ルパンVS複製人間


ルパン&不二子

どうしてルパン&不二子と、一まとめなのかといえば、この作品のルパンについては個別にCharacterのコーナーで取り上げる予定なので、そこでまたジックリと。
って、そんなことはどうでもいいのだが(笑)。

ルパン&次元度も非常に高く、この作品での二人の関係が理想的だと書いたが、ルパン&不二子の関係もそれに負けないくらい良い!
とにかく、全編愛に溢れている。
だからといって、決してルパンらしさ、不二子らしさがなくなっていない。それが何より見事だと思う。
二人の愛情に関して描こうとすると、とかく安っぽいメロドラマチックになりがちな昨今だが(^^;、ルパンと不二子の関係はこうあって欲しいと、ルパフジスキーの一人としては思うのであった。

不二子は最初、相変わらず謎の女として動く。
ルパンをそそのかして「賢者の石」を盗ませ、デートをするという約束をまんまと破り、石だけ持って逃げてしまう。
アジトの場所をマモーに教え、ルパンたちを追いつめる。
しかもその後、「殺されかけた」と言ってルパンに助けを求め、ルパンたちを仲違いさせ、まんまとルパンを拉致して本物の賢者の石をマモーに渡すことに成功している。

表面に現れた行動だけを見ると、結構ヒドイ(笑)。ルパンを利用しているようにしか見えない。
本物の石を最初から渡していれば、そんなことにならなかったと不二子なら言いそうだが。
ルパンをマモーの元に連れて行くのも、次元たちがいると邪魔だから、自分がそこへ出て行って敢えて仲違いさせるように仕向けたのだろうか。
勿論、ルパンが自分を選ぶだろうと確信して…。
やはり不二子、時にはルパンを完全に出し抜くくらい頭が良くなくては、暗黒街で一匹狼として(時にルパン一味になっていたり、部下がいたりもするが)ここまで生きて来れなかっただろう。
不二子は、やはり頭が良い女性として描いて欲しい!と、強く思ったりした(^^)。

また、ルパンの不二子に対する態度も非常にカッコイイのだ。
ニセ賢者の石を渡す時、タキシードでキメてみたり、「綺麗だよ、不二子」と愛の言葉を囁いてみたり。
すっかり不二子とデートする気かと思いきや、最初から不二子が裏切るのは承知の上の行動。次元でなくとも「大したオツムだよ」といいたくなる。
不二子だからといって、完全にデレデレの腑抜け状態になってしまうことなく、いつもどこかで出し抜きあってるのが、とてもルパンと不二子らしい。

不二子のせいで、つい心にもなく次元たちを追い払ってしまったルパンは、世話女房っぽく料理なんか運んでくる不二子に、(珍しく)目も向けない。
「ほっといてくれ!」と怒鳴って皿をひっくり返すなど、ちょっとワガママっぽい態度も、ルパンだと無性にツボである(←超ルパンスキー的発言^^)。
全編通して、ルパンがあまり「ふ〜じこちゃ〜ん」的にデレデレせず、ラスト辺りでも「何とかしろよ、不二子!」というように、基本的には男っぽい感じで通されているのが良い。
だかこそ、二人がラブラブでもあまりにも甘くなりすぎず、ヘンにギャグっぽなったり安っぽくなったりもしないのだという気がする。

とにかくこの作品では、不二子がルパンを、本当はどれだけ思っているのかが、キチンと描かれているのである。
ルパンを裏切り利用していたように見えた、今回の一連の行動はすべて、ルパンと共に永遠に生きたいがためだったのだ。

マモーという謎の怪人に豪邸を貢いでもらい、何と不老不死にまでしてもらうというのに、不二子が考えていたのは、ルパンのことだったのだ。
賢者の石をルパンに盗ませる代わりに、ルパンも不老不死にする、とマモーに約束したらしい。
マモーがルパンと初対面した後、どうも永遠の命を与えるのに相応しくないと、不二子に言い出すのに対し、不二子は「約束は約束でしょ」と、受け流す。
マモーにしてみたら、不二子に惹かれ、彼女とともに生きたいから不老不死にしてやろうと持ちかけたはずなのに、彼女はルパンと一緒に生きたがっていたのだ。

さらに不二子は、ルパンに永遠の命を与えないのならば、自分も不老不死なんかいらないとまで言う。
不二子自身、きっとかなり自分の美貌や命には執着心もあるだろうに。
ルパンがいなくては、永遠になど生きるに値しないのだろう。何だかいじらしいッ(笑)!
「ヨボヨボのお爺ちゃんになったルパンなんか、見たくないもの」と、やや素直になりきれてない台詞ではあるが、その気持ちは、ルパンに十二分に伝わった。
ルパンも感激し、マモーの前だというのに、とにかくイチャつく(笑)。
マモーも思えば哀れな人である。

不二子をマモーにさらわれたルパンは、次元にあれほど真剣に引き止められたにも関わらず、結局彼女を奪い返しに行く。
「返してもらいに来たぜ、いろいろとな」とマモーに言っているので、不二子「だけ」を取り返しに来たわけではないと思うが。
不二子を…自分と永遠に生きたいと思ってくれた女を、マモーから取り戻すのも、大きな目的の一つであったことは間違いない。

