第14話 カリブ海の大冒険


人造ダイヤ製造法

初期の中での、地味にお気に入りの回の一つ。
とはいっても、物語自体は派手めだ。カリブ海のジャマイカとハイチ島を舞台に、邪神の呪いのかかったルビーを巡るルパンの冒険、といった感じで、いかにも新ルテイスト満載。
そういうノリも勿論好きなんだけど、もっともっとツボにハマるのが、作中の地味なポイントだったりする。
ルパフジ度が高いのも、個人的に嬉しい(新ル初期のルパンと不二子の関係はやっぱり良いな〜v)


世界一の大富豪、フォワード・ヒースが、正体不明の美女・峰不二子に熱烈な求愛をしている、という芸能ニュース(?)が、ジャマイカを賑わせているところから、物語は始まる。
ヒースの資産は50億ドルだという事だけど、その程度で「世界一の」大富豪というのは(や、確かにすごい金持ちだけど)、時代のせいなのか。
ヒースはいかにも大富豪然と、ホテルの前で彼を出迎えるポーターたちに、札びらきってチップを与えている。
ケチでないところは大変素晴らしいが(笑)、ハリウッド女優と浮名を流したことがあったり、不二子へのプロポーズが受け入れられれば「38回目の結婚」という辺りからも(要するにバツ37!)、金にモノを言わせたがる浮気性でワガママな老人という印象を受ける。

ホテルジャマイカに滞在中の不二子は、ふんぞり返って(笑)ヒースを迎えているのが、いかにも「らしい」。
さらには宝石をプレゼントされると途端に笑顔を見せ、ようやく手の甲へのキスを許す、そのお高い女っぷりが堂に入っていて、実に素晴らしい。
この時着ている服も、スリットの大きく入ったドレスだったり、前髪を全部上げていたりと、オシャレ度も高く、とてもエレガント&ゴージャス。
これならヒースほどの目の肥えた男が夢中になるのもわかる。

そのニュースの流れるテレビを、熱〜い視線で見ていたのは……銭形警部である。
持論「不二子あるところにルパンあり」を実践している彼らしく、いち早く不二子関係のニュースをキャッチすると、ジャマイカへと飛んできたようだ。
そして、同様にこのニュースを見たルパンならばきっとジャマイカへ来ると予想し、全土に非常線を張り巡らせるよう、ジャマイカ警察に要請するのだった。
銭形曰くルパンは「不二子我が命といった具合に、惚れ抜いておりますから」。さすがわかっていらっしゃる(笑)

銭形の予想はピタリと的中し、ジャマイカの空港に、ルパン・次元・五右ェ門が姿を現す。
ここでルパンが「タイトル」と一言。この後お馴染みのタイプライター音とともに「カリブ海の大冒険」とタイトルが出てくる流れになっていて、メタな台詞に笑いを誘われる^^


空港では、すでに銭形によって手配された「変装マスク剥ぎ取り機」が待ち受けていた。
なんと掃除機150台分のパワーらしいが、変装マスクをしていない人の顔ならば「大して破損いたしませんのでご安心くださいませ」とのアナウンス。大して破損しないって……! 安心できない〜〜ッ(笑)
実際、顔を吸い取られてる人はかなり苦しそうだった。
その時、ジャマイカ警察署長と銭形、そして警官一名が駆けつけてくる。
今の客は、もう少しでマスクがはがれそうだった!と、騒ぎ立てる。そして署長たち自らルパンと思しき男性を追って慌しく走っていってしまう。
突然現れた署長に怒鳴られ、ルパンを取り逃がしたと思った警官は慌てるが、ふと我に返り「どうして署長が(空港の)中から?」。
そう、この三人がルパンたちだったのだ。やられたと気づいた時はすでに遅く、彼らはまんまと逃げおおせ、楽しそうに笑い合っている。その様子がツボ!

