第49話 可愛いい女には毒がある


音楽談義

この49話から、52話までの4話連続でルパンの恋物語が続く。
恋物語……なんていう表現はルパンにはなんだか相応しくない表現だけど。
いずれにしてもルパンが不二子以外の女に惚れる話が続く(50、51話は過去の話)ので、ルパンスキーに美味しいんだか美味しくないんだか(笑)

今回のお相手はザクリーヌ。
彼女は、大統領、大富豪と次々に結婚し、その結婚相手はことごとく変死を遂げる。
その遺産で莫大な財を成したといういわくありげな女。
熱心にボクシング観戦をしながら(かなり熱くなっているルパン!)、ルパンはザクリーヌの所有する世界一のダイヤをいただく計画を話すが、次元はどうにも乗り気でない様子だ。
もともと仕事に女が絡むのを嫌がる次元だが、今回はどうもいつも以上に嫌な予感がするらしい。
次元の直感はいつもながら結構当たるのだ。
そして、次元はボクシング会場に怪しい男を目ざとく発見している。
どうでもいいけど、ここのボクシングシーンは、やたらと力が入っていて、ボクシング自体が何かの伏線なのか?と思ってしまうほど、長々と熱いファイトが繰 り広げられるのだけど、コブラの部下がすでにルパンたちに目をつけている事、ルパンがザクリーヌの財宝を頂く計画を話す事、以外を含ませている訳ではな かった。
(それにしても長く、妙に力が入ってるのだ^^;)

帰り道、車にコブラが仕掛けられていたせいで、事故ってしまうルパンと次元。仕掛けたのは例の怪しい男だ。
事故ったルパンが目を覚ますと、そこはザクリーヌ夫人の館。彼女に助けられたようだ。頭の包帯が痛々しい。
が、怪我にもめげずルパンはシャワーを浴びる女を覗き見し、そのシルエットにいつもの如く鼻の下を伸ばす。
こんな風に色っぽい雰囲気をまとい現われたのはいいけれど……
ザクリーヌって美人ですか?!(笑)
いかつくって何だか扁平な顔つき。どうにも「美人」には思えないのだが。ルパンがあれほど夢中になってしまうのが、さっぱりわからない(嫉妬ゆえの発言。爆)
いわゆる雰囲気、フェロモン系の美人というヤツなのだろうか。
ちなみに、ザクリーヌの声は小原乃梨子さんが演じている。、52話のエマニエル・ポアロもどうしてこんなに短期間に2度も、しかも同じような役柄で出演されたのだろう?

ルパンはすぐにザクリーヌに惹かれたようだ。
ザクリーヌもまんざらではない様子。シャワー後にバスタオル一枚巻きつけただけの姿のまま、彼を警戒する素振りもなく、軽い飲み物を…などとルパンに頼み、マティーニを作ってもらっている。羨ましい!!(笑)
余談だが、ルパンお手製のカクテルを飲んだゲストキャラは、ザクリーヌの他にはパートIII「カクテルの名は復讐」のセーラくらいなものだ。

それはともかく、羨ましいのはそんなことだけではない。ザクリーヌへのルパンの惚れ込み方はかなりスゴイ。
もう次元なんかまったく眼中になく、ひたすらザクリーヌと甘い日々を過ごす。
海辺で語らい、共に乗馬し、1つのジュースを2人で飲むし、相合傘でいちゃつくし!
それを一部始終間近で見ている次元の拗ねた姿も見物だが(笑)、次元が怒るのもわかる気がする。それくらいものすごいイチャつきぶりなのだから。あーあ。

次元の苛立ち方、怒り方がまたすごくいい。
一つのジュースを分け合う二人の傍では、ひとりで同じジュースを飲んでブクブク泡を立ててるし、ルパンの相合傘を横目にしては、ずぶ濡れになりながら「くっそ〜!!」と服を叩きつける。
そんなに怒りながらも、何だかんだで次元もザクリーヌの屋敷にしばし滞在し、延々二人の後にくっついて回ってたなんて、よっぽど気になったのか(笑)
(次元も足を怪我していて、滞在せざるを得なかったという理由もあろうが)
何より、ザクリーヌの財宝を手に入れる事が今回の仕事だったのだから、ルパンがいつ動くのか、じりじりしながらも律儀に待っていたのだろう。

が、その後、次元はついにキレた。
「誰がなんと言おうと降りるゼ!」と五右エ門と不二子の前でも怒り続けている。
五右エ門に、コブラを仕掛けたヤツの心当たりはないのか?と訊ねられても「知らんッ!!」と完全に八つ当たり。
次元は、つくづく「世界一の大泥棒・ルパン三世」が好きなのだ。そのルパンが女にデレデレして、何より大切なはずの「仕事」を忘れてしまうのが心底腹が立つのだろう。
どんなに怒ってもやっぱり離れられないのは、ルパンが「ルパン三世」であり続けるからなのだが……


