第21話 五右ェ門の復讐


自然先生

五右エ門がメインとなる、初めてのお話。
しかも見所満載!五右エ門の末っ子モード炸裂で、個人的にすごく好きな話でもある。

伊賀赤目。
ここに五右エ門は十年ぶりに帰ってきた。
師匠である自然先生に再会するためである。香港で遊んでいるルパンたちを置いて、一人嬉しそうに日本へ帰ったらしい。
険しい野山を越えながら、弾んだ声で「自然先生、只今帰りました」という五右エ門は、いかにも嬉しそうで微笑ましい(^^)!

が、つり橋を渡っている五右エ門は突然何者かに襲われる。
つり橋に、爆弾が仕掛けて合ったのだ。何となく卑怯な感じのする攻撃方法。かろうじて五右エ門は難を逃れるが、師匠の身に何かあったのでは、との危惧を抱き、帰途の道を急ぐ……

五右エ門の危惧は当たってしまった。自然先生は、すでに息絶え絶えの有様だった。
苦しい息の下、半分に千切れた巻物を五右ェ門に差し出し「これはうぬのものだ…」と言い残す。
その瞬間、炉辺にも仕掛けられてあった爆薬が、爆発する。自然先生の庵は炎に包まれた。
五右ェ門は腕に傷を負ったものの、爆発から辛うじて逃れた。それにしても手ひどいやり口である。先生を襲った挙句に五右ェ門まで巻き添えにしたかったからなのか、あちこちに爆薬を仕掛けておくなんて…。
燃え盛る炎を見ながら、五右ェ門は「先生、この仇は必ず!」と誓っている。


ちなみにその頃、ルパン・次元・不二子の三人は香港にまだ滞在中。夜景を楽しみながら中華料理に舌鼓をうっていた。
その最中に、五右ェ門が今、伊賀に里帰りしていることをみんなで話しているのだ。
ここでルパンが「ひとり足りないとなんだか寂しい」というのが、個人的には非常にツボである。
五右ェ門が急に里帰りしたのには訳があった。
十年前の約束で、その時に伊賀忍法の皆伝書を渡されることになっていたのだとか。
不二子などは「その皆伝書の中に伊賀忍者の埋蔵金が隠されていたりして」と、彼女らしい想像をめぐらせている。
ルパンが「二人とも不純だよなぁ、ちったぁ五右ェ門のことを心配したらどうなんだ」と優しい事を言っている(やっぱりこの回のルパンは五右ェ門に優しい^^)。不二子には「柄じゃない」と一蹴されてしまうが。

次元の話はさらに続く。ちょっと気になるのが、十年ぶりに伊賀へ帰るのが五右ェ門一人ではないという事。
それを受けてルパンも、「そう、五右ェ門の兄弟弟子、必殺人九郎ってヤツが曲者なんだ」と言う。
皆伝書は、五右ェ門か人九郎、いずれかに授けられることになっているらしい。
ゆえに、五右ェ門と人九郎の決闘もありうる、と言うわけだ。だからルパンは五右ェ門を心配していたのだ。
五右ェ門の話題で、三人が盛り上がってる様子がすごく微笑ましいシーン。(日本では大変なことになってるんだけど;)

そこへ、物売りに変装した銭形がやって来る。
あまりにしつこいのでルパンが五右ェ門についての話を続けながら、仕方なく骨董品を1ドルで買おうとすると、「お兄さんのほうが危ないんじゃないの」と言って、銭形が手錠を取り出し正体を現す。
結局ルパンたちにあっさり逃げられるが、それにしても銭形のルパンに関する情報収集能力とフットワークの軽さには毎度関心する。
とっつあんにしては見事な声色だったよ、とルパンに言われるところを見ると、この時点で銭形はまだそれほど変装的技術がうまくなかったのだ。まあ本業じゃ ないから当たり前なのだが(笑)、後にルパンたち全員を見事に騙す変装を披露することになるので(85話)、実は声色の練習もしていたのかも?などと妄想 してしまう。