ここで少し珍しいのは、ルパンがいるのに次元が銭形に変装している事だろうか。
実際次元も銭形には変装可能なのだが(10話49話)、たぶん声色がいまいちマスターしきれていないのだろう。
だから、喋る役だったジャマイカ署長に、どんな声でも変幻自在のルパンが成りすまし、次元が銭形に(空港では実際喋っていない)、一番注目されないお付の警官に五右ェ門が化けていた、ということだと思われる。
その後突然スコールに見舞われる描写がある辺り、いかにも異国に来た感があり、芸が細かい。


さて。冒頭のニュースと同じ具合に、再び、ヒースがホテルジャマイカ滞在中の不二子を訪ねる。
違っているのは、今回銭形がホテルの前に陣取っていたことだ。例の変装マスク剥ぎ機を携えて。
空港で逃したからには、お次は不二子のホテル。銭形のルパンに関するフットワークは抜群である。
大富豪を前にしても、「お顔を検めさせてもらいます」と、銭形は実直な警察官らしい態度を見せる。
だが、ヒースは機械などに顔を触られるのを断固拒否する。銭形も最初のうちは一歩も引かず、大富豪のヒースだからなんだってんだ!と言わんばかりでカッコ良かったのだが……
「名誉毀損と人権蹂躙で1000万ドルの賠償金を支払うよう訴えを起す」と脅されると、たじたじとなる。
律儀に電卓叩いて払えるかどうかを計算している事からして、払えるものなら払ってでも、ヒースをマスク剥ぎ取り機にかけたかったのだろう。
残念なことに、一生かかっても到底支払えないと分かると、しぶしぶ彼を通してしまうのだが(そうしないと話が進まないしね^^;)、ルパンを取り逃がすくらいなら、1000万ドルだって!という心意気だけは買いたい。

ヒースを迎える不二子は、またしても高飛車な態度(笑)。今度はかなりラフな格好になっているが、シガレットホルダーで煙草を吹かして澄ましている。
そんな彼女に、ヒースは突然の別れを告げるのだった。FBIから取り寄せた彼女の身上書には、ルパン三世という恋人がいるとあり、それを知ったヒースは身を引こうというのだ。
モチロン、このヒースはルパン。だから不二子とのやり取りがいちいちおかしい^^
不二子が「向こうが勝手に熱をあげているだけよ」と素っ気なく言い放つと、すかさず「女性ならルパンほどの男に心を奪われぬははずはないからな」。←うんうん、ご尤もな台詞v (ここでちらりと片目で不二子の様子を伺う仕草も好き^^)
それでも不二子がヒースに抱きつき、「あなたの方が10倍もステキよ」と言えば、「この世にルパンに敵うナイスガイはいない」と答える(笑)

さすがの不二子も笑いが堪えきれなくなったようで、芝居をやめて、ヒースに化けた変装マスクを剥ぎ取るのだった。
最初から、不二子も気づいていたのだ。ヒースは、ここ数日原因不明の高熱を出して寝込んでしまっているので、こんなところに来られるはずがないのだとか。気づかれていたと知った後の、あっけらかんとしたルパンの態度も実にイイ。
ルパンは、不二子に愛のない結婚を止めさせるために、わざわざジャマイカまで飛んできたのだ。

が、不二子の態度は素っ気ない。「愛なんかなくても、彼には世界一の宝石コレクションがあるわ」と言い切る。
なんでも、最近ヒースは謎の老人から世界一のルビーを手に入れており、不二子はなんとしてでもそれを自分のものにすると、固く決意しているのだった。その様子は、ちょっとやそっとの説得など受け入れる気配すらない。
ルパンの声に出さない「これだもんねー、困っちゃう」という呟きが本ッ当に可愛いv

旧ルでは、ルパンの企みを含んだプロポーズを真摯に受け止め、結婚を決意した不二子だったのに(旧ル13)、5年を経た今、ルビーのためなら愛のない結婚くらいしてのける女になっていた。
(女盗賊としては)成長したというべきか、(女性としては)荒んだというべきなのか(笑)

それはそうと、不二子の狙うルビーには、怪しい伝説があるらしい。
満月の夜には、決してそのルビーを手にとって見てはならない、もしそうすれば、恐ろしい事が起こると、ルビーを売った老人が言い残して言ったのだった。
が、病床のヒースはそんな事はすっかり忘れたかのように、すっかりルビーにとり憑かれていた。その日のは満月の夜だというのにベッドの中でひたすらルビーの輝きを愛で、手触りを楽しみ、芳しい匂いに酔うのだった。
このルビーには、人を虜にする何かがあるようだ。


