第36話 月影城の秘密をあばけ


風魔忍者対ルパン一味

これもかなりのお気に入り回。
「ルパン三世」の面白さのひとつに、実にいろいろなタイプの話があるということが挙げられる。
本職・盗みのテクニックの醍醐味、強敵とのハードボイルド的戦いのスリル、コミカルでスラップスティックなノリ、SF的、ホラー的な雰囲気……。そうした 中で、今回は和風な時代劇テイスト(?)と、暗号解読のミステリー的な味わいが楽しめる。風魔忍者軍団が登場し、ルパンたちと月影城のお宝争奪戦を繰り広 げるというお話。
さらに、この回はいろいろと個人的に好きなシーンが多く、見所満載といった感じだ。
珍しく積極的にお宝を欲しがる五右ェ門と、そんな五右ェ門のために一生懸命になるルパンがツボ。
「伊賀忍者」としての五右ェ門の活躍が、最も堪能できる回でもある。


山の中だというのに、「観光名所」とされている月影城。そこへ向けて、ルパンは車を走らせていた。
月影城について五右ェ門に尋ねているということや、その後の様々な会話を考え合わせると、月影城の財宝を手に入れようと言い出し、ルパンと次元を連れてきたのは、五右ェ門だと言う事がわかる。
これはかなり珍しい! いつも大抵、次に狙うお宝についてはルパンか不二子が言い出すパターンだというのに。
よっぽど、「名刀・月影丸」に興味を惹かれていたのだろう。原作でも、五右ェ門が不思議な魔剣を欲しがる回があるので、もしかしたら五右ェ門は日本刀コレクターなのかもしれない。(自分が使用するのは、もちろん斬鉄剣だけだろうけれど^^)

月影城に向かう途中、ふいに五右ェ門が「匂う」と言い出す。怪しい気配を感じたのだ。
ルパンも次元もキョトンとしているだけで、ルパンなんか何も匂わないからと「風邪ひいたかしら」などと言い出す程(笑)
ルパン、次元共に相当鋭い感覚の持ち主だと思うのだが、それでもまったく気づかないのだから、忍者というのは相当気配を絶つのがうまいらしい。
そうこうしている間に、ルパンたちは罠にかかってしまっていた。
燃えるロープが車を追い抜いていったかと思うと、たちまち蜘蛛の巣状の網と化し、ルパンたちの車を捕らえたのだ。

五右ェ門曰く、「風魔忍法・蜘蛛の糸」。
「逃げろ!」という五右ェ門の警告のおかげで、三人は何とか脱出し、車と一緒に爆発することは免れた。
しかし、間髪いれず、風魔忍者たちは襲い掛かってくる。相当な人数だ。
冒頭から迫力満点。
ルパンと次元も、逃げ足に関しては忍者に負けていないようで、必死に走って逃げ切る。
その間、五右ェ門は次々に木々を切り倒し、木の上を身軽に移動して追いすがる風魔忍者たちを撃退していた。

三人に逃げられた忍者の女頭領・風魔忍は(彼女の名前が出てくるのはかなり後半だが、以後忍で呼ぶことにする)、「さすが伊賀者の五右ェ門」と彼の技を認めている。
実際、21話では伊賀流忍法の免許皆伝となっているので、その筋ではルパン一味である事と同じくらい、「忍者」として有名なのかもしれない。

さて逃げ切った三人の眼下には、目的地だった月影城が見えていた。
その月影城、物好きでやや風変わりな蔵持という老人が作ったもの。城自体は町に寄付したが、莫大な財宝は月影城の謎を解いたものに与えると言い残して亡くなっている。
その謎を解いて、財宝を手に入れようというわけなのだ。

この回、全体的に次元がロコツにやる気がないのだが(笑)、最初からやる気なさ全開の発言をしている。
蔵持老人が残したという財宝について、「金銀珊瑚に綾錦なんて古臭えモンじゃねえのか? 興味ねえなぁ!」とバッサリ。
次元のイメージでは、田舎のお姫様の身を飾る程度の宝飾品や着物程度の宝を想像していたのかもしれない。
それにしても、このやる気なさ丸出しの発言は、いつ聞いても笑える(笑)

