第39話 ライバルに黄金を


金塊

3トンの金塊をめぐって、銭形とルパンの“ちょっといい関係”が見られたり、次元の過去の知り合いが出てきたりと、盛りだくさんの内容なのだが、観終わってみると残る印象はあっさりテイスト。
ギース大佐のせいで謹慎処分にされた銭形本人が、自棄酒を飲んではいたものの、比較的淡々としていたことを初めとして、各人の感情がライト風味だからだろうか。この辺はいかにもパースリ後期的なんだろうなと思う。

ちなみに、不二子がお休みの回である。


オープニングは印象的だ。
車を運転中の男が、後ろから照らされるライトの眩しさに文句を言いつつ振り返ると、そこには武装ヘリが飛んでいた、というもの。
これから何が起こるのか、リアルタイムで見た時は、ちょっとドキドキした覚えがある。
そのヘリの行き先の海辺の倉庫には、銭形がいた。彼は、モロッコに輸送する予定になっている3トンの金塊を、警備していたのだ。
武装ヘリはミサイルを撃ち込んで倉庫の屋根を破壊、続いて警備員たちを眠らせるためにガスを撒き、戦車内に入れられていた金塊を運び出した。
さすがに銭形は催眠ガス慣れしているのか(笑)、他の警備員たちより長く意識を保っており、強奪犯の姿を目撃した上、襲い掛かって来た一人と格闘している。ナイフを突きつけられようとも、背負い投げを決めるところは、さすが。
しかしやはりガスには勝てず、撃沈。金塊は奪われてしまった。

6800本もの延べ棒、重量3トン、総額160億円にも上る金塊。
これが失われたとあって、マスコミも大騒ぎだ。しかもなぜだかルパンのせいにされている。
銭形だけは、あれはルパンの仕業ではなく、どこかの兵隊がやったことだと証言しているのだが…

その銭形も、事件の途中までずっと「ルパン、来るなら来い」だとか、「おのれルパン」等と言っていて、ルパンを待ち受けている様子だったが、ルパンが金塊を狙っているという情報でもあったのだろうか。
ルパンと次元は事件の翌朝、この街に着いており、当然犯人ではない。
テレビニュースで金塊強奪が彼らのせいにされているのを、宿泊してるホテルで知り、「せっかく来たんだから、いただきましょう、金塊を」と言っている。
その様子は、「狙ってやってきた金塊を、誰かに出し抜かれて盗まれてしまった」という感じはなくて、何もしてないのに自分のせいにされるんだったら本当に頂いちゃおう、というノリに見える。
この頃になると、世界中の大胆な犯行はすべて、ルパンのやったことだと思われるくらいになっているのだろうか(笑)

現場を見渡しながら、ルパンじゃないなら誰がやったのかと、考え込んでいる銭形。
その時、一本のナイフを発見。犯人の落としたものである。
そこへ登場するのは、“長官”。ちゃんと銭形の話を聞こうともせず、ただただルパンを捕まえろ、それ以上に金塊を取り戻せとせっつく。
あまり上司にしたいと思えないタイプ(笑)

証拠を見つけた銭形は、それを持って“博士”のところへ。
この人は、先回りしていたルパンの変装なのだけれども、本物は警察の鑑識に携わる博士という役処なのか。それともどこかの研究室の武器の専門家?
落ちていたサバイバルナイフは、特殊部隊が使う物。刃に刻まれたナンバーから、所属部隊が分かると、博士は告げた。

こんな風にナイフを見ただけで判るルパンって素敵^^
そんでもって、パイロットフィルムや原作では、ルパンがナイフ投げをしているシーンもあることから、実はナイフに造詣が深いのでは…という妄想も広がる。
その話を、次元はロッカーに隠れて聞いていた。特に二人で来る必要がなさそうな場面なのだけど(笑)、この話では二人がいつも一緒で、個人的ポイントが高い。

出て行ったはずの銭形がナイフを取りに戻ってきて、二人が大いに慌てるというシーンがお約束のようにあったりもする。
次元は姿を見られまいと、博士ルパンの白衣にもぐりこんで誤魔化していた。
この二人羽織状態は、イロイロと楽しいのだけれど(笑)、銭形が疑わしい視線を向ける時、それを示す矢印が描かれるのが、今見ると安っぽくてちょっと興ざめ。(この時代のアニメってみんなこんな感じでしたっけ?)