呪いの肩代わり

不二子のホテルでもルパンを逃した銭形の嗅覚はまたしても冴え、今度はヒースの館を警護している。
ルパンが何らかの形で、恋敵であり億万長者であるヒースに接触すると踏んだのだろう。
予想通り、ルパンはヒースの屋敷に現れた。その、満月の夜に。
ルビーを盗みにやって来たのだ。不二子に、この結婚をやめさせようとして。ああ、仕事着姿といい、台詞の言い方といい、本当に何から何までカッコイイvv

屋根からロープを垂らして屋敷に侵入しようとしていたルパンは、突然妙な音を耳にしたかと思うと、空の彼方から「黒いつむじ風」が襲来し、煙突を通じてヒースの部屋へと入っていくのを目撃する。
ルパンがヒースの部屋へ行ってみると、そこには「黒いつむじ風」に襲われ、死に掛けたヒースが倒れていた。足をつかまれ、慌てるルパン。
そこへ騒ぎを聞きつけ、ドアを破って銭形登場。
死に掛けたヒースと、足をつかまれたルパンという図に、すっかりルパンが恋敵を殺したと勘違いしてしまう。
殺人疑惑を掛けられたルパンは、「はばかりながらこのルパン様、殺人なんて野蛮なマネは……(しない)」と、言い訳するも、銭形から逃げるのが精一杯で、最後まで言い切ることができなかった(笑)
木々を伝って身軽に逃げるルパン。このシーンもカッコイイ〜!最後の枝が折れて、サボテンの上に落ちちゃうのはご愛嬌。

それはそうと、自分を狙ってきたアウトロー共相手なら、一切容赦しないルパンではあるが、色恋沙汰ごときでライバルを殺すなんて、そんな見苦しく、野蛮かつ野暮な真似は、確かにしないだろう。
銭形も冷静になれば、その辺はきっと一番理解くれると思いたい。


話はそこから一ヵ月後に飛ぶ。
例のルビーは、不二子の所有物になっていた。ヒースの遺産として手に入れたものらしい。
すでにヒースと結婚していたから手に入れられたのだろうか?それとも、口説かれている最中に、遺言書を書き換えさせるなどして、結婚するしないに関わらずルビーだけでも手に入るようにしておいた結果なのだろうか。
ルパンが「結婚を止めさせるため」にルビーを盗もうとしたその日に、ヒース本人が死んでしまっているので、個人的には後者なのではないかと推測しているのだが。

念願叶ってルビーの持ち主になったはいいけれど、不二子もヒース同様、床についてしまっていた。
高熱が続き、かなりやつれているのに(このやつれた顔が妙に色っぽい!!←不謹慎でごめんなさい^^;)、ルビーを一時も手放さずにうっとりとしている様は、死ぬ間際のヒースそっくりだ。
そんな不二子の元へ現れたのは、ルパンと五右ェ門。天井裏からの登場。
再び巡ってきた満月の夜、不二子を「黒いつむじ風」が襲うのではと懸念して、二人はわざわざやって来たのであった。
これだけぐったりしているにも関わらず、「くもの巣だらけのルパン三世なんてイカさないわよ」と、減らず口をきくのが不二子らしいところか。

ルパンも、そして五右ェ門まで、その不吉なルビーを手放せと忠告する。
「カリブ海に放り投げてジョーズのエサにしてしまえ!」と、なぜ唐突にジョーズを持ち出すのか、五右ェ門(笑)
あくまでも不二子はルビーを手放したくないようで、ならば、と五右ェ門はルビーを彼女の手から弾き飛ばし、それを一刀両断……しようとするが、それは果たせなかった。
ジャンボルビーを斬り損ねたおかげで、斬鉄剣はボロボロに刃こぼれしてしまう有様。
大ショックといった顔の五右ェ門も(可哀想だけど)可愛いし、「ありゃ〜」と言ってるルパンの顔と声がこれまた可愛いのだ!!(この回こればっかりですみません)

その時、再び「黒いつむじ風」が襲い掛かってくる。まだ真昼間だというのに!
つむじ風の正体は、鳥の大群、ジャマイカ名物・ハミングバードの群れなのであった。
ハミングバードは不二子に襲い掛かる。それを身をもって庇うルパンがステキv(笑)