一方五右ェ門は…
ひっそりとした洞窟で一人後悔し、苦悩していた。「もう少し早く着いていれば」と、悔やむ五右エ門が痛々しい。
そこに、死んだ自然先生の姿が見える。
「人九郎を恨むな」と先生は言う。だが、五右ェ門は無理だと答える。
先生は「自然の息遣いを知ること」を五右ェ門に教えてきた、それを忘れたかと五右ェ門に問いかけ、諭そうとする。
だが、自然は再び季節が巡り蘇るけれども、先生の命は取り返しがつかないと、五右ェ門は悲しみと怒りを隠し切れない。この回では珍しいほど感情をあらわにする。
だが自然先生は、「お前の心の中にいつまでも生きておる」と言い、弟子に無残に殺されたというのに穏やかに笑っていた。
これは、霊感の強い五右エ門の見た自然先生の魂だったのか、それとも五右エ門が作り出した幻だったのか……

この自然先生が、程よく枯れていて(笑)、個人的には結構好きな爺様キャラである。
自然先生の教えも、何だか胸にしみる今日この頃。
五右エ門の昔馴染み(桔梗)だとか、兄弟弟子(人九郎や同門の貞千代)、他の師匠(百地)などにはあまりろくな人物がいないので、温厚な人格者でしかも茶目っ気もあったと推測される自然先生の死が惜しまれる。


その時、先生を手にかけた人九郎がやって来る。すかさず五右ェ門は外へ出て、彼を迎え撃つ。
それにしても人九郎は卑怯、卑怯のオンパレードだ。
なんと、すでに伊賀の衆に自然先生を殺したのは五右ェ門だという話をしてきたという。だから、人九郎が五右ェ門をきれば、先生の「仇を討った」ことになるのだ。なんという卑劣な根回し!

こんな性格なら、いくら腕が立っても皆伝書が貰えないはずだ。
推測するに、人九郎は五右エ門よりも先に自然の元へやって来て、自分に皆伝書が授けられないことを知ったのだろう。
だから、皆伝書のありかを記した地図を渡さなかった自然先生を殺し、地図の半分を奪い、さらには皆伝書を受け継ぐ五右エ門も亡き者にしようとしていた。
しかもすべての罪を五右ェ門になすりつけ、自分が正当な自然先生の後継者になる腹づもりだったのだろう。憎ッたらしい敵役である(でも敵役はこうでなくっちゃとも思う^^)

五右ェ門は復讐に燃え、怪我をしていることもお構いなしに人九郎を斬ると言い切り、二人の戦いは始まった。
人九郎は「五右ェ門、腕をあげたな」と認める。それはしかし純粋な褒め言葉とは思えない。
少しでも負ける可能性のある勝負はしないタチなのだろう、人九郎はそう認めると剣での真っ向勝負を取りやめ、すかさず五右ェ門に目くらましを放つのだった。
目をやられ、しかも斬鉄剣を取り上げられた五右ェ門は彼の卑怯ぶりを責めるが、「綺麗事だけじゃ、命がいくつあっても足りねぇよ」とふてぶてしい台詞を吐く。これぞ悪役。
そして目の見えない五右ェ門に、地図の半分を渡すように迫る。当然断る五右ェ門。
ならば、と人九郎の刀が振りかざされたとき、銃声が響き、その刀は真っ二つに折られた。

香港から飛んできたルパンと次元が助けに来たのだ。(この時、撃ったのは次元で、ルパンは寝そべってそれを相棒に任せてるのがすごくツボ)
飛び道具を持った二人が現れ、自分の不利を知った人九郎は、さすがに撤退も早かった。

