第40話 ミサイルジャック作戦


純粋泥棒話

個人的にはお気に入りの作品の一つ。
突っ込みどころもイロイロあるのに、そこもまた楽しんでしまう。
というのも、私はルパンたちが「泥棒」する話が好きだからであろう。
もちろん、ルパンたちが何も盗まない回にもたくさん面白い作品はあるので、「泥棒してなきゃ絶対にイヤ」なんて思っているわけではないのだが、「世界一の大泥棒」であるルパンの本業での活躍には、やはり胸躍るものがある。
それにこの回は、ルパンと銭形が真っ向勝負しているところが、非常に好きな点でもあるのだ。
ルパンたちが狙うのは、時価900億ものダイヤモンドの山。ダイヤは計35万カラットにもなるという、かなりの大仕事。
不二子が持ってきた話らしいが、今回は彼女に不穏な動きもない(笑)最後まで四人揃っての仕事となる。
さて、ダイヤを奪う方法だが。まずトラックでサンホセの科学研究所へ送られる途中に、ルパンたちはダイヤを奪うことにした。
科学研究所へ運ばれると、ダイヤはプエルトリコまでマッハ5のミサイルで輸送されることになっており、この時点では、科学研究所へ送られてしまったら、もうダイヤを奪うのは不可能だとされていたからだ。

一方、ダイヤを守るためにやってきた銭形にも余念はない。
この回では、守る側も「輸送する際の情報」というものに非常に気を使っており、科学研究所へダイヤを運ぶ時の作戦も、警備局長のトロンボと銭形しか知らぬ作戦が取られることになる。
…それはそうと、銭形は12話に続いて名前を間違えられることになる。前回は「ゼニガメ」だったが、今回は「ジョニガタ」。
銭形の発音が悪い可能性もなくはないが、この場合はどう考えても、トロンボの方に問題がありそう(笑)
聞き取れても、「ゼニガタ」と発音しにくい舌の構造の持ち主だったのかもしれない。

さて本題。いよいよダイヤ輸送の当日。
ダイヤを乗せたトラックが通る橋を見渡せる場所で、次元と五右エ門が待機し、タイミングを見計らって橋を爆破。トラックは崩れ残った橋の中央に立ち往生してしまう(すごい危ない;ギリギリの爆破バランスだわ)
その時トラックのコンテナ内にあるシートの中に隠れていたルパンが姿を現し、ダイヤのトランクを奪う。
すごく重そうに持ち上げるルパンの声が好きv…という個人的感想は置いといて。このトランク、重くっても当然のこと。
1カラットは0.2gなわけだから、かけることの35万、それをキログラムに直してみると
その重さ約70キログラム。次元さん一人分の重さである。・・・実は、もう少し重い、違う人の「一人分」だったのだが(笑)

男一人分の重さのトランクを抱え、ルパンはトラックの外へ。空からは、ヘリコプターで次元と五右エ門がルパンとトランクを拾いに来ていた。
警官らの銃撃もなんのその。あっさりと盗み去ったに見えたのだが…残されたトロンボ、そしてこの騒ぎの間中もまるで動かず、助手席にでくの坊の如く座っている銭形にも、悔しさの影はまるでなかった。

成功したつもりのルパンたち。この回アジトにしているクルーザーの上で、ダイヤとご対面といこうとするが……
中から現れたのは、身体を折り曲げ、トランクの中に「みっしり」(笑)入っていた銭形の姿!
とんでもなく窮屈そう。しかも呼吸も苦しそうなのに…ルパン逮捕のためにまたまた命を張っていた銭形なのであった。
肝心のダイヤはどうしたかというと、トランクに入れず、助手席に座っていた「銭形そっくりの人形」の中に仕込んで置いたのだとか。
上手い所に隠したものだ。ルパンたちが何かを盗む時、一番近寄りたくないはずの人間は、銭形であるはずなのだから。
今頃、ダイヤは研究所に無事到着しているころだ、と銭形は大いに自慢する。
そして、まんまと騙されたルパンたちに、銭形が迫る――と思いきや、やはり最後のツメは甘い。あっさりとルパンたちのクルーザーから蹴りだされ、結局ルパン逮捕はならず逃げられてしまう。
手漕ぎボートの上に放り出してあげる辺りは、ルパンの優しさというものか。


