第99話 荒野に散ったコンバット・マグナム


ストーンマン

言わずと知れた、超ド級の大傑作。
次元のマグナムを組み立てつつ戦うシーンの凄さは、今更私などが言葉を費やすまでもない。
ただ見て、そして燃えてくれ!としか言いようがないほどである。
この回前髪あり次元という点だけが、オールバック派の私としては引っかかるが(笑)、テンポといい、動きの素晴らしさといい、演出といい、何度見ても飽きることがない。
そしてこの話の見所の1つとして、ルパンと次元の不協和音が挙げられるような気がする。
ストーンマン登場以後、とにかくかみ合っていないのだ。珍しく。
それが後半、ルパンが次元の拳銃を道しるべにするという、あの暴挙にも通じるのである(と妄想^^)


さて。ルパンは話の冒頭から、すっかりカルタゴの英雄・ハンニバルのことで頭がいっぱいのご様子。
次元に「俺が今、何を考えているかわかるか?」なんて聞くけれども、フランスの地にいながら、まさかカルタゴの英雄に思いを馳せていようとは、いくら相棒とはいえわかる筈もない。
よっぽどルパンはそのことに夢中になっていたらしく、銭形率いる警察に周囲を取り囲まれた時も、気付いたのは次元であったし、その後地下の下水道に逃げ込んだ時も、ワニに気付いたのは次元であった。
ルパンは完全に考え事をしていて、まるで周囲に注意がいっていなかったように見える。
傍に次元が控えていてくれるから、出来るワザであろう。

スイッチバック作戦という、車を逆走させるとんでもない作戦、及び自分たちと共に車の色まで変装し(笑)、見事銭形から逃げ切るルパンと次元。
逃げ切った後の、車を走らせるルパンの様子は、痛快そのもの。
そして、その後次元がルパンへ煙草を差し出すところも、最高に好きな場面!(この調子でこの話は、好きな場面だらけだったりする)

地下下水道へ入っても、ルパンはまだハンニバルの残したという、世界で一枚の金貨の話を続けていた。
ピレネー山脈にある小さな国、ブランコ公国に、その金貨はあるのだという。ルパンの今回の狙いは、その金貨である。

そこへ現れるのがストーンマン。
なぜか下水にいたワニを、次元が仕留める前に撃ち殺すという、その登場の仕方は、結構ハデ?
というか、弾丸を撃たせたらルパン界随一だと思われるストーンマンは、ワニ一頭仕留める時も、かなりの弾数を撃っている。
まあ、しっかりワニの存在に気付いていて、次元よりも早く撃ったのだから、確かに腕は次元本人が言ったとおり今は互角なのかもしれないが(?)。

このストーンマン、5年前、次元に決闘の約束をすっぽかされた(不可抗力とはいえ)という経緯があるらしく、次元に決闘のやり直しを要求する。
しかも、5年前とまったく同じ時間と場所レオンヒルを指定する。そのあたりに彼の執念が現れている。
5年前の時も、決闘の時間に現れなかった次元の似顔絵を、待ち合わせ場所の岩に銃で彫り付けて、その上にバッテンをつけておく辺りからも、彼の粘着気質が窺われるようだ。

仕事の前だと言うのに、決闘の予定などを入れてしまった次元に、ルパンは早くもご立腹モードである(笑)。
次元の心配もせず、また次元の意見も聞かずに、すっかり「俺たちはブランコ公国へ行くんだからな」と断言。
その時の、スネたような表情が、もう〜可愛い〜ッvv(←相変わらず申し訳ない。笑)
だが、ストーンマンとの決闘の場・レオンヒルも、ちょうどあつらえたかのようにブランコ公国にあるというわけで、次元もルパンに一応は同行できるのであった。


ブランコ公国

この話でもう一つ気になるのは、五右エ門の行動である。
ルパンと次元のいた下水道に、なぜか五右エ門も現れたと思えば、いきなり「あの男、斬る!」と言ってストーンマンの後を追おうとする。
勿論、次元に「これは俺だけの戦いだ」と止められるが。(ちなみにこの次元も、素敵v)
どうして今回の五右エ門は、こんなに次元に肩入れ?しているのか。
自分だって人九郎との決闘で、次元に手を出されるのを嫌がったのだから(新ル21話)、人のいざこざに首を突っ込むことをよしとするタイプだとは思えないのだが。
ワニを撃ち殺したストーンマンを見て、相当手強そうだと思ったのか??はたまたよっぽどストーンマンという男が、気に入らなかったのか。

そのワニを拾ってきたらしく(大笑)、アジトでワニ皮を縫って呑気にカバンを作っているルパンは、まさに五右エ門の態度と正反対。
次元が銃の手入れをしながら語る、ストーンマンとの過去のいきさつも、ルパンは聞いていないような態度であった。(実はちゃんと耳に入れていたのではないかと、個人的には思っているが)
五右エ門は次元の話を聞くや、今度は介添え人に立候補する。
これまた敢え無く次元に断られてしまっているけれども。