何とか、鳥の大群から逃れられたらしく、山の中の一軒家(たぶんルパンのアジト)で、ルパンはけなげに不二子の看病をしていた。
不二子は頭に包帯を巻いていることからして、怪我を負ったようだし、まだ高熱も下がっていなかったが、とりあえずヒースのように死んでしまうことは避けられた。これもルパンと五右ェ門が傍にいて助けたお陰だ。

すると、五右ェ門のいる台所から、「芳しくない」匂いが漂ってくる。ルパンが見に行ってみると、五右ェ門が漢方秘伝の薬を煮ているところだった。
なんでも、医者に診せても治らず、長い事高熱が続くような場合には、コレが一番よく効くのだと五右ェ門は言う。
その秘伝の薬は、地竜湯(じりゅうとう)というもので、その正体は大ミミズのだし汁(!!)。
どちらかというと西洋文化に馴染んでいるルパンのこと、漢方薬なんて、ましてやミミズのだし汁だなんて、効果があるとは到底思えないのだろう。
不二子に飲ませようとする五右ェ門を必死で止める。が、五右ェ門もこの薬には自信満々で、「いいや、効く!」と言い張っている。

というのも、彼には思い出があるからなのだ。
昔、死病にかかった時、「おばあちゃん」がこの薬を飲ませてくれたから、五右ェ門は助かったのだという、思い出が。
この「おばあちゃん」という言い方が、なんというか非常に可愛らしくて、五右ェ門の祖母への素直な愛着が感じられ、ほのぼのしてしまう。五右ェ門はごくごく幼い頃、おばあちゃんっ子だったのかなという妄想をしたくなるのも、この回があるからだ(笑)
個人的に地竜湯のシーンは、かなりのお気に入りである^^

薬を挟んで、ルパンと五右ェ門の「飲ませる、飲ませない」の攻防は、次元の手荒な一発により、終止符を打たれる。
マグナムの一発でせっかくの地竜湯は二人が頭からかぶってオシマイになってしまった(薬をかぶった時の二人の顔がナイス!)。
ところで、唐突に現れた次元。今までずっとどこかに行方をくらましていたらしい。次元の姿を見た瞬間、思い出したようにルパンは怒り出し、文句をまくしたてる。

この時の台詞によると、不二子の結婚を止めるというのがジャマイカに来た目的ではあるけれど(ルパン的に)、大富豪ヒースから財宝を奪うというのも、計画 に含まれていたらしい。まあ、こうでも言わないと相棒たちをジャマイカくんだりまで連れてこられなかったから…という推測できるのと同時に、ちゃんと仕事 は忘れないんだな、と感心したりもする。
新ル後半のように、不二子のことになると何一つ目に入らなくなるルパンも、可愛い時は可愛いけど、度が過ぎるとバカに見えていやんな感じなので、「不二子のため」と「仕事」を両立しようとしていた今回のようなスタンスは非常に好感が持てる。

閑話休題。
いくらルパンに文句を言われても、笑って余裕を見せているだけの理由が、次元にはあった。
彼は、不二子に興味がないから姿を消していたわけではなく(笑)、むしろ怪しいルビーについて一人で調査していたのだった。
次元によると、このルビーはジャマイカの隣のハイチ島に伝わる「黒魔術教」が関係しているのだ。
黒魔術教では、儀式の際に焚く特別な香があり、その中にコカインやLSDと同じ成分が含まれており、その匂いをかいだ信者はイッパツでメロメロになってしまう。
そんな黒魔術教の神の像にはめられていた巨大なルビーが、三ヶ月前に盗まれたのだという。
要するに、不二子が持っているルビーが、黒魔術教の邪心像の目だったシロモノで、持ち主が揃って「なんと芳しい香り」と言っていたのは、儀式の時に焚かれる麻薬のようなお香のものだったという次第。
ヒースや不二子がルビーなしではいられなくなったのも、この麻薬成分のせいなのだろう。
また、ハミングバードの大群が襲い掛かってくるのも、この香りにつられてだったらしい。
「それを盗んだもの、自分の所有物にした者には、黒い邪神の呪いがふりかかる」との言い伝えにある、「呪い」の正体がずいぶん明らかになってきた。次元ちゃん、グッジョブ!

