第102話 ルパンはシャネルがお好き


ジム弁慶

新ル100回放送記念の特別企画の第三弾。
確かこれも、視聴者からの案を元に作られた話。
これらのお話を応募され、採用された方々は、今も「ルパン」ファンでいらっしゃるのだろうか、などと思いをはせてしまう。

100回記念だから、「100」に絡めたお話なのだろう。霧のロンドンに、拳銃を100丁集めることを目論むジム弁慶なる怪人が登場する。
ジム弁慶が、王家から下賜されたという名銃を98挺目として強奪するという、唐突かつ意味ありげなシーンから始まるのだった。
弁慶コスプレ?!と、あまりの突拍子もなさに唖然とする間もなく、さっさと次のシーンに移る辺りが、テレビシリーズの良さなのかも^^
それにしても、イギリスで弁慶の真似しても、わかってくれる人って少なかっただろうに…(笑)それが狙いだったのかしら??


一方、不二子は何やら図書館で調べ物。
ルパンに「いまさら勉強って歳じゃない」と茶化されるものの、その後しっかりからかい返すところが、不二子のいいところv
小学生の時は天才と言われていたのに、14、5歳になった頃から栄養が胸ばかりに・・・なんて不二子に言われると、ルパンじゃなくてもつい本気にしたくなってしまう(笑)
不二子の調べ物は、やはり彼女の趣味に溢れたものであった。
ウィルヘルム家に伝わる高価な黄金の拳銃と、世界にたった一つしかないダイヤの弾。これについて調べていたのである。
彼女は拳銃の方にはあまり興味がないらしく、弾をかたどったダイヤの方を欲しがっていた。
不二子の豊かな胸元に、ダイヤの弾を飾るところを想像し、思わずその気になったルパン。盗み出してやると安受け合いしてしまう。
黄金の拳銃について書かれた本のページを、ビリッと破って持ち去ってしまうところが、いかにもルパンだなぁという感じ。本を破るなんてーと、本当だったら抵抗感がある行為のはずなのに、ルパンだからOKとあっさり流してしまえるのは、我ながらゲンキン極まりない。

さて。その話を相棒二人にもちかけるものの、あっさりと拒絶される。
ガンマニアだったウィルヘルム家の当主はすでになく、今は娘ブリリアが一人で大きな屋敷に住むばかり。そんなところから、黄金の拳銃を盗むわけにはいかないというわけだった。
「男のする事ではない」「泥棒にも仁義ってものがある」
というのが、それぞれ五右エ門と次元の言い分であり、それについてはルパンも多分同意見であったのだろう、彼らを説得しようともせずに「不二子になんて言おう」と途方にくれるのだ(笑)
さすがに17、8歳の、罪もない(と、この時は思われていた)美少女ブリリアから、大の男が三人がかりで遺産を盗むという行為をする気になれなかったとしても、それは当然だろう。
ちなみにこのシーン、ウィルヘルム家の大きな屋敷を見下ろす丘から、三人が肩寄せ座っている様子が、とても微笑ましくて好きだったりする。

ルパンからの話をあっさり蹴った次元は、なぜか一人で車で去っていく。
そこを、強烈な磁力によって車を誘導され(!)、ジム弁慶の元へとおびき寄せられる。
…この弁慶の正体は、例のブリリアちゃんなわけだが。
ついさっき、ルパンたちと、丘から双眼鏡で屋敷を覗いた時には、プールサイドでのんびりしていたブリリアだったのに、あっという間に弁慶に早変わりして次元を待ち受けているわけで。考えてみると驚異の早業である。

強引に次元をおびき寄せ、99挺目として次元のマグナムを要求する弁慶・ブリリア。どうでもいいが、男の声色も上手い(笑)
当然のことながら、次元はマグナムを渡すことなど同意するわけもなく…銃を抜いて弁慶を撃退しようとするのだが、そうはいかなかった。
車さえも引き寄せる、まさかまさかの強力磁力銃で、あっさりとマグナムを次元の手から奪ってしまうのだった。


次元のマグナム

あまりにあっさりマグナムを奪われた次元は、アジトでも意気消沈。
ガンマンの誇り、自分の恋人にもたとえる愛用のマグナムを奪われてしまったのだから、落ち込むのも無理ないところ。
まるでキツネにつままれたようだと、言うのもよくわかる。銃の腕を競って破れ、その結果奪われたなら、次元もここまで呆然とはしなかっただろう。
ルパンは落ち込む次元に「キツネは科学兵器を使いません」なんて、クールな言葉をかけるだけだが、実際は違ってたんだろうなぁと、激しく妄想をかき立ててくれるのが、この回の個人的な一番の見所である(笑)
余談だが上のルパンの言葉に対し、「わかってらぁ」と力なく答える次元の言い回しもいい。ここのやり取り、何気なくツボである。