コブラ

今回はどうやらもともと4人の共同作戦だったようだ。不二子は、今更世界一のダイヤを諦めるつもりはなく、1人で行動しようとする。
そうしたところ、あっという間に不二子は例の怪しい男にさらわれてしまう。(また人質役かぁ;)
「不二子の命が惜しければ今度の仕事から手を引け」との脅迫電話がかかってくる。男はザクリーヌの宝石を狙うのを阻止したいようだ。
不二子を人質にしたしるしとして、彼女のハンドバッグが使われているのが効果的。
そこに至ってようやく五右エ門が、次元の帽子に仕掛けられた小型盗聴器に気づく。「お主もヤキがまわったな」とクールに決める五右エ門。
(コブラの正体はザクリーヌなのだから)彼女の屋敷で仕掛けられてきたのだろう。
ルパンとザクリーヌばかり見すぎですよ、次元さん!(笑)

ルパンは当てにならないし、不二子まで浚われたとあってはじっとしていられない。
次元は銭形に変装して、ICPOアメリカ支局の資料室に潜り込み、怪しい男の身元を探り始める。
資料をあさり、目的のモノを見つけると、腕時計型カメラにそれを収めていく。
すると、帰り際、いつものように本物の銭形と鉢合わせしてしまう(お約束!笑)。

ぶつかった瞬間、互いに誰なのか認識しておらず、「どうも」などと声を掛ける辺りが妙におかしい。
ところで次元は、変装は出来ても銭形の声色はまだマスターしていないようだ。「どうも」という台詞は次元の声のままだった。
銭形は「自分」とぶつかり、仰天して追いかけるものの、まんまと逃げられてしまい、今回の銭形警部はいいところナシ。
ただ、8話では「俺、という事はルパン!」と、即座に自分に変装している人間がルパンだとわかった銭形だが、今回は声が自分ソックリでなかったせいか、 「誰だ!」と言っているのが興味深い。ルパンではないことだけはわかるが、誰が変装しているのかまではわからなかったということだ。
さすがルパンレーダーを持つ男。


さて。調査の結果、怪しい男の正体は、コブラという犯罪組織のボスの腹心の部下だった。
コブラは、盗みのためなら手段を選ばない非情の組織らしく、ボスの正体はICPOですらまだ掴んでいない。
早速ルパンに不二子がさらわれた事を知らせようと言う五右エ門に対して、「無駄さ!」と次元はまだご立腹。コーヒー叩きつけるほど怒っているが、結局ルパンの元へ行くことになる。
しつこいようだが、ここでも次元が「美人と見ると見境がない…」というような台詞を言っている。あの面食い次元までが(笑)。やはりザクリーヌって美人なんだ。そうかー。

不二子はさらわれ、次元たちがあれこれ動き回っているというのに、ルパンは相変わらずザクリーヌ夫人とラブラブモード全開の生活を送っている。
「ダーリン、おねぼうさん」なんて囁き、ルパンをキスで起こすザクリーヌ。ルパンも嬉しそうにモーニングコーヒーを入れてもらっちゃったりして!
次元でなくとも腹が立つような光景である。
ちなみにこの時ルパンが着ているパジャマはハート模様。ものすごーく可愛い!これを選んであげたのがザクリーヌならば、このことだけはグッジョブ!と褒め称えたい(笑)
また、アイマスクをして眠っているのはかなりレア。新ルではこの回だけではないだろうか(パートIIIで次元がアイマスク着用している回はある)

ザクリーヌに言われるまま、ルパンは彼女のパートナーとしてパーティーに出席することになる。
そのパーティーでは出席者から「今回のパートナーは冴えない」だとか、「チンパンジーそっくり」だなんて陰口叩かれていて、何となく切ない(涙)。
が、ここはルパンの芝居だと考えたい。隙のない男だと見せ付けても何の利益にもならないのだから。
敢えて、パーティー慣れしていない、冴えない男を装っていたのだろう。
(実際、この後のシーンで、ルパンはすでにザクリーヌの隠し金庫を発見しており、開け方まですっかり知っていたことが判明する。どれだけ女に惚れていても、やはりルパン三世の本質は変わらない。油断ならない男なのだ)
このパーティーに、次元と五右ェ門ももぐりこんでいた。そして、怪しいコブラの部下もひっそりとパーティー会場の隅で目を光らせている……

ザクリーヌが着替えに席を外した時を見計らい、次元と五右エ門はルパンに接触。控え室のようなところへ移動し、不二子がさらわれた事を知らせる。
この時まだ次元はルパンに対して腹を立てている。
不二子がさらわれたのも「みんなお前のせいだ!」と相棒を責める。
だが、不二子が心配で怒っているわけではなさそうだ。
……というのも、ルパンに合流する前、パーティーの様子をうかがっている時、五右エ門が「人質の不二子が心配だ」と言っているのに対し、次元は「それはともかく」と、あっさり流してコブラの話題にしているからだ(笑)。
次元はとにかく女にうつつを抜かして、仕事をないがしろにしているルパンに腹が立って仕方がなかったのだろう。