そこでルパンは、「所有物にした者に呪いが降りかかる」というところに着目し、一計を案じる。
まだ意識のない不二子のバッグから口紅を取り出し、それで「このルビーをルパンにゆずります 不二子」と書き、口紅を不二子の唇に塗って紙に押し、それを印代わりにする。
これで、ルビーの所有者はルパンになったわけで、いわば「呪いの肩代わり」をしたのであった。

……ルパン、カッコイイーーー!!!ルパンのノリが軽〜い感じなのがこれまた最高!!
このシーン、昔から本当に大好きだ。シーン自体が短いし、それほど大袈裟にメロドラマチックにしてない分(音楽だけはちょっとしんみりした感じになるけど^^)、ものすごくグッとくる。
ルパンは、「呪い」の正体はすべてルビーに染み付いた麻薬の匂いが原因だと思ったのだろうし、この時点では(ゾンビなど見てないから)邪神の呪い・力など あまり深く信じてはいないのだろうけれど、それでも不二子に異変が続いている事実を重んじて、身を挺して自ら呪いの対象になって、彼女を是が非でも守ろう とした。その男らしさに、心底痺れっちゃう。
字がちょっと下手なのまでも愛おしい(そもそも口紅で書くのは難しそうだから、これがルパンの素の字だとは思わないけど^^)

その時、またしてもハミングバードの大群がやって来て、ルパンたち三人は、不二子をアジトに残して、そこから逃げざるを得なくなった。
ルパンは、ルビーの現所有者として、それをハイチ島の邪神に返し、すべてを丸く収めようと考えていた。

余談だが…黒魔術教について喋っている間、次元がずっとルビーを手にし、何度かやたらと匂いをかいでいたのにケロリとしていたのが、妙に気になる。短時間なら匂いをかいでいても大丈夫なんだろうか、と子供の頃は次元の身を心配したものだった(笑)


ゾンビ

ハイチ島に渡り、邪神像のある神殿付近まで来てみたものの、接近することも不可能に見える場所であった。
考えている最中の、次元の「ハテ、どうしたもんかいなぁ」という台詞の、いい感じに気が抜けた調子が激ツボ(かわいいー)
珍しく五右ェ門が、「もちろん決まっておる。れっつごーの一手あるのみ!」とやる気を前面に出しているのもイイ。

前は海が阻み、後ろは山で道らしい道もないとなれば、残る手段は一つ。
ルパンたち三人は、ハンググライダーで空から神殿へ潜入しようと試みる。
が、またしてもハミングバードに襲われ、ハンググライダーは穴だらけになり、神殿に辿りつく前に三人は海へと真っ逆さまに落ちていってしまった。

この様子を、ルパンを追ってきた銭形がちゃんと目撃しているのがスゴイ(笑)
銭形もルビー情報を手に入れたのか、はたまたルパンの目撃情報があったのか、きっちりハイチ島まで追ってきて、案内人を連れてロバで移動中だった。
だが、あまりにもルパンを探しすぎて疲れもピークだったようで、「幻覚だ」「いいや本物だ」と混乱し、精神的にやや不安定になっている様子が垣間見られる。前回の13話でノイローゼになって間もないのだから、あまり無理しないで…と言いたくなってしまう。(でもそうは言っていられないのがルパン選任捜査官の大変なトコロ。お疲れ様ですー!)


空からの侵入に失敗したルパンたちは途方にくれる。ルパンですら「八方塞り」と言うほど。
でも、この回の次元はすごく大人な感じを漂わせており、一人でルビーの調査をしてきてくれたかと思うと、今度は、ルビーを盗んだやつがいるんだから、どこかに必ず入るルートがあると言い切る。
確かにごもっとも!
ルパンもそれを聞いて、「秘密の地下道があるのかも」とやる気を取り戻した。

そこへ突然、謎の老人が現れる。現地の人間らしい。
その老人は、ルパンたちに秘密の入口があるかもしれない、と言い出した。そして、こんな言い伝えを教える。
昔、カリブ海を荒らした海賊から守るため、神殿からふもとまで、秘密の地下道が掘られたのだ、と。
しかも、その抜け道の見つけ方まで教えてくれちゃう親切さ。
ルパンは素直に礼を言って、罠だらけだという抜け道の中へと入っていくのだった。