だが五右ェ門は穏やかに対応。「そうかもしれんが」と認めたうえで、自分が欲しいのは名刀・月影丸だと言い切る。
ルパンは、滅多に物欲を見せない五右ェ門がここまで言うのだからと、その気持ちを汲んでお宝探しに乗り出すことに決める。
「五右ェ門たっての望みだもんね」という言い方がイイ(なんだかほのぼの〜v)

そういう訳で、早速城の中に入って調査開始。
観光名所なので、一般に公開されている。ちなみに入場料は一人500円。
余談だが、この窓口にいた、お世辞にも美人とは言えない女性を見て、ルパンが思わず(といった感じに)「あらぁ、ベッピンさんだコトォ」というのが妙にお かしい。さすが紳士のルパン、決して女性を傷つけるような直球の台詞は言わないのだ。104話で不二子を陰で「あんなブス」呼ばわりしている次元とは違う (笑)
私もこっちの意味でいいから、ルパンに「ベッピンさんだこと」と言って欲しいぞ(笑)
さらに余談だが、城への入場料はルパンが自ら財布を取り出して三人分支払っている。これは珍しい!!(と、思う)

その時、バスに乗った一団が城へと入っていく。中でもひときわ目を引く和装の美女が一名。
彼女に対しては、次元が素直に「いやぁ、すげえベッピンだ」と褒めている。
ルパンも本物の美人に対しては食いつきが違い、窓口の女性に誰なのか尋ねるイキオイ。
彼女は茶の湯のお師匠さんで、今日は町長はじめ町のお偉いさん方を集めたお茶の会が開かれているのだとか。

茶会の脇を通りかかると、ルパンですら「風流だねぇ」と呟くほどに、日本ならではのいいムード。
五右ェ門の視線は、茶の湯の師匠に注がれている。思わず立ち止まるほど、彼女が気になるらしい。
ルパンは「五右ェ門はああいうタイプに弱いんだな、ウフフー」と茶化しているが、どうもこの場合は、好みのタイプだったからジッと見ていたわけでなく、忍者の本能で気になってしまったのだろう。
茶の湯の師匠は、風魔忍の仮の姿だったのだから。彼女も、姿をやつしてルパンたちの動向を探っているのだ。

天守閣へ上がって行くと、あまりの見晴らしの良さにルパンが「絶景かな、絶景かな」と見栄を切る。すかさず次元が「それは五右ェ門のご先祖様」とツッコむのがイイ(笑)
その天守閣には、意味ありげな掛け軸一枚がかかっている。これが、宝の謎を解く鍵なのだった。


謎解き

その掛け軸にはこうあった。

「大木が太陽をつらぬく時
背後の山に月は沈む」

一読したときは全然見当がつかなかったルパン。
ぶつぶつと呟くだけで、「背後の山に…」といいながら、文字通りは以後の山を見たりするものだから、次元に「いい加減にしろよ!」と怒鳴られる始末。
元々乗り気でなかった次元は、ぶつぶつ呟くルパンにチャチャだけ入れて、すんなり謎を解けないと見るや、「先に宿に帰って寝てる」と言い残して、一人で去っていっていまうのだった。ナンテ素直な反応(笑)
よっぽど気が乗らないのだろう。といって、完全に「降りた」と言わないのは、五右ェ門にそれなりに気を遣っているからなのか。それにしちゃ子供っぽい態度だけど、妙に可愛いのでワタシ的には好きなシーンだったりする^^

残されたルパンと五右ェ門は、大手門へ向かうが、その標識は本来の大手門とは別方向を指していた。風魔忍が、ルパンたちを裏山へおびき出すために方角を変えておいたのだ。
(またまた余談だが、ルパンは五右ェ門に注意されなければ本来の大手門の方へ向かっていたので、ルパンの方向感覚はかなり正確だという事がわかる。城の中ってややっこしいと言っていたのに…さすがv)

まんまと裏山に導かれてしまったルパンと五右ェ門。そこへ銃声が響いてくる。次元のマグナムだ。
ルパンが次元の名前を呼んで駆けつけると、風魔忍法でやられた次元が目を押さえてうずくまっていた。
五右ェ門によると、「風魔忍法・蝙蝠の術」。蝙蝠のように空を飛び、目潰しの粉末を撒くという術らしい。
ルパンと五右ェ門にも襲い掛かる風魔の蝙蝠。目が見えない次元をかばって伏せるルパンが、何気にツボ(笑)
忍法だと勝手が違いすぎるようで、ルパンは「五右ェ門、なんとかしろ!」と五右ェ門頼み。

