第2話 大いなる罠を暴け


銭形メイン

ルパンの、銭形への思いがものすご〜く伝わってくる回。
個人的には、この回妙に銭形が打たれ弱いような気がして、その部分が寂しいといえば寂しいのだが(「不屈の男・銭形」推奨委員会)
しかし第二回目から、銭形メイン作品を持ってくる辺り、パースリのセンスはなかなか渋いなぁと思う次第。
そして、いつもは単独行動ばかりが目立つ銭形の、組織人としての面がわずかに垣間見れたりもする。

冒頭、銭形は相変わらずルパン逮捕に意欲満々の様子。
いつも狙いたがわずルパンの手首・足首に見事命中する投げ手錠は、やはり日頃の鍛錬あってのものだと分かる。
拳銃の練習でなく、投げ手錠の練習をしているところからも、銭形の「生け捕り」へのこだわりがうかがえるような気がする。(新ルでは拳銃練習もしているが)

そこへ登場するのが、今回の事件の犯人・ICPOのアラン長官である。
銭形の上司で、今回銭形が提出したルパン逮捕計画を利用して、懐を肥やそうという警官の風上に置けない人物である。
長官にまで出世したのであるから、本来エリートだと思うのだが、元々こういうキタナイ手段を使う人間だったのか、それとも道を踏み外したのは不二子の色香にたぶらかされた故なのか。

銭形の提出した計画というのは、「純金の隕石」が発見されたと大々的に報じ、ルパンをおびき寄せて逮捕する、という作戦。
そんな隕石は、もちろん偽物。ICPOの作り物である。
ICPOが本物の純金6トンも放出しての大作戦。もちろん失敗は許されない。そんな計画が通ったというのだから、ICPOの銭形への信頼があるのだろう。
だが銭形本人は、本物の純金を使う必要はないと考えていたらしい。
「純金の隕石」は、あくまでもルパンをおびき寄せる「餌」に過ぎない。
最新の警備網を敷く国際科学アカデミーへおびき寄せることこそが、今回の作戦の要であったらしいのだが…

この隕石に純金を使用することを強行に主張したのは、アランであるらしい。
アラン長官の言い分としては、ルパンは偽物の金に騙されるようなこそ泥ではないハズだ、ということなのだが。
まあ実際その通りだから、ICPOの会議でも純金使用が認められたのであろう。
それがアラン長官の企みとも知らずに。

一方ルパンたちはアジトで平穏に過ごしていた模様。
たまにチラリと出てくる、ルパンたちの日常っぽい雰囲気が個人的には大好物(^^)。やっぱりルパンのアジトは、ソファのある洋風の部屋が好みである。
この日、ルパンはシャボン玉のようなモノを膨らませて遊んでいる(ように見えた)。
それは、なんと「瞬間記憶喪失ガス」なのだという。シャボン玉が割れると、その前後のわずかな記憶が綺麗に消えてしまうというシロモノらしい。

そのシャボン玉もどきで遊んでいるルパンに、次元が「まるでガキだな、お前は」というのが、メッチャクチャツボ!!
ちなみに、この回後半で次元がルパンに「いつからそんな優しくなったんだ?」とやや皮肉るシーンも、同じく激ツボである(笑)

次元は、このシャボン玉の効果を信用していなかったようで「馬鹿馬鹿しい」と一蹴している。
そんな次元に対して、ルパンは早速シャボン玉を割って記憶を失わせてみせる。
拳銃の手入れをしていた次元が一瞬呆けた隙に、拳銃を取り上げ、代わりにソフトクリームを握らせておくルパン。
次元は、シャボン玉効果でそれと気付かず、ソフトクリームを拳銃のように拭いてしまう。
しかもそのシャボン玉の効能を聞いたことすら忘れているようで、ルパンに拳銃はどこへやった!と食って掛かるのだった。
…ルパンに完全に遊ばれてますな、次元さん(笑)
まさにルパンが言ったとおり、短い時間だが見事に人の記憶を失わせることのできるシャボン玉なのであった。


失意

そんな時、テレビでは大々的に「純金の隕石」が報道されていた。
銭形も、あからさまにルパンを挑発するような発言をしている。
ルパンは、銭形の挑戦をきちんと受けてたつことにするのだった。

銭形が厳重な警備体制をとりつつ、隕石を研究所まで運び入れようとするその道中で、ルパンたちは隕石を盗み出す。
例の、記憶喪失シャボン玉を使って。

それはそうと、フランスの白バイ隊員風というか、ハイウェイパトロール風に変装した、この時の次元!!
すっっごくカッコイイvv 何だってこんなに似合うのだろうと、毎回このシーンには惚れ惚れしてしまう。
パースリ・コスプレランキングもいずれやろうと思っているのだが、間違いなくこの次元は上位に入るであろう(笑)