ジム弁慶の居所さえわかれば次元のマグナムを取り返せるのに、という五右エ門の至極もっともな思考回路と、ルパンのそれとはやはり違っていた。
コンピューター並の頭脳のなせる技か、はたまた勘ピューターか。ルパンは「99挺目が次元のマグナムなら、100挺目は俺のワルサー」と、ズバリ言い切る。
そんでもって、それはドンピシャリと的中するのである(笑)
言ってる傍から、ジム弁慶からの挑戦状が矢と共に飛んでくる。(この時の「ヤ、ヤ、矢ー!」というルパンの駄洒落、子供の頃から本当に好きv)
次元の時は有無を言わさず奪い取ったくせに、なぜかルパンの時は挑戦状で呼び出しをかける。
それだけルパンの行動が、ブリリアにとっては読みにくく、待ち伏せするよりは呼び出してしまった方が、確実だったのだろうか(?)

対決の場所、ロンドンブリッジへルパンが向かおう車に乗り込んだその時、不二子がやって来る。
ダイヤの弾を盗んでやると言ったまま、音沙汰ナシのルパンに痺れを切らした模様(笑)
慌しくしていてまともに相手にしてくれないルパンに対し、「私と次元、どっちが大切なの?!」とついに禁断の質問(爆)をしてしまう不二子。
私もそれ、ぜひとも聞きたい!!
…とはいえ、ルパンほど懐の広い男性が相手だからいいようなものの、一般的に、この手の台詞は女の価値を落とすので、気をつけましょう(笑)
それに答えるルパンがまたいい!
「もちろん不二子ちゃんは大事よ。でもあの次元が泣いてんだもん。カワイソ」
上手いな〜。不二子「も」あるいは不二子「が」大事、といわないところが、さすが。

だがこの日は不二子の機嫌を取ることよりも、ルパンはジム弁慶との対決にさっさと向かう。
そして、霧のロンドンブリッジで、ジム弁慶と対峙したルパンは、真っ先に「次元のマグナムを返せば、俺のワルサーをやる」と交換条件を持ち出してみるのだ。
うう〜ん、ツボ、ツボすぎるvv(^^)
次元にとってマグナムを奪われた、ということが、どれだけのダメージになるのか、ルパンは誰よりも察していたのだろう。
ルパンばかりがワガママで相棒たちを振り回しているように見えがちだが(実際そういうパターンも多いけれど)、実はルパンが相棒の為に一生懸命になることも多いのだ(例:36話62話、84話などなど)

だがジム弁慶がルパンの交換条件を呑む事はなく、結局二人は対決することに。
橋の欄干に仕掛けられていた接着剤に足を取られ、ややピンチ(?)のルパン。
が、その時突然現れた銭形によって邪魔された格好となり、ジム弁慶はワルサーを奪うことは出来なかった。その代わり、銭形が手錠、拳銃、警察手帳、ついでにベルトまで奪われてしまったが。
白い車で去っていく弁慶。
またルパンは、霧の中に漂うシャネルの香りに気づくのだった。
香りから何かに気づく、というシチュエーションは、ちょっと大人な感じがして好みである(この場合ちょっと分り易すぎるかもしれないけど^^)
余談だが、この時銭形は「はるばる来たぜロンドン〜♪夜霧よ今夜もありがとう」と、この世代っぽい歌を口ずさんで登場。
ルパンも「カラオケもないのに…」とツッコミを入れている。…この頃って、もうカラオケあったんだ。(当たり前?)

結果的に巻き込まれた形で、銭形も弁慶の被害に遭ったからと考えたか、ルパンは銭形に協力を持ちかけてみる。が、当然の反応ながら銭形は拒絶。
するとルパンは「じゃあ勝手にしなよ」と軽く言い捨てて去っていってしまう(カッコイイv)
あっさり引く様子からして、本気で銭形に協力を持ちかけたわけではないんだろうなと推察。
協力してもらわなくても、自ら銭形になって(大笑)調査してしまうのだから、あまり問題ではないのだろう。

ここでジム弁慶の正体が明かされる。大袈裟なの衣装を脱ぎ去ると、そこからはウィルヘルム家の一人娘ブリリアの姿が現れる。
シャワーシーンの後、たっっぷりと香水(たぶんシャネル)を振り掛けているブリリア。その量じゃ、匂うはずだわ〜;;
しかも、自分の車で「ジム弁慶」として行動もしていたわけで。
信じられない身軽さを披露したり、ルパンの変装を見破ったり、声色が使えたりと、なかなか侮れないところもあるブリリアちゃんだが、この辺がやはり素人のツメの甘さなのだろう。