五右ェ門は目が見えないのに追おうとするが、ルパンに止められる。
この時、次元がちょっと茶化したように「あーあ、こうなっちゃ五右ェ門もカタナシだな」という台詞を言う。もちろん馬鹿にしてるわけでもなんでもないのだろうが、人九郎への怒りに満ち溢れている五右ェ門にとっては、ひどく腹立たしい言葉に聞こえたのではないか。
と、こんな妄想をするのも、36話で次元が風魔の目潰しをくらった時、五右ェ門がひどく冷たい態度を取っているからなのだ。
この時のちょっとした仕返し?(妄想しすぎです)


人九郎と銭形

五右ェ門は目を冷やされて、寝込んでしまっている。(なんか痛々しい;)
その間にルパンがちぎれた地図を見ているのだが、半分しかなくてはやっぱり皆伝書の在り処はわかりそうもない。

そこへ、あれこれ調べてきた次元が戻ってきた。
すでに銭形は日本に戻って来ており、さらにはもう三重県警にまで来ているというのだ。ホントにルパンに関する情報網はすごいしフットワークが軽い。
さらに大きなニュースは、人九郎が銭形によって逮捕されたという事であった。ルパンも、そして布団の中から話を聞いていた五右ェ門も驚く。

この人九郎逮捕の裏には、銭形との取引があったというのだから、さらに驚きである。
確かに銭形は、旧ル1話で、不二子と手を結び司法取引をしているくらいだから(実際に日本では不可能なことらしいが)、ルパン一味の逮捕には手段を選ばない面があるのだが…。
人九郎の命を守る代わりに、彼をおとりにしてルパン一味をおびき寄せ、逮捕に持ち込もうとしているらしい。
そうなっては下手な手出しは出来ないと、ルパンが言ったその時には、早くも五右ェ門の姿が消えていた。
(いない事に気付いた時の、ルパンの「お留守かしら!?」の台詞が妙にオカシイ^^)

またまた卑劣にも、警察に逃げ込み、その命を保障してもらおうなどという手段をとった人九郎が五右ェ門には許せなかったのだ。
怪我を押して即座に警察へと向かう。しかも何の計画もなく、ただ人九郎を仕留めることだけを目指して…

ちょうどその時、県警から出てきて、「特別任務を帯びて」警視庁へ人九郎を護送しようとしていた銭形。これでまんまと命の保障が出来た人九郎は、悪役然とした顔で笑っている。
五右ェ門はどこから忍び込んだものか、県警の屋根からロープを伝って姿を現した。
当然それを待ち受けていた銭形は、準備万端整えていた。いつもなら容易に近づくことが出来ない五右ェ門が、自ら警察という自分のテリトリーに飛び込んできたのだから。
護送車と見えた車の中から、機動隊員が大勢現れ、瞬く間に五右ェ門を取り囲む。さらには大量の催涙弾で五右エ門の攻撃を封じ、壁際へと追いつめた。

五右エ門は復讐で頭が一杯だったのだろう。もともと、まわりくどく作戦などを立てるタイプではない五右エ門だが、この時はあまりにも無鉄砲だ。
ルパンと次元が駆けつけて来なければ、五右エ門も逮捕されてしまっていただろう。

しかし、やっぱり来てくれるのがルパンと次元v
五右ェ門の身を案じて必死に車を飛ばすルパンが「世話かけやがって」と呟いてるのも無性〜に好きなシーン^^
余談だが、この車のシーン、ルパンと次元しか乗っていないのに、助手席が空いている(次元が後部座席に乗っているのだ)。
という事は、最初から奪還した五右ェ門を助手席に乗せるという段取りになっていたのだろうか。それとも、後部座席に次元を置き、引っ張って乗せやすいようにとの配慮か。
残念なことに、五右ェ門を救出した際、五右ェ門がどこに乗ったのか、いまひとつ判然としないのだが…どうも次元によって後部座席に乗せられた風に見える。