さて、そういう扮装をした次元が、バイクに乗ってトンネルの中に例のシャボン玉を撒き散らしておく。
そこへ、トラック荷台に隕石を乗せた銭形御一行が次元とすれ違いざまトンネルの中へと入っていく。
トンネルいっぱいに撒いてあったシャボン玉は、トラックの運転手や銭形にもまとわりつき顔のまん前で見事に割れる。
厳重な警備を敷いていようとも、意識と記憶がなくなってしまえばどうにもならない。
ルパンはそんな短い隙をつき、手早く金の隕石を空へと強奪。金の隕石をかたどった偽物(風船)を代わりに置いていくことも忘れない。
ついでに銭形の煙草を「タバコがバタコ」なんて冗談言いながら逆さにしたり、ちゃ〜んと銭形で遊んでいく余裕も見せるのだった(笑)

盗まれたとも知らずに科学アカデミーまでついた銭形は、意気揚々としていたのだが、そこまで運んで来たものが、いつの間にか単なる風船になっていることに気付かされる。
…考えてみれば、結構哀れ。
自分から仕掛けた作戦なのに、6トンもの金塊をみすみす泥棒に持っていかれた格好になった銭形、そしてアラン長官は、この失敗の責任を取ってICPOを去ることになるのだった。

銭形は時々ルパンが死んだと思った時には辞表を提出しているし、時にはルパン専任から外されることもあるが、(自主的でない)進退問題にまで発展したのはなかなかレアなケースではないだろうか。
この時の銭形は、ずいぶんと萎れ、生気がまるで失われた様子で、大人しくパリを去ろうとしている。
随分と、銭形らしくないなぁと思うのはこの辺でもある。
特に、初めて見た時は「とっつあん、どーしちゃったの、大人しく辞めちゃうの?」と、もどかしく思ったものだった。
「個人の力でもルパンを追います!」と執念を見せる銭形が、個人的には好みなのだが。

今回被害額があまりに大きかったというのもあるだろう。
だが、単に逮捕作戦の被害額だけの問題ならば、新ル134「ルパン逮捕頂上作戦」などもっと膨大な被害額を出したのではないかと推察できるものもある。
それよりも今回は、どうして失敗したのか、ルパンはどうやって金塊を盗んだのか、それがまったく銭形には分からなかった(記憶がないのだからやむを得ないのだが)。
それが、銭形にはショックだったのではないだろうか。
だからこそ「ルパンに負けた」とあっさり敗北を認めてしまい、自信もなくして、日本へ帰ろうという弱気を見せたのではないかという気がする。
ちなみにこの時、銭形は母について言及。これもかなり珍しいことである。
この回のみの設定なのかもしれないが、銭形の母は日本に健在であるらしい。

まんまと銭形から6トンの金塊を盗んだルパンたちであったが、喜んでもいられなくなった。
五右エ門が「お宝拝見」と金塊を一刀両断してみると、中身は単なる岩に過ぎぬことがわかったからである。
次元は銭形にいっぱい食わされたと思ったようだが、ルパンたちだけが「騙された」わけではないことを、ルパンは知っていた。
ICPOがこの計画に当たってちゃんと純金を使用したことも、そして純金を使用することを強く主張していたのが、銭形の上司であるアラン長官であることも、ルパンは調べていたようだ。
純金がどこへ消えたのか…それはもう、ルパンにはすぐにわかることである。


黒幕

失意の銭形は、フラフラパリの街を彷徨っていた。
そんな時、チンピラ強盗に襲われるが、まるで反撃する様子もなく、「有り金でも、身包みでも」とどうしようもなく投げやりな様子。
ルパン逮捕という生き甲斐を失ってしまうと、途端にあらゆることがどうでもよくなってしまうらしい。

銭形をナイフで恫喝していたチンピラの正体は、ルパン。
純金をネコババした人間が他にいるということを、わざわざ銭形に伝えに来たのである。
ルパンの姿を見るや、すぐに顔つきにも生気が戻り、動きも俊敏になる銭形は、本当につくづくお見事な人^^。
ルパンもそんな銭形の様子を見て、一安心した様子。
「そうとも、そうこなくっちゃよ!」と、この時のルパンは何だかとても嬉しそうであった。
ルパンは、彼が盗んだものは純金などではないこと、銭形からもルパンからも純金を盗んだ悪党が他にいることを告げると、バルーンであっさりと去っていく。何とも粋な、ニクイあんちくしょうである(古〜ッ)

それにしても銭形は、ある意味でとてもルパンを信用しているのだと感じる。
というのも、ルパンがこの時「俺が盗んだのも単なる岩だ」と言ったその言葉をそのまま信じ、日本へ帰るのをやめて事実を解明すべく動き出すのであるから。
泥棒と警官という立場を超えた、奇妙な信頼関係が表れている。

さて銭形はその事実をアランに報告するのだが、当然犯人であるアランが動こうとするはずもなく、「日本へ帰れ」といなされるばかり。
そして、そんなアランと一緒にいたのは、不二子なのだった。
事件の裏に不二子あり(笑)。またしても今回の事件の黒幕は不二子だったようである。

