第105話 怪奇鬼首島に女が消えた


神隠しの森

ゲストキャラに始まり、ルパンの脱出方法まで、とにかくキョーレツ。
冷静にあらすじだけを考えれば、取り立ててどう…って話じゃないと思うのだけれど。これはやはりメインゲストのバカ、じゃなくて若のせいだろうか。
城からの脱出方法も、原作では二次元世界である漫画だということを利用した一発芸的なトリック(笑)だったのを、よくアニメにしたものだと感心する。こういうギャグっぽいテイストに仕上げたのは、個人的には正解だろうなと思う。
ただ、若のやってることはとてもじゃないけど「ギャグ」じゃ済まないものがあり、考えようによっては相当なホラーなわけだが。
そう…個人的にだが、この話を心から笑えないのは、やはり若の趣味(苦)が、あまりにも洒落にならないからなのだ。私の好みからすればコメディとして笑うにはブラック過ぎる気がする。

一方で、この回のルパンたちの顔が好みなので、本来そんなに好きじゃない系列の話なのに、眺めているのはとても楽しい。
あ、今調べたらテレコム作画回だった。ちょっと意外。



瀬戸内海の浮かぶ、鬼首島。遠くから見ると、島の形が鬼のように見える。
ネーミングは横溝正史作品に出てくる「鬼首(おにこべ)村」からイメージしたものかもしれないが、こちらの島の読みは「おにくび」。
ここへ銭形は上陸した。ルパンがこの島にいるという情報を得てやって来たのだ。
それを迎えたのは、平五郎八巡査。ICPOの警部を迎えて緊張してるのか、元々おバカなのか、とにかく登場した時からズッコケまくり。「バカボン」の本官さんみたいにやたらと無駄に発砲するし、現実にはいて欲しくないタイプの警官だ。
居場所も知らないルパンを逮捕しに自転車で暴走しかけた巡査を、ぽか〜んと見送る銭形の表情がナイス。
銭形は、この回五郎八巡査と一緒にルパンを追い回すのだが、あまり本筋には関わらずに、ルパン周辺でウロウロするに留まる(新ルの銭形はこういう扱いが多いから、今更といえば今更なのだが、ギャグ回だと結構素直に笑ってみていられる私)

二人がドタバタやってた目と鼻の先の沖合いに浮かぶボート、ここにルパンは不二子と居た。
不二子がルパンを呼び寄せたのだが、いまだに目的を明かそうとせず、「平家の伝説について調べているだけ」と、澄ましている。
鬼首島周辺で平家が滅亡したというから、かなり壇ノ浦に近い位置にあるのだろう。
ルパンがツメで挟まれた平家蟹、それの甲羅が人の顔に見えるのも戦で殺された平家の怨霊のせいなんだとか。
…お膳立てはやや伝奇ホラーっぽい。
余談だが、このシーン、ルパンが不二子のためにジュースを持ってきてあげるのもツボだし、赤い海水パンツにTシャツというルパンの格好も珍しくて目を引く。


さて、派出所でカップラーメンをすすっていた銭形の元に、五郎八巡査が駆け込んでくる。
ルパンらしき男が、「神隠しの森」に入っていったという。お手柄…という気もするけど、これだけ小さな島にルパンと不二子みたいな目立つ人間が歩いていたら、目撃情報が入っても不思議じゃないか。
銭形は大喜びで、自転車の後ろに乗って巡査を急かし、ルパンの元に急行する。
巡査に対して「二階級特進だー」とハッパをかけたり、「二階級降格」と脅したり、なんだかムチャクチャな銭形。この回の最後では、ついに「死刑」を宣告している(笑)

その「神隠しの森」にルパンと不二子は入り込んでいた。
なんでも、この森に入った人間は、必ず行方不明になると言われているそうで、しかも霧の夜には、ほら貝の音と共に平家の落ち武者の幽霊が出るとも伝えられている。
ルパンは勿論のこと、不二子も幽霊なんて非科学的なものは信じてないというのだが、二人とも森の不気味さは感じているようだ。
そんなことを話していると、本当に霧が出てくる。やがてほら貝の音色も…
「霧の中からユウレイが〜」とルパンが脅かすと(ベロ出した顔が可愛い〜v)、「ルパン!」と怖そうにしがみつく不二子。
「いや、だってそう言ったのは不二子でしょ」とルパンが言えば「迷信だって言ったのはルパンよ」と返す不二子。腕を組みながら。んも〜イチャついてるようにしか見えない(笑)。ちょっと子供っぽくて微笑ましい二人、とても好きなシーンだ。