実際それは大正解で、五右ェ門は素早く自ら目隠しをすると、高く飛び上がり、次々と蝙蝠たちを斬り伏せていく。
布で目がまったく見えない状態なのに、素晴らしく鮮やかな戦いっぷり!!
大勢いた蝙蝠は、すべて斬られ倒された。ただ一人、風魔忍を除いて。


目潰しをきらった次元は、川で目を冷やしている。「病院へ行ったほうがいい」と心配するルパンだが、五右ェ門の態度は冷たいと見えるくらいに冷静。
蝙蝠の術は、今夜一晩我慢すれば治ると言って、あまり心配する様子もない。
次元が今回素っ気なかったから怒っているのか、それとも忍術を知り尽くしているから、あまり心配する必要を感じないからなのか。
冷静な五右ェ門と違い、ルパンは「ちっくしょう、酷いマネしやがって!」と怒りをあらわにしている。相棒がやられた時ほど怒るルパンというのがまたまたツボすぎ。
ルパンにしてみれば、どうして風魔忍者から狙われなければいけないのかと思うのだろう。が、五右ェ門によると風魔も月影城の財宝を欲しがっているため、ルパンたちが邪魔なのである。
というわけで、風魔と戦いながらも、宝探しをしなくてはならないことになるのだった。


ルパンは次元に肩を貸しつつ、いったん宿へと帰る。ちなみに宿は、旅館・静野屋のさくらの間。なんだかやけに身近な感じがしていいわ〜^^
部屋へ入ろうとすると、五右ェ門が「中に人の気配がする」と言って警戒する。
が、待っていたのは不二子。戦う気満々だった五右ェ門はズッコケてしまう(笑)

実はこの不二子、風魔忍の変装なのだ。五右ェ門が「なぜここがわかった?」と尋ねているので、早々に気づいていたのかなという気もしていたのだが、今回よーく観賞してみても、最初から気づいていたという決定的な証拠シーンは見つけられなかった。
でも、確証はなかったにせよ、怪しいくらいはもしかして感じていたのかも??

不二子は「ルパンの匂いがするんですもの」と、宿を突き止めた理由をこんな風に曖昧にして乗り切るが、ルパンはむしろその言葉に大喜びして、彼女の正体に気づくことはなかった。
不二子に化けた忍は、ルパンたちを早々に手を引かせようとしたのだろう、「深入りしない方がいいわ」などともっともらしく忠告している。
しかしルパンは「五右ェ門が張り切っちゃってるモンでねー」と、引き下がる様子はない。

その時。
忍の背後にある窓から覗く看板――「レストラン東海」というネオンを見て、ルパンはひらめきを得る。
「東」のネオンの一部が切れていたのがキッカケだ。
暗号文の一行目、「大木が太陽をつらぬく時」というのは、長〜く書いた「木」で、太陽=「日」を貫くと、「東」という文字になる。
同様に、二行目、「背後の山に月は沈む」の「背」から「月」が沈んで(消えて)しまえば、「北」になる。
この暗号は、「東北」を意味していたのだ。
城の天守閣から東北に当たるのは鬼門櫓。掛け軸の暗号がさしているのは、鬼門櫓だったのだ。

目が見えない次元を旅館に置いて、ルパン・五右ェ門・不二子(忍)は早速その夜鬼門櫓に忍び込むが、古びた振り子時計以外何も見当たらない。
だが、その振り子時計が第二の暗号なのだ。
ルパンは、その時計の針がしっかり糊付けされて止められていることに着目、これに意味があると見破る。
時計が指し示しているのは、8時29分42秒。
これが意味ある数字だということはわかったが、それが解けなくては宝の在り処はわからない。
再び宿へ帰り、針が指している時間=数字の暗号について頭を絞るルパン。電卓を叩き、数字の謎と格闘をし続けている。

この時、すでに夜は明けており、一晩中ルパンは暗号を解こうと奮闘していたようだ。
宿の物と思われる浴衣姿になっているのが非常にレアで良い^^(浴衣になったということは、きっと風呂には入ったのだろう・笑)
五右ェ門がコクリコクリとうたた寝している事からも、一晩中起きていたことがわかる。