閑話休題。
煙と機動隊員に取り巻かれ、五右ェ門が身動き取れないほど追いつめられてしまった時、颯爽と現れるルパン。
ひき殺しそうな勢いで車を飛ばし、銭形を威嚇した隙に、五右ェ門を素早く救い出し、あっという間に去っていった。

それにしても、ルパンと同時に人九郎の逮捕を知り、警察までやって来た五右エ門。車で彼の後を(多分すぐに)追いかけたルパンと次元よりも相当早く着いていた。
さすが伊賀流忍法を学んだだけあって、足の速いこと!(驚)
それとも途中までは車に乗っていったんだろうか。と、他愛のないことがやけに気になったりもする(いや、たぶん走ったんだろうな)。


ルパンたちをまんまと逃してしまった銭形は、まだ三重県警の取調室にいて、人九郎と会話していた。
「自然風太郎殺しの容疑者」として逮捕されているはずなのに、取調室では偉そうにふんぞり返って煙草をふかしている辺り、取り引き逮捕であることが非常によくわかるシーンになっている。
五右ェ門から本当に俺を守ることができるんでしょうねぇ、などと図々しいことを言っている人九郎。銭形は俺がついているんだから大丈夫だ、なんて殺人犯を宥めている。なんか変な感じ。
しかも「アンタだから心配なんですよ」とまで突っ込まれてる始末。
ルパン逮捕のためならば、どんな手段でも……という銭形の姿勢はわかるけれども、人九郎があまりに卑劣すぎて、この場合人九郎と手を結んでいる銭形に、何やらスッキリしないものを感じるのは私だけだろうか。


一方、ルパンに危ういところを救われた五右エ門だが、当然気がおさまるはずもなく、相変わらず人九郎への復讐心に燃えていた。
それなのに、ルパンも次元も動こうとはしない。ルパンなど一見呑気に釣りに興じる始末だ。
苛立ちの余り、「くそーーッ」と絶叫する五右ェ門に、ルパンは「静かにしてくれよ、お魚にげっちまうだろ」なんて言ったりする。

ここで五右ェ門はきわめて率直に自分の気持ちをぶちまける。
「ルパン、こういう時こそ、俺のためになんとかしてくれ!」と。
このシーン、本当に本当に好きで、しかもすごく感慨にふけってしまう。最初に出会った頃は、不倶戴天の敵同士のようだったルパンと五右ェ門だというのに… 時が流れ、仲間として過ごしていくうちに、あの五右ェ門がこれほど素直に感情を表し、しかもルパンに何とかしてくれと頼むのだ。
「俺のために」と。
本当に心を許していなければ、誇り高い五右ェ門がこんな台詞を言うはずがない。そう思えば思うほど、このシーンへの愛しさが増す^^

またルパンが五右ェ門の激情をはぐらかすかのように、のらりくらりとした態度を崩さないのが、彼らしい。内心では五右ェ門の身を案じ、何とかその望みをか なえてやろうと考えているだろうに、人九郎が明日裁判にかけられるというニュースの乗った新聞を見せ、「後はお上が敵を取ってくれるさ」なんて言ってみた りする。

ルパンとしては、ちらりと言葉に出しているように、五右ェ門の傷が全快するのが先だと思っていたのだろう。傷を負ったまま対決しては不利なのは明らか。という事は、五右ェ門自ら復讐させてやろうと考えていた証拠なのだ。
その気持ちを知ってかしらずか、五右ェ門は「薄情モン!」と怒って、ルパンが吊った魚を八つ裂きにしてしまう(笑)

ルパンが何もしてくれそうもないと勘違いしたのか、立ち去ろうとする五右ェ門を、次元が穏やかに引き止めた。
(ここでの次元の言葉が「〜よ」を多様していて、普段より優しさ度UP。これもツボ)
ルパンがああしている時は、コンピューターのような頭脳がフル回転しているのだと、ルパンとの付き合いの長さがよーくわかる説明をするのだった。
釣りをしていたルパンが岩場に寝そべり、足をぶらぶらさせ、続いて立小便をする頃には、その頭脳は猛烈に動いていると見切っている。さすが相棒!