三人が入っていくと、次第に秘密の扉は閉ざされていく。
執念の銭形は猛ダッシュでルパンを追うが、一歩及ばず、抜け道への扉は銭形が入る前に閉じてしまった。

老人が言ったとおり、抜け道の中は罠のオンパレード。
ケース1:大きな石が転がり落ちてくる→ルパンと次元は脇に避け、五右ェ門が石を真っ二つに(斬鉄剣、ちゃんと研ぎなおしたのね^^)

ケース2:落とし穴&その下に針山→素晴らしい反射神経で穴の淵に掴まり、難を逃れるルパン。「先客がいらっしゃったんですか」の軽口がイイ。しかも、助けようと五右ェ門が手を出しているのも、さりげなくツボ。

ケース3:扉の鍵をこじ開けたら、大量の水があふれ出た→流されるままだったらしい(笑/それともどこかにしがみついて堪えたか?)

ケース4:ロープに足が引っかかると、両脇から鋼鉄が飛び出しプレスされそうに!→三人とも、上へ飛び上がって逃れる。
ルパンは靴とズボンが挟まって脱げてしまい、よく見ると五右ェ門の袴も罠に挟まったままだ。しかも草履は脱げてる。
次元だけは靴もズボンも無事だったので、この場合一番すばしっこく対応したのは、次元だったのかもしれない。

と、こんな具合にさまざまな罠を切り抜け、ついに邪神像のある大きな部屋へとたどり着いた。
黒々とそそり立つ邪神の一つ目は、ポカリと空洞になっている。あそこにルビーを返せばいいのだ。
この時のルパンの台詞が滅法良くて、山田さんの名調子なので、ちょっと引用。ぜひじかに聞いてみてください^^
「神サマよぅ、モノを盗むのが商売の泥棒がだよ?モノを返しに来たんだ。その心根に免じて、どうか今までのコトはすべてお水に流してチョーダイな」
神様(しかも邪神)相手に、この口調、この台詞! ここもルパンらしくて大好きな1シーンだ。

そう言ってルパンは絶妙なコントロールでルビーを投げ、邪神の目にはめ込んだ。
すると地響きがし、何者かの声がルパンたちを不埒者呼ばわりし、「生きては返さん」と告げる。
これを神の宣託だと思うようなルパンではない。聞き覚えのある声であることにすぐに気づく。
声の主は、先ほどの謎の老人だった。親切で抜け道を教えたわけでなく、彼らをここへおびき出すのが目的だったのだ。

ヒースにわざわざルビーを売ったのも、ヒース→不二子を経て、ルパンの手に渡り、ここへやって来るだろうという計画だったのだとか。随分迂遠な計画だとも 思うんだけど、まずヒースが不二子に惚れたのが先で、それをきっかけにこの計画を立てたのなら、あながち回りくどすぎるというわけでもないかもしれない。 (不二子がルビー“のみ”狙ってヒースに近づいたのなら、まずヒースがルビーを手に入れたのが先になるので、この説は却下されるが)

老人が、そんな事をした理由は、復讐だった。しかもかなり大昔から尾を引いている復讐……
なんでも、老人の父親が警備隊長をしていた頃、ルパン一世がジャンボルビーを盗もうと神殿に侵入するという出来事があった。
黒魔術の技でルパン一世は撃退したものの、侵入された責任を取らされて、老人の父は処刑されたのだという。
そこから、ルパン家への恨みを持ち続け、復讐が義務となった、と老人。……哀れというか、何と言うか。
ルパンからしてみれば、爺様のしでかした事で復讐されるなんて、と不平でも言いたいところだろうか。それとも、ルパン家代表として、この手の恨みを受け止めることにも慣れているのだろうか。

老人は待ちに待ったこの機会を逃さんと、早速復讐にとりかかる。
邪神の力により動き出した生ける屍・ゾンビがルパンたちに襲い掛かった!!
……ツタンカーメンの呪いの後は、黒魔術教(イメージ的にはブードゥー教なのだろう)の呪いと、ついにゾンビまで登場。
新ルのカラーがある程度決まった回でもあるかもしれない(笑)