潜入

ダイヤモンドは研究所に運び込まれ、ミサイルで発射される時を待つだけだと知った不二子は、早くも諦めモードであった。
が、ルパンは違う。騙されたまま、大人しく引っ込んでいるような彼ではない。
より難しい状況であろうとも、いや、より難しい状況だからこそ、ここで引くわけにはいかない性格なのがルパンだろう。
「不可能」だとされていることに挑戦することも、ルパンの心をそそったに違いない。
ルパンの頭の中には、すでに作戦が出来上がっていた。
それを話すと、不二子の顔がパッと明るくなる。諦めかけたダイヤが、手に入りそうとなり、ものすごく嬉しそうである。
ルパンが催促する「ご褒美(のキス)」にもちゃんと応じてあげている。素敵なのは「作戦だけ」などとクールなことを言っているが、ルパンの頭脳に惚れ直したに違いない(と勝手に思い込んでいるルパフジスキーがここに一人。笑)

ここでルパンたち四人は、作戦上二手に分かれる。
研究所に潜入し情報収集・分析を担当するルパン・不二子組と、ダイヤ輸送ロケット迎撃班の次元・五右エ門組である。

余談だが、ルパンたちが二手に分かれることはよくあることで(結果的にそうなったものも含める)、この回と同様の組み合わせは、が一番メジャーであろうか。あるいは8話とか。
またよく見かける組み合わせとしては、ルパン・次元、不二子・五右エ門に分かれるパターン。
37話、48話、PARTIII「ダイヤに炎は似合わない」(潜入シーンのみ)などが思い出され、これにルパン・次元の二人だけの仕事、も加えれば、かなりの数になるように思える。
一番少ないであろう組み合わせに、ルパン・五右エ門、次元・不二子というものがあり、すぐに思い出せる回は旧ル8話くらいだ。
組み合わせに、個々人でお好みはあるだろうが、私はいずれの組み方も、なかなか見所とバランスの絶妙さがあって面白いと思っている。
この回の組み合わせも、いろいろと楽しい(^^)。

さて、先ほどはうまくルパンからダイヤを守った銭形だったが、さすがにまだ油断はしていなかった。
プエルトリコまでミサイルが飛ぶルートを説明しながら、もうルパンだって手も足も出まいと思っているトロンボとは対照的に、どこか不安げな銭形。ルパンの恐ろしさを知ってる銭形らしい反応。
実際、ルパンはすでに所長のペット・虎のシシマルに変装して研究所内部に入り込んでいたのだから、さすが銭形の勘(?)といったところか。

それにしてもルパンは変装の名人とはいえ、虎にまで化けられるとは素晴らしい。ニワトリで本物のシシマルを誘い、格闘の末麻酔注射を打ったのも、よくよく考えてみれば、すごすぎ。虎と真剣に取っ組み合いしたんだから、ムツゴロウさんもびっくりである。
虎になった後もうっかり胡坐かいちゃったりするあたりが、やたらと可愛いv
その後、ルパンは虎から所長へと化け代わり、見事研究所の中枢に入り込むことに成功したのである。
ちなみに、所長の服を慌てて着ようとして、バタバタしながらズボンを履くルパンの様子、メチャクチャ可愛くて、ツボにクリティカルヒットシーンだったりする。

また、不二子も秘書に変装して入り込んでおり、マイクロテレビを仕掛け、トロンボと銭形による輸送ルート情報を、次元と五右エ門の元に届けていた。
その情報に基づいて、次元と五右エ門は攻撃に適したK地点に移動。
そこで準備を整えて、ルパンからの連絡を待つことになる。

この時点で、すでにダイヤ強奪計画は完成しており、ただ「ミサイルの発射時刻」というデータを手に入れることに焦点が絞られていく。
正確な発射時刻がわかれば、所長の立場を利用しコンピューターを使って、K地点通過時刻も割り出せる。それが割り出せれば、次元と五右エ門によってK地点でミサイルを強奪できる、というわけである。
「ダイヤモンド」を盗む、というよりは、「発射時刻」を盗む、という展開になるわけで、銭形との攻防がなかなかスリリングでとても楽しい。


大成功!