すると、ルパンが立ち上がり、二人の名を呼んだ。次元は「いいアイディアが浮かんだようだな」とまたしても相棒度満点の台詞。
ついにルパンはこう言った。
「五右エ門。仇、連れ出してやるぜ」
ルパンの計画が完成したのである。


決着

人九郎裁判当日。
師匠・自然風太郎殺しで裁判にかけられている人九郎だったが、その罪状をすべて認め、さっさと判決を言い渡すよう要求している。「退屈でしかたねえや」などと、反省のかけらもない態度が、つくづく憎らしい。
傍聴席で五右ェ門が怒りのあまり立ち上がったように、人九郎は有罪になり、刑務所の中へと逃げ込んでしまうつもりなのだ。
(たぶん)初犯である事と、自供している事、そして五右ェ門が殺人鬼扱いされ、その彼に命を狙われる同情すべき立場だという事になっているため、死刑にはならないと踏んでのことなのだろう。

それにしても、傍聴席にいる五右ェ門の洋装はものすごく貴重(笑)
ちょっと70年代風なサングラスにタートルネックのシャツ。チェック柄のハンチング帽。全体的にグリーン系でコーディネイト。素顔のままだが、いつも和服の五右ェ門が着ると、これだけでも変装になるくらい別人感が強い。
ちなみに次元は変装マスク着用した別人になりすまし、傍聴席でカッカする五右ェ門を宥める役をこなしている。

弁護側からの要求を裁判長が呑み、物的証拠を提出させる事になる。まあ確かに、自白だけでは有罪に出来ないだろう。
検察側は、次々と人九郎が有罪の証拠を持ち出すが、それらは尽く無意味なモノに掏りかえられていた。
殺害した凶器である刀は、キャバレーの広告がぶらさがったオモチャに、殺害当時の写真は検事が酔っ払って裸踊りをしている写真に、自白書は絵本になっている有様。傍聴席は大爆笑の渦。

それらを見終わった後、裁判長は判決を下す。
必殺人九郎は無罪、と。
これだけ物的証拠がデタラメなものになっているのだから当然。

それらはすべて、ルパンの作戦。
そもそもこの裁判長も、ルパンの変装だ(足元に本物の裁判長が縛り上げられている!)。断じて人九郎を刑務所の中に逃さないための、そして五右ェ門の手によって復讐を遂げさせようとするルパンの大胆な作戦だったのだ。
裁判を終え、「さーあ五右ェ門しっかり戦えよ!」と言うルパンがとってもイイ!

無罪放免を言い渡され、人九郎は必死で「俺が殺したんだ」と訴えるが聞き入れられない。
裁判を傍聴していた銭形も、作戦が破れて残念そうな表情を見せている。
洋装をしていても人九郎は五右ェ門に気付いていた。「負けたぜ」と彼を睨みつける。
一方五右ェ門は、いよいよ正面から戦えるとあって、不敵に笑みを浮かべて人九郎を見返した。



ついに五右エ門と人九郎は、雌雄を決することになる。
「正々堂々と戦え」と五右ェ門は言い、二人の決闘は始まった。月夜だったはすが、次第に暗雲立ち込めて、やがて雷が轟き始める。
その中、何度か刀を合わせる二人だったが、人九郎が言う通り、五右ェ門の癒えていない傷口からは、血がにじみ始めた。
ますます雷は激しくなり、大木が燃えて二人の間に倒れてくる。
しかし五右ェ門は一歩も引かず、この手で先生の仇を討つと戦い続ける。