ナイフから得た情報を元に、銭形は軍隊を訪れて捜索するが、どこにも金塊は見当たらず、空振りに終わる。
銭形から、証拠物件のサバイバルナイフを見せられたのは、黒幕・ギース大佐。だが彼は、そんなものはルパンがわざと置いていったものに決まってるとはねつけ、一顧だにしない。
仕方なく、銭形は一度引き下がるしかなかった。

銭形が去った後、ギース大佐の部下・ダンディー軍曹が、ナイフを落としたことを詫びている。やはり、彼らの仕業なのだった。
ギースは、後々面倒なことになるからと、ダンディー軍曹に銭形抹殺を命じるのだった。躊躇いなく警察官である銭形の暗殺を命じるなんて…。
冷酷で、野心家で、存在感がある悪役のギース大佐。
最初のうちは、いい敵役だと思っていたのだけれど、後半でややギャグ調に転じてしまい、残念。
「ルパン」ではたまにあるパターンだけれど、せっかくしぶとくて手ごたえのありそうな敵役が出てきたのに、後半になると中途半端なコメディタッチが加わって、何となく薄っぺらいキャラクターになってしまう。これは本当に勿体無いと思う。

余談だが、部下のダンディー、声をあてているのは飯塚昭三氏。「Aチーム」と同様、軍曹役なのがちょっとオイシイかも^^

悔しさを飲み込んでひとまず引き下がった銭形を、遠くからルパンと次元が見つめていた。
博士の時といい、今回といい、銭形の行動をすべて先読みしているところが、さすが長年の付き合いのルパンといったところか。
木の上でのんびりしながら、銭形が去るのを眺める二人。
このシーン、どうってことない場面ではあるのだが、個人的に無性〜に気に入っている。
次元が、「行くか、ルパン?」と問うのに対し(『行くか?』の発音がイイ!)、ルパンが「いやぁ、泥棒さんは昼間働かないのことよ」と答える(ルパンの言い回しも、絶妙にツボv)。
二人の呼吸、まったり感!!
見てると、本当に和むというか、ああーこの二人、いいよなぁとじんわりと嬉しくなってしまう1シーンなのだった。


アフリカ合衆国

銭形は、事の次第を長官に報告するが、すでに軍から抗議が来ていたらしく、長官はもうこの調査には及び腰だった。
それに対し銭形は、あくまで金塊強奪の犯人は特殊部隊の中にいると確信し、再度調査をしたがっている。そんな彼を、長官はもてあまし気味だったのだろう、「宿舎で頭を冷やせ」と怒鳴りつけ、謹慎を命じるのだった。
クビをチラつかされては、銭形も引き下がるしかない。ルパン逮捕という宿願を果たしていないのに、ルパンがらみじゃない事件でクビにはなりたくないだろう。
…それはそうとこの長官、銭形を謹慎させたり、クビにする権限があるところを見ると、ICPOの長官なのか?
この回は博士といい、長官といい、微妙にはっきりしないポジションの人が多い気がする。

謹慎処分になった銭形は、ひとり自棄酒を飲みまくる。
そのシーンでは、ウィスキー類を相当量飲んでいる様子が伺える。見たところ、5本目に突入しているようで、もしかしたら銭形が自主的に飲んだ酒の量としては、この回が最多かもしれない。
かなり限界を超えているらしく、店を出た時は足元がかなり危うく、しかも意識も朦朧としている様子だった。

そんな銭形を、ダンディー軍曹らが狙う。
彼らが銭形を亡き者にしようとした手段は、かなりの荒っぽさだ。いくら特殊部隊だからって、何もバズーカ砲を街中でぶっ放すことないのに…(^^;
道端で寝入ってしまった銭形、その傍にある教会の塔を目掛けて、その一発は放たれた。
塔は崩れ、教会の鐘は落下。爆発が巻き起こったシーンでは、銭形大丈夫なのかとさすがに心配になる。


銭形暗殺指令が出ているとは知らないルパンと次元、二人はその頃ギース大佐の部屋の屋根裏に潜入し、様子を伺っていた。
大佐の姿を見て、次元はハッとする。かつて、外人部隊に居た時の知り合いだったのだ。

次元が軍隊にいたというエピソードは、6話にもある。
新ルの過去エピソードには、傭兵時代が一切出てこないところを見ると、もしかしたら新ルからパートIIIの間の時期に、あちこちの外人部隊で戦っていたのだろうかと、妄想したくなる。
面白いのは、6話のギャランコ隊長と、この回のギース大佐に対する態度が、まるで違っているところ。
男気があり連戦連勝の戦場の英雄・ギャランコと、(次元の言葉から察するに)傲慢で兵士をこき使うギースでは、違って当然なのだけど、次元の好き嫌いは判りやすいなと思う^^