「何だこの青いの!」というルパンの慌て具合が可愛い←またしてもコレ
三人は動じつつも、それぞれの武器で応戦するが、一回死んでるゾンビに怖いものなし。
斬っても撃っても、すぐに傷は再生し、再び三人めがけて襲いかかってくるのだ。うわ〜リアルで想像するとかなりイヤな状況だ。

この時、五右ェ門が真っ先に根を上げているのが珍しくて印象的。「斬っても斬ってもきりがない!」と、情けなさそうな顔をする。
実際、かなりの重量がある真剣をふるい続ける五右ェ門が一番疲れるのは当然かも。それにしても、ジャンボルビーといい、ゾンビといい、この回は斬れないものばかり出てくる。斬鉄剣は黒魔術教と相性が悪いようだ。

襲い来るゾンビを見ると、この黒魔術教の邪神には、本当に何らかの力があったようだ。
ルビーの所有者が高熱が続くという現象も、ルビーに沁みこんだ麻薬的匂いだけでは説明がつかないように思えるし、この回も所謂不可思議現象ありの世界となっている。
こういう場合大抵、きわめて合理的な頭脳の持ち主であるルパンには、あまりいいアイディアが浮かばない(ことが多い。笑)
シリーズが進むと後にオカルト担当になる五右ェ門も今回は早々に根を上げており、こうなると頼みの綱は次元のみ。

ルパンが「何かいいアイディアないのかよー」と投げかけると、すぐさま「そうさな、一つ目の神様でもフッ飛ばしてみるか!」とのお答えが。
臭い匂いは元から絶つという発想だ。仮にも神様相手にずいぶん乱暴だけど、なんだか頼もしいぞ!(笑)
ルパンもすぐにそのアイディアにのり、準備していたプラスチック爆弾を邪神像に投げ、ピタリと貼り付ける。
それを見た老人は邪神像を守ろうと、爆弾をはがしにかかる。ルパンが懸命に「離れろ」と言っても聞く耳を持たず、とうとう彼の神と共に爆発してしまった。

邪神像が倒れると、ゾンビもまた、崩れて消えていくのだった……
やはり、何かしら神秘の力が、働いていたと思われる。
ようやくゾンビの脅威から逃れた三人の、くたくたになった表情がまたしてもgood(^^)。


こうして、平和が訪れた。あれほど死に瀕していたかに見えた不二子も、すっかり元気になって、ルパンたちとカフェでくつろいでいる。
このシーンのほのぼの感、キャラ同士の会話がとても好き^^
それはそうと、ここで次元がルパンに対して、「それにしても思い切ったことをやってくれたもんだよ」と、邪心像を爆破したことを語っているが、このシーンを見るたびに「言いだしっぺは次元なのに」と思ってしまう(笑)
神の像と一緒に、時価1億ドルのジャンボルビーも木っ端微塵になってしまったことを、不二子はひどく残念がっていた。
あれほどの目に遭っておきながら……やはり不二子は懲りないタフな女性(笑)。彼女自ら言っていたように、ルビーが手に入るなら悪魔にでも魂を売りかねないイキオイだ。

そこへ、粉々になったと思われたジャンボルビーを持ち、すっかり魅了されきった銭形がふらふらとやって来る。
いつの間に!? 
ルビーだけは、斬鉄剣すらもはねつける無類の強度を誇っていたため、爆発にも耐えたのだろう。それを、ルパンを追っていた銭形が入手することになったのだ。
不二子が「あたしのルビー」と飛び出そうとするが(さすが宝石のためなら命がけ!笑)、ルパンに止められる。
耳を澄ませば、またしてもハミングバードの大群の飛来する音が……。神の像はなくなっても、宝石の匂いにつられてやってくる鳥たちは健在だったらしい。
銭形は瞬く間にハミングバードにボロボロにされてしまう。

ただ、銭形の場合はそれだけで済んだように見えるので、やはり邪神像を吹っ飛ばしておいたおかげで、熱病にかかって死ぬ程不思議で強力な「呪い」はなくなっていたようだ(とっつあん、ラッキー!)
転がったルビーを、まだ諦めきれずに拾おうとする不二子を抱き上げて、ハミングバードの群れから逃げていくルパン。
神殿へ行くまでの様々な罠を逃れ、また神の呪いからも逃れたのだから、鳥の大群くらい見事に撒いて逃げ切ることだろう。


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