秘書っぽい女性に化けていた不二子だが、今度は技師(?)になりすまし、発射時刻を探り出そうとする。不二子、大活躍である。
常々、不二子の情報収集能力は優れていると思っていたが、実際こういうシーンがあると嬉しくなる。どんな職業でもそつなくこなす知識と経験と技術、また演技力や度胸、頭脳の臨機応変さが必要なことであり、不二子の肝は案外こんなところにあるはずだ。
単なる美人でグラマーな女性というだけでは、ルパン一味などやっていられない。

まあ、技師になりすましている時は残念ながら銭形にあっさりと変装がばれてしまうのだけれども。この場合は、後姿だけでピンと来た銭形を褒めるべきだろう。
研究所に潜入している時の不二子は、金髪のオカッパ頭で、ものすご〜〜く可愛い。
ただ、銭形とは以前「ベネチア超特急」で、この金髪オカッパ姿で会っているから、それが敗因だったか(?笑)

不二子の変装を見破り、発射時刻を迂闊に口にしなかった銭形は天晴れなのだが、その後がスゴイ。
不二子を捕まえ、胸に仕込んであったマイクを取り上げるだけならともかく、シャツを脱がせてしまうのだから!衝撃のポロリシーンだ。不二子ちゃん、ノーブラだったんですね。ノーブラでありながら、見事すぎる谷間(笑)
銭形の行為は、どう考えても職権乱用のセクハラとしか思えないのだが、銭形は特にデレデレする様子はない(当たり前)
無理やり銭形を弁護してみると、胸元に仕込んだマイク以外にも何かあやしいものを持っているのでは、という疑いがあったから、派手に服を脱がせたのかも……
うーん苦しいかなぁ(笑)。人前でやることもないし。
何よりも、銭形はそこまでしておきながら、不二子がイヤリングとして身に着けて隠し持っている「マイクロテレビ」の存在に気がつかなかったのだから。

マイクがつぶされたことによって、ルパンは不二子が捕らえられたことを知る。あとは発射時刻を調べるだけなのに、なかなかうまく行かないものである。
またルパンの方にもピンチがやってくる。
トロンボと銭形が、「ルパンの仲間を捕らえた」と報告に来、その際銭形に疑われ、顔を調べられそうになるのだ。
変装マスクはかなり頑丈に装着されているようだし(笑)、またルパンの逆ギレともいえる強引な切り返しで、どうにか危機を脱出する。

その間、次元と五右エ門はK地点の枯れ井戸の中で、ルパンからの連絡を待ち続けている。
なかなか連絡がないことに、次元は毎度のコトながら(笑)かなり苛立っている。やはり短気な次元さん。
五右エ門の方は「ミサイルジャック」に必要な、巨大な木の杭を削りながら、静かに待っている。きわめて対照的。

さて、所長@ルパンを追いつめられなかった銭形、気を取り直して不二子の元へ。不二子から、ルパンの居所を探ろうというわけだ。
だが不二子はそう甘くない。「ミサイルが発射されたらわかるでしょ」と突っぱねる。
その時、不二子を救いに来たルパンが、シシマルの声で「傍にいる」ことを伝える。それを知った時の不二子の嬉しそうな顔と「ルパン…」という囁きが良いvv
この二人の阿吽の呼吸も、観ていて幸せ〜な気持ちになる(^^)。

