアリをすかさず捕らえ、全員に武器を降ろさせる辺りは、さすがといったところ。
ルパンの、緊迫した場面でも「そんじゃま、いただいちやいましようかね」といった軽い口調が、余裕を感じさせて良い^^

うまくいったかと思いきや、そうはいかないのがこの回。
ルパンには、武装解除された「政府関係者」としてすでに眼中になかった(と思われる)モハメド・ハッサンが、突然ルパンの持ったライフルを撃ち落し、逆にルパンたちに武器を捨てるように命令してきたのだ。
ここにきて、彼こそがローレンス三世だと判明。彼は、ルパンたちが国王一行に化けていたことも承知していたのだという。

用心深いローレンス三世は、追跡されないようにと、ルパンに例のカプセル爆弾を飲むよう迫る。
当然ルパンは断るのだが、大口開いたその隙に、放り込まれてしまうのだった。トホホ。
1億ドルを持って去っていくローレンス三世一味。

ルパン一味はといえば、飲み込まされたカプセル爆弾を吐き出させようと、次元と五右ェ門二人がかりで逆さにし、ルパンをゆすぶりまくるという情けない有様に。
どーやっても口からは出てこないカプセル爆弾。
上から出ないなら下から出すしかないというわけで(笑)、ルパンは長時間トイレにこもるハメになった。

その間、次元が心配のあまり部屋をウロウロと歩き回っているのがやたらとツボ。
五右ェ門に「少しは落ち着いたらどうだ」と注意されるほど。「わかっちゃいるが」心配で仕方なかったのだろう。
考えてみれば、ローレンスがいつ気まぐれを起して起爆スイッチを押すかもしれないのだから、相棒としていたたまれなかったのも無理はない。

やがてトイレから出てきたルパンは、妙〜に疲れきった様子をしていた。
ジャケットもズボンも脱ぎ、しかもワイシャツは腕まくりしていることから、イロイロ大変だったんだろうな、と想像がつく(笑)
ようやく出たカプセル爆弾を見せると、次元は思いきりイヤな顔をして鼻をつまみ、「お〜くせぇ」と呟く。まあ確かにイヤだろうけども(笑)

後々、このカプセル爆弾が効果的に(因果応報的に)使われるのが、この作品では一番面白いところだと私は思っている。
少し余談になるが、最後にカプセル爆弾を持っていたのは不二子。直前まではルパン本人が隠し持っていたのかもしれないけれど、次元ですら鼻をそむけたモノ を、彼女は嫌がらずに胸元に忍ばせていたことを考えると、さすがプロだわ〜と思ってしまう。(ルパンへの愛ゆえにへっちゃらだった、というのも個人的には アリだけど)
その頃になったら、臭いも消えていたのだろうか←なんでこんなに拘る!?

五右ェ門も次元も、ロレンス三世の手強さに「諦めたほうがいいかもしれん」と言っているが、そう言われれば言われるほど、ファイトが沸いちゃうのがルパンというもの。
「たとえ砂漠に骨を埋めることになってもローレンス三世に一泡ふかせてやる!」といまだにやる気満々である。
こんな屈辱を受けたまま、ルパンが引っ込んでいられないのは、彼の性格を考えれば実にもっともな話だ。

一泡吹かせるにしてもすでに去ってしまったローレンス一味の居場所がわからない。次元はそう言うが、ルパンはその辺抜かりがない(さすがv)
あのドサクサの中で、きちんと発信機を金の詰まったトランクにつけてきたのだ。これで、広い砂漠の中でも、ローレンスたちの居所が判かる。

その時、再び銭形がホテルにやって来るのが窓から見えた。
次元の「邪魔が入ったぜ」の一言で、ルパンがすぐ「銭形のとっつあんかい?」とわかるのもイイ感じ^^
だが、ルパンの腹の具合はいまだに不調。「みっともねえったらありゃしない」と言いながらトイレに飛び込む始末。
銭形は早速ホテルの宿泊名簿を見て、4人連れが怪しいと見当をつけているので、子供の頃最初に見た時は「ルパンのトイレ、間に合うのかな」と、ややハラハラしていた記憶がある(笑)

銭形が目星をつけた2階の部屋へ行く途中、階段で4人連れのベールをまとい全身を隠した女性4人とすれ違う。
当然怪しむ銭形だが、先ほどの袋叩きが相当応えているようで、うかつにベールを剥ぐよう迫るのを躊躇している。
結局、銭形はこの4人を見逃してしまった。これこそが、ルパンたちだったというのに、惜しい(笑)
…どうでもいいけど、すれ違うとき「どうも臭う」と言ったのは、「怪しい」という意味と「例のカプセル爆弾の臭い」をひっかけてるのだろうか(笑)