そうしているうちに、霧の中から本当に武者姿が三騎、現れてくる。
それを迎えるルパンと不二子のシリアスな表情がツボ。「化けの皮ひん剥いてやる」と言いながらワルサーを抜き、同時に不二子を背後に押しやるルパンのちょっとした仕草にもグッとくる。
しかし残念ながら、この回のルパンは戦闘シーンではあまりいいところがなく、この時も武者の矢によってワルサーをはじかれてしまう。
銃を拾おうとするが、続けざまに矢を射かけられて、それを避けるために不二子から離れることに。
結果、隙をつかれて不二子は落ち武者どもにさらわれてしまうのだが、アクションシーンに説得力があるので、「ルパンがついてるのに〜!」とのもどかしさはない(ルパンに甘い?笑)
ちなみに、ここでもルパンはお得意のギャグ、矢を射かけられての「ヤ、ヤ、ヤー」を発している。102話でも言ってるし…確か27話でも言ってた気がするので、通算で三度目になるだろうか。

不二子を追おうとするが、そこへ現れたのは銭形と巡査。
五郎八はまたしても無駄に発砲しているが、その点銭形の投げ手錠の冴えはさすが。
避けようとしたルパンの動きすら見切ったいたかのように、ピタリとルパンの腕を捕らえる。
が、茂みに逃げ込んだルパンを追ったのが五郎八巡査だったのが運のつき、あっという間に乱闘の隙にルパンは逃れ、手錠につながれたのは巡査になっていたのだった。


平家の末裔

あっさり銭形をふりきったルパンは、不二子が連れ去られたと思しい入り江をすぐに見つけ出し、様子を伺っていた。
入り江には巡視艇が頻繁にうろつき、ただごとでない警戒ぶり。近づくのは用意ではなさそうだ。何があるのかと疑問に思うルパン。
その先にあるものは、滅亡したはずの平家の古城。
そう答えたのは、突然現れた次元だった。五右エ門も一緒だ。
ルパンが不二子と二人で仕事をやろうとしていたことに、ちょっぴりご不満の様子の相棒たち(笑)。次元曰く「俺たちを出し抜いてこっそり仕事しようとするからこうなるんだ。まったく見ちゃいられねぇよ」。
不二子と仕事するのを時に嫌がるけれど、それ以上にルパンと仕事が出来ないことの方がもっと嫌なのだろう。
いつのまにやらルパンと合流して、不二子救出に力を貸す二人。
五右エ門が「不二子を救出しないと、この仕事の目的がわからないんだな」というようなことを言っていて、彼女が狙っていたモノを知りたいから助けなきゃ、 という態度にも見えるのだが、それは小さな理由というか言い訳に近しいものであって、いずれにしても不二子を見捨てておける男たちではないのだ(そんなと ころが好き^^)

どうやって目的の城に潜入するかが問題だったのに、二人が現れたお陰ですぐに解決。
次元が「こんなこともあろうかと用意しておいた」のは、ナント新発明の折りたたみ式スクリュー付水上スキー!
どれだけ用意がいいんだ!(笑)いや、さすが次元。

その頃、不二子は船に乗せられて城へと入っていってしまった。
それを見つめているのは、城の家老の老人だ。
ところで…今改めて、新ルDVD-BOXの冊子を見て知ったのだが、この老人「玄白」という名前があったんですね。若にも元麻呂なんて勿体無い名前が。へえ〜。

不二子が届けられたのを確認すると、玄白は若の元に。
「バカ、いや若」との言い間違いは、むしろ間違いじゃないだろうと言いたくなるほど、その若のバカさ加減・壊れっぷりはとんでもない。
女性と蝶の区別もつかないのか、女性を殺して腐敗処理を施し、標本にして飾ってヘラヘラしている。
平家の末裔だというのだが、平清盛が情けなくて化けて出そう。
ギャグではあるんだろうけど、このキャラかなり不気味。新ルゲストで生理的に合わないキャラといえばコイツ、というくらい私は苦手だ。
ただ、若よりも玄白の方がずっと罪深いと思う。伝説にもなってしまうほどたくさんの女性を、神隠しの森でさらい続け、若が“標本”にするに任せてきているのだから。
目的は案の定「平家再興」。そのための跡継ぎ欲しさに女性をさらっているという、甚だしい時代錯誤っぷり。まともな感覚の持ち主ではない。
まあ、あまり真面目に取らずに、ギャグだと割り切ってテキトーに見るべき箇所なのだとは思うけれど。

要するに、今度こそ平家の跡継ぎを生ませるために、と不二子はさらわれたのだった。
な。な。なんてイヤなさらわれ方だろう。ルパン、早く助けて。
若の方はテンデわかっておらず、新たにさらわれてきた不二子について「珍種なのか」と尋ねるばかり。もういいからお家断絶してしまってくれ…と思う。あーあ。
下着姿にされて寝ている不二子、とんでもない大ピンチである。