ルパンは電卓でさまざまな計算をした挙句、今度は語呂合わせにまで挑戦するが、意味あるものが浮かんでこない。
その時、まだ目に覆いをしたまま横になっていた次元から、アドバイスが。「それは何かの順番なんじゃないか」と。
あれだけやる気がなかった次元だが、ここにいたってようやく参戦したという感じ。
ルパンのあまりの苦戦を見かねたのか。一晩ぐっすり寝て気分が和らいだのか(笑)、いずれにしてもいいタイミングでいいヒント、さすが相棒。

そこへまたもや不二子に化けた忍がやって来る。
暗号が解けたか探りに来たようだ。これまではとにかくさっさとルパン一味を排除しようとしていたが、彼らが手強い事・ルパンの頭が切れる事を考慮して、利用することに方針転換したものと思われる。
だが、まだ暗号は解けていない。
そんなルパンに対し、苛々が募ったのか、五右ェ門はワガママっぷりを全開にする(これがまた可愛いんだ!笑)。
普段ならこの程度の暗号などすぐに解いてるはずなのに、こんなに手間取っているのは、乗り気じゃないからだ!とルパンを責め、月影城の財宝は諦めたからここを引き払おうと、ヘソを曲げる始末。か〜わいい〜(笑)
と、ヨコシマな視線を脇に置いて観てみると、もしかしたら不二子が怪しいと感じていたため、「引き払う」とカマでも掛けたのか?という気がしなくもない。

実際、五右ェ門の諦め宣言が出た後、忍はいかにも親切そうに次元の目を気遣い、病院に行くべきだと言い、彼を支えて連れ出すのだった。
相手が風魔忍だとも知らず、「済まねえな」と素直に感謝し、好意に甘える次元もイイ感じ。良い仲間っぽい次元と不二子のシーンは結構好きだったりする^^
(これが忍だったというのが残念! まあ本物の不二子だったらこんなに親切にしたかどうかはわからないが・笑)

いい加減暗号と向き合ってることに飽きてるっぽいルパンは、二人に付いて行こうとするが、五右ェ門に阻止される。しかもアゴで!!(大笑)
「オイッ」とルパンににらみを利かせ、アゴで暗号に注意を促すのだ。頭脳労働は完全にルパンの領分と思っているのか、自分では何も考えていないくせに五 右ェ門たら大きな態度。でも「やります、やりますよー」と素直なルパンとの対比がとても微笑ましい。「月影丸はきっとお前のものにしてやるからな」という 台詞も好き。
…ただ、不二子が去ってからも、ルパンに対してこの態度を貫いていたということは、上記のヘソ曲げも怪しい不二子に対するカマかけでなく、素の五右ェ門の一面だったのかしれない。

再び五右ェ門監視の元(笑)、ルパンが暗号を解いていると、不二子=忍が一人で飛び込んでくる。
「次元が風魔に浚われた」と。よっ、一人芝居!(でも結構名演技)
風魔の要求は、月影城の謎と引き換えに次元を返すから、今日の午後五時に八幡神社へ来い、というものだった。
まだ謎が解けていないルパンはさらに考え込む。


名刀・月影丸

さて、ルパンを追う銭形は、今回もきっちり正確な情報をキャッチして、月影城のある街へとやってきていた。
宿をしらみつぶしに当たっていると、ルパンたちが宿泊しているところをついに見つけ出す。
…この時、宿の主人に写真を見せている時、「この三人と女が泊まっている」という言い方をしている。その後懐にしまった写真は一枚(のように見えた)。
ということは、ルパン・次元・五右ェ門の3ショット写真なのだと推測される。それ欲しい〜〜!!(笑)

銭形の声が聞こえたというのに、ルパンは慌てる様子もなく、階下の様子を伺っている。
二階へ上がろうとする銭形が「犬も歩けば棒に当たる」と呟いているのを耳にし、ここで再びひらめきがルパンに訪れる。
ついに振り子時計の謎も解けたのだ。