そうしたやり取りを完全に無視した形で、ルパンは鰐皮カバンの完成を喜ぶ。そして相変わらず「ハンニバルの金貨」の話を一人で(笑)しているのだ。
五右エ門は、あまりにも今回のルパンが次元への配慮に欠けているように見えて、余計次元の手助けをしたくなったのか?
「これからお主の相棒が決闘しようとしているのに」みたいなことを言って、ルパンに対して五右エ門は何となく怒っている様子を見せる。
が、ルパンは、「次元なら大丈夫よ」と、相変わらず真面目に取り合おうとしない。
勿論、元々相棒の腕前には全幅の信頼を置いているからなのだろうが…まあそっけなく見えなくもない。
ちなみに、このシーンで銃の組み立てを手際よくやっている次元を描いておくところが、上手い演出だなぁとしみじみ思う。

いよいよフランスから、飛行機でブランコ公国へ潜入するルパンたち。
途中、フランス空軍の助けを借りて、銭形がルパン逮捕に現れ、一瞬だけワイヤーで?ルパンたちの飛行機は捕縛されるのだが、五右エ門の一刀により無事逃れる。
それにしても、この時の五右エ門の行動、凄すぎる!一つ間違えばこの高さから落下してしまうというのに、恐れもないこの行動。さすが。
ブランコ公国上空に入ったため、フランス空軍ではもう手出し出来ないというのに、パイロットに拳銃突きつけるという無茶する銭形は、いかにも新ル風?
そのために空から放り出され、ルパンたちと共にブランコ公国に不法入国してしまうことになる。

ここで、今回の情報提供者であり、先にブランコ公国へ潜入していた不二子からの連絡が入る。
ブランコ公国の、国境の門は3つ。それが午後4時になると一斉に締まり、誰も出入りが出来なくなるという。
ここで、ルパンは国境への道を、頭に叩き込んで置くのだった。

銭形は、大木にパラシュートが絡まったまま降りられず、ルパンたちに置き去りにされてしまう。
ブランコ公国の状況もよく理解しておらず「人類はみな警察なのだ〜」という銭形は、今回かなりのギャグっぽい存在。
五右エ門が銭形が引っかかってる木を斬ったのは、思いやりからか、それともちょっとからかったのか、よく分からないような斬り方である。

それにしても不二子の情報収集能力は、相変わらずすごい。
すでに、ハンニバル金貨のありかを、ブランコ総統がいつも身につけている、懐中時計だと調べ上げてあり、後はルパンが盗むばかりになっていた。
善良な市民面しつつも、実は金貨を盗む相談をしながらブランコ総統のパレードを見つめるルパンと不二子が、いかにもらしくて好き(^^)。

さてさて。今回どうしてもストーンマンと次元の決闘にしゃしゃり出なくては気がすまない五右エ門さんは、早速ストーンマンに会いに行く熱心さを見せる。
「何も言わず、拙者と立ち会う気はないか」なんて、本当にどうしちゃったのだろうか(笑)
ストーンマンに小僧と言われてしまうところが、何となく可愛い(邪道)。
が、ここでも次元に止められて、事なきを得ている。

その夜ルパンは、ブランコ総統の側近、シーソーに変装して官邸に侵入、あっさりとブランコの懐中時計を盗み出す。
この時の次元の軍服姿が、非常にカッコイイ!
「次元に男心の優しさを見た」の軍服といい、次元はカッチリした制服系がとてもよく似合うと思う(^^)。
案の定捕まっていた銭形を、ルパン扮するシーソーが「お尻ペンペンして放り出せ」と助けるところも結構好き。情けな〜い顔で「お尻ペンペン?」と言う銭形警部の言い方がツボ。
こうして、ブランコから懐中時計を盗み終わったらここで次元は、もうお役ゴメンになれると思っていたようだ。
が、まだまだ仕事はこれからだったのだ。


道しるべ

盗み出した懐中時計からは、ハンニバル金貨が現れる。
本来、世界で一枚しかない貨幣など、何の価値もありはしない。なのにそれが作られ、こうして後世まで伝えられているということは…
ルパンの予想そして計算通り、金貨の内側には、ハンニバルが軍資金を隠した場所を示す地図が、隠されていたのであった。
後は、これを掘り返すだけである。

だが、次元は宝探しへは参加せず、やはりストーンマンとの決闘へと行ってしまう。
車から降りる時、「悪いな」と謝っている次元に対し、ルパンは「そんなに穴掘りイヤなのかよ!」といかにも不機嫌そうな態度で去っていく。
次元は次元で、それほど興味がない(というか、今回それどころじゃない^^;)にも関わらず、ルパンのために相棒として最大限協力したというのに、何だか報われない扱われ方である。
そしていよいよ、5年前にやりそこなったストーンマンとの決闘のやり直しとなるのだった。
前回の遅刻に懲りてか、かなり前から約束の場所で待つ次元を見ると、律儀な彼としては、車の故障なんかのためにすっぽかした結果になった前回の決闘のことが、心のどこかに引っかかっていたのではないかと思われる。