さてルパンの方は、入り江を渡るため、水上スキーを装着し終えていた。
「押してくれ、次元」にこたえて次元はルパンの背を押す。足で(笑)。荒っぽく蹴り飛ばしてるのが、妙におかしい^^
初めての水上スキーだったのに、さすがにルパンは巧みに乗りこなして城に近づいていく。
それをゆったりと構えて「上手いじゃないか」「どうバランスをとるかが問題だ」と見守っている次元と五右エ門が、ツボ。
が、途中の岩場でバランスを崩し、水上スキーがくるりと反転してしまったせいで、水中に沈んだままルパンは進み続けることになった。酸素ボンベ持っていて良かった!
「あれ、ルパン消えたぞ」と次元。なんか呑気だ(笑)

ひっくり返り泳法(違)が功を奏したか、見つかることもなくルパンは城に潜入した。
水上スキーをひっくり返して、身体を水中に沈めたまま進む…というのは、城から脱出する時にも使われていて、アクシデントもちゃんと生かしきるルパンの才能に惚れ(やっぱり贔屓目)
また、この時点からルパンは脱出方法について、ある程度考えていたらしく、入り江を行き来する巡視艇を、赤外線カメラに収めているのだった。


この頃、不二子の元にバカが迫る。
網を持って、完全に不二子をチョウチョ扱い。とはいえ、不二子の美しさだけはわかるらしい。まあ、「美しい羽」と言ってるので、彼にどう見えているのかはよくわからないが。
跡継ぎを作る方法も完全に誤解しており、コウノトリの卵を獲物(不二子)に移植すればいいと思い込んでいる。
部屋の外で聞き耳立てている玄白は嘆いていたが、本当の方法を知らなくて幸いだよ、まったくもう;
気づいたらこんな人物が目の前に居て、網持って襲い掛かってくるのだから、さすがの不二子でもさぞ驚いただろう。
この回「助けてルパン〜」系の不二子なのだが、作品のトーンもトーンだし、相手も相手だし、顔も可愛いしで、私はあまり嫌いじゃない。←不二子にも甘い


城からの脱出

同時に銭形もルパン追跡を諦めておらず、巡査と共になぜか潜水艦で追っている。
二人の歌声が、なぜか地上の次元と五右エ門にまで届いており、次元には「悪乗り」、五右エ門には「戦争映画と間違えているのではないか」と言われている。
ちなみにこの歌、軍歌「若鷹の歌」という曲なのだそうだ。銭形はいいとしても、五右エ門よく知ってるなぁ(笑)


いよいよ不二子を追いつめた若は、タマゴを移植するためクロロフォルムと防腐剤を持ってくるよう命じる。
「なんというバカさ加減だ」と玄白はあきれているが、そんな暇があったら、若を止めてやれ!と思うのは私だけだろうか。
注文の品を持って、鎧武者が部屋に入る。ばかばかしいほどぶっとい注射針。
しかし獲物を「眠らせろ」と命じた若本人に、それは刺さった。
部下の鎧武者の正体は、ルパンなのだった。
助けに来てくれたのね、と嬉しそうな不二子。こんないいタイミングで着てくれたら、惚れずにはいられない(私は)
ルパンはどさくさでキスをせがんだり、ホントにこの回はほんのりしたいちゃつき場面がいい感じ。やっぱり絵が可愛いからだろうか。
助けてもらったはいいけれど、この城から脱出することが出来るのか心配する不二子。
当然、ルパンはそれも考慮済み。頼りになる〜v

しかし、ルパンが縛り上げ入れ替わった鎧武者が、自力で這い出てきて玄白に侵入者がいることを告げる。入れ替わりがばれたのだ。
非常ベルが鳴り響き、逃げ出そうとする二人の前には、弓を構えた武者たちが立ちふさがる。
あっという間に二人は壁際に追いつめられてしまう……
そこへ現れたのは、次元と五右エ門!待ってました〜!
天井裏から絶妙のタイミングで飛び出してきてルパンと不二子を救う、美味しい役処だ。
前半(Aパート)では次元に言われていたが、ここでは五右エ門にまで「危なっかしくて見てはおれん」と言われてしまう。
降り注ぐ矢から守ってくれる五右エ門も、鎧武者たちの、そして玄白の弓をマグナムで吹き飛ばしてくれる次元も、とってもカッコ良くて惚れ惚れする。