その時、五右ェ門が風下に立った。そうと見るや、人九郎はその隙を逃さず、シビレ薬を取り出すのだ。虫などコロリといってしまう強度の薬;
またまた卑怯なやり口!!
ただでさう利き腕に怪我を負い、ハンデのある五右ェ門にさらに追い討ちをかけるようにシビレ薬をかがせるとは。
五右エ門と同じ師匠で学んでいたはずなのに、どうしてこうも違っているのか不思議なくらいだ。
が、正々堂々と戦うことをよしとする「武士」の気質の強い五右エ門と、勝つためにあらゆる手段を使うことを躊躇わない「忍者」気質の強い人九郎では、戦い方もおのずと違ってくるのだろう。

それまで静観していた二人だったが、さすがにシビレ薬などを持ち出すやり口に立ち上がり、ルパンは「これはいかん!」と叫ぶ。
だが五右ェ門はあくまで自分の手で人九郎を倒すと、ルパンと次元を制するのだ。
それを嘲笑する人九郎。
五右ェ門はなんとかして風上から逃れようと動くが、なかなか思うようにならない。やがて五右ェ門の視界は薬のせいで朦朧とし、そしてついに崖の縁にまで追いつめられていく。雨も降り出してきた……
それでもルパンと次元は、その戦いを見守るしかない。いざという時のために、次元が腰のマグナムに手を伸ばしているところが、非常にグッとくる。(二人と もどれだけ助けたかったことだろう!そんなことをしては五右ェ門が死ぬより屈辱だとわかっているから、静観しているのだけど)

いよいよ後がなくなった絶体絶命の五右ェ門だったが、不意に斬鉄剣を人九郎の頭上に高々と投げ上げた。
斬鉄剣を伝い、雷が人九郎を直撃する。そして人九郎は生きたまま炎に包まれ、やがて倒れるのだった。
五右エ門は勝ったのだ。師匠・自然先生の教え通り「自然の息遣いを知る」ことによって、雷という自然を味方につけて。
雨が五右ェ門に容赦なく降り注ぐ。その顔に伝うのは、雨なのか、それともようやく先生の仇を討てた彼が流した涙だったのか。

膝を突いた五右ェ門に、駆け寄る二人がまたまたイイ。ああ、仲間なんだなぁとしみじみ感じる。


そして、免許皆伝の書をついに手に入れた五右エ門。
二つに裂けた地図が再び一つになり、ルパンがその地図に示された場所を解く…。ちなみにこの時もルパンが頭脳担当。
当事者だというのに五右ェ門は腕組みしたままルパンが地図を読み取ってくれるのを待っているし、次元に至っては「まだわからんのか」などとふんぞり返って言っている(笑)

ようやく地図の謎を解き、皆伝書の在り処を発見したルパン。それまで座っていた大木の切り株がそうだったのだ。
五右ェ門にそれを斬らせると、中は大きく空洞になっており、その中には皆伝書の入った箱が納められていた。
箱の蓋には、「愚か者はこの蓋をとってはならない」と書かれている。何やら意味ありげな感じ。
「じゃあ俺が蓋をとってやろうか」と申し出る次元に、ルパンは「愚か者はダメって書いてある」と言って自らそれを開けるのだった(このやり取りも大好きーv)

そして箱からは一枚の紙きれが……
「笑ふ門には福来る」
それだけが書かれた、紙。それが免許皆伝書なのだった。

この紙を見て笑えたものこそ、本当の免許皆伝。五右エ門の脳裏にそう言う自然先生の姿が浮かぶ。
五右ェ門の顔には、穏やかな笑みが浮かび、広がっていった。
「骨折り損のくたびれもうけか」と呟いたルパンだったが、次元に「香港で待ってる不二子が聞いたら何ていうかな」と言われ、笑い出す。もちろん次元も。
五右ェ門の笑いは、先生を偲んでややしんみりとしたものであったが、三人の笑い声は山々にこだましていく。
五右エ門はこうして伊賀流忍法免許皆伝となった。

人九郎が強烈な悪役、それに相応しい無残な死に様として印象に残る分、三人の笑いが清々しい余韻となる、良いラストシーンである。


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