不二子は、ルパンがもうすぐ救ってくれる事を知ると、銭形に対する態度を変える。
色っぽい声を出し、これみよがしな挑発的な仕草。「わかってるでしょ、わたしの気持ち」とかなんとか…新ル風のわかりやすい「お色気」描写ではあるが、やはり色っぽいったらありゃしない(不二子の声が〜v)。
そのお色気はさすがの銭形ですら、一瞬ヘロッとなるほど。不二子から銭形の頬っぺたにキス、という非常にレアなシーンなので、「ルパン」界のキスシーンマニアは必見(そんなマニア私だけか)
このシーンでは不二子の洋服が、突然前半着ていたノースリーブになってしまったりするが(笑)その辺も見逃したくなるほど。
銭形に近づくだけ近づいて……その目的は当然キスなんかではなく(笑)、銭形の帽子の上にマイクロテレビを置くことだった。
それに成功すると、再び態度を急変させ、銭形の鼻の絆創膏を引っぺがしたりして、ちっとも白状する気のないことを示す。銭形は当然、怒って立ち去る。
陰で、不二子の色仕掛けをクスクス笑いながら見ているルパンも、すっっごくいい感じで好きv
その後、ルパンにちょっかい出されながらも(笑)不二子は助け出され、二人揃って仕掛けたマイクロテレビの結果を見る事に。
それはそうと、この回。ルパンの出番自体は多いのに、ずっと変装しているので特に後半はルパンの顔を見られる事が少ない。ようやく所長の変装を取ってくれた時は、なんだか嬉しかったり。

一方。待機中の次元は相変わらず苛々しっぱなし。だがそれも無理ない、というくらい、発射時刻はなかなか手に入らなかった。
この時点で、銭形が「発射時刻」を口にしたり、または都合よく画面などで確認したりするかどうか、確証がなかったわけで(実際発射時刻は迫りまくっていたし)
ルパンはそういう意味で「賭け」に勝った、といえるかもしれない。
銭形が「どこかに潜り込んでいる筈」のルパンに不安を抱き、上手い事、発射時刻を変える変えないでトロンボと議論してくれたのも、それまでのルパンや不二子の行動あってこそなのだが。
「発射時刻を変えたほうが…」という銭形と、「この時刻で行く」というトロンボのやり取りがあったお陰で、ルパンはマイクロテレビを通じて、ようやく発射時刻を手に入れられる。

早速コンピューターで計算し、K地点通過時刻を割り出すルパン。
ルパンからの連絡があった時の、次元の嬉しそうな様子がまたGOOD。待ち焦がれていたのね(笑)
確かに、ルパンが「成功を祈る」と言った次の瞬間、ミサイルが発射されているし、K地点通過時刻は、その約24秒後なわけだから、実際ものすごいギリギリの状態だったのだ。
ミサイル発射のカウントダウンとあいまって、この辺はなかなかスリリング。スリリングな中、ルパンの落ち着きっぷりがたまらないv

だが時刻さえわかれば、勝ったも同然。
発射準備万端の巨大杭の錘を、次元の合図で、五右エ門が断ち切る。
巨大杭がミサイルを貫き、ダイヤモンドを入れたケースが、見事落ちてきた。「大成功」と次元と五右エ門が、握手するのももっともな、鮮やかな大成功である。
大掛かりな「ミサイルジャック」の仕掛けが、絵的にとてもダイナミックで、この辺もすごく楽しい。

無事にミサイルを発射させたと安心した銭形が、不二子の捨て台詞を思い出し、鏡の中のマイクロテレビに気づくシーンは、可哀想だけど笑ってしまう。
銭形警部、お疲れ様でした〜(笑)

K地点通過時刻が、コンマ4桁まで精密に出されている割に、合図に使った次元の時計は、わりと普通の時計だった(ように見える)とか
銭形の頭に乗ったマイクロテレビが、どんどん大きくなっていく怪とか(笑)
気になるところもあるのだが、そんなことはどーでもいいのだ。
ルパンたちと、銭形が堂々と攻防戦を繰り広げ、見事ルパンたちが勝った。それだけで、大満足の一作なのである。


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