ルパンたちが見守る中、ギースは本棚の奥にある隠し扉を開けて、秘密の場所へと入っていった。
ルパンらも、金塊を探すべく後を追う。
それに気づいていないのかと思われたギースだったが、実はしっかり彼らの存在に勘付いており、落とし穴の罠を作動させるのだった。
「ネズミが掛かったところだ」との台詞が憎たらしい(笑)

その落とし穴。ルパンだけは辛うじて縁にしがみつくが、次元は穴の中へ落下していった。
落ちた先は、兵器工場。戦車などを作っている。ギースは地下にこんなものを隠していたのだった。

工場を見回していた次元の前に、ギースが姿を現す。
「よう、大佐」と次元の挨拶は陽気だったが、あまり好意的な雰囲気ではない。
「アフリカの空気が恋しくなったか?」とギース。この台詞から、二人が一緒に戦ったのは、アフリカのどこかだと判明(気になる〜)。
しかし次元の目的は、金塊だということを、ギースは勿論わかっている。
「(探し物は)あれのことか?」と、すでに溶かされ、型に流し込まれている金塊を示す。

彼は金塊を溶かして戦車に作り変えていたのだった……

そこでギースは、突然次元に、自分の野望を語り出す。
彼は、アフリカを統一して、アメリカのような合衆国を作るつもりだ、と。
金塊はその軍資金。アフリカで戦ったことのある経験と、自分の掌握している軍事力で、それを成し遂げようとしているのだった。
それを聞いた次元は、冷笑的。「あんたのことだから、アフリカ人を顎でこき使おうって魂胆じゃねえのか」と憎まれ口を利き、忠実なダンディーを怒らせる。
この辺が、次元のギースに対する人物評となっていて、ちょっと興味深い。

「大佐に失礼な」と怒るダンディーを止め、余裕を示したギースは、次元を仲間に誘う。しかも将校待遇で迎えようと申し出るのだった。
次元が将校……制服は似合うだろうけど、あまり想像がつかない(笑)
射撃など、個人としての能力には優れていても、規律の厳しい軍隊で部下を率い、しかもギースなんかの下で働くことが、次元の気質に向いてるとは到底思えない。

次元の答えは、ギースに銃弾を打ち込むことだった。
早撃ち、カッコイイ!と見てしまうシーンだけど、よくよく考えれば荒っぽい返事。相当ギースが嫌いだったのかしら。
それもありそうだけど、ダンディーに銃を向けられながら、威圧的・強制的に話を聞かされたのが癪に障っていたのでは。
形勢逆転の隙を突いた次元だったが、それは失敗に終わる。
用意周到なギースは、次元との間に防弾ガラスを張り巡らせており、余裕綽々。
そして、「計画を知られたからには、あの世へ行ってもらおうか」。
…って、勝手すぎない?! 聞いてもいないうちから自分の野望をべらべら喋ったくせに(笑)。


この回の「次元とギース大佐が昔の知り合いだった」という設定が、かなり薄味で、あってもなくても良さそうと感じていたのだが、こうして見るとギースの計画を自然に知るためには、必要だったのかなとも思える。
悪人が独り言で喋ったり(笑)、あるいは、すでに計画を熟知しているはずの部下になぜか丁寧に説明をしているところへルパンたちが居合わせ立ち聞きするとか(笑)、そういうパターンよりはこの方が自然に感じられる。

次元があの世へ送られそうになったその時、ルパンが助けにやって来る、背中にはミサイル背負って(!)
ナイスタイミングで助けにやって来たルパンに、寄っていく時の次元の顔が、非常に嬉しそう、得意げな感じに見えるのは私だけだろうか(笑)
「金塊は必ず頂くぜ」との言葉を残して、ルパンは次元とともに、落ちてきた穴から再び飛び立っていった。

ところで、次元は何も考えずにルパンにしがみついて逃げ出したらしい。飛んでから、「ルパン、こりゃ何だ」と尋ねている(笑)
「あ〜、ミサイルだ」と呑気に答えるルパンの口調と、倉庫からちょろまかしてきたことを示す指先の仕草が、激ツボ。
パースリ次元ならではの、裏返った悲鳴とともにミサイルは突き進み、やがて森の中で爆発。
ルパンと次元は、少し早く飛び降りたらしく、池の中に落っこちていた。
池から顔を出し、「次元、生きとるケ?」と、このルパンの口調もまたまたツボ(大好きv)
次元は、「お前とはもう組まねえ!」と怒鳴っていた。
その後も次元は「お前とはもう組まねえ」を繰り返す。
そんな気ないくせにv、と突っ込んでみたくなるシーンである。