それだからか、ルパンがザクリーヌの隠し金庫を見つけていたと知った時の次元の満足そうな笑顔といったら!(笑)
五右エ門も「さすがルパン!」と嬉しそうに誉める。
やっぱり相棒2人にとって、ルパンはあくまで「天才的怪盗」であって欲しいのだと思う。


本気

ルパンと相棒たちが話している時、悲鳴が轟き、ザクリーヌも“コブラ”にさらわれてしまう。
女2人と引き換えに、ルパンの全財宝を渡せ、というかなり厚かましい要求。ルパンはその要求を呑むことにした。

が、そこでようやくルパンは真相に気づく。
ザクリーヌがコブラのボスであり、ザクリーヌの誘拐は茶番だということに。
ルパンは、ザクリーヌがさらわれているのに、どんな獲物も逃さないはずのコブラが彼女の隠し金庫にだけは手をつけていないことを怪しむ。
さらには、次元の帽子に発信機をつけることが出来たのも、ザクリーヌだけなのだ。
彼女がコブラであるなら、すべてに説明がつく。

そうして、いよいよ待ち合わせ場所に赴くルパン。
そこでは、不二子とザクリーヌがロープで縛り上げられており、その下の穴の中には、毒蛇がうごめいている。
コブラの部下がロープを切ってしまえば、あっという間に女二人は毒蛇の餌食になってしまうという状況。

この期に及んでもまだ、ザクリーヌは相変わらず芝居を続けている。ルパンはもうすべてを知っているというのに……
「ザクリーヌ…!」彼女の名前を呼んだ時のルパンの真剣な声。どういう思いが込められていたのか。

ルパンの財宝のありかを記した書類を手に入れた途端、コブラの男はルパンを殺そうとする。が、ルパンは明かりを消し暗闇に乗じて男と入れ替わる。
コブラのいる落とし穴に落ちたのは、ルパンの方だというふりをして。
だが、傍目からはルパンが穴に落ち、部下が生き残ったように見えていた。

そして、ザクリーヌだけを連れて車で逃げる部下=ルパン。
車中では、ついにルパンの全財産を手に入れたと思い込んだザクリーヌが、ついに正体を現す。
ルパンをたぶらかしたのも、「財宝のためよ」と平然と言ってのける悪女っぷり(こういうのは嫌いじゃないなぁ^^)
それに対して、ルパンのいった言葉は、「オレは本気だったぜ」。

そう言いながら、部下の変装を解き、素顔を現すルパン。
ルパンの言葉をそのまま受け取るなら、本当にザクリーヌに本気で惚れていたという事になる。
財宝目的で接触していたはずの彼女に、いつしか惹かれるものを感じていたのか。
財宝の在り処をすでに把握していたのに、盗み出さずに彼女の傍にいたのは、盗み出すタイミングを計っていたのではなく、彼女に「本気」になっていたからなのか。
しかし、女の方は、そうではなかった。すべてルパンの財産だけが目当てだったのだ。今まで金持ちの男たちと結婚しては、変死を遂げさせていた……きっと彼 女が何らかの形で手を下していたのだろう。そんな女には、もはや財産への執着があるばかりで、人を愛する気持ちなどなくしているかのように見えるほど、冷 淡極まりない。

そんな女の素顔を知ったルパンは、厳しい表情。車を運転しながら、自首か、二度とルパンの前に姿を現さないかを選ばせる。
確かに、この態度を見ていると、ルパンは彼女に心を動かされていたのだろうと思う。女は殺さない主義だとはいえ、不二子を誘拐したり、自分を欺いて全財産を巻き上げようとした相手に、「自首」か「絶縁」だけを選ばせようというのだから。

だが、ザクリーヌはそのどちらも選ばない。ルパンを殺そうとするのだ。
「よせザクリーヌ。女殺したかねぇんだ」というルパンの台詞が妙に切ない。いつもと違うシリアスな口調にグッと引き込まれる。
……そんな言葉に耳を貸さないザクリーヌは、結局ルパンに仕掛けた同じ方法、車の中でコブラを仕掛けられて、死ぬ。

最終的には、女といえども容赦しない。やられた方法でやり返す。
ルパンのダークな一面が見えて、とても哀しいながらもかっこいい。クールでシビアな、暗黒街で生き抜いてきたルパンの表情が垣間見れる。
ザクリーヌの車が沈んだ崖の上で、しばし風に吹かれて佇むルパン。本気だった女を殺したせいか、複雑で、少し物悲しげな表情だ。
だがそこに背を向けた時はいつもの不敵な笑みが戻っていた。

不二子もルパンを裏切る。だが、ルパンは決して不二子を殺したりはしない。
ザクリーヌに本気になったから尚のこと、ザクリーヌのことは許せなかったのか?
だが、やはり明らかに不二子とザクリーヌは違うのだ。この辺のことは人間関係考察で追々取り上げていこうと思っている。


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