一方ロンドン陸運局。ここで「銭形」が、ジム弁慶の乗っていた白い車の車種の持ち主リストを照会していた。
リストを手に入れ、立ち去ろうとするが、本物の銭形と鉢合わせ(笑)あっさりルパンであることが分る。
この鉢合わせシーンで好きなのは、銭形の「そっくりさん軽犯罪法によって逮捕だ!」という台詞。
こう意気込んでみたものの、手錠も手帳もなくしっぱなしの銭形は逮捕が出来ず、その隙を突いたルパンの丸め込まれた形で、一緒にリストを眺めたりする。

リストの中に、ブリリアの名前を見つけるルパン。
…ここで、ルパンが「ウィルヘルム ブリリア」と読み上げているため、ちょっと紛らわしいが、ブリリアの氏名はブリリア・ウィルヘルムで間違いないと思う。
Who'sWhoなんかでもよくあるように、「Willhelm;Brillia」と書いてあるのをそのままの順番でルパンが読んだに過ぎないのだろう。(画面上は「;」が確認できないけれども)

早くもひらめいたルパンはブリリアの元へ。一方銭形は「弁慶は男に決まっとる」という、安直な考えを披露するにとどまる。
またしても銭形に変装したルパンは、ウィルヘルム家へ事情聴取に赴く。
応対に出たブリリアから、シャネルの香りがすることを確認すると、早々に立ち去ろうとするルパン。だが、その変装は見事ブリリアに見破られていた。
ブリリアちゃん、なかなかやる!ルパンとデートした羨ましいヒロインではあるが(笑)、個人的にブリリアは好き。それは、大胆さ、手ごわさがあるからだろうと思う。


税金

その夜。ルパンは不二子の元へ押しかけ、再びダイヤの弾をプレゼントすることを約束する。
ブリリア=ジム弁慶だと確信したルパンは、ブリリアに対して遠慮する理由がなくなったのである。
この時、胸元に手を伸ばそうとしてもはねのけられているルパンだが、不二子から「頑張ってね」と激励のキスを頬に受けている。このキスのチュ具合がいい感じ!
ルパフジのキスチェッカーとしては、わりとお勧めのシーンだったりする。

次の日、ルパンはブリリアの車の中に忍び込み、彼女とデートをすることになる。
相手が女性だからか、こうしたソフトな接触方法を選ぶ辺りがルパンチック。それでも、実際のところちっともブリリアに丸め込まれたりしていないところが、この回のルパンの魅力だと思うv
車内でルパンが「注意一秒、怪我一生。死んだら税金払わなくていい。そんじゃあ死んじゃおうかしら〜?」なんて言ってる。ここはとにかく、コミカルな名調子で、わかっているのに毎回クスッと笑ってしまうポイントである。

まずはブリリアの大学へ一緒に行く。ここで彼女の専攻が日本文学であることが判明。
だから、千本の刀を集めようとした弁慶にちなんだ格好で、ああしたことをはじめたわけだ。
ここでルパンはすでに、だから「ジム弁慶」なんてものを思いついたんだということを、彼女に指摘している。が、見破られていることを承知で、ブリリアはルパンと共に行動し続ける。

デートの途中で、ブリリアがいきなりショートカットになるのが新鮮。
どういう意図でいきなりイメチェンしたのかは定かでないが、サブキャラで髪型が変わってしまうというのは、珍しいのではないだろうか。
ここでは個人的趣味がわかれると思うが、私はロングのブリリアが好み。ショートヘアキャラって基本的には好きなのだが、ブリリアにこの髪型だと前より老けて見える気がするので。

それはともかく。移動中の車内では、わざとホルスターに入れたワルサーをちらりと覗かせたりして、何気なく誘うルパン。素敵v
互いに、狙い狙われる立場であることを意識しつつも、表面的には仲良く遊園地に行ったりするのが、これまた好きなシチュエーション。表面友好的なのに腹に一物の男女っていいなぁ(現実ではイヤだけど。笑)
遊園地でジェットコースターに乗ったり、トラファルガー広場とハンプトンコートで追いかけっこをしたりと。楽しげなのだが、やはり実際は違う。
ハンプトンコートでブリリアを見失ったルパンが「バカバカしくていつまでもやってられっか」と独り言を呟くことからも、心から楽しんでいたわけではないことが分る。