銭形に見つかっても、お礼を言う余裕っぷり。当然銭形はとっ捕まえようとするが、ルパンの浴衣はスルリと脱げて、勢い余った銭形は階段を転がり落ちた。
再びルパンに猛然と向かってくると思いきや、今回銭形は(よっぽど気になったのだろう)ルパンに質問をする。今仲間になっている女は誰なのか、と。
ルパンは当然「不二子ちゃん」だと答えるが、銭形は嘘だと断じ、何となくせせら笑うような感じで(笑)「不二子は東京で若いハンサムな男とデレデレデートしとったぞ」とルパンに告げる。
不二子が他の男とデート!?……という事でショックを受けている場合ではない。
それが聞こえた五右ェ門は、素早く今いる“不二子”に斬りつけた。
風魔忍は身軽にそれを避け、ふすまの向こうに消える。再び姿を見せた時はすでに本来の姿――くのいちの姿になっており、ここでようやく「風魔忍びの軍団頭領・風魔忍」と名乗るのである。
彼女曰く、茶の湯の師匠、峰不二子に化けていたのは、風魔忍法七変化、らしい。ルパンや五右ェ門ですら気づかなかったのだから、確かにお見事な変装いや忍法である。
忍は、風魔の要求を呑むように言い残すと、煙幕にまぎれて逃げていった。

午後五時、八幡神社。
ルパンと五右ェ門は言いつけ通りやって来た。風魔も、一応ちゃんと次元を連れてきている。
とはいうものの、籠に乗せられ、目にはまだ目隠しがされ、縛り上げられた上に猿轡まではめられた次元の姿は、ちょっとばかし情けない(でも目が見えなかったんだから仕方ない;)
次元を返せと要求するが、先に謎解きを聞かせろという忍。そう言われて、すごく悔しそうな顔をするルパンが印象的。人質とられていると、こういう時ホントに辛い。

最初、「犬も歩けば棒に当たる」とか「花より団子」などと、タワゴトのような事を言い続けるルパンに、忍は刀を次元の上で振りかざし怒るが、これが謎を解くカギになっていたのだ。
要するに、あの時計の針は、いろは48文字の順番を示しているのだ。
いろは48文字のそれぞれ8番目、29番目、42番目……要するに「ちやし」。これを意味が通るように逆から読めば、「しゃち」となる。
天守閣のシャチがお宝の隠し場所だったのだ。
しかしシャチは二つある。右か左か、どちらなのかと、さらに忍はルパンに迫る。
少しは自分で考えろよ、と思わずツッコミたくなる程、ルパンに頼りまくりの風魔軍団。

だがルパンも利用ばかりされてはいられない。すかさず次元を返せば続きを教えると持ちかける。
ルパンの頭脳により導き出された答えで、確実にお宝を手に入れたい風魔忍は、ここでようやく要求を呑み、次元を返す。
次元の猿轡をはずしながら、ルパンは忍に問いかける。時計の針はどちら側に向いていたか?と、29分を指していた長針は下向きだが、短針・秒針は共に左を指している。
左のシャチだと思い込んだ風魔たちは、もう用無しのルパンたちに捕獲網を投げつけるが、五右ェ門にあっさりと斬られてしまう。
これは、ルパンたちを本気で捕らえようとしたというよりは、網投げ係をひとり犠牲にしても、全員があっという間に姿を消すための策略だったのかもしれない。手段を選ばない忍者は怖い。
だが、食えないのはルパンも同じ。というか、相手を騙すのはダンゼン上手なのだ。忍はその辺がまだわかっていなかったらしい。ふふふ(笑)

ようやく助かった次元は「もう忍者はこりごりだ」とぼやくが、ルパンとしては「こうなったら男の意地」なのだ。まだ彼らは本当の財宝の在り処を知らない。
月影城で決着をつける、という事で、五右ェ門も強く頷いていた。


その夜、銭形が月影城の門の前でひとり目を光らせている。
そのせいで、ルパンたちはちょっと足止めを食ってしまう。なんとか銭形を門から引き離さねばならない。
すでに風魔は「風魔忍法・闇凧」で天守閣のシャチに接近しているのだ。ルパンにすらまったく見えないようだが、伊賀忍者免許皆伝の五右ェ門には、しっかりと闇凧が見えていた。

五右ェ門も負けじと「伊賀の忍び凧」で空へと舞い上がる。(ちなみに「頼みの綱」を支えているのはルパンと次元^^)
忍に接近し、空中戦を繰り広げる二人。手裏剣が舞い、刀と刀がぶつかり合う。
凧に乗りつつ、五右ェ門と刀で切り結ぶとは、風魔忍、さすがに頭領だけのことはある。
が、忍の手下が、五右ェ門の凧の綱を切ってしまったため、五右ェ門はくるくる回りながら真っ逆さまに落ちていってしまう。
心配する次元だったが、空中でバランスを取り戻した五右ェ門は、モモンガのように風に乗って無事だった。
ルパン曰く「アイツは殺したって死にゃしない」。この台詞も、かつてルパンと対等に戦った五右ェ門相手なだけに説得力があり、また絶大な信頼感が感じられてツボ。