裏切りと見せかけて

まんまと1億ドルを手に入れたローレンス三世はご満悦といった様子。
だが彼は、それだけでは満足していない。さらに別の国々の油田を爆破する計画を部下に打ち明けている。
「やがて我々は世界一の金持ちになれるだろう」と薄笑いを浮かべているローレンス三世。卑しい性根が透けて見えるシーンだ。
アリが、何となくものいいだけにローレンスの顔を横目で見ているのも、ラストへの伏線なのだろうか。この頃から、「英雄・ロレンスの孫」「英国紳士の血を引くお方」という事に疑念が生まれていたのかもしれない。

そんなイヤらしさがどんどん全面に出るせいか、登場した時はそれなりに整っていたモハメド・ハッサン=ローレンス三世の顔は、後半に入ってどんどん崩れていく。たまに「別人?」と思うほどに(笑)。
作画の乱れなのか、本性が表れてきているため、敢えてこういう顔に描いたのか。

さて、ルパンたちはローレンスの元に、旅のダンサーと楽団員としてもぐりこむ。
ダンサーを務めるのは勿論不二子。この時の不二子がとっっても色っぽくて可愛い!
いつもより明るい髪色で、さらにやや強めにウェーブがかかっている(カツラなのか、髪型チェンジしたのか)
露出度の高い衣装の柄は、個人的に「もうちょっとどうにかならなかったの?」とも思うんだけど、不二子が着るととっても可愛い(不二子マジック)

楽団員のルパンたちは、太鼓にギター(?)、笛で踊りを盛り上げる。
衣装からすると、それぞれの担当楽器は、ルパン→ギター、次元→太鼓、五右ェ門→横笛、となっている。
旧ル9でも見事に横笛を吹いていた五右ェ門の設定が活かされているのかな?と思うと、楽しくなる1シーンだ。
ルパンはバイオリンが弾けるので(新ル79話)、弦楽器系が得意なのかもしれない(カッ、カッコイイ…v)

扇情的なダンスを披露し、あっという間にローレンスに目を付けられる不二子。
スケベなローレンスは(笑)、後で彼女を部屋へ呼ぶよう、アリに命じる。

作戦通り不二子はローレンスに近づいた。最初は「気安く私如きを近づけてはお名前に傷がつくかと存じますが…」なんて、しおらしい態度を取ってみせる。
するとローレンスは不二子にここに住むよう申し出るほどの勢い。後に彼が言ってるように、さすが「魔性の女」。

だが、すぐに邪魔が入る。ルパンたちだ。
またしても正面からテントに入り込み、1億ドルを強奪しようと試みる。
慌ててローレンスがルパンたちに銃を向けると、不二子が手刀でそれを払い落とすのがすごくカッコイイ!!!
銃を拾い上げ、ローレンスに向けて「私の名は峰不二子」と名乗っているところも痺れる。

優位に立ったと思ったルパンが、早速現金の入ったトランクを奪おうとすると、突然ローレンスが高笑いする。
彼は、トランクに発信機がしかけられていた事に、あらかじめ気づいていたのだ。
テントの周囲は部下で取り囲まれており、たちまちテント越しに背中に銃をつきつけられ、4人は捕まってしまうのだった。

ルパンが「また先手取られたか」と悔しがるほど、手強いローレンス。
不二子が本性を見せた時は「お前まで」と驚いていたので、不二子に関してはさすがに気づかなかったのだろうが(前回の現金受け渡し時に不二子は姿を見せていないので)、楽団員はあらかじめ部下たちにマークさせていたのだろう。
……ローレンスが手強い、というよりも、今回のルパンの計画は若干杜撰、芸がなさ過ぎるという気もするんだけど、まあそのお陰で次のような名場面が見られるので個人的には無問題(笑)。

捕らえられた4人は、杭に縛り付けられ、射殺されることになった。
武器も(たぶん)取り上げられ、しっかりと身動きできないよう拘束されている。大勢の部下らに囲まれ、銃口はしっかりとルパンたちを狙っている。絶体絶命の大ピンチ。
そんな中、不二子がローレンスに助けを求めた。
「私はコイツらに頼まれてやっただけなのよぅ」と裏切り、ローレンスに懇願し、自分だけ助かろうと泣きつくのだ。
旧ルでもさんざんルパンのライバルとしてお宝を奪い合ったり、裏切って横からかっさらったりしているし、新ルに入ってからもすでに3回ほど(5話、9話、 13話)裏切ったり敵対しているため、ここで不二子が裏切ると「ああ、やっぱり」と視聴者は思うようになっているのがミソ(笑)。

実際ルパンたちも、一人だけ助かろうとする不二子に文句を言いまくっている。
ルパンは「俺たちを裏切るのか?」と驚いて見せ、次元は「だから女はイヤだってんだ」と早くもお馴染みのボヤキを発し、五右ェ門に至っては、「生きていたら八つ裂きにしてやるぞ!」と恫喝する。(八つ裂きってスゴイ脅し文句だな。五右ェ門が言うかに尚のこと)
それに対して、「フン、あんたたちと死ぬなんて真っ平よ」と言い放つ辺りは真に迫っているし、平然と五右ェ門に「ベー」とあかんべーする不二子はまたまた可愛い^^

よっぽど不二子が気に入ったのだろう、ローレンスは女一人に何ができると高をくくり、彼女だけ解放することに決める。
そしてルパンらの処刑は翌日に延期し、その夜は不二子と楽しむことにするのだった。このスケベオヤジ!