もうすぐ約束の午後三時という時になって、ルパンたちがお宝を見つけて戻ってきた。
ルパンはストーンマンに、見つけたお宝を分け、それで話をつけようとするのだが(それにしては「スットコトンマ」という呼びかけ方が、あまりに露骨にストーンマンへの悪意が感じられ、話つける気あるのかと思ってしまうが。笑)、ストーンマンにあっさりと断られる。
次元だって、やはり自分の手でカタをつけなくてはならないのだろう。
そうこうしている間にも、国境の門が閉まる時間は迫るし、総統からは追いかけられているしと、ルパンたちにはゆっくり次元の決闘が終わるのを待つことが出来ない状況にあった。
総統の戦闘機に追い立てられるように、ルパンは次元を置いて車を走らせた。
次元は、国境への道を知らないというのに…。
不二子は、そんなルパンを薄情だと責めるのだが、勿論ルパンだって、次元を見捨てたりするわけがない。
ちゃんと、次元へ国境までの道しるべを残して来たのである。
その道しるべとは、バラバラにした次元のコンバット・マグナムなのだった。

いざ撃ちあい、という段になって、次元はルパンに銃とメッセージ付きの石とをすりかえられていることに気付く。
慌ててストーンマンの銃弾から身を隠し、ルパンの残した伝言を読むと、一応相棒の意図はわかったであろうが、この時の次元の驚きと焦りを考えると、何とも気の毒でならない(^^;。
戦うための武器を奪われたため、当然丸腰で、ひたすらマグナムの部品を集めつつ国境まで走らなくてはならないのだから。
後ろからは、全身に銃弾を装着したストーンマンがひたすら撃ちまくりつつ追ってくる。
次元でなくとも、道しるべに残すのは、お宝の方でも良かったんじゃないのか、とルパンへ悪態の一つでもつきたくなるというものである。

だが。道しるべが宝では、ダメだったのである。ルパン的には。
お宝が惜しかったからではない。ルパンは、いざとなればお宝などを惜しむタイプではない。
下水道でのワニの一件の時、ルパンはストーンマンの腕を見て、次元の方が上だと見抜いたのであろう。(次元本人は互角だと言っていたが)
それに、何より次元ならば、拳銃を組み立てることくらい、わけもなく出来ることも、わかっていただろう。
次元の腕を誰よりも信じ、そして次元がこれくらいのことならば、クリアできると信じていたからこそ、ルパンは敢えてこんなことを仕掛けたのだとは思う。

だがこの回、ルパンは次元に対して、ちょっとした悪戯、意趣返しをしたのではないか、という気がするのである。
いつもどんなに危険な仕事でも、どんなに馬鹿馬鹿しいことにでも、次元は最終的にはちゃんとノッてくれる、ルパンの相棒なのだ。
にもかかわらず、今回の次元は、まるでルパンの仕事には興味も持たず、仕事中も全然楽しそうでない。
役目が終ったらさっさと「お役ゴメンだな」と言ったりもする。
完全にストーンマンとの過去の因縁の方へと、次元の気持ちは向かってしまっている。
ルパンとの仕事への参加の仕方が、義務的にすら感じられる。
特に今回ルパン自身がハンニバルの埋蔵金に非常に夢中になっていたというのに、次元の方が無関心であったこと、何となくノリが悪かったことなどが、ルパンとしてはあまり愉快ではなかったのではないだろうか。
それで、子供のように、スネていたのではないだろうか。
だからこそ、お宝を撒かずに、コンバットマグナムを撒いたのである。ちょっとした、悪戯として。
…コレは勿論私的な解釈ですが(^^)。

そして最大の見せ場、次元とストーンマンとの決闘シーンは、もう私がウダウダ言うまでもない迫力なので、何度でも繰り返し見てください、とだけ言っておきます(笑)。とにかく燃える!!
それにしても、あれだけ大量に発砲したというのに、ストーンマンは結局次元の帽子にしか命中させることが出来ない。
やっぱりそれほどのガンマンではなかったのか?
最後には次元の事情(笑)を察したにも関わらず、弾を次元に取らせまいと遊んだのが命取り。
国境付近で待ち受けていたルパンに、マグナムの弾を次元の元へと撃ち返され(なんていうナイスアシスト!!)、それを受け取った次元に、たった一発で仕留められている。
哀れなり、石男。

国境の門が閉まるギリギリで、ルパンたちは4人揃って脱出!
したのだが、車の後部が挟まってしまい、五右エ門によってその部分は斬り落とされる。そしてお宝を門のところに撒き散らしたまま、4人はどこかへと車を走らせていく…。
これだけ苦労したのだから(特に次元^^)、この後どこかの街まで行って改めて新しい車を調達し、お宝を拾いにぜひとも戻ってきて欲しいようにも思う。
ダダ働きじゃ、何だか可哀想だと思うのは、私がルパンたちのように粋じゃないからなのかもしれないけれど(笑)。


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