空中からの接近が難しくなったので、どうにか邪魔な銭形を排除しなければならない。そこで、次元が囮役になることに(旧ル15話でも囮役だし、結構好きなのかしら^^)。
「おじさん、火ィかしてくれる?」というちょっと明るめの声がイイ! ライターを差し出した銭形に、ニヤーッと笑っているその笑顔もサイコー!!(笑)
ようやく次元に気づいた銭形は、早速彼を追い始め、門の前から離れていくのだった。

その隙にルパンがロープを使って天守閣へと登っていく。
本当の事を知らない風魔忍とその手下は、左のシャチを屋根からはがす作業を続けていた。
が、登ってきたルパンに気づくと、忍は刀で攻撃してくる。何だかんだで身軽にそれを避け、ロープを切られることもなかったルパン、お見事!
危うく落ちそうになっても、足にロープを絡ませて宙ぶらりんになってるところも好き!(笑)

そうこうしている間に、風魔の手下が、ついに屋根からシャチを引き剥がすことに成功した。
二つの闇凧にシャチを括りつけて、シャチごと空へ舞い上がり去っていく風魔忍。得意げな笑いを残しながら。

が、本当に笑うのは、ルパンの方だ。
人質にされていた次元を無事に返された後に、本当の事を言うはずがない。
財宝が隠されたシャチはどちらなのか? これに対する答えは、時計の振り子の向きだったのだ。振り子はしかりと右を指している。こちらが正解。
ルパンが言う通り、何でもかんでも人に頼るから悪いのだ。風魔よ、もし次回挑戦する機会ががあるならば、自分の頭もちゃんと使えよ(笑)
というわけで、財宝は、右のシャチに隠されていた。
ルパンがシャチの尾を回すと、そこからは大量の大判小判がざくざく! ルパンが止めようとするものの、どんどん屋根をすべり落ちていってしまう。

その小判は、まだ次元と追いかけっこをしていた銭形の上に降り注ぐ。あっという間に銭形は小判に埋もれて身動きできなくなってしまう。
(余談だが、この追いかけっこ中に、次元が「しつっこいなーーとっつあん!」の言い方と、銭形の自称「執念の男」というフレーズがとてもお気に入り^^)
小判に埋もれつつも、銭形は全警察に対し、月影城を包囲するよう無線で配備することを忘れない。

一方、シャチの中に無事残っていた名刀・月影丸をようやく自分のものにできた五右ェ門は至極満足げ。
周囲はすでに警察の車で囲まれているというのに、じっくりと刀に見入っている。そんな五右ェ門を見て、ルパンが「おーおー無邪気だコト」と呟くほど(この台詞もイイv)
ついでに、包囲してしつこく追いすがる銭形に対して、「とっつあんもくどいんだよね」と言うのだが、なぜか最近この台詞が笑いのツボにドハマリしてしまい、見るたびに吹いてしまう(笑)

そしてこの回、あまり目立った見せ場のなかった次元だったが、ついにラストで、さすがの一発を見せてくれる。
天守閣の屋根めがけて、鉤付ロープ弾を放ち、見事狙い通りのところへひっかけるのだ。さすが世界一のスナイパー!
そのロープを伝って、ルパンと五右ェ門は銭形から逃げていく。

悔しさのあまり、銭形は小判を次々とルパンに投げつける。
「さすが銭形平次の子孫だけあって、血は争えないね」とルパン。
ご先祖様の特技をしっかり受け継いでいた銭形は、見事ロープに小判を命中させ、ルパンと五右ェ門が落下!というところで、ジ・エンド。

血は争えないのは、実は銭形だけでなく、暗号解読はアルセーヌ・ルパンの冒険譚に結構登場するので、ルパン一族の得意技ともいえよう。孫のルパンもしっか りそれを伝授しているようで、(たぶんどちらかというと)ルパンには馴染みが薄い「いろは48文字」を使用した暗号もしっかりと解いて見せてくれた。
そういう意味でも、この回はいろいろと見せ場も多く、要所要所で「らしさ」が抑えられていて、かなり好きな回なのである。


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