お見舞い

二人がびしょ濡れのまま、ホテルに戻ると、五右ェ門がやって来ていた。何やら機嫌が悪い様子。
というのも、新聞に「ルパン 銭形警部の暗殺失敗」という記事が出ていたから。
五右ェ門は、ルパンが銭形を殺そうとしたと信じてしまい、それで怒っていたのだった。

銭形は、ダンディー軍曹の手荒な攻撃にも関わらず、教会の鐘のお陰であの瓦礫の中、助かっていたのだ。教会の鐘に救われるなんて、日頃の行いが良いからだね、とっつあん!
ちなみに、その記事が載っていたのは「ベルリン新聞」。
ということは、舞台になっているのは、ドイツと考えてよいのだろうか。

ルパンがやったわけないと知っていながら、次元は「やっぱりお前は悪党だ!もう組まねえ!」と叫ぶ。しかも、「ヒエーーッ」という奇声つき。
次元さん、楽しんでませんか?(笑)
濡れ衣に慌て、ルパンは「五右ェ門は信じてくれるよな?」と問うが、テーブルをバラバラに斬って、答えとされる。
冷てえなぁ…と呟くルパン。それをジロンと横目で見ていた次元、堪えきれずに爆笑。やっぱり楽しんでいたか(笑)
このシーンも、見てると和むー。


その頃、ギースはルパンの抹殺を決定していた。
困ったことが起きると、何でもかんでも力尽くでなかったことにする、乱暴なお人だこと。


一方、入院中の銭形の元には、葬儀屋が訪ねてきた。
氷で頭を冷やし、うんうん唸ってる銭形の様子を見ると、最初は「わりと重態なのかな?」と思わされる。
そんな銭形の身長や肩幅を測る葬儀屋。すでに葬儀の準備万端で、火葬場の予約も出来ており、墓はICPO共同墓地に用意されているとのこと。
銭形は、あまりに先走った葬儀屋を一喝。
そして、痛む頭を抱えながらも、「この銭形、ルパンを逮捕するまで死なんのだ!」と啖呵をきる。

「さすがとっつあん、そうこなくっちゃ」と嬉しそうに答えたのは、葬儀屋に化けていたルパンだった。
これが、ルパン流のライバルに対する心配の仕方なんだろう^^
次に来るときは、「見舞い」を持ってくると告げて、窓から去っていくのだった。
ルパンはきっと、ギースにやられて入院していると思ったのだろうが(私もそう思ってた)、銭形曰く、二日酔い。
なーんだ、と安心するような、気が抜けるような。

このシーンで気になることがひとつ。
銭形の身長が、175センチだとされている事だ(肩幅は80センチ)。もっとも、ルパンの測り方はかなり雑だったので、正確でない可能性も高いが。
銭形の身長といえば、181センチという新ル設定(但し本編で具体的な数字が明かされたことはない)を、根強く刷り込まれている新ル世代の私としては、これにはかなり違和感があった。
パートIII・23話で、ルパンの身長が167センチと言われていたときも同様。やっぱりルパンは179センチじゃないと^^
今現在、公式設定では新ル設定が採用されている。が、パートIIIの時は全体的に、キャラクターが小柄に設定されていたようだ。


さてさて。病院を出たルパン、相棒二人と橋の上にて。
この頃には五右ェ門も冷静さを取り戻し、銭形を殺しかかったのはルパンじゃないとやっとわかってくれた。やれやれ。
素直に詫びるところが、五右ェ門らしくていい感じ。いいってことよ、と大らかに許すルパンも、これまたいい感じ。
そんな時、ギースの指令を受けたダンディーが、ルパンたちを殺しにやって来た。
相変わらず、手段が無駄に派手!!真昼間っから、街中を軍用ヘリで追い回す。少しは、頭使ったら?とも思うのだけど…
三人が、「わー」とか色んな声をあげながら逃げてる姿が可愛いので、ついつい楽しく見てしまう1シーン。

ルパンらは細い路地を入り込んでいき、廃ビルを抜け、裏に回りこむ。
大胆にも、自分たちを狙ってる軍用ヘリを指し、ルパンはそれにヒッチハイクして、基地まで向かうことに決めるのだった。
ルパンたちが回り込んでいることに気づかないダンディーは、ミサイルでビルを吹き飛ばし、基地へと戻っていった。
ヘリの外後部に、ルパンたち三人が勝手に乗り込んでいることも知らずに。
次元は、三度目の「もう組まねえ」を言ったのがこの時^^
かなり危うい状態でヘリにしがみついてるルパンと次元に比べて、胡坐をかいてる五右ェ門が、いかにもって感じ。
あんな場所に座ってるのに不動の姿勢を取れる事もそうなんだけど、一番座りいいポジションを、さり気なくキープしてる辺り、ゴエだなぁとか。
……すみません、この回妄想ポイントとか、突いてみたいちょっとしたネタが多すぎて、なかなかレビューが進まない;