あんなに謎の女だった不二子。彼女のルパンへの気持ちがハッキリとわかり、二人はラストでしっかりとキスする。
不二子が思わせぶりな態度を取ってスルリとルパンをかわすことは、なかった。
ランキングでも書いたが、とにかくここは二人の名場面中の名場面(^^)!
だが、最後の最後で、一人だけ次元の小型飛行機にちゃっかり乗ってしまう辺りも、不二子らしくて何とも言えない、いいオチなのであった(笑)。


マモー

間違いなく、ルパン最大の敵。
齢一万年を数え、自ら神になろうとした男・マモー。

昔見たときは、粗悪品だとか、巨大脳みその印象が強く、とにかくマモーが怖かったものだが。
考えれば彼も可哀想な部分もなきにしもあらずである。
一万年もの間、自分の複製人間を作り続けることで生きる。しかも、彼は「神」になろうとしていた。
それは、少し想像するだけでも、信じられないほど孤独であったろうと思う。
「神」とは、この世で唯一の存在。誰かと共感・理解し合ったり、愛し合ったり憎しみあったりする……そういう「他者」を、持てないということなのだから。

そんなマモーなのだが、不二子には執着する。
「神」を自称する男を、そこまで魅了する不二子もスゴイと思うが、とにかくマモーは不二子とともに生き続けようとする。
一万年の間、一緒に生きたいと思えるほどの女性はいなかったのだろうか。

不二子が永遠の命を捨て、マモーよりもルパンと生きることを選んだ時の、怒りと絶望は相当なモノがあったのではないかと思われる。
不二子の選んだ相手が、あのルパンであったのだから、なお更である。

マモーは当初、ルパンを世界一の泥棒だと認めはしたものの、どうも見くびっているようにも見受けられた。
が、ルパンの頭を覗き、彼の意識が空白で、それが「神かあるいは白痴の意識に他ならない」と知った時、マモーはルパンに対しての認識を変えたのではないだろうか。
ルパンの意識は、虚無、空間。それは神か白痴のものだという。……明らかに、普通の人間とは違っている。
ずっと神になりたかったマモー。
そんな彼が、生まれながらにして「特別」な存在であるルパンに、この時嫉妬したのではないかと思ったりする。
だからこそ、あの時十字架に架けたままルパンを殺そうとしたのではないか。

また、ルパンは死を恐れていない。というかルパンは、人間誰しも一度は死ぬ、という、当たり前のことを正面から冷静に受け止めているだけのような気もするが(それを受け止めるのも、かなり勇気のいることだと思うが)。
不二子を取り戻しに来たルパンは、レーザーに何度攻撃されても諦めない。
最後は、斬鉄剣の切っ先という、些細な武器だけで正面からぶつかってくる(多少の勝算はあったにせよ)。
そんなルパンに、マモーは「君は死を恐れないのだね」と言う。
この言葉の裏を返せば、マモー自身は死を恐れているのだ。
神に近い超絶的な意識を持ち、自分の最も恐れる死を、ものともしないルパン……。
ルパンにとって最大の敵であったマモーだが、マモーにとってもルパンは最大の敵であったのだ。

「伝説の石にまで頼ってみたものの、すべては空しい」
名画を焼きながら、そう言って涙を流すマモーは、極めて印象的だ。
アメリカやソ連を脅迫して、最新の遺伝子工学の技術を提供させようとしたり、不老不死をもたらすとされたさまざまな伝説上の品物を集めてみたり…
それだけ、マモーのクローン技術が行き詰まっていたのだろう。オリジナルの保存にも限界があったのだろうか。
このままでは間もなく死んでしまう。マモーは、とてつもなくそれを恐れていたのかもしれない。

だが、ついにその最大の敵・ルパンの手によって、一万年の命を終らせる。
マモーは、その時どう感じていただろうか?
一方、「感謝しな、マモー。やっと死ねたんだ」という台詞に、ルパンの死生観が現れているようで興味深い。

それにしても、マモーとは、一体何者であったのだろうか。
一万年前から、人類からかけ離れた科学力を持っていたマモー…。
彼の言葉によれば、「宇宙の気を受けて」それを持つに至ったのだという。

そして、マモーはハワード・ロックウッド島が壊滅させられた後、古代遺跡のアジトで、地球を滅ぼし「神の国」へ行こうと不二子に語っている。
そこには、本当に死を超えた命があるという。
マモーの言う神の国は、どうやら宇宙の彼方である。
これらから考えるとマモーは、遥か古代に、宇宙人と接触したことがある存在なのでは、と勝手に想像してみたりもするのだが……

それでも分からないのは、あのオリジナル。マモーの本体となっていた巨大な脳、である。
どうしてあんなに脳が巨大なのだろうか?肉体があった時も、あの大きさだったのか?
もしかしたらマモーはもともと地球にいた、人間とは別種の、巨大な種族の末裔だったことを示唆しているのだろうか?
等等、神話学や、エセ伝奇SF風(笑)な視点などと照らし合わせると結構面白かったりもするのだが、あまりにも「ルパン」の世界観とはかけ離れてしまうので、ここで私の他愛のない妄想は終わりにしようと思う。
こんなに長ったらしい文章、最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました!


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