その時、ブリリアが例の磁力銃を突きつけてルパンにワルサーを渡すよう迫る。
ルパンは素直に渡すように見えたが、実はそのワルサーは贋物。しかも、爆弾付き。さらには、変形して飛ぶときてるから、ビックリ!(笑)空飛ぶ斬鉄剣ならぬ、空飛ぶワルサーの巻なのである。
シャネルの香りに反応してブリリアの後を追う、と言って脅かしながら、ワルサーを操作するルパン。匂いの件は嘘っぽいなーという気がしつつも、弁慶である証拠「シャネルの香り」に拘る辺りが、ルパンらしさか。
「何者?」と聞きたくなるほどの身軽さを発揮して逃げるブリリアだが、執拗な追跡についに根を上げ「やめてルパーン!」と降参するに至る。
ルパンは、次元のマグナムを奪い、ワルサーも狙ったわけを白状すれば許す、と告げる。

ワルサーに仕掛けられた爆弾はハッタリではなかったようで、庭の池に沈めてから爆発されることで解除する。
この辺が、ルパンが相棒の拳銃を奪ったジム弁慶に、静かな怒りを抱いていたのでは…と思わせる箇所である。
また、ブリリアが泣きながら100挺の拳銃を集め続けた理由を話す間も、態度は穏やかではあるもののかなりクールだ。
ルパンが「無節操に」女に弱いなんてありえないと思うのは、こんなルパンを見た時である。
美少女に泣かれようが何しようが、聞き出すことは聞き出す。特に相棒が被害にあった場合のルパンは、シビアである。場合によっては許さない。それがルパンなのだ。
この場合、ブリリアはそこまでヒドイ悪さ(笑)したわけではなかったので、素直に訳を話し、ルパンに協力してもらえることになったが。

ブリリアが100挺の拳銃を集めていたのは、父から残された黄金拳銃とダイヤの弾が保管された金庫を開くためだった。
ガンマニアのオヤジらしく、名銃100挺のリストを娘に託し、それを集めて金庫の計りに乗せると開くという…無茶な仕組みの(笑)特殊金庫を残して、ウィルヘルム氏は亡くなっていた。
ブリリアは金庫を開け、黄金拳銃を大英博物館に寄付する意向。不思議そうにするルパンに対し、税金対策であることを教える。とてつもなく高価な黄金拳銃は、所有しているだけで税金がかかるのだ。
確かに泥棒のルパンには税金なんて無縁のもの。キョトンとしたルパンの顔がそれを物語っている。
「税金がかからないものなんて、空気と海の水と、空の雲だけだわ」というブリリアに対し、「空の雲」ってところが気に入ったと、ルパンはワルサーを貸してくれる事になったのだった。
20歳にも満たない女の子が、税金のために苦労しているのが、ちょっと気の毒だったのかもしれない。

さて。ウィルヘルム家の特殊金庫、今ひとつ仕組みがはっきりしないが、拳銃100挺分の重みだけに反応するわけではなく、硝煙反応も組み込んだものになっ ているらしい。一年中拳銃をぶっ放して、硝煙の匂いさせている拳銃なんて、次元とルパンのものくらいだ…(だから最後の99、100挺目に選ばれた)とい うわけらしい。
ちょっと強引な設定ではあるが、でも話を通じて「香り・匂い」に拘るところが、面白いと思っている。
いよいよブリリア、五右エ門、なぜか不二子までが見守る中、二人が拳銃を乗せる。
次元がマグナムを、自分の懐から出していることから、一度次元にきちんと返却されていたものと推測される。
奪われたまま使われるのと、一度次元の手に戻してから彼の意思で貸すという形にするのでは、意味合いが違う。これで正解(笑)

全部の拳銃が乗ると、金庫は無事に開いた。中には、素晴らしい出来の黄金拳銃が…。
ルパンは、ブリリアから感謝のキスを受ける。が、不二子からは盗むはずではなかったのかと、こっそりせっつかれる。
大英博物館へ寄贈されてからちゃんと盗むからと、不二子を慰め、場を収めるルパン。確かに、美少女から盗むよりは、大国から盗んだ方が後味は良いだろう。
この後銭形が現れるシーンで、ルパンがさりげなく不二子の腰に手を回している。こういうさり気なさが嬉しい。ニヤリポイント。

ウィルヘルム家に現れる銭形。どうやら真相を掴んだようだ(ちゃんと捜査してたんですね!)
まずは投げ手錠と拳銃、警察手帳を返せと迫ってくるが、それらはゴミ収集車に回収され、いまにも走り去るところだった。気の毒〜(笑)
ゴミ収集車を追いつつ、「覚えてろ」と悔しげに去っていく銭形は、今回あまりいいところなし。
それを見送りながら、ルパンたち四人は楽しげに笑う。五右エ門まで爽やかに笑っているところが、これまたなかなか嬉しいポイントでもある。


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