えーと。
ヒッチハイクで基地へ乗り込んだルパンたち三人、早速基地の中をかき回し始める。
基地内の放送室(警備室?)を占拠したルパンは、巧みに「侵入者発見」の報を使い、兵士たちを誘導、閉じ込めてしまう。
抹殺したと思い込んでいたルパンに、侵入を許した上に、思うままに翻弄され、怒り心頭に達したギース大佐は、ついに自ら乗り出す。
この辺のシーンから、ギースの悔しがる様子などが大袈裟になってくる。
パースリだと、後半のクライマックスがポップで明るいテンションになりがちなので、それに引きずられるように、悪そうなキャラも軽めになってしまうのかも。
どうでもいいことだが、ギースが帽子を取ったらハゲていたので、初見の時はちょっと意表をつかれた(笑)

ギース大佐は、手に入れた金塊で作り、あとは塗装するばかりになっていた戦車の元へ駆けつける。
これは、税関の目を誤魔化すために、ただの戦車に見せかけてアフリカへ金塊を運ぶ手段なのだった。

そこへ、次元、五右ェ門、ルパンが姿を現す。
ここでの「よう大佐、黄金の戦車とはいいご趣味ですな」という次元の明るい皮肉が好き^^
その大層な趣味の戦車でルパンたちを狙うが、すばしっこい彼らに命中することはなかった。

「名将は引き際が肝心」と、ギースは威厳を示した風を装って、戦車を持って撤退することに。
彼の目的は、ルパンたちでも銭形でもなく、アフリカ合衆国建設なのだから、小さなイザコザを深追いするべきでないという判断は、ある意味妥当なものであった。この辺は、攻撃オンリーの敵キャラと反応が違って、少し面白い。
だが、相手はルパン、都合が悪くなったからといって引こうとしても、もう遅い。
輸送機に戦車を積んで飛び立ったギースとダンディーを、戦闘機で追ってくるのだ。
「んもーーしつこい!」
キレたギース大佐には、もうあまり威厳は残っていなかった;

輸送機から戦車の大砲を突き出して(!)ルパンらを攻撃してくるものの、逆に杭で引っ掛けられ、五右ェ門に輸送機を一刀両断され、捕獲されてしまうのだった。
それを、ルパンは銭形の病院へと運び込む(これまた荒っぽいやり方)。
ルパンの言っていた「見舞い」とは、これのことだった。入院してる時までカップ麺を食べていた銭形も、これには驚いていた。

せっかく手に入れた黄金(の戦車)を懐に入れることなく、ルパンはライバルの銭形への見舞いの品とした。
しかも、強奪犯のダンディー軍曹と、首謀者ギース大佐も一緒。
一目見て、銭形はすべてを察し、ギースらを逮捕するのだった。
金塊を取り戻した上、手柄も立てられた銭形、何よりのお見舞いになったことだろう。

これは、純粋に銭形のための敵討ちだったわけではなく、金塊強奪も銭形暗殺も、ルパンのせいにされていたのだから、ギースを捕まえて罪を暴いたのはルパン自身のしっぺ返しでもあったのだ。
金塊を銭形に返したところだけが、「見舞い」……ルパンの好意の部分なのだろう。
やっぱりルパンは粋だなぁ、と思う。

銭形のためにルパンが動く、というパターンは、新ル98「父っつあんのいない日」をどうしても連想させる。
ラストシーン、夕日の中を去っていくルパンたち三人、それを感謝をこめて見送る銭形、という図は特に似ている。
似ているからこそ、つい比べてしまうのだが、ラストシーンは断然「父っつあんのいない日」が好きだ。銭形の押し殺した感情表現、それでいて万感の思いがこもったあの敬礼。
それに比べると、「この次こそ逮捕だぞ」と言っているものの、涙を隠そうともせず見送っている銭形は、可愛いが(笑)分かりやす過ぎて。
パースリの、特にドタバタまじりのこの回のような時には、あまり渋めのラストは合わなかったかもしれないけれど。
年を重ねて、銭形も少し素直に、涙もろくなっちゃった、と見るべきなのかも?^^


(2007.3.1 軍曹の名前の間違い修正。失礼しました!)


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