そうして、城の中庭らしきところまで逃げてきた四人。
その前に続いて立ちふさがるのは、いつの間にか場内に入っていた銭形と五郎八巡査だ。
が。
なぜだかイキナリ五郎八巡査が、交通整理を始めてしまう。そんでもって、ルパンたちも、追ってきていた武者たちもそれに従って、指し示された方向に走っていってしまうのだった。
ポカ〜ン。
まあそのお陰で、ルパンたちが追っ手を振り切れたからいいんだけど。

その途中で、いつの間にか不二子が姿を消してしまっていた。また誰かに浚われたわけではない。自分の意思で消えたのだ。
次元が「こいつはクサイぞ」と呟いていた通り、不二子はルパンたちと離れ、一人抜け駆けしようとしていたのだ。どうやって突き止めたのか、平家再興の軍資金を隠してある潜水艦の中に、彼女はいた。
軽く見積もっても4、50億はあるという黄金の小判などを、独り占めする気らしい。
あんな目に遭っても、それをルパンたちに助けてもらったばかりであっても、その辺はさすがタフというか何というか(笑)、不二子だなぁと思う。

そこへ再び、若が登場。またしても網持って不二子を追い掛け回す。不二子は反撃することもなく、「助けてー」と逃げ回るだけなのだが、何となく相手がこの若だから、不二子の気持ちがわからないでもない。
そしてまたもやいいタイミングで、ルパンたちが現れた。
上から大きな石を落として若を気絶させ、歌なんか口ずさみながらルパンの登場。この余裕がいい!

出し抜かれるところだったけれども、次元もそう強く責めたりせず(元々不二子からこの仕事には誘われてないわけだから当然か^^)、ルパンもまた、不二子からキスされてあっさり許してしまっている。
まあ、この回の不二子はちょっとチャッカリしていただけで、特別極悪なことをしたわけではないから、ルパンが特別甘いわけではないような(ダメ?)。
それに、まずは宝を持って抜け出すことが先決なのだ。見つけただけでは何もならない。

次元は、潜水艦の燃料はゼロであることを確認し、「潜水艦ごと盗んで逃げるのは不可能だ」という。
しかし、ルパンは答える。「不可能なんていうのは、俺様に通用しないんだ」と。ルパンらしい!
潜入した時から考えていたらしい脱出方法を、ここで披露する。

潜水艦の中を暗くし、壁に感光液をスプレーする。続いて、さっき撮影してきた赤外線フィルムを、ミニプロジェクターにセットし、拡大投影する。
壁には、ルパン撮影の巡視艇が映されている。そこへ、現像液を、さらには定着液をスプレーしていくと…
ほぼ等身大の巡視艇が出来上がるのだ。
これを五右エ門に斬鉄剣で斬り抜かせ、巡視艇のフリして逃げ出そうというのだ(!)
動力は、乗ってきた水上スキー。パワーの足りなさは、ルパンが耳の中に隠し持っていた原子マイクロ電池のエネルギーでOK(!!)。
うしろにはお宝を積んだこの潜水艦を繋ぎ、ルパンら四人は各自酸素ボンベを加えて、逆さまになった水上スキーで水中を行くのだ。
…すごすぎる。
とにかくこの、立体を無視したようなアイディアが凄い。
でもこの意外性と、何でもあり感は、「ルパン」ならではの楽しさだろう。
この巡視艇のフリした板切れはない方が目立たなくていいのでは?と、昔は思ったのだけど、原子マイクロ電池とやらで相当なパワーで動いているはずの水上スキー、潜水艦まで引っぱってるのだから、海面にかなり波が立つのではないだろうか。
何もないところが激しく波立っていては、何かが水中に潜んでいることが一目瞭然だから、やっぱりこの方法が正しいのだ、と今では考えている(笑)

お宝を戴き、あやうくこのトリックが見破られそうになったタイミングで、仕掛けてきた時限爆弾が爆発し、城は崩壊する。
平家再興の夢はこれで消えた、ということだろう。なんだか、ちょっとホッとする。
銭形と五郎八巡査も、潜水艦で追ってくるのだが、肝心な時に燃料切れ。
銭形の怒号を飲み込んで、潜水艦は沈んでいく…。まさに「とっつあん、お達者で」状態だ。

それにしても、この回のルパン、結構身軽な感じで城に乗り込んでいったように見えたのに、いろんなものを持ち込んでいたようだ。時限爆弾まであったとは(これは相棒たちが持ってきていたのかな?)
ご都合主義なんて言わずに(笑)、この脱出方法を楽しむのがベストかと。
抜け目のない準備万端さと、奇抜なアイディアを生み出すルパンの頭脳が光る……そここそがこの話の醍醐味だと思う。


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