ルパンたちを見捨て、ローレンスに取り入る不二子。だが、キスひとつ許さずに焦らしているのが、さすがお高い不二子という感じ。不二子はこうでなくちゃ。
そして、ローレンスによく効く精力剤があるんだけど…と持ちかける。「グンバツ」という言い方に時代を感じる(笑)
それにスグにのってきたということは、ローレンスは結構歳なのか、はたまたその手のクスリを飲んででも、とにかく今夜は徹底的に頑張るぞーというくらい、不二子が魅力的だったのだろうか。
……考えてみると、その手のネタが出てくるほど、この時点で「新ル」は、後に言われているほど、決して「子供向け」に徹しているわけではないのだ。

精力剤を用意するフリをして、その中にカプセル爆弾を仕掛ける不二子。彼女のダンサー衣装の胸元に、それはしまってあったのだ。
「早くせんか」と言われる辺りでちょっとハラハラするが、結局特に疑いもせず、ローレンスはそれを飲む。
もちろん精力剤などではなく、それは睡眠薬&カプセル爆弾。当然、飲んだら次第にトロンとしてくる。
しかも、彼は決定的な事をここで白状するのだ。

自分はローレンスの子孫などではないのだ、と。
彼は、とにかく金が欲しかったのだとか。この世は金次第、という信念の持ち主らしい。まあ実際、お金がないとしんどい世の中ではあるけれど、「金さえあればいい」と、平気で忠実な部下たちまで騙し、卑劣な脅迫行為を続けようとするこの男は、到底好きにはなれない。
それをテントの裏で、部下のアリが聞いていた。不二子を怪しんで用心していたのかもしれないが、とんだ事実を知ることになったものだ。

それにしても、初対面の不二子にこれほど重要なことを暴露するとは。よっぽど彼女の虜になったのか、はたまた彼女くらいいつでも自分の思うがままに始末できると過信していたからなのか。
不二子が言うように「悪党同士」ということで、仲間を平気で売るような女なら、「同類」だと感じて、言っても構わないと気を許してしまったのかもしれない。
いずれにしても、不二子の魅力の勝利というものだろう。(嬉^^)


ニセローレンスを眠らせ、起爆スイッチを探し出してテントから出ると、部下たちが待ち受けていた。不二子に「起爆スイッチを渡せ」と迫る。
彼らはもはや不二子、そしてルパンたちを処刑する気などなくしていた。
アリたちの部族は、「嘘は決してつかない」「裏切り者は許さない」という誇り高い民なのだから、ニセローレンスの処分が最重要になったのだ。
そんな彼らがルパンたちの命を保障したので、もう安心。助けてやると聞いても、最初は少し不安げに「ホントに?」と尋ねていた不二子がものすごく可愛い!
ルパンたちの命を助けるために、懸命に孤軍奮闘してくれてありがとうーー!と言いたくなるシーンだ^^


早速不二子は、ルパンたちの元へ行き、縄を解く。ルパンたちは当然そうな顔をしている(というか、すでに1億ドルのことしか喋ってない・笑)ので、彼女が本当に裏切ったわけではないことは、承知していたのだろう。この辺の阿吽の呼吸がとても好きv
命は助かったものの、結局1億ドルのトランクは、ニセローレンスのテントから持ち出せなかった。
がっかりするルパンたちだが、不二子が言うように、みんなを助けるためにはそれしか方法がなかったのだから、仕方ない。

するとその時、ニセローレンスのテントから爆発が起きる。
裏切り者には、制裁を。
アリによって起爆装置が押されたのだ。

するとその箇所から、石油が噴出す。
ローレンスは消え、石油が残ったのだ。忠義的なあまり騙されていた砂漠の民には、何よりのことかもしれない。

ルパンたちはといえば、爆風で巻き上がり、空から舞い降りる1億ドルの札びらを4人揃って追っていた。
少しでも手に入ったのならいいんだけど(笑)
爆発後、舞い散る札を追うというのは、旧ル17話を思い起こさせるラストだ。今回の札は本物なのがせめてもの救いだろうか^^


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