しかし、銭形は諦めはしなかった。
ルパンに負けたわけではないということを知った銭形は現場に立ち戻り、改めてこの事件の犯人を捕え、ICPOへの復職を誓うのだった。
調査を始めた銭形の様子を、しっかりと見ているルパンと次元。
やはりとっつあんが心配だったのね、ルパン(笑)
そしてそんなルパンを、次元は皮肉るのである。「銭形に汚名挽回のチャンスを与えてやるなんて、お前いつからそんなに優しくなったんだ?」と。
次元に対してルパンの答えは「とっつあんに追いかけられてないと、な〜んか張り合いなくってな。…寂しいの」。
「寂しいの」のところで、わざとおちゃらけてみせるけれども、この台詞はかなり本気なんじゃないかとも思う。
ルパンにとって銭形に追われているということは、欠かせない「障害」、欠かせない「スリル」なのだろう。

こんな時、旧ルや新ルの次元なら、「フン」と鼻で笑ったり「やれやれ」と受け流したりしそうなところだが、パースリ次元は「変態か!」とルパンにツッコミを入れている。
この次元のはじけ具合は、やはりパースリらしい(^^)。

ハンバーガーやステーキ等を大量に食して英気を養い、やる気満々で調査を始めた銭形だったが、なかなか成果は得られない。
が、偶然にもアランが不二子と一緒に車に乗っていることを目撃。彼の後をつけ、すべてを理解するのだった。
アランは不二子と組んで純金を横領し、自宅のプールの底に敷き詰めて隠していたのだ。
銭形は不二子とアランの写真を撮り、即座にICPOへ向かうと、査問委員会を招集する。

こんなところが、「やっぱり銭形も組織人だったのだな」と(当たり前のことだけど)感じたりする。
査問委員会などまどろっこしい気がするのだが(笑)、やはり手続きを踏まねばどうにも出来ないことがあるのだろう。
アランを告発し、いよいよプールの底を白日の下に曝すところまできた銭形。
しかし、不二子の方が一枚上手だったらしく、すでに金塊はプールの底から運び去られた後であった。
証拠がなくてはこれ以上どうしようもない。
銭形は、再び失意の人となって、日本へ帰ることになるのであった。
この辺が、妙に打たれ弱い気がして、個人的には残念。もっともっと銭形は、いい意味で執念深いタイプだと(笑)。や、そこが好きなんだけど。

アランと不二子は、純金をクルーザーに積んで世界一周の旅へ出かけようとしていた。
しかしルパンはそうはさせない。
銭形のためということが大きいとは思うけれども、実際盗んでもいない金塊を自分が盗んだとされたままなのは、ルパンにとっては見逃すことが出来ないことである。
五右エ門にクルーザーを斬らせ、船底に積んである金塊を暴くルパン。

そこへ、ルパンは銭形を電話で呼ぶ。…この辺はとことん銭形を思っての行動か(^^)
まあルパン本人が「銭形に追われたい」と思っているわけだから、銭形復職も、結局はルパンの楽しみのためでもあったりするわけだが。
ルパンからの電話に「このバカモノ、余計なことをしおって」と、うれし泣きしつつ?答える銭形。
意気揚々と現場へ駆けつけ、アランを大量の手錠で(笑)逮捕。見事ICPOに復職を果たすのだった。

結局金塊は盗まずに終ったルパン。
元々その金塊は、ルパン自身が「欲しい」と思ったわけでもないし、記憶喪失ガスで盗んだのはただ銭形の挑戦に乗っただけだったので(しかも銭形から「盗む」ことにはすでに成功を収めている)、執着しなかったのだろう。


ラストでは、カトリーヌ王女から買い物の際の護衛役を頼まれたりする銭形だが、案の定それはルパンの企み。
カトリーヌ王女に化けた不二子と、執事になりすましたルパンと一緒に、銭形は宝石店で宝冠を「ツケ」で買うところに同行させられた。
昔見た時は、「このシーンって余計だよなぁ」と思っていたのだが、銭形がルパンのお陰でアランを逮捕したところで終ってしまっては、銭形はルパンに借りが出来たままで話が終了してしまう。
しかもルパンがどーにも「いい人」のままになってしまうわけで…

ちょっと話の筋から浮いてるようにも感じられる買い物シーンなのだが、ルパンが銭形を利用して盗みを成功させることで勝手に彼から「貸し」を回収し (笑)、これからも銭形のライバルとして遠慮なくやっていくということを宣言したシーンなのだと考えると、「あり」なんだろうなと思うのだった。
単に銭形がルパンに遊ばれているだけのような気もするけれど(笑)。

それはそうと、先日ルパ友さんとお話していた時に気づかせてもらったのだが、この回の不二子はルパンと最初から組んでおらず、アランの企みに噛んでる事で間接的に敵対していた訳だが、ラストでは何事もなかったかのようにルパンと一緒に行動していた。
「ルパンが盗んだことにして金塊を横領する」程度の企みに不二子が絡んでいたとしても、もはや動じないほどの仲になっていたのか、はたまた舞台裏ではひと悶着あってからの仲直りだったのか、妄想すると非常に楽しい(パースリの雰囲